猫の病気の種類とその治療法

あなたは猫を飼っていますか? いつも調子が良さそうですか? 元気に飛び回っている猫は可愛いですが、いつも調子が悪そうだと可愛そうです。猫も生き物ですので、人間と同様な病気もしますが、猫独特の病気もいろいろあります。ここでは、猫の病気の種類とそのサインや症状、治療法について、動物病院サプリ編集部がお届けします。

この記事の監修獣医師
鈴木 遊喜子 (アイ動物医療センター高萩 獣医師)

数多く種類のある猫の病気:内分泌系

猫の病気の種類 甲状腺機能亢進症

人間にもある内分泌系の病気「甲状腺機能亢進症」は、猫もかかりやすい病気です。この病気は、甲状腺ホルモンが多く分泌しすぎる病気です。症状としては、よく食べるのに痩せる、異常に活発、水を飲み過ぎるなどがあり、高齢の猫の病気です。対策としては、内科的なホルモンを抑える薬や療法食、外科的手術で甲状腺を切り取るなどがあります。おかしいと思ったらすぐに獣医さんに相談することです。早期の発見がとても重要です。

猫の病気の種類 糖尿病

また、同じ内分泌系の病気に「糖尿病」があります。この病気は、インシュリンの量が低下することで、血糖値が高くなってしまう病気です。この病気だけでも怖いのですが、いろいろな合併症が起きる危険もある病気です。「ペットフードだけではかわいそう」と人間の食事をあげるのも、肥満や血糖値上昇などの原因となっています。症状としては、異常に水を飲む、食べているのに痩せる、嘔吐、下痢、元気がないなどがあります。特に、嘔吐はなんらかの病気のサインなので、すぐに獣医さんに見せられるのがおすすめです。治療としては、血糖値を上げにくくする療法食を与えたり、インスリンの注射で対処します。

猫の病気の種類 アナフィラキシー

原因は、薬や食物などに含まれた異物である「抗原」が猫の体内に入ることで起きるアレルギーです。体内に侵入した抗原に対して、免疫が応答して「IgE抗体」を作り、次の侵入にそなえて準備がなされます。複数のアレルギー症状が全身性に急に出てくるのがアナフィラキシーで、早いときで、抗原が侵入してから数分以内に起こり、症状として、興奮、よだれ、嘔吐、痒みやむくみ、呼吸困難、倒れるなどがあります。それを放置したままにすると死に至る可能性があり、非常に危険です。また、蕁麻疹の場合は、顔が腫れたり、皮膚に痒みが出る場合もありますが、他の症状が出てこなければ通常は命を落とす危険はありませんが放置すべきではありません。すぐにペット病院に連絡しましょう。対処法として、緊急性の場合は静脈点滴や静脈注射を直ちに開始します。蕁麻疹や痒み、むくみなどの皮膚・粘膜症状のみの場合は皮下注射や内服薬の処方となることもあります。

猫が冬にかかりやすい病気の種類

尿路結石・膀胱結石

冬は寒いため、飲水量が少なくなりますので、これらの病気のリスクも増えます。水をたくさん飲めば尿も薄まりますので、結石の危険も避けられます。水をあまり飲まない場合には、ぬるま湯を飲ませてみたり、水を数か所に置いたりしてみましょう。また、正常なペーハー(PH)を維持できるキャットフードも有効です。症状としては、血尿や頻尿、排尿ポーズをとってもなかなか出ないなどがあります。不幸にもこの病気にかかってしまった猫は、触診や尿検査、超音波検査などをして結石がすでに形成されているのか、まだ結石の前段階である結晶の状態なのかを調べます。結晶の段階であれば、療法食で尿中の結晶を溶かしたり、利尿を促します。尿道がつまってしまった場合では、カテーテルを使用してつまりを解除します。膀胱を切開して結石を摘出する手術が必要なこともあります。

猫の病気の種類 心疾患

猫の心臓病は、無症状で経過することも多く、かなり進行した状態にならないと気付かないこともよくあります。症状として、疲れやすい、呼吸が荒くなった、突然失神する、咳をする、歯茎の色が真っ白などの場合には、心疾患を疑ったほうがいいでしょう。猫の心疾患には、先天性によるものと、加齢によるものがあります。先天的なものには、心臓の中の壁に穴が開いているものが多くみられ、加齢によるものは、筋肉がぶ厚くなって心臓がうまく動けなくなってしまうものが多くあり、心筋症や血栓塞栓症、不整脈などがあり、咳や過呼吸、浅い呼吸、または暴れる、食欲不振などの症状が出ます。治療は、まず聴診、レントゲン検査、心臓超音波検査、心電図などをしてから、血液の循環を促す薬を中心に使用し、重症の場合は酸素室での入院治療になります。

