動物病院に行くたびに怯えたり、逃げようとするペットに悩んでいませんか?病院が苦手になるのには理由があり、そのままにしておくと通院がますます大変になることもあります。
本記事ではペットが動物病院を嫌いになる原因について以下の点を中心にご紹介します。
- ペットが動物病院を嫌いになる原因
- 動物病院が嫌いな場合の対処法
- どうしても動物病院に連れて行けない場合
ペットが動物病院を嫌いになる原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
ペットが動物病院を嫌いになる原因

- ペットが動物病院を嫌がる原因にはどのようなことが考えられますか?
- ペットが動物病院を嫌がるのには、いくつかの原因が考えられます。
1. 嫌な記憶や痛みの経験
過去に注射や検査などで痛みや不快な経験をした場合、それがトラウマとなり「病院=怖い場所」と学習してしまうことがあります。診察台の高さや拘束されることへの恐怖も、病院嫌いの一因です。
2. 環境に対するストレス
動物病院には独特のにおいや雰囲気があり、さまざまな動物たちが出入りしています。そのため、においや音、空気感などに敏感な犬や猫は強いストレスを感じることがあります。加えて、飼い主の不安な表情も敏感に感じ取ってしまいます。
3. スタッフや見慣れない人への警戒心
白衣を着た獣医師や看護師、見慣れない医療器具に対して恐怖を感じる動物もいます。特に人見知りの強いペットや社会化が不十分な場合は、スタッフの存在自体がストレスになることもあります。
4. 高い場所が苦手
診察台は治療しやすいように高く設計されていますが、高所が苦手な動物にとっては、これだけで強い不安を感じる場合もあります。
5. 飼い主と離れる不安感
過去に入院や一時預かりの経験があると、「また置いていかれるかも」という不安から、病院に行くこと自体を拒むようになることもあります。
ペットの性格や過去の経験によって原因はさまざまであるため、ペットがどのパターンに当てはまるのか、日頃の様子を観察してみましょう。
- ペットが動物病院を嫌がるときどのような反応をしますか?
- ペットが動物病院を嫌がるときには、以下のような反応を見せることがあります。
【攻撃的になる】
普段は穏やかな犬でも、恐怖や不安から獣医師や看護師に対してうなったり、吠えたり、まれに飼い主の方にまで攻撃的な態度を見せることがあります。
【動かなくなる】
病院の入口で急に立ち止まったり、診察台で固まって動かなくなったりすることもあります。
【粗相をする】
強い緊張やストレスによって、普段は粗相をしないペットでも尿を漏らしてしまうことがあります。
【拒絶反応を示す】
キャリーケースを見ただけで逃げたり、隠れたりするなど、病院に行くと察して強く拒否する行動も見られます。
こうした反応を見せたときは、責めるのではなく、ペットの気持ちに寄り添いながら少しずつ苦手意識を軽減できるようサポートしてあげましょう。
- 動物病院が苦手な犬のタイプについて教えてください
- 動物病院が苦手な犬には、いくつかのタイプや傾向が見られます。
オーストラリアのアデレード大学の調査によると、家庭犬の55%程度が病院で恐怖を感じているとされています。
なかでも、チワワやポメラニアン、パピヨンといったトイ犬種は、不安を感じやすく、診察前から落ち着かなくなる傾向があります。
また、小型犬程病院を怖がりやすいとされており、体重が22kg以上の大型犬よりも、不安から動かなくなったり、吠えたりする反応が目立つことがあります。
さらに、一頭で飼われている犬は、ほかの犬と暮らしている犬よりも、触れられることや環境の変化に敏感で、恐怖心が強くなる傾向があります。
加えて、家庭犬は病院への耐性が低く、ショードッグや作業犬よりも怖がり度が高いともいわれています。
犬の性格や飼育環境によっても差があるため、愛犬のタイプに合わせた対応を心がけましょう。
動物病院が嫌いな場合の対処法

