犬がくしゃみや鼻血を繰り返すと、飼い主さんとしては大変心配になります。単なる一時的な刺激が原因のこともありますが、慢性の炎症や感染症、さらには腫瘍など重大な病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。特に症状が長引いたり、頻度が高い場合には、専門的な診察が不可欠です。本記事では、犬のくしゃみや鼻血の原因、考えられる病気、受診の目安、自宅での対処法や予防策について詳しく解説します。
犬のくしゃみと鼻血が止まらない原因

犬のくしゃみや鼻血には、季節的な環境要因から病気によるものまで幅広い原因が関係しています。ここでは主な原因について見ていきましょう。
- 犬がくしゃみと鼻血を繰り返すのは、どのような原因が考えられますか?
- 犬がくしゃみや鼻血を繰り返す原因には、鼻腔内に入り込んだ異物や細菌・ウイルス感染による炎症、空気の乾燥、急激な気温の変化、アレルギー反応などが挙げられます。さらに、歯周病や顔面の外傷、鼻腔内の腫瘍、自己免疫異常、血液凝固障害などの疾患が隠れていることもあります。症状が一時的であっても、繰り返すようであれば注意が必要です。特に鼻血の頻度が高い場合は、重篤な疾患の可能性を考慮し、早期に動物病院で診察を受けましょう。
- 乾燥やアレルギーなど、環境要因で起こることもありますか?
- はい、犬のくしゃみや鼻血は、乾燥した空気や急激な温度変化、ハウスダスト、花粉、カビ、タバコの煙、芳香剤などのアレルゲンといった環境要因によって引き起こされることがあります。特に冬場の暖房による乾燥や換気不足の室内環境では症状が出やすくなります。また、アレルゲンへの長期間の接触が続くと、炎症や粘膜の傷つきが進行しやすくなるため、空気の清浄、適度な加湿、こまめな掃除などを徹底することが予防のために重要です。
- ほかに考えられる原因があれば教えてください
- 犬のくしゃみや鼻血の原因には、これまで挙げたもの以外にもさまざまな可能性があります。例えば、鼻腔内のポリープや歯根膿瘍が鼻腔へ波及した場合、真菌感染症(アスペルギルス症など)、高血圧、血液凝固異常、自己免疫疾患などが考えられます。さらに、腎臓や肝臓など内臓の異常が全身症状として表れている場合もあります。くしゃみや鼻血が慢性的に続く場合には、放置せず早めに動物病院で精密検査を受け、正確な診断を受けることが大切です。
犬のくしゃみと鼻血から考えられる病気

犬のくしゃみや鼻血が長く続く場合は、単なる刺激ではなく、鼻や全身に関係する病気の可能性も考えられます。ここでは、代表的な病気について解説します。
- 慢性的にくしゃみや鼻血が出る場合は、どのような病気が考えられますか?
- 慢性的にくしゃみや鼻血が続く場合には、鼻腔内の腫瘍、慢性副鼻腔炎、真菌感染症(アスペルギルス症など)、鼻ポリープ、歯周病関連性鼻炎、免疫介在性疾患などが考えられます。これらの病気は進行すると治療が長期化し、犬の負担も大きくなるため注意が必要です。特に鼻腔内の腫瘍は顔面の変形や呼吸障害を引き起こすこともあります。症状が長引いたり、くしゃみや鼻血が悪化するようであれば、CT検査や内視鏡検査などを受けて原因を明確にし、早期に適切な治療を始めることが大切です。
- 全身性の病気の可能性もあるのか教えてください
- はい、犬のくしゃみや鼻血は、鼻腔内だけでなく全身性の病気が原因となっていることもあります。血液凝固異常や高血圧、自己免疫疾患、感染症のほか、肝臓・腎臓などの内臓疾患によって、血管の脆弱性が高まり出血しやすくなることがあります。特に外傷や異物の混入がないのに鼻血が繰り返される場合には、鼻腔だけでなく全身の状態を含めた検査が必要です。早めに血液検査や内臓の機能検査を受けることで、重篤な病気の早期発見と対応につながります。
- 鼻腔内の腫瘍やポリープが原因になることはありますか?
- はい、犬の鼻腔内に腫瘍やポリープができると、くしゃみや鼻血の原因になることがあります。良性のポリープでも大きさや位置によっては炎症、出血、鼻づまりを引き起こしやすく、慢性的な症状を伴うことがあります。一方で、悪性腫瘍の場合は進行とともに顔面の腫れや変形、呼吸困難を引き起こすこともあり、命に関わるケースもあります。これらの病変は外見だけでは判断が難しいため、早期に画像診断(レントゲン・CT)や生検を実施し、正確な診断と迅速な治療を行うことが大変重要です。
- ほかに注意が必要な症状はありますか?
- はい、くしゃみや鼻血以外にも注意すべき症状は多くあります。例えば、膿の混じった鼻水、慢性的な鼻づまり、顔や目の周囲の腫れ、涙が多くなる、口臭の悪化、くしゃみをしたときの痛み、異常な呼吸音、呼吸困難、発熱、食欲不振、元気消失などが挙げられます。これらの症状がある場合は、鼻腔内の異常だけでなく、歯周病や内臓疾患などの可能性も考えられます。複数の症状が重なる場合は特に早めの診察が望ましく、重症化を防ぐためにも速やかな対応が重要です。
動物病院受診の目安

