猫の去勢手術のメリット・デメリットや手術を受けるタイミング、費用相場などを徹底解説!

猫の去勢手術のメリット・デメリットや手術を受けるタイミング、費用相場などを徹底解説!

猫を飼い始めるなら、去勢手術を受けさせなければならないと聞いたことがある方もいるでしょう。本当に子猫に手術が必要なのか、疑問に思ったことはありませんか。

猫の去勢手術は、飼い主さんをはじめとした人間や猫にとってもさまざまなメリットがある一方、リスクもあります。

この記事では、猫の去勢手術のメリット・デメリットや、手術を受けるタイミングについても解説します。

気になる費用相場についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

猫の去勢手術を受けるメリット

猫を触る獣医

猫の去勢手術は、飼い主さんが抱える悩みを解消する手助けとなるだけでなく、猫自身の健康や快適な生活を支える手段になります。猫の去勢手術のメリットは以下の4つです。

  • 発情期の問題行動を抑える
  • ストレス軽減につながる
  • 病気の予防につながる
  • 多頭飼いでのトラブルを減少させる

これらのメリットを解説します。

発情期の問題行動を抑える

去勢は、猫と人間の双方にメリットをもたらす手段です。去勢手術を行うことで、発情期に見られる問題行動を抑えられます。

発情期のオス猫は、大きな声で鳴き続けたり、家中でマーキング行動をすることがあります。

これらの行動は猫のストレスとなるだけでなく、飼い主さんにとっても掃除など対応の負担が増え、日常生活に影響します。

特に、夜間の鳴き声が近隣トラブルにつながるケースもあるため、問題が深刻化する前に対処した方がよいでしょう。

去勢手術を行うと、発情期特有のホルモンが抑制され、これらの行動が軽減されます。

その結果、猫も落ち着いて過ごせるようになり、飼い主さんにとってもストレスの少ない生活環境を作ることができます。

ストレス軽減につながる

寝ている猫

発情期の猫は、ホルモンバランスの影響を強く受け、ストレスを感じることがあります。

外に出たがったり、異性を求めたりする行動が抑えられず、猫が疲れや不安を抱えることが多いです。

猫のストレスを放置すると、健康にも悪影響を及ぼしかねません。

去勢手術を行うことでホルモンバランスが整い、発情期特有の興奮や不安が軽減され、猫がよりリラックスして落ち着いた日々を送れるようになります。

また、発情によるストレスが減ることで、猫が食欲不振や睡眠不足になるリスクも低下します。飼い主さんにとっても、愛猫が穏やかに過ごしている様子は安心感が得られるでしょう。

病気の予防につながる

去勢手術は、猫の健康を守るための重要な手段です。オス猫の場合、精巣腫瘍や前立腺疾患などの病気のリスクを軽減できる効果があります。

また、特に多頭飼育されている猫の場合、ケンカや感染症のリスクが低下します。

猫同士のケンカで傷を負うと、そこから病気に感染して治療に長い期間と高額な費用を要することがあるため、なるべく避けるべきでしょう。

猫エイズや猫白血病などの感染症は、去勢によって発情期の行動を抑えることで予防が期待できます。

猫同士の接触が減ることで、感染症のリスクを軽減できる点も大きなメリットです。

去勢手術でこれらのリスクを抑えられると、猫の寿命を延ばしやすく、一緒にいられる時間が長くなることも期待できるでしょう。

さらに、発情によるストレスが減ることで、猫の免疫力が維持されるという間接的な健康効果も期待できます。

飼い主さんが定期的に健康診断を行いながら去勢手術を取り入れると、病気の予防をより効果的に進められるでしょう。

多頭飼いでのトラブルを減少させる

2匹の猫

多頭飼いをしている家庭では、去勢手術を行うことで猫同士のトラブルを軽減する効果が期待できます。

特に、オス猫同士が発情期に入ると縄張り争いやマーキング行動が増え、家庭内での衝突が頻発することがあります。

こうした行動は、猫たちのストレスになるだけでなく、飼い主さんにとっても掃除や仲裁の手間が増える要因です。

去勢を行うことで発情期特有の行動が抑えられ、猫同士の対立が少なくなるため、穏やかな生活環境を維持しやすくなります。

また、マーキングの頻度が減ることで、家の清潔さを保つのも容易になるでしょう。

多頭飼いにおけるストレス軽減は、猫たちの健康だけでなく、飼い主さんの負担軽減にもつながります。

猫の去勢手術を受けるデメリット

太猫

猫の去勢手術はさまざまなメリットがありますが、注意が必要なデメリットも存在します。去勢手術の影響を正しく理解し、そのうえで判断しましょう。 猫の去勢手術のデメリットは以下の3つです。

