動物病院でペットの預かりは可能?動物病院併設のペットホテル利用料金やメリットを解説

動物病院でペットの預かりは可能?動物病院併設のペットホテル利用料金やメリットを解説

ペットは家族の一員で、大切な存在です。しかしペットを飼っている6割以上の方が「旅行や外出がしにくい」と不安をかかえています。

旅行だけでなく、出張や飼い主の入院など、やむを得ない事情でペットを預けなくてはならないこともあるでしょう。

そんなとき「動物病院で預かってもらえたら安心なのに……」と考える方もいるのではないでしょうか。

この記事では、動物病院でペットの預かりは可能なのか、また併設されたペットホテルの料金やメリットについて解説します。

大切なペットの預け先に迷っている方の参考になれば幸いです。

動物病院でペットの預かりが可能な場合

猫を抱く動物病院の男女の獣医師

大事に育てているペットを医療体制の整った動物病院で預かってほしいと考える方も多いのではないでしょうか。

以下では、どのような場合に動物病院でペットを預かってもらえるのか解説していきます。

入院が必要な場合

ペットのケガや病気などで継続的な診察が必要な場合、動物病院では入院での預かりが可能です。

入院中は獣医師が適切に診察し、体調が安定するまで管理します。

大学病院や高度医療センターなど大きな動物病院の場合は、勤務人数が多いため夜間も獣医師や動物看護師が常駐可能です。

しかし一般的な動物病院の場合、当直制度が整っていないことがあります。

そのため夜間は遠隔モニターを使ってペットに急変がないかチェックしたり、自宅兼病院にしている獣医師の場合は何度か状態確認しに来たりしながらペットを見守ります。

入院中の夜間対応が不安な場合は、獣医師や動物看護師に確認しておくのがおすすめです。

ペットホテルが併設されている場合

2023年度の日本獣医師会による家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査によると、全国の獣医師会に所属する動物病院のうち51.9%がペットホテルを併設しています。

ペットが通っている動物病院でペットホテルに対応しているかは、ホームページなどで確認可能です。

普段から診察を受けている動物病院なら、病院側がペットの性格や体調を把握しているので信頼して預けられるでしょう。

またペット自身もまったく知らない場所や人ではないので、不安が少なくなるはずです。

しかし、かかりつけでペットホテルを併設していない場合は、ほかの動物病院を探さなければなりません。

動物病院の方針によっては、かかりつけのペット以外受け入れていないケースもあります。かかりつけの動物病院でないと、既往歴などを把握できず急な体調不良時の対応が遅れることがあるためです。

ペットホテルの利用前に、一度事前診察を受ければよいとする場合など、ペットホテルの利用規約は動物病院が各自で決めています。

事前にホームページや電話で確認しておきましょう。

動物病院の入院費用の相場

獣医さんと犬

入院費は動物病院によってさまざまですが基本的には猫やウサギ、フェレットなど小型のペットは一律料金、犬の場合は体重により料金が変動するのが一般的です。

入院費の相場は以下が目安となります。

  • 猫・ウサギ・フェレット:1,000〜5,000円
  • 小型犬:2,000〜5,000円
  • 中型犬:2,000〜5,000円
  • 大型犬:3,000〜7,500円

相場を見て、料金の幅が大きい理由に疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

実は動物病院の診療費用は、人の病院と異なり法律で定められていません。

これは独占禁止法により、獣医師会が診療費用の基準を定めることや、獣医師同士が協定して料金を決めることを禁止しているためです。

そのため動物病院ごとに、獣医師が各自で診療料金を決めなければならず、費用に差が出てしまいます。

また、上記の費用はあくまで入院の預かりに対する費用です。実際はほかに検査や点滴などを行うため、診察費を追加した総額を退院時に支払うことになります。

動物病院併設のペットホテルの利用料金の相場

タブレットPCで受付する白衣の女性と患者

動物病院併設のペットホテルの利用料金(1泊あたり)の相場は以下のとおりです。

  • 猫・ウサギ・フェレット:2,500円〜4,500円
  • 小型犬:2,500〜5,500円
  • 中型犬:3,500〜5,500円
  • 大型犬:5,000〜7,000円

