犬を飼うのが初めての方で成犬を飼われる方は、しつけの仕方がわからなかったり、愛犬に思うようなしつけを教えることができないこともありますよね。
しつけは子犬のうちにした方がよいといわれているように、成犬のしつけは無理なのか?と頭を抱えてしまう飼い主さんもいらっしゃるでしょう。そんな成犬の飼い主さんには、ペットのしつけ教室が役立ちます。
今回は、ペットのしつけ教室のタイミングやメリットデメリット・注意点について紹介していきます。ぜひ、参考にしてください。
成犬のペットしつけ教室の種類
成犬はこれまでの生活のなかで身に付けてきた行動や習性があり、それらを変えるには飼い主さん側の心のゆとりと根気が必要といえます。柔軟性のある子犬に比べるとルールなどを覚えにくいのも事実です。
しかし、成犬になっても新しいことを学ぶことは可能です。むしろトレーニングに対する反応性は子犬より高く、倫理的思考が優れているともいわれています。
成犬のしつけ教室にはいくつかの種類があります。どのしつけ教室に通うかは、飼い主さんのライフスタイルや犬の性格から選ぶとよいでしょう。代表的なしつけ教室の種類を紹介します。
飼い主さんと一緒に通う教室
通うタイプのペットしつけ教室は、飼い主さんと犬が一緒に教室へ足を運び、トレーニングを受けるタイプのしつけ教室です。犬のしつけに困っていて、かつ自分のしつけ方法を見直したい飼い主さんにぴったりといえます。
レッスンの時間帯が決められている場合があり、仕事で忙しい方などは通うことが難しいかもしれません。しかし、成犬からのしつけは根気がいるので、飼い主さんも一緒の方がしつけがスムーズに進む可能性も高いです。
また、幼稚園・保育園タイプのペットしつけ教室もあります。飼い主さんと離れたところで学べる教室です。飼い主さんが見学することもできる教室もあるため、安心して通わせることができるのではないでしょうか。
留守番が少なくない犬や、飼い主さん以外の犬と関わりがない犬にとっては、ほかの犬と触れ合う貴重な機会にもなります。犬を預けることができるので、忙しい飼い主さんでも利用しやすいペットしつけ教室といえるでしょう。
集中して学べる合宿タイプの教室
ペットしつけ教室には、ペットホテル施設を併設し、犬が泊まり込みでしつけを学べる合宿タイプがあります。飼い主さんのいうことを聞いてくれない犬のしつけで困っているなら、合宿に預けて集中的にトレーニングを受けさせるのもよいでしょう。
吠える・トイレが正しくできない・落ち着きがないなどの悩みを抱えた成犬にも適しています。集中して正しい習慣を身につければ、さまざまな問題行動を未然に防ぐことが可能です。成犬の場合、すでに習慣化した問題行動を改善しなくてはならないため、行動学に精通したトレーナーが 1日中付き添ってお泊りトレーニングを行うペットしつけ教室もあり、短期間で効果が見られる場合もあります。
合宿の間は離れ離れになってしまうため、お互いに寂しい思いをするかもしれませんが、忙しい飼い主さんでも利用しやすいプランです。
自宅などに出張してくれる教室
出張タイプのペットのしつけ教室は、自宅にトレーナーを招いてトレーニングを行います。ペットしつけ教室と出張の大きな違いは、トレーニングを行う場所です。出張教室は基本、自宅で行われます。自宅で行うので、基本マンツーマンの個別レッスンになり、犬にとっては住み慣れた環境でリラックスしてレッスンを受けることができます。
成犬のしつけの場合、いつもの環境でトレーニングすることで、より覚えやすいメリットがあります。特に成犬は、外ではできても帰ってくるとできないということもあります。環境が変われば、自然に犬も人も知らないうちに元の生活リズムに戻ってしまいます。出張タイプの場合、そのような心配が少ないでしょう。
授業料がやや割高になる傾向がありますが、病気があるなどの事情によりワクチンを接種していない犬でも、出張タイプならレッスンを受けられる可能性があるので、出張タイプのしつけ教室は成犬向けといってもよいのではないでしょうか。
成犬がペット教室で受けられるしつけ
成犬はこれまでの生活のなかで身に付けてきた行動や習性があり、それらを変えるには飼い主さんの心のゆとりと根気が必要です。
成犬はトレーニングに対する反応性が高く、論理的思考が優れているので、褒めてもらった・できたというような楽しい気持ちを上手に育てながら進めていきましょう。
子犬のしつけとの違い
子犬のしつけとの大きな違いは、しつけにかかる時間の長さにあります。成犬のしつけの場合、すでに体に染みついているくせや習慣を抑えて、新しいことを覚えるステップが必要になるため時間がかかります。
