愛猫が震えているのを見ると飼い主としては大変心配になるものです。猫が震える原因は、寒さやストレスなどの生理的なものから、病気や怪我などの体調不良までさまざまで、原因を見極めるのは難しいでしょう。
この記事では、猫の震えの原因や症状、対処法について詳しく解説し、愛猫の健康を守るために知っておくべきポイントを紹介します。愛猫の様子に異変を感じた場合は、早めに適切な対処を行うことで病気の重症化を防げます。ぜひ震えの原因を特定し、適切な対応をするための参考にしてください。
体調不良や病気が原因の猫の震え
猫が震えている場合、それが単なる寒さやストレスによるものなのか、それとも病気や体調不良によるものなのかを判断するのは難しい場合があります。例えば、骨折や打撲などの外傷、避妊手術や去勢手術後などの痛みが原因の場合もあれば、てんかんや脳腫瘍、中毒、腎機能不全、肝機能不全、低血糖などの病気によって震えが引き起こされている可能性も考えられるでしょう。猫の健康を守るためには、震えの原因を早期に特定し、適切な対処を行うことが重要です。
ここでは、猫の震えから考えられる原因や病気について紹介します。
- 体調不良が原因で猫が震えるケースにはどのようなものがありますか?
- 猫が震えている場合、体に痛みや不調があるサインかもしれません。骨折や打撲などの外傷の場合、痛みで震えることがあります。さっきまで元気に走り回っていたのにうずくまって震えている場合は、その際に痛めた可能性が高いでしょう。また、避妊手術や去勢手術後の痛み、歯周病や口内炎による痛みなどで震えることもあります。震え以外に、食欲不振や元気消失、嘔吐、下痢などの症状が見られる場合は病気の可能性があるので、動物病院を受診しましょう。
- 猫の震えの原因になる病気にはどのようなものがありますか?
- 猫の震えは、脳の病気やてんかん、中毒、腎機能や肝機能に影響を及ぼす病気、低血糖などさまざまな病気が原因で起こることがあります。それぞれの症状を詳しく見ていきましょう。
脳腫瘍は、脳や脳周辺に腫瘍ができる病気で、腫瘍が神経を圧迫することで痙攣(けいれん)や麻痺(まひ)、視覚障害などの神経症状が現れることがあります。神経症状が現れた場合は腫瘍がかなり大きくなっている可能性が高いので、速やかに動物病院を受診しましょう。ただ初期段階では、元気がない、食欲がないなど加齢や認知症の症状と似ているため、気付きにくいといえるでしょう。
てんかんは、脳内の異常な電気信号によって引き起こされるもので、てんかん発作が起こると全身や体の一部分が痙攣することがあります。通常、てんかん発作は短時間で終わりますが、長時間続いたり連続して発作が起こったりする場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
中毒の場合、殺虫剤や農薬、人間用の医薬品、有毒植物などを誤って摂取すると中毒症状を引き起こし、震えのほか、嘔吐、下痢、痙攣などの症状が現れることがあります。
腎機能不全では、急性腎臓病、慢性腎臓病などにより腎臓の機能が低下することで、体内に老廃物が蓄積し、震えや痙攣などの神経症状が見られる場合があります。肝機能不全では、急性肝臓病、慢性肝臓病、門脈シャントなどにより体内の代謝がうまくいかなくなると震えや痙攣などの神経症状が見られる場合があります。
低血糖になると、血液中の糖が著しく減少し、震えや痙攣などの神経症状が見られます。
生理的な要因による猫の震え
猫が震える原因は多岐にわたりますが、生理的な震えはあまり心配する必要はありません。生理的な震えとは、例えば、寝ているときに体がピクピクと震えたり、寒さやストレスを感じたときにブルブルと震えたりすることです。ここでは、このようなときに震える理由とその対処法について紹介します。愛猫の健康を守るために、震えの原因を正しく理解し、適切に対処できるよう備えましょう。
- 猫が寝ているときに震えるのはなぜですか?
