大型犬のトリミングガイド:トリミングが必要な犬種やトリミングの頻度、費用について解説

大型犬のトリミングガイド:トリミングが必要な犬種やトリミングの頻度、費用について解説

大型犬のトリミングは、美容だけでなく健康管理にも欠かせない重要なケアです。犬種によって必要なトリミングの頻度は異なるため、適切な頻度を理解しておくことが大切です。

本記事では大型犬のトリミングについて以下の点を中心にご紹介します。

  • なぜトリミングが必要なのか
  • トリミングが必要な大型犬
  • 大型犬のトリミングの頻度

大型犬のトリミングについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

なぜトリミングが必要?

トリミングは、犬の美容と健康の両面において重要な役割を果たします。

美容面では、毛を整えることで清潔感や見た目の美しさを保つのに役立ちます。特に長毛種や独自のスタイルが求められる犬種では、定期的なトリミングが必要不可欠です。

健康面では、毛の絡まりを防ぎ、皮膚の通気性を確保することで皮膚トラブルを軽減させます。また、トリミング中に体の状態をチェックすることで、異常の早期発見につながります。

さらに、トリミング中に耳掃除や爪切りを行うことで、感染症や歩行時のトラブル防止につながります。

このように、トリミングは犬の健康を総合的に支える重要なプロセスであり、愛犬が快適に過ごすための鍵となります。

トリミングが必要になる仕組み

トリミングが必要な犬種の毛並みはどのような仕組みになっているのでしょうか?

以下で詳しく解説します。

トリミングが推奨されるダブルコートの構造

ダブルコートとは、外側の「オーバーコート」と内側の「アンダーコート」という2層構造の被毛を持つ毛質です。ダブルコートはさまざまな犬種に見られますが、なかでも、寒冷地原産の犬に多いとされています。

ダブルコートを持つ犬種には、柴犬、ゴールデン・レトリバー、ポメラニアンなどが含まれます。

【オーバーコート】

オーバーコートは、外側に位置する硬くコシのある毛で、紫外線や雨、細菌、衝撃から皮膚を保護する役割を持っています。

オーバーコートは日常的に少しずつ抜けるため、毛がごっそり抜けることはありません。

毛質は、直毛、巻き毛、剛毛など犬種によって異なります。

【アンダーコート】

アンダーコートはオーバーコートの下にあるやわらかく密生した毛で、防寒や保温、防水の役割を果たします。

アンダーコートの層にはオーバーコートの数倍の毛が密に生えており、春と秋の換毛期に大量に生え変わります。春には冬毛が抜け落ち、夏毛に変わり、秋には再び防寒用の冬毛に生え変わることで体温調節をしています。

換毛期には大量の抜け毛が発生するため、ブラッシングやトリミングが必要になります。

【ダブルコート犬に必要なケア】

ダブルコートの犬は保温力が高く寒さに強い一方で、暑さが苦手です。

換毛期には抜け毛を除去し、通気性を確保するための定期的なブラッシングやトリミングが欠かせません。

トリミングが必要なシングルコートの構造

シングルコートとは、アンダーコートを持たず、オーバーコートのみで構成された被毛のことを指します。シングルコートは、暖かい地域で暮らしていた犬種に多く見られ、抜け毛が少ないことが特徴です。

シングルコートの犬種には、トイプードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨンなどが含まれます。

シングルコートの毛はやわらかく、繊細な質感が特徴です。ダブルコートの犬のような換毛期がなく、毛が伸び続ける性質を持っているため、定期的なトリミングが欠かせません。

なかでも、長毛のシングルコート犬種は被毛が絡まりやすく、毛玉ができやすいため、カットやブラッシングによるお手入れが必要です。

抜け毛が少ないシングルコート犬種は、アレルギー体質の方でも飼いやすく、掃除の負担も軽減されますが、放置すると被毛が過剰に伸びるため、衛生面や健康面に問題が生じる可能性があります。

そのため、定期的なトリミングで毛の長さを適切に保ち、健康で快適な生活環境を維持してあげましょう。

トリミングとグルーミングの違い

トリミングとグルーミングには、以下のような違いがあります。

【トリミング】

トリミングは、犬の毛をトリム(カット)することを指し、特にシングルコートの犬種に必要です。例えば、プードルやマルチーズ、ビションフリーゼなどの長毛犬は被毛が伸び続けるため、定期的なカットが欠かせません。