猫の病気の種類 膀胱炎

気温が下がる冬や、ストレスがかかったりすると猫も膀胱炎になりやすくなります。症状としては、何回もトイレに行く、排尿時に痛がる、尿が出るが少しずつしか出ない、血尿などがあります。猫が膀胱炎にかかりやすいのは、結石ができやすいことにも関係があります。もともと猫の尿は濃く、そのためにできた結晶や結石で尿道や膀胱が傷つき、さらに細菌にも感染して炎症が起きると膀胱炎を発症することがあります。対策としては、水を多く飲ませることです。治療は、内服薬や療法食が必要な場合があります。手術が必要になることもありますので、症状が現れたらすぐに獣医さんに相談するのがよいでしょう。

要注意! 人にうつる猫の病気の種類

猫の病気の種類 猫ひっかき病

人にうつる猫の病気で有名なものに「猫ひっかき病」があります。この病気は、猫が持っている「バルトネラ菌」という菌が原因となります。猫が人をひっかいたり、咬んだりして発症する病気で、数週間から数か月続く発熱やリンパ節の腫れなどの症状が出た後自然治癒しますが、重症例では脳炎や肝炎などに至る恐ろしい病気です。夏から冬に発症するケースが多いようです。猫から猫へ感染する原因としては、ネコノミによる媒介が重要であると言われています。治療法としては、抗生物質の投薬が一般的です。予防策として、猫の爪を定期的に切る、猫との過剰な接触を避ける、手洗い、ノミ駆除剤の定期的な使用が挙げられます。

猫の病気の種類 トキソプラズマ感染症

この病気は、猫の便の中や土の中にいる寄生虫が人体に侵入したり、加熱不十分な肉を食べて感染します。妊婦さんが初感染した場合は、まれに胎児に影響が出ることもある恐ろしい病気です。この病気に感染した人の症状としては、多くは無症状ですが、リンパ節の腫れ、微熱、倦怠感などがあります。健康な人だとそのうち自然治癒しますが、小児や免疫が低下している人では重症化し、脳炎や肺炎、肝障害、目の炎症を起こすこともあるので注意が必要です。予防策としては、猫の糞が混じっているおそれのある土や砂を触らないこと。特に、妊娠中はガーデニングも要注意です。また、レアな肉を猫もヒトも食べないことが重要です。

猫の病気の種類 皮膚糸状菌症

この病気は猫に皮膚病を起こすカビが人にもうつる病気であり、大変恐ろしいです。「皮膚糸状菌」は、聞きなれない言葉ですが人の水虫や、たむしもこの菌が原因だと言われています。感染源として、猫がすでに感染している犬猫などと接触することが多いのですが、子猫やストレスの多い猫は感染しやすい状態にあります。猫の症状としては、円形脱毛やフケ、かさぶたがあります。また、この病気に人が感染すると皮膚に赤みやかゆみ、水ぶくれなどの症状が現れます。特に寒い季節、梅雨時などで部屋を締め切ることが多い時期や免疫力が低下しているときに発症しやすいと言われています。猫の治療は、抗真菌薬の外用薬や薬用シャンプーを使用します。

数多くの種類がある猫の病気、サインを見逃さない対策

猫が病気にかかった際には、いつもとは違う何らかの症状が出る、鳴き声や行動が、いつもとは違う場合があります。そんな場合は症状を見逃すことなく、できればすぐに獣医さんに相談してみましょう。何事も初期のうちに対処すると、軽症で済む場合が多く、猫のみならず、飼い主さんの負担も軽く済みます。猫が元気に遊んでいるからと放っておくのではなく、時にはじっくりと体に異常がないか観察するのが望ましいです。そして、かかりつけの獣医さんを決めておくと、いざという時に迷うことなくスムーズに診てもらうことができます。ご自宅の近所にある獣医さんを何件かピックアップし、かかりつけ医を決め、万が一の場合に備えることをお薦めします。

鈴木 遊喜子 獣医師監修ドクターのコメント

今回ご紹介した猫ちゃんの病気では、感染症はどんな年齢であってもかかってしまうことがありますが、甲状腺機能亢進症や心臓病は比較的高齢期の病気になってきます。8歳近くなってきたら、健康そうであっても毎年1~2回の健康診断を受けることをお勧めいたします。ヒトより何倍ものスピードで年を取っていく猫ちゃんの健康をかかりつけの先生と一緒にサポートしていきましょう。

 

監修ドクター:鈴木 遊喜子 獣医師

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アイ動物医療センター高萩

出典:http://www.aitom.jp/guide/hospital01.html

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