上記の料金以外にも、GWやお盆、年末年始など繫忙期には1泊あたり+1,000円程度追加料金がかかる場合があります。

また、犬の場合利用料金は体重で定められているのが一般的ですが、動物病院によって小型犬〜大型犬の体重の範囲が異なる点も注意しましょう。

例えば小型犬の場合、10kg以下を小型犬と設定している病院もあれば、8kg以下と設定している病院もあります。

また40kg以上は超大型犬として追加料金がかかるなど料金の設定は動物病院ごとに違うため、予約前によく確認しましょう。

動物病院併設のペットホテルを利用するメリット

猫の診察をする女性獣医師

ペットを預ける際の候補として、ペットホテル専門店や動物病院併設のペットホテルが挙げられます。

動物病院併設のペットホテルでは獣医師や動物看護師が対応しており、体調不良時には迅速に診察を受けられるなど動物病院ならではのメリットがあります。

以下では動物病院併設のペットホテルで得られるメリットを具体的に解説します。

経験豊富な獣医師や動物看護師が世話をしてくれる

大切なペットを、動物のプロである獣医師や動物看護師が世話をしてくれるのは大きなメリットでしょう。

獣医師や動物看護師は日常的に多くの動物に対応しており、経験も豊富です。

「フードを温めたら食べやすいかな」「静かな環境にして様子を見よう」などそれぞれのペットに合わせた対応、ストレスを軽減するように配慮してくれるでしょう。

急な体調変化にも対応してもらえる

動物病院では医療体制が整っており、もし預かり中に体調が悪くなっても獣医師による対応が可能です。

預かり中は普段と環境が違うため、ストレスを感じて下痢をしてしまったり、食欲が落ちてしまったりするケースがよくあります。

ペットの体調の変化は世話をする獣医師や動物看護師がこまめにチェックしているため、必要だと判断されれば診察を受けられます。

毎日の投薬にも対応してもらえる

普段飲ませている薬がある場合も、動物病院併設のペットホテルであれば対応可能です。

2022年5月1日に施行された愛玩動物看護師法により、獣医師国家資格や愛玩動物看護師国家資格をもつ者以外が預かり中の動物に投薬させることが違法となりました。

そのため、獣医師や愛玩動物看護師がいないペットホテル施設に薬を持参しても、飲ませてもらうことができません。

毎日投薬が必要なペットは、動物病院以外では預かりを断られることも少なくありません。

投薬が必要なペットを預ける場合は、動物病院併設のペットホテルを検討することをおすすめします。

高齢や持病があるペットも預けやすい

高齢や持病があるペットは細かなケアが必要なので、預け先を慎重に選ばなければなりません。

体調が悪くなったときに動物病院まで運ぶ時間がかかると、症状を悪化させてしまう可能性もあるためです。

動物病院併設のペットホテルの場合、もし急変した場合も迅速に対応できるため安心感があります。

また食餌量や排便、排尿の様子などを記録しており些細な変化も早めに気付いてもらえるため預けやすいでしょう。

動物病院併設のペットホテルを利用するデメリット

ケージの中で寂しそうな二匹の子犬

動物病院での預かりは安心感がある一方、事前の準備やお迎えの時間に制約があるなどのデメリットも存在します。

具体的なデメリットの内容を以下で解説していきます。

事前予約や健康チェックが必要な場合がある

猫を診察中の獣医の手

動物病院併設のペットホテルでは、急な預かりに対応していない場合があります。

特にかかりつけではない場合、多くの動物病院では事前に健康チェックのための通院が必要です。

また、基本的にペットホテルでは、狂犬病や混合ワクチンなどワクチンを1年以内に接種していることが条件となっています。

過去にワクチンを接種している場合は、接種証明書の掲示が求められます。忘れた場合は預かりを断られることもあるため、事前の確認が重要です。

動物病院によってはフィラリア予防やノミ、マダニ駆除の実施状況についても確認されます。

時間の融通が利きにくい

動物病院併設のペットホテルの多くは、診察時間内でのチェックインとチェックアウトになります。

また、動物病院の休診日にはチェックインやチェックアウトができない場合もあり、預ける日にちが余分にかかることがあるため注意しましょう。

ペットホテルに預ける前にやっておきたいこと

扉の向こうにいる犬

動物病院併設のペットホテルに預けるときには、事前に準備が必要です。

以下では、ペットを預ける前に行うべき準備や、ストレスを軽減するためのポイントについて詳しく解説します。

ペットの健康チェック

動物病院で獣医師に診察を受ける猫と飼い主

ペットを預ける前には、動物病院で健康チェックを受けておくことをおすすめします。

問題がないと思っていても、飼い主が気付いていない体調不良が見つかるかもしれません。

特に、かかりつけでない動物病院に預ける場合は、事前に健康チェックを受ける必要があることが一般的です。

ペットの健康状態に少しでも不安がある場合は、あらかじめ獣医師に伝えておくことが大切です。

特に心臓病の場合、預かり中に急変することがあるので、事前に相談しておきましょう。

ワクチン接種

犬や猫を預ける際には、1年以内にワクチン接種をしていることが条件となっている動物病院がほとんどです。

ワクチンには、猫は混合ワクチン、犬の場合は狂犬病ワクチンと混合ワクチンがあります。

狂犬病ワクチンは、犬を飼育する飼い主に法律で接種が義務付けられており、1年に1回接種が必要です。

混合ワクチンは任意ですが、身近にある命の危険を伴う病気を予防できる大切なワクチンです。自分のペットだけでなく、ほかの動物の健康を守るためにも接種しておきましょう。