トリミングは、犬の見た目を整えるだけでなく、夏場のサマーカットなど機能的な目的でも行われます。

【グルーミング】

グルーミングは、すべての犬種に必要な全身ケアを指します。ブラッシング、シャンプー、爪切り、耳掃除、歯磨きなどが含まれ、被毛や皮膚の健康維持、清潔を保つ役割を果たします。

なかでもダブルコートの犬種では、換毛期に大量の毛が抜けるため、ブラッシングが重要です。

また、耳や爪のケアは感染症やケガを防ぐために不可欠です。

簡単にまとめると、トリミングは毛を切ることが目的で、グルーミングは全身の総合的なお手入れです。健康管理だけでなく、飼い主と愛犬の信頼関係を深める時間にもなります。

トリミングが必要な大型犬

トリミングが必要な主な大型犬は以下のとおりです。

【スタンダードプードル】

スタンダードプードルはシングルコートの長毛犬種で、毛が生え続けるため定期的なトリミングが必要です。毛の絡まりや毛玉を防ぐだけでなく、美しい被毛を維持するため、4〜6週間に一度程度のトリミングが推奨されています。

【ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバー】

これらの犬種はダブルコートを持ち、換毛期にはアンダーコートが大量に抜け落ちます。

毛のカットは必要ありませんが、清潔さを保つための足裏のカットやブラッシングが重要です。

【バーニーズマウンテンドッグ】

バーニーズマウンテンドッグもダブルコートの犬種で、主に毛玉防止と皮膚の通気性を保つためにグルーミングが重要です。換毛期には抜け毛が多くなるため、ブラッシングと部分的なカットが必要になる場合があります。

【ニューファンドランドとグレートピレニーズ】

これらの犬種は厚いダブルコートで寒冷地に適応していますが、毛玉や汚れを防ぐため、定期的なブラッシングとトリミングが推奨されます。なかでも、足裏や耳周りのカットが重要です。

【フラットコーテッドレトリバー】

この犬種はダブルコートですが、オーバーコートが滑らかで、アンダーコートの毛玉防止が必要です。適切なブラッシングと部分カットで、被毛を健康的に保てます。

これらの大型犬のトリミングは、それぞれの被毛の特性に合わせたケアが必要とされており、定期的なお手入れが必要です。

大型犬のトリミングの頻度

犬のトリミングをはじめるおすすめの時期はいつ?理想のタイミングや費用などを解説

大型犬のトリミング頻度は、月1回程度が理想的ですが、被毛のスタイルや犬種によって異なります。なかでも、毛を長めに保つスタイルでは毛玉やもつれが発生しやすくなるため、こまめなトリミングが必要です。

一方、全身を短くカットする場合は、スタイルが長持ちするため、1ヶ月半〜2ヶ月に1回程度でよいとされています。

ただし、トリミングの頻度を減らす場合でも、日常的なブラッシングは欠かせないため、適切なトリミングとホームケアのバランスが重要です。

大型犬のトリミングの料金

大型犬のトリミング料金は、犬種や被毛の長さ、サイズによって幅がありますが、短毛犬で8,000円程度、中毛犬や長毛犬で1万〜3万円程度が目安となります。

シャンプーコースでは、爪切りや耳掃除、肛門腺絞りなどの基本ケアが含まれることが多く、被毛のカットを含む場合は料金がさらに高くなります。

スタンダードプードルやグレートピレニーズなど、特殊カットが必要な犬種や超大型犬は、1万5,000円を超えることもあります。

また、毛玉やもつれが多い場合や、デザイン性の高いカットを希望する場合には追加料金が発生することがあります。

大型犬のトリミング料金は、種や被毛の長さ、サイズによって幅があるため、事前に料金表を確認したり、ペットサロンや動物病院に問い合わせてみましょう。

大型犬のお手入れ

最後に、大型犬のお手入れについて解説します。

お手入れの重要性

大型犬の定期的なお手入れは、愛犬の健康維持と快適な生活に欠かせません。

まず、定期的な毛の手入れやトリミングは、毛玉や絡まりを防ぎ、皮膚の通気性を保つことで皮膚病のリスク軽減につながります。なかでも長毛種は、毛のもつれが皮膚トラブルの原因になるため、こまめなケアが必要です。

定期的な毛の手入れやトリミングは、毛並みを整えるだけでなく、血行をよくし、ノミやダニの予防、皮膚異常の早期発見にも役立ちます。

また、耳掃除や爪切りも健康維持に重要です。耳が汚れたままでは感染症や怪我の原因にもなります。

さらに、お手入れは飼い主とのスキンシップの時間でもあります。触れ合いを通じて信頼関係が深まり、ストレス軽減にもつながるため、毎日のケアを心がけることで、愛犬の健康と幸福を支えましょう。

