犬を飼っている方でしつけに悩んでいる方もいるかもしれません。これから犬を飼う予定の方でも、しつけについて気になっている方もいるでしょう。
しつけができておらず、たくさん吠えたり、噛み癖があったりする犬はトラブルを起こしてしまう可能性もあります。また、それらが原因で愛犬を手放すことを考えてしまう方もいるようです。
「犬に言うことを聞いて欲しい」「効果的なしつけの方法がわからない」と考えている方には、犬のしつけ教室がおすすめです。
一口にしつけ教室といっても、さまざまな種類や特徴があります。ここではそれらについて説明し、教室選びのポイントも解説します。悩んでいる方々の参考になれたら幸いです。
犬のしつけ教室とは?
犬のしつけ教室はプロのドッグトレーナーに犬のしつけについて学ぶことができる教室のことです。しつけ教室では、お手・おすわり・待てなどの指示のほかに飼い主の悩みである問題行動への対処法を教えてもらえます。また、犬の社会性を身に付けることができます。他にも飼い主と犬の信頼関係の築き方を学べるところもあるようです。
専門の施設でやっているほかに動物病院や自治体でしつけ教室を開いているところもあり、利用のハードルが低いところもあります。また、保護犬の場合は譲渡会を行った保護団体が開いていることもあります。
気になった際には住んでいる地域の動物病院や役所のしつけ教室を調べてみると、利用しやすいところが見つかるかもしれません。
犬のしつけ教室の特徴
犬のしつけ教室ではいろいろな特徴やできることがあります。どれも人間と犬が一緒に生活するうえでトラブルを減らすために大切なものです。
- おすわりなどの基本的なトレーニングができる
- ほかの犬とのコミュニケーションの取り方を学べる
- 飼い主との信頼構築の方法を学べる
- 噛み癖などの習慣を矯正できる
基本的な指示や犬のコミュニケーションなどは特に初めて犬を飼う方には不安に思うことが多いのではないでしょうか。また、噛み癖や吠え癖などの問題行動に悩んでいる方もいるかもしれません。一つずつ見ていきましょう。
おすわりなどの基本的なトレーニングができる
おすわりや待てといった犬への基本的な指示のことはコマンドと呼ばれています。コマンドは飼い主と犬が信頼関係を築くうえで大切です。
コマンドがわかると、犬は飼い主に何を指示されているのか理解しやすくなり、行動をコントロールできるようになります。そうすると飼い主とのコミュニケーションが円滑に取れるようになるのです。
指示する側と指示される側と立場を明確にすることも犬を飼ううえでは大切なことです。さらに、コマンドを理解することは散歩や日常生活でのトラブルを防ぐだけでなく、災害時などの特殊な環境にいても落ち着いて行動できる可能性が高まります。
ほかの犬とのコミュニケーションの取り方を学べる
飼い犬には散歩やお出かけ、動物病院などほかの犬と関わる場面がいくつもあります。ほかの犬との関わり方がわからないと距離を詰めすぎてトラブルになってしまったり、逆にほかの犬と関われずに孤立してしまったりする可能性があります。
また、ほかの犬との正しい関わり方の経験を積めなかった犬はほかの犬・人・見慣れない環境に対して恐怖や不安を抱き、攻撃性を持ってしまうこともあるのです。しつけ教室ではそうならないようにほかの犬とのコミュニケーションの取り方を学べるのです。
飼い主との信頼構築の方法を学べる
人間と犬がトラブルなく生活するためには信頼関係を築けていることが大切です。飼い主と犬の間にしっかりとした信頼関係が築けておらず、コミュニケーションが円滑にできていなければ、飼い主の指示が犬に通りにくくなってしまいます。
犬が飼い主の指示を聞かなければ、静かにするべきところで暴れてしまったり、ドッグランではしゃぎすぎて戻ってこなかったりといった問題につながることもあるかもしれません。
さらに、しつけ教室では飼い主も犬との関わりを学べます。犬との適切な関わり方を知ることで犬との間に信頼関係を築くことが可能になるでしょう。
噛み癖などの習慣を矯正できる
しつけ教室では噛み癖や吠え癖などの困った習慣を改善することができます。これらは放置していると問題行動として、トラブルにつながる可能性もあるのです。また、これらの問題行動がひどい場合、犬を手放すことを考えてしまう人もいるようです。