また混合ワクチンには、予防できる病気の種類により3種や6種、8種など種類があります。

地域によって流行している病気が異なるため、獣医師に相談のうえ接種しましょう。

ハウストレーニング

クレートでリラックスしている犬

ペットホテルは基本的にケージとよばれる小型の部屋で過ごすことになります。

普段家の中を自由に過ごしているペットの場合、突然スペースが狭くなると大きなストレスとなることがあります。

犬の場合日常的にクレートなどを使用してハウスに慣れ、「ハウスの中は居心地がよく安心できる」と認識させておくとよいでしょう。

ペットとの適度な距離感を保つ

特に犬の場合、四六時中行動をともにしていると飼い主に対する依存が強くなり、飼い主と離れることに強いストレスを感じてしまうことがあります。

不安から破壊行動や自傷行為を起こすケースもあり、預かりが大きなストレスとなってしまいます。

日頃から1匹で数時間お留守番させる時間をつくり、過剰なスキンシップは避け適度な距離感をもって接することが大切です。

社会化トレーニング

一般的に犬で生後3〜12週齢、猫で生後2〜7週齢を社会化期とよび、さまざまな刺激を受け入れ対応できるようにしていく大切な時期とされています。

社会化期にはほかの動物や人と関わり、さまざまな音や匂いなどに慣れていくことが大切です。

しかし、社会化期を過ぎても社会化トレーニングは可能です。

犬が苦手な場合は、まず穏やかで友好的なタイプの犬に匂いをかがせてもらったり、飼い主が抱っこしたまま触れ合わせてもらったりする方法があります。無理せず少しずつ動物への恐怖心を和らげていくようにしましょう。

また大きな音など刺激に強く反応する場合は、反応しない程度の小さな音や弱い刺激を何度も繰り返し与えて慣れさせていく方法がおすすめです。

徐々に段階を上げていくことで過剰な反応が落ち着いていく効果が期待できます。

預かりを体験する前に、環境への恐怖心を少しでも減らしていくことが大切です。

時間預かりでペットを環境に慣れさせる

預かりを検討している場合、突然泊まりで預けずに、短時間の預かりを利用して慣れさせるのもよい方法です。

何度か来たことのある場所なら、ペットも知らない場所や知らない人に預けられるわけではないので不安を減らせるでしょう。

初回は数時間程度の預かりから始め、環境やスタッフに慣れさせていくことが効果的です。

そして「ここで待っていれば飼い主は迎えに来てくれる」とペットに理解させてあげることで、預かり中の不安感も軽減するでしょう。

持って行く物の準備

ペットを預けるときは、以下のものを準備することがおすすめです。

  • フード・おやつ
  • 胴輪・首輪・リード
  • お気に入りのおもちゃ
  • タオル・毛布

フードやおやつは普段から食べ慣れているものを持っていくのがおすすめです。

動物病院によってはフードが用意されている場合もありますが、療法食など特別なものを食べていたり、食に繊細だったりする場合は準備しておきましょう。

またフードは1回量ごとに小分けで持ってくるように指示される場合があるので確認が必要です。

犬の場合、預かり中に散歩してくれる動物病院もあります。

胴輪や首輪はサイズがあっていないと散歩中に抜けてしまう恐れがあるため、普段付けているものを持参するとよいでしょう。

また、お気に入りのおもちゃや飼い主の匂いがついたタオル、毛布などはケージに一緒に入れるとペットが安心感を持ちやすいのでおすすめです。

ただし動物病院により持ち込みできる荷物が制限されていることがあります。

持ち込みの可否については、事前に動物病院へ確認しておくことをおすすめします。

まとめ

ペットに関わる仕事をする男女

全国にある約50%の動物病院ではペットホテルを併設しており、獣医師や動物看護師による管理のもとで預かりサービスが提供されています。

動物病院は医療体制が整っており、万が一体調を崩した場合にも迅速な対応が可能です。かかりつけの動物病院でペットホテルが利用できれば、既往歴などもわかるため素早く対応できる安心感もあります。

ペットの預け先に悩んでいる場合は、医療体制が整った動物病院併設のペットホテルの利用を検討することをおすすめします。

参考文献