- 猫が寝ているときに体の一部、もしくは全身をピクピクと震わせていたら、それは夢を見ているサインかもしれません。猫も人間と同じように睡眠中にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返し、レム睡眠時に夢を見ている可能性があります。夢の内容に合わせて顔や体を動かしたり、ピクピクと震えたり、寝言を発したりする猫もいます。レム睡眠時は眠りが浅い状態なので、起こしてしまわないようにしましょう。しばらくピクピクしている程度の睡眠中の震えは特に心配する必要はありませんが、もし、失禁や硬直、全身の痙攣、流涎(りゅうぜん)などがあればてんかんの可能性もあるので、速やかに動物病院の受診をおすすめします。
- 猫が震えるのは寒さが原因でしょうか?
- 猫は寒いと体を温めるために体を震わせることがあります。基本的に猫は、寒い場合は暖かい場所へ自分で移動したり、体を丸めて暖を取ったりしますが、室温が低い場合は部屋を暖めてあげるとよいでしょう。ただし、子猫は体温調節機能が未発達なので、寒さで震えている場合は低体温症の可能性もあり、注意が必要です。
また、寒さ以外にも落ち着かない環境や恐怖感で震えることもあります。ストレスの元がなくなると治まるので、猫のストレスとなるものはできる限り排除するようにしましょう。
- 猫がストレスを感じないように気を付けるべきことを教えてください。
- 猫は、生活環境や室温、飼い主とのコミュニケーション不足などが原因でストレスを感じます。猫がストレスを感じないようにするためには、以下のような点に注意することが大切です。
まず、遊んだり運動したりできるスペースをしっかり確保し、逃げ場にもなる家具やキャットタワー、キャットウォークなどの高い場所を用意してあげましょう。また、狭い場所や暗い場所も猫にとっては安心できる場所です。猫が暗い場所や狭い場所にいる場合は無理に動かさないようにしましょう。クレートやゲージなどを用意してあげると、猫も安心して休めますし、子猫のときからクレートに慣らしておけば旅行や通院時もスムーズに入ってくれるので、移動ストレスを軽減できます。
そして、エアコンや除湿機、加湿器を上手に使って室温や湿度を調節しましょう。人が暑いと感じるときは、全身を毛で覆われている猫にとってはかなり暑いと思ってください。反対に寒い場合は、震えたり体を丸めたりするので、暖房やホットカーペット、ブランケット、湯たんぽなどを用意してあげるとよいでしょう。
猫の震えの対処法
ここでは、猫の震えに対する適切な対処法について紹介します。震えの原因が寒さやストレスなどの生理的なものである場合もあれば、てんかんや内臓疾患などの病的な原因も考えられます。特に異常な症状が続く場合やいつもと様子が違う場合は、動物病院を受診するようにしましょう。飼い主が注意すべきポイントや病院での診察内容について詳しく説明しますので、愛猫の健康管理に役立ててください。
- 猫が震えていたら、動物病院に連れていくべきですか?
- 震えだけで病院で診察してもらってよいのかと悩む方も少なくないかもしれませんが、病院で各種検査を行うことにより震えの原因をある程度鑑別することができます。病気の場合は早期発見にもつながるので、気になる震えやいつもと様子が違う場合は、ためらわずに受診することをおすすめします。ただ、猫は診察台では自宅のようにふるまってくれないこともあるので、初めて症状が出たのはいつか、頻度は変わらないか、症状の出る引き金として思い当たることはあるかなど、答えられるようにメモしておくとよいでしょう。また、獣医師の判断材料にもなるので、震えているときの動画もあればなおよいです。
- 猫の震えに対して動物病院ではどのような処置が行われますか?
- 動物病院では、まず猫の震えの原因を特定するために、飼い主への問診と合わせて視診、触診、聴診などを行います。問診では、いつから震えが始まったのか、どのようなときに震えが強くなるのか、ほかに症状はないかなどを詳しく聞かれます。そして、血液検査と尿検査でスクリーニングを行い、原因を特定し、場合によっては、MRI検査や大学病院の専門医の紹介が行われることもあります。
編集部まとめ
今回は猫が震える原因と対処法について紹介しました。猫が震える原因は、病気や怪我などの体調不良、寒さやストレスなどの生理的な要因などさまざまです。特に、子猫や高齢猫は体温調節が苦手なので注意が必要です。愛猫の様子がおかしいと感じたら、まずは室温を確認し、安静にできる環境を作ってあげましょう。震えが続く場合や元気がない、食欲がないなどの症状を伴う場合は重大な病気が隠れている危険性もあるので、自己判断で対処せず、動物病院を受診するようにしましょう。