鳴き声や噛み傷などは犬と飼い主以外の他人とのトラブルとして数多く存在しています。飼い主個人では対処が難しい困った習慣や問題行動もプロのトレーナーとなら矯正できるかもしれません。
しつけを行う教室の種類
しつけ教室にはさまざまな種類・形式があります。ここでは通学式・自宅への訪問式・預かり式の3種類をご紹介します。
通学式は専用の訓練施設に通うスタイル、自宅への訪問式はプロのトレーナーが家まで来て指導をしてくれるスタイル、預かり式は一定期間犬を専用の施設で預かって訓練するスタイルです。
1つずつメリット・デメリットを合わせて紹介していきます。どのような教室があるのか、気になっている方の参考になれたら幸いです。
通学式の教室
通学式の教室は専用の施設に日帰りで犬を通わせるスタイルのものです。幼犬が対象の教室の場合は幼稚園や保育園と呼ばれることもあります。
このタイプの教室は日中に犬だけを預かります。ほかにも犬が複数いる環境で遊びを通して社会性を身に付けることが目的のことが多いです。
メリットは、飼い主が同伴している必要がないため、日中に犬が留守番させる代わりに通わせられることです。また、動物病院でも行われることがあり、参加しやすいことも魅力でしょう。デメリットは、飼い主への指導は少ないため、飼い主の言うことは聞きにくくなる可能性があることです。
自宅での教室
自宅での教室はプロのトレーナーが訪問して、犬だけでなく、飼い主へのしつけ方なども指導してくれるというものです。
出かけるのが難しい犬でもトレーニングが可能なのが自宅での教室です。人見知りをしたり、ほかの犬がいる場所では緊張したりしてしまう犬でも自宅ではリラックスして訓練を受けることができるでしょう。
メリットは、犬それぞれの癖や家庭内での問題行動に応じたアドバイスをしてもらえることです。一方で、デメリットには価格がほかのタイプに比べて高めに設定されていることが挙げられます。さらに、教室によっては交通費や出張料金などが加算され、費用が高くなることもあります。
預かり式の教室
犬を1ヶ月以上>専用の施設で預かってトレーニングをする形式のしつけ教室です。集中的にトレーニングをするため、問題行動の改善に期待ができます。
メリットは先にも述べたような集中的なトレーニング、デメリットには飼い主と離れている期間が長いため帰ってきた後のケアが必要なことです。飼い主への引き継ぎレッスンを実施している教室もあるので、預かり式の教室を選ぶ際には確認するとよいでしょう。
しつけ教室を利用するタイミング
犬のしつけ教室の利用のタイミングはさまざまです。
早い方がよいとはされていますが、場合によっては難しいこともあるでしょう。ここで犬の社会化期・ワクチン接種後・問題行動を起こす前と分けて解説します。
犬の社会化期
犬の行動発達は新生児期・移行期・社会化期・若年期・成熟期・老齢期の6つに分けられます。その中でも社会化期は生後3週から12週の間です。
犬の社会化期は最も感受性の高い時期で、このときのほかの犬や人との関わり方が今後にも大きな影響をあたえるといわれています。社会化期を過ぎると犬は見慣れない人や知らない場所に対して不安や恐怖を抱きやすくなるのです。
この時期に人やほかの犬と正しい関係を築けることが大切になります。この時期にしつけ教室を利用してほかの犬や人との関わりを持つことは犬に社会性を持たせるには重要でしょう。
ワクチン接種後
しつけ教室のなかには感染症対策に3回目のワクチン接種後や5種以上の混合ワクチン接種後に2週間経っていることを利用の条件としている場所もあるのです。
混合ワクチンはさまざまな感染症に対抗するワクチンで2種から10種まであります。最初のワクチンは生後6〜8週目、2回目は1回目の3〜4週間後、3回目は2回目の3〜4週間後というように混合ワクチンは3回にわたって接種します。生後16週目以降に3回目が来るのが理想的です。
よってしつけ教室の条件によっては利用が生後18週目以降になります。ワクチン接種前でも犬や人と関わることは大切ですが、感染症予防が必要になります。ワクチン接種歴が不明な犬や、不特定多数の犬が集まる場所は避けるのが無難でしょう。