  • 太りやすくなる可能性
  • 全身麻酔のリスク
  • 性格が変わる可能性

それぞれ詳しく解説します。

太りやすくなる可能性

ぽっちゃり猫

去勢手術を受けた猫は、ホルモンバランスの変化により太りやすくなる可能性があります。

手術後は、発情期に見られるような、活発な行動が抑えられる傾向があるためです。

活動量が減少し代謝も低下するため、同じ量の食事を続けていると体重が増えてしまうことがあります。

肥満は、糖尿病・心臓病・関節の病気など、多くの健康リスクを引き起こす可能性があります。

手術後の体重管理は、猫の健康を維持するために欠かせません。術後すぐはやわらかく消化のよいフードを選び、徐々に低カロリーのフードに切り替えて適切な食事管理を行いましょう。

また、猫が自然に運動を楽しめる環境を整えることも効果的です。

運動不足を防ぐために、キャットタワーやトンネル型のおもちゃを用意し、猫が遊びながら運動できる環境を整備しましょう。

飼い主さんが積極的に猫と遊ぶ時間を確保して、運動量を補うことも重要です。

去勢後の猫に適した低カロリーの食事や特別なフードを選ぶことも、体重増加を防ぐための有効な手段です。

全身麻酔のリスク

去勢手術では、全身麻酔が必要となります。麻酔は猫が手術中に痛みやストレスを感じないようにするために不可欠なものですが、一定のリスクを伴うものです。

特に、持病を持つ猫や高齢の猫では、麻酔の副作用が出る可能性が高まるとされています。

麻酔が適切に行われない場合、術中に体調を崩したり、術後に回復が遅れたりすることも考えられます。

しかし、事前に健康診断を受けて体調をしっかりと確認していれば、このリスクを大きく軽減することが可能です。

経験豊富な獣医師に相談し、麻酔の安全性やリスクについて理解を深めておきましょう。

性格が変わる可能性

去勢手術の影響で、猫の性格が変化することがあります。

ホルモンバランスの変化によって、発情期に見られる攻撃的な行動や落ち着きのない様子が改善される場合がありますが、以前の活発さがなくなったと感じる飼い主さんもいます。

ただし、性格の変化には個体差が大きく、すべての猫が同じように性格が変わるわけではありません。

性格が穏やかになることで、ほかの猫とのトラブルが減ったり、飼い主さんとの関係がより良好になったりするケースも見られます。

不安な場合は、事前に獣医師に相談して、性格が変わる可能性やその影響について詳しく確認しておくとよいでしょう。猫の性格を尊重しながら手術を検討しましょう。

猫の去勢手術を受けるタイミング

子猫

猫の去勢手術を適切な時期に行うと、身体への負担を減らし、健康的な成長をサポートできます。

一般的に、去勢手術を行うとよいとされているのは、初めての発情期前の生後6ヶ月からです。

この時期は、猫の身体が十分に発達して麻酔や手術のリスクが低いとされているためです。

特にオス猫の場合、発情期を迎える前に手術を行うことで、発情に伴う問題行動を未然に防げます。

ただし、去勢の適切な時期は猫の健康状態や成長速度によって個体差があるため、時期は一律ではありません。

持病を抱える猫や体重が十分に増えていない猫の場合は、手術の延期が必要になることもあります。

飼い主さんは、猫の成長の状態をよく観察し、適切な時期は獣医師の診断を仰ぎましょう。健康状態を確認してもらいつつ、手術への準備を整えることが大切です。

猫の去勢手術の費用相場

診察台の上のベンガル猫

猫の去勢手術を検討する際は、どのくらい費用がかかるのか相場が気になる方も多いでしょう。

手術費用は、地域・動物病院の設備・手術内容などによって異なりますが、おおよその目安を知っておくと準備がしやすくなります。

一般的な費用相場は、5,000円(税込)から2万円(税込)程度です。ただし、助成金制度が利用できる場合や追加で検査や処置を行う場合には、費用が増減することがあります。