子犬にもいえることですが、トレーニングを始めてすぐの頃は犬は飽きやすいので、はじめの頃はトレーニングの時間を短くしましょう。犬の好奇心が残っている間にやめて、徐々に時間を増やしていくのがポイントです。
また、成犬になってからのしつけは、その内容によって難易度が異なります。例えば、成犬になってからでも、おすわりなどの基本を覚えさせたり、無駄吠えや引っ張り癖などの困った行動は、やめさせたり軽減させることができますが、トイレや噛み癖に関しては、完全に直すのが難しいケースもあります。
その場合は、粗相や噛みつきの回数を減らせたらOKなど、妥協点を見つけることも大切でしょう。
保護犬を育てる場合のしつけ
保護犬のトレーニングは、それまで保護犬が人間とどのように生活を送ってきたのか、飼育放棄された経緯などによって異なります。
人間との関わりが薄かったり、虐待を受けていた経験があった保護犬のトレーニングはなかなか難しいものですが、普通にお家で暮らしていた犬や、それなりによい環境で暮らしていた引退犬などは成犬であってもさほど難しくないでしょう。
また、トレーニングをどこまで指すのかによっても難易度は異なります。野犬の経歴がある保護犬は、警戒心や恐怖心が強く臆病な場合があります。ブリーダーの多頭飼育崩壊などからの保護犬は、人の存在は知っていても外の環境に順応していないこともあります。
生後3週間〜3ヵ月までの社会化期ならば、警戒心があってもしつけに順応できるケースもありますが、その期間を人間と触れ合っていない場合、トイレや嚙み癖など長い目でしつけを行うことが大切です。
成犬をペットしつけ教室に通わせるメリット
成犬になってもしつけを行うことはできるということがわかったところで、ペットのしつけ教室へ通わせることも視野に入れてみましょう。子犬のように早い段階でしつけをマスターしてくれるわけではないかもしれませんが、成犬になっても覚えてくれることはあるはずです。
では、成犬になってもペットのしつけ教室へ通わせるメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
しつけの再確認が行える
成犬のしつけを難しいと感じてしまうのは、乗り越えるのが大変な壁があるからです。決して犬の能力がないから無理だという訳ではありません。
その壁とは、飼い主さんと犬の関係性が確立してしまっていることにあります。しつけをする際に、その関係性を再構築・再確認する必要があります。信頼関係がない相手を受け入れようとしない場合は、根気強く構築していく必要もあります。
- この前ダメといって叱ったのに、同じことをしても今日は見て見ぬふりをする
- 犬のおねだりにノーといえない
- 犬にズルズル引っ張られながらお散歩する
- 犬のお昼寝の邪魔をする
- 構いすぎる日と無視する日の差がある
コロコロということや態度が変わっていると、犬は空気を読んで人を使うことを覚えてしまいます。成犬のしつけでは、こういった飼い主さんの習慣なども再確認することができ、今までの間違った習慣や、これからの正しいしつけを導き出すこともできるでしょう。
コミュニケーションが向上する
成犬のしつけにはコミュニケーションが大切です。飼い主さんやトレーナーとのコミュニケーションは、楽しみながらしつけができる大きなメリットがあります。誤ったしつけでは、飼い主さんに怒られないように行動しますが、しつけ教室で教わる正しいしつけは、楽しみながらトレーニングをします。
遊びの延長で、楽しく教わることで犬のコミュニケーション力を上げることもできます。また、ペットのしつけ教室では、ほかの犬や人間とのコミュニケーションも求められます。このようなさまざまなコミュニケーションスキルを身に付けることもメリットです。
問題行動の改善ができる
成犬のしつけの場合、すでにおきている問題行動を直すメリットがあります。
すでにおきている成犬の問題行動は以下の通りです。
- 人に勢いよく飛びつく
- インターホンが鳴ると吠え続ける
- 攻撃的な行動(噛み・吠え癖)
このような問題行動を直すことで、家にいるときだけではなく、散歩など他者への迷惑行為もなくすことができます。また、犬に合ったカリキュラムや、日常の改善点を重視したトレーニングで効率よくしつけを行うことができるのも成犬のしつけをするメリットといえるでしょう。
成犬をペットしつけ教室に通わせるデメリット
成犬をペットのしつけ教室へ通わせることでは、メリットの半面デメリットも生じることがあります。デメリットを知って回避することも可能なので覚えておくとよいでしょう。
犬がストレスを感じてしまう