問題行動を起こす前
しつけ教室へ通う目的には問題行動の改善がありますが、問題行動の予防にも効果的です。しつけ教室に通うタイミングとして問題行動を起こす前も有効といえるでしょう。
問題行動は社会化期が終わった頃から生後6ヶ月頃までの間に起こり始めます。この時期の対応はその後の犬と飼い主の関係に影響を及ぼします。正しい対応が必要になるのです。
そのための指導を受ける場としてしつけ教室はぴったりです。
しつけ教室選びのポイント
しつけ教室にはさまざまなタイプ・スタイルがあります。慎重に選ばないと思ったような効果を得られず、後悔につながる可能性もあるのです。
ここではしつけ教室の選び方として以下の3つのポイントを紹介していきます。
- しつけ教室の方針を確認する
- 愛犬の性格や体調に合っているか確認する
- 教室の雰囲気を確認する
愛犬と飼い主で理想の関係性を築くためにしつけ教室はしっかり気を付けて選ぶことが必要です。
しつけ教室の方針を確認する
方針はしつけ教室によってバラバラです。飼い主もしつけ教室を利用する目的もさまざまでしょう。
愛犬とどのような関係を築きたいか、どのような成長を望むのかを考え、理想に合う教室を選びましょう。愛犬との間に問題があって、それを解決したいと思っているなら、それを軸に選ぶのもよいでしょう。
かつては犬へのしつけといえば叱ることが主流でしたが、現代では褒めるしつけや英国式ドッグトレーニングなど選択肢も増えてきました。自分たちに合うものを選ぶことが大切です。
愛犬の性格や体調に合っているか確認する
愛犬の性格や体調に合っているかもしつけ教室選びの重要なポイントです。愛犬と教室が適切でなかった場合、通うことが難しくなってしまううえに、思っていた効果を得られなくなる可能性が高いからです。
また、体格や年齢などによってもクラスやしつけ教室の金額が変わることがあります。慎重に確認しましょう。
教室の雰囲気を確認する
教室の雰囲気もしつけ教室を利用するうえで大切です。ここでしっかりと確認しないと、後からしつけ教室を利用するうえでの理想と現実の間にギャップが生まれてしまう可能性があります。
まず、口コミや評価を見て信頼できるかどうかを判断することが必要です。しかし、口コミだけで判断するのは危険です。最終的には体験レッスンなどを利用して自分の目で確認しましょう。
実際にしつけ教室に行ってみることで、その教室の設備や環境も見ることができます。また、体験レッスンでは自分と愛犬に合った効果的なしつけについてアドバイスをもらえるかもしれません。
犬のしつけ教室は成犬になっても通える?
犬のしつけ教室は成犬でも通うことは可能です。ただし、成犬の場合は習慣や癖が固まっていて、子犬の頃よりも時間がかかることが多いです。
しつけ教室は年齢を問わず利用できます。ただし、教室によっては年齢によってクラスを分けている場合もあるため、愛犬に合った教室を選びましょう。
成犬のしつけ教室を選ぶ際には、解決したい悩みや身に付けたいスキルを明確にしましょう。成犬の場合は「子犬の頃はできていたことが最近できなくなってしまった」「直らない困った癖がある」などの悩みに合わせてしつけ教室を選ぶことが大切になります。
まとめ
ここまで犬のしつけ教室で学べることや種類、選び方などについて紹介してきました。しつけ教室にはさまざまな種類があります。愛犬との生活や関係に影響することなので慎重に選びましょう。
しつけ教室では犬への基本的な指示のトレーニングをしたり、社会性を身に着けたりするほか、飼い主との信頼関係の築き方や問題行動の改善をすることができます。
それらの成果をしっかりと出すためには教室選びが大切なのです。しつけ教室の形式には通学式・自宅への訪問式・預かり式の3種類があり、愛犬との相性や通いやすさを考慮して選びましょう。
また、ほかの選ぶポイントについては教室の方針や雰囲気を挙げました。これらは口コミや体験レッスンへの参加で確認することができます。ほかにもトレーナーの質で選ぶのもポイントです。犬との適切な関係を築き、しつけを成功させるには専門知識と技術が必要です。資格を持つトレーナーがいる教室を選びましょう。
慎重にしつけ教室を選び、愛犬との理想の関係を築きましょう。
参考文献