麻酔や術前検査の有無によっても金額が変動するため、獣医師に詳細を確認しましょう。公的機関や保護団体が提供する助成金制度を利用できる場合もあります。

また、複数の動物病院で費用を比較し、よりよい治療が受けられる施設を選ぶことも検討しましょう。

猫の去勢手術で注意したいこと

獣医師に診察を受ける猫と飼い主

猫の去勢手術を成功させるためには、手術前後の準備やケアが欠かせません。

手術そのものは短時間で終わる場合が多いですが、注意点を守ることで安全性や快適さを確保できます。

猫の去勢手術で注意したいポイントは、次の4つです。

  • 手術前の準備をしっかり行う
  • 術後の食事に気を付ける
  • 傷口を舐めないように気を付ける
  • 落ち着いて過ごせるように環境を整える

これらのポイントについて詳しく解説します。

手術前の準備をしっかり行う

手術前の準備は、猫の健康と身体を守るために欠かせません。全身麻酔を伴う去勢手術では、事前の準備が特に大切です。

まずは、食事や水分の制限をしっかり確認しましょう。

手術の前夜から食事を控えるよう指示される場合がほとんどで、これは麻酔中の吐き戻しを防ぐためです。また、水分も手術の数時間前までに制限するのが一般的です。

さらに、健康診断を受けて、猫の体調が手術に耐えられるか確認します。血液検査や心臓のチェックなどが含まれることがあり、高齢の猫や持病を持つ猫には特に重要です。

獣医師と十分に相談し、安全性の高い手術をスムーズに行うための適切な準備を整えましょう。

術後の食事に気を付ける

去勢手術後すぐの猫は、麻酔の影響で胃腸の働きが弱っていることがあるため、消化によい食事を少量ずつ与えるようにしましょう。

普段どおりの食事量をいきなり与えると、嘔吐や下痢などの症状が出る可能性があります。

術後の猫は食欲が低下する場合もありますが、無理に食べさせるのではなく、消化に優しいフードを少量ずつ与えることが大切です。

適切な栄養補給は、術後の回復を早める助けになります。

また、去勢後はホルモンバランスの変化で代謝が低下し肥満になりやすい状態になるため、カロリーコントロールが重要です。

術後用の特別なフードを使用するか、低カロリーのフードを選びましょう。

食事管理については獣医師に相談し、猫の体調に合った栄養バランスを整えることが大切です。正しい食事管理が、術後の健康を支える重要なポイントとなります。

傷口を舐めないように気を付ける

エリザベスカラーの子猫

術後の猫は、本能的に傷を舐めてしまいます。去勢手術後、猫が自分の傷口を舐めないようにすることは、術後の回復を順調に進めるために重要です。

猫が傷口を舐めてしまうと、感染症の原因となるだけでなく、治癒が遅れる可能性があります。

傷を舐めないようにエリザベスカラーを使用するのは、一般的な対策です。猫によっては嫌がることがあるので、その場合は術後服を活用する方法も有効です。

術後服は、傷口を覆うことで舐める行動を防ぎながら、猫が快適に過ごせるようにデザインされています。

さらに、傷口を舐める行動は、猫のストレスや不安によって強くなることがあります。猫が落ち着きを失っている場合は、飼い主さんがそばについてリラックスさせてあげると効果的です。

優しく声をかけたり、短時間でも一緒にいたりすることで、猫の気がまぎれます。

また、たとえ傷口を舐めても開かないよう、手術の縫合を吸収性の縫合糸で埋没縫合をしてあげる方法もあります。切開部の処置の仕方は獣医師に確認しましょう。

術後は猫が快適に過ごせる温度や湿度を保つことも大切です。寒すぎたり暑すぎたりすると、猫がストレスを感じ、回復が遅れる場合があります。

快適な環境を整えつつ、猫の状態に目を配りながらケアを続けましょう。

落ち着いて過ごせるように環境を整える

手術後は体力が低下しているため、ほかのペットや子どもたちと離れた静かな場所を用意して、落ち着いて過ごせるようにしましょう。

やわらかい寝床や、猫がリラックスできるスペースの確保も大切です。

また、動き回ると傷口に負担がかかることがあるため、ジャンプや激しい運動を制限する必要があります。ケージを活用してもよいでしょう。

猫がリラックスできる空間で過ごせるように配慮すると、ストレスを軽減し、回復を早めます。

まとめ

獣医と猫

猫の去勢手術は、発情期の問題行動を抑えたり病気を予防したりするなど、多くのメリットがあります。一方で、リスクもあるため、十分な準備と情報収集が必要です。

適切なタイミングで手術を行い、術後のケアをしっかりと行うことで、猫の体調を良好に保てます。

手術費用に助成金制度を活用できることもあるので、経済的負担を軽減するために活用しましょう。

去勢手術は、猫と飼い主が快適に生活を続けるための大切な選択です。獣医師と相談しながら、正しい知識を持って、猫にとってよりよい選択をするよう心がけましょう。

参考文献