- ペットが動物病院を嫌がる場合の対処法を教えてください
- ペットが動物病院を嫌がる場合は、できるだけ不安やストレスを軽減してあげる工夫が大切です。以下に、状況別の対処法をご紹介します。
【待ち時間の工夫】
待合室でのストレスを減らすには、ほかの動物との接触を避けられるように、予約制の病院を選ぶ、車内で待機する、キャリーバッグに入れて慣れた空間を確保するといった方法が推奨されています。
【診察中の対応】
診察台に乗ったときに不安が強くなるペットには、飼い主の方がそばに付き添い、優しく声をかけたり撫でたりすることで安心感を与えられます。
できれば、飼い主の方が保定に協力してあげると、ストレスが軽減される場合もあります。
【診察後のご褒美】
診察が終わったら、「よく頑張ったね」とたっぷり褒めてあげましょう。
特別なおやつやご飯、散歩、ドッグランなどペットが喜ぶことを取り入れると、「病院=嫌な場所」の印象を少しずつ和らげていけます。
ペットの反応や性格に合わせて、対処法を探しながら少しずつ慣らしていくことが大切です。
- 動物病院を嫌がらないための対策はありますか?
- 動物病院を嫌がらないようにするためには、以下のような対策を取り入れてみましょう。
1. 病院を特別な場所にしない
病気やケガのときだけでなく、予防接種や健康診断、爪切りなどで定期的に通院することで「病院=怖い場所」という印象を薄められます。
2. 身体を触られることに慣らす
診察やケアを受けるには、耳や口まわり、足先などに触れられることが避けられません。
子犬・子猫のうちから日常的に全身を撫でて、触れられることへの抵抗感を減らしておきましょう。
3. クレート・キャリーのトレーニング
通院時に使用するクレートやキャリーバッグも、普段から部屋に出しておくことで慣れさせることが大切です。
4. 「待て」などの指示を習慣にする
診察台では不安から動きやすくなります。
「待て」や「おすわり」などのコマンドを覚えておくと、落ち着いて診察を受けられるようになります。
こうした日常の積み重ねが、動物病院への苦手意識をやわらげる第一歩になります。
どうしても動物病院に連れて行けない場合

- ペットが動物病院を嫌がる場合の投薬について教えてください
- 動物病院を強く嫌がる犬や猫に対しては、受診前に不安を和らげる投薬を行うことで、通院時のストレスを軽減できる場合があります。
【使用される主な薬と目的】
●抗うつ剤:
セロトニンに作用し、不安や緊張を緩和する効果が期待できます。
受診の2時間程度前に投与することで、落ち着いた状態で診察を受けやすくなります。
●抗てんかん薬:
不安を軽減する目的でも使用されます。こちらも受診の2時間前の投与が目安です。
これらは「Pre-Visit Pharmaceuticals(PVP)」と呼ばれ、欧米では動物福祉の観点から導入されています。副作用のリスクは少ないとされますが、体質や健康状態によって注意が必要なため、獣医師との相談のうえで処方を受けてください。
- ペットを動物病院に連れていけない場合どうすればよいですか?
- ペットをどうしても動物病院に連れて行けない場合には、獣医師が自宅に訪問して診療を行う「往診サービス」の利用が選択肢となります。
往診サービスは、高齢や持病で移動が難しい犬・猫、外出が苦手なペット、あるいは飼い主の方自身の事情で通院が難しい場合にも対応してくれます。
慢性疾患で定期的なケアが必要な猫ちゃんや、高齢のワンちゃんへの点滴治療などで活用されるケースも増えているようです。
ただし、往診には限られた設備しか持ち込めないため、できる検査や処置に制限があります。
また、自宅という慣れた場所でも、知らない方の訪問に強いストレスを感じるペットもいるため、性格に応じた判断が必要です。
往診の費用は動物病院へ出向く診療よりも5,000円程度高くなるとされているため、事前に確認しておくといいでしょう。
また、地域によっては往診専門の動物病院もあるため、ネット検索などで情報を集めておくのもおすすめです。
編集部まとめ

ここまでペットが動物病院を嫌いになる原因についてお伝えしてきました。ペットが動物病院を嫌いになる原因の要点をまとめると以下のとおりです。
- ペットが動物病院を嫌がる原因として、 嫌な記憶や痛みの経験、環境に対するストレス、スタッフや見慣れない人への警戒心、高い場所が苦手、飼い主と離れる不安感などが挙げられる
- ペットが動物病院を嫌がる場合は、待ち時間の工夫、診察中の対応、診察後のご褒美を与えるなど少しずつ慣らすことが大切
- ペットをどうしても動物病院に連れて行けない場合には、獣医師が自宅に訪問して診療を行う「往診サービス」を利用することもおすすめ
ペットが動物病院を嫌がる原因は、過去の恐怖体験や環境ストレスなどさまざまです。ペットの性格に合った方法で、少しずつ病院への苦手意識を克服していきましょう。
これらの情報が少しでもペットが動物病院を嫌いになる原因について知りたい方のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。