自宅でのトリミング方法

自宅でのトリミングは以下の流れで行うことが推奨されています。

1. 準備

まず、トリミングに必要な道具を揃えましょう。コーム、爪切り、カットハサミ、バリカン、シャンプー、タオル、ドライヤーが基本セットです。

また、作業場所は静かで落ち着いた環境を選び、愛犬がリラックスできるよう配慮してください。

2. ブラッシング

毛の絡まりやもつれを防ぐため、まずコームやブラシで全身を優しくブラッシングします。なかでも、長毛種は絡まりやすい部分を重点的にケアすることでトリミングがスムーズになります。

3. 爪切り

爪の先端を少しずつ切ります。血管が通っているため、深く切りすぎないよう慎重に行います。爪が黒い場合は、獣医師に相談するのもおすすめです。

4. シャンプー

犬専用シャンプーを使い、全身を洗います。すすぎ残しは皮膚トラブルの原因になるため、十分に流してください。

洗った後は吸水性の高いタオルで水分を拭き取り、ドライヤーで乾かします。ドライヤーの温度は低めに設定し、一定箇所に当て続けないよう注意してください。

5. カット

カットハサミやバリカンを使って毛を整えます。なかでも、顔周りや足元など細かい部分は慎重に作業しましょう。

また、バリカンを使う際は、毛の流れに沿って刈ると自然な仕上がりになります。

6. 最終チェックと仕上げ

全体を確認し、仕上がりを整えます。余分な毛が残っていないか、爪や耳、被毛の状態を再確認しましょう。

初めてのトリミングでは犬が緊張することが多いとされているため、短い時間で少しずつ慣らして、無理せず行いましょう。必要に応じて獣医師に相談することが大切です。

季節ごとのトリミングの違い

トリミングの際には、季節ごとに以下のポイントを理解しておくことが重要です。

【春:換毛期の準備】

春は冬毛が抜け始める換毛期です。抜け毛が増えるため、頻繁なブラッシングが重要です。なかでもダブルコートの犬種は、毛玉を防ぐためにもこまめなケアが必要です。

【夏:涼しさを重視】

夏は、熱中症対策としてトリミングが不可欠です。毛を短くカットすることで通気性が向上し、体温調節がしやすくなります。

ただし、カットしすぎると紫外線から皮膚を守れなくなるため、適度な長さを保つことが大切です。特にシングルコートの犬種は注意が必要です。

【秋:換毛期のケア】

秋も換毛期となり、夏毛から冬毛への生え変わりが進みます。この時期は抜け毛が多くなるため、ブラッシングと部分的なカットが推奨されます。新しい冬毛を整えることで、寒い季節を快適に迎える準備が整います。

【冬:寒さ対策】

冬は寒さから愛犬を守るため、被毛を長めに保ちます。ただし、ダブルコートの犬種では毛玉やもつれを防ぐために、定期的なトリミングが必要です。

シングルコートの犬種や高齢犬、幼犬は寒さに弱いため、あまり短くカットしないことを心がけ、場合によっては洋服での防寒対策も推奨されています。

このように、季節ごとに適切なトリミングを行うことで、愛犬の健康と快適さを保ちましょう。

まとめ

ここまで大型犬のトリミングについてお伝えしてきました。

大型犬のトリミングの要点をまとめると以下のとおりです。

  • トリミングは犬の美容と健康を支える重要なケアで、毛を整え清潔感を保つだけでなく、皮膚トラブルや感染症を防ぎ、異常の早期発見にも役立つとされている
  • トリミングが必要な大型犬には、スタンダードプードル、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ、ニューファンドランドとグレートピレニーズ、フラットコーテッドレトリバーなどが挙げられている
  • 大型犬のトリミング頻度は犬種やスタイルによりますが、月1回程度が理想的とされている

トリミングは、犬の美容と健康を支える重要なケアで、被毛の特性や犬種ごとに異なる方法が求められます。

ダブルコート犬種では換毛期のブラッシングが必要で、シングルコート犬種は毛が伸び続けるため定期的なカットが欠かせません。適切な頻度とホームケアの両立が、愛犬の健康を総合的にサポートしましょう。

これらの情報が少しでも、大型犬のトリミングについて知りたい方のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

[author]