臆病でほかの犬や人間が苦手な犬は特に、飼い主さんから離れて知らない人と交流を持つことは大きなストレスになってしまうことがあります。臆病な犬には、個人レッスンや出張トレーニングができるペットのしつけ教室がおすすめです。
犬にとって他者とのコミュニケーションスキルを磨くことは大切ですが、性格が各々違うので無理やり学ばせる必要もありません。家での最低限のマナーや散歩でのマナーなどを覚えるところから地道に始めることも大切です。
元々のしつけとの矛盾が生じる
ペットのしつけ教室で成犬をトレーニングする際、飼い主さんの元のしつけと今習っているトレーナーのしつけに矛盾が生じる場合があります。
また、預かりトレーニングの場合、自分のなかで上下関係を決める犬の習性で、トレーナーのいうことしか聞かなくなることがあります。この場合、今後の飼い主さんの努力次第ですが、放置しておくと今までの指示を聞いてくれないままになってしまいます。
トレーナーとどのようなトレーニングを受けているのか、家に帰って復習を行う・出張や見学などで自分もその場にいることができるペットのしつけ教室を選ぶなど、教室選びも検討しましょう。
金銭的な負担が生じる
しつけ教室にかかる費用は、施設によって違い、また、預かりや合同などのトレーニングの期間や方法によって費用は変わります。
特に問題行動を直すしつけは1回のレッスンでは難しく、週に2回程通い、1ヵ月以上続けないといけないケースもあります。気軽にペットのしつけ教室へ通いたいといえる程決して安くはない費用がかかってしまう点は、デメリットの1つとなります。
成犬の場合、根気強くしつけを行う必要があるので、金銭的な負担は覚悟してペットしつけ教室へ通うようにしましょう。
ペットしつけ教室へ成犬を通わせるタイミング
しつけは子犬からするもの・成犬になってからするのは難しいと思われることがあります。しかし、成犬でも何歳になっても、しつけトレーニングは可能です。タイミングは、子犬の社会化期が一番好ましいといわれていますが、何歳になってもトレーニングはするべきで、ずっと続けていくことも大切といえます。
決して子犬じゃないとしつけができないというわけではありません。しつけは抑えつけて教えることではなく、お互いの信頼関係の構築のなかで、飼い主さんの毎日の実践でできていくものだからです。
子犬のしつけに比べれば、成犬のしつけには時間がかかります。社会化も重要な社会化期に適切な社会化ができていないと、取り戻すまで長い期間はかかるでしょう。しかし、手遅れなことはなく、何歳からでも社会化やしつけを行うことはできます。
成犬がペットしつけ教室に通う際の注意点
成犬になってしまうとしつけができないと悩んでいた方も、どのような犬でも何歳でも飼い主さんが根気強くトレーニングすることで、しつけが可能であることがわかりました。では、成犬がペットのしつけ教室に通う際の注意点をいくつか挙げていきましょう。
犬同士の接触トラブル
犬同士のトラブルの原因には、性格による相性の良し悪しがあります。会うたびに喧嘩になってしまう相手や、お互いに存在に気付いた時点で唸り声をあげる、尻尾がさがるといったサインが見られる相手とは、相性が良くない可能性があります。
また、犬同士が噛み合うのは遊びの場合もあります。一方の犬が服従して仰向けになり、もう一方の犬が相手の耳や鼻を甘噛みするというのは珍しいことではありません。
このように遊んでいるのか、トラブルが起きているのかをしっかり判断する必要があります。もし、顔を合わせる度に喧嘩になる場合は、その犬と別の日にしつけ教室の日程を変えるなどの対策が必要です。
シーズン中のメスの参加
メス犬の盛り(発情期)は、生後6〜18ヵ月頃に初めて訪れ、その後は6〜7ヵ月周期で繰り返されます。避妊手術をしない限り犬の場合、生理があるうちは発情期が定期的にあるので、メス犬の飼い主さんは覚えておきましょう。早期の避妊手術を検討するのもおすすめです。
発情期のメスがいると、オスはそのにおいに反応し興奮したり、オス同士の争いになったりすることもあります。しつけ教室でのトレーニングの妨げになるので、発情期のメスは教室への参加を断られることもあるので注意しましょう。
まとめ
成犬をペットのしつけ教室へ通わせるのが遅いと諦めてしまっていた方も、成犬でもトレーニングを行えば、いくつになってもしつけができることもわかっていただけたでしょうか。
しかし、子犬のしつけのように短期間で習得する犬は少ない現状があるので、飼い主さんの根気強いトレーニングへの取り組みが大切になってきます。また、自我ができている成犬は、性格を考えてペットのしつけ教室選びをすることも重要です。
これらを考えて、成犬のペットのしつけ教室選びをしてみると、愛犬にぴったりなペットのしつけ教室が見つかりやすくなるでしょう。