くしゃみや鼻血が見られる場合、受診のタイミングを見極めることが大切です。ここでは動物病院を受診すべき主な目安を紹介します。
- くしゃみと鼻血がどのくらい続いたら受診すべきですか?
- くしゃみや鼻血が一時的に出てすぐに治まる場合は経過観察でも問題ないことがありますが、症状が2〜3日以上続く、回数が増える、鼻血の量が多い、鼻水が膿状になる、呼吸が苦しそう、元気や食欲がないなどの異常が見られる場合は、早めに動物病院を受診すべきです。特に高齢犬や持病を抱える犬の場合は、軽い症状でも注意が必要であり、早期の診察が重症化の予防につながります。迷ったときは動画を撮って相談するとよいでしょう。
- 病院に行く前に準備しておくとよいことはありますか?
- 動物病院を受診する前には、症状の経過をできるだけ詳しく記録しておくことが大切です。くしゃみや鼻血が始まった時期、頻度、出血の量や色、鼻水の状態、食欲や元気の有無、呼吸の様子などをメモしておくと、診察がスムーズに進みます。スマートフォンなどで呼吸やくしゃみの様子を動画で撮影しておくと、獣医師が症状を客観的に把握しやすくなります。また、服用中の薬やサプリメントがあれば持参しましょう。
- 飼い主から獣医師に伝えるべきことがあれば教えてください
- 獣医師に伝えるべき情報には、くしゃみや鼻血の発症時期、出血の頻度・量・色、鼻水の状態、呼吸の様子、元気や食欲の変化、嘔吐や下痢などの併発症状、生活環境の変化、使用中の薬やサプリ、過去の病歴などが含まれます。これらを事前にまとめておくと、診断が正確になり、治療の判断もしやすくなります。簡単なメモを用意して受診時に提示すると、よりスムーズな対応につながります。
自宅での対処法と予防のためにできること
動物病院での診察に加え、日常生活のなかでもできる対処や予防が大切です。ここでは自宅で実践できるポイントを紹介します。
- 鼻血やくしゃみに対して、応急処置としてできることを教えてください
- 犬がくしゃみや鼻血を出した際には、まず騒がしい環境を避けて落ち着かせ、安静にさせることが重要です。鼻血が出ている場合は、出血している側の鼻を優しく押さえて止血を試み、冷たいタオルで鼻の周囲を軽く冷やすと効果的です。ただし、強く押し付けたり、綿を詰めたりすると鼻呼吸ができなくなり呼吸が苦しくなることがあるため注意が必要です。出血が続く、または繰り返す場合は、速やかに動物病院で診察を受けましょう。
- 自宅の清掃を定期的に行うことは、くしゃみや鼻血の対策になりますか?
- はい、アレルギー性鼻炎などの鼻炎による犬のくしゃみや鼻血の予防には効果的です。ハウスダスト、花粉、カビ、ダニ、タバコの煙、芳香剤などは鼻腔を刺激し、炎症やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。特に換毛期や季節の変わり目には室内にアレルゲンが溜まりやすくなるため、床やカーペットの掃除、空気清浄機の使用、こまめな換気を習慣づけましょう。日頃から空気環境を清潔に保つことで、症状の予防や再発防止に大きく貢献します。
- 空気清浄機の使用も対策となるのか教えてください
- はい、空気清浄機の使用は有効な対策です。空気中に含まれるハウスダスト、花粉、カビ、タバコの煙、アレルゲンなどを除去することで、犬の鼻腔への刺激を軽減し、くしゃみや鼻血の予防につながります。特にアレルギー体質や呼吸器が敏感な犬には効果が期待できます。フィルターの定期的な掃除や交換を行い、常に清潔な状態を保つことが大切です。使用環境に応じた適切な機種選びも考慮しましょう。
編集部まとめ
犬のくしゃみや鼻血は、一見軽い症状に見えても、鼻腔内の異常や全身性疾患など重大な病気が関係していることがあります。特に症状が続く、悪化する場合には早めの受診と検査が欠かせません。日頃から愛犬の様子を丁寧に観察し、室内の清潔を保つことが、予防と早期発見の鍵になります。飼い主さんの気付きと迅速な対応が、犬の健康と命を守るうえで大きな役割を果たします。