ミニチュアダックスフンドは、その愛らしい見た目と人懐っこい性格で人気の犬種です。そんななか、ミニチュアダックスフンドにトリミングは必要ではないと思っている方がいらっしゃいます。実際、トイプードルのように定期的に全身カットが必要な犬種ではありませんが、まったくお手入れが不要というわけでもありません。本記事では、ミニチュアダックスフンドのトリミングの必要性や頻度、かわいいカットスタイル、サロン選びのポイント、自宅でカットする方法と注意点まで解説します。
ミニチュアダックスフンドにトリミングは必要?

ミニチュアダックスフンドはトリミングがいらない犬種とされます。これは、毛が長く伸びにくいため、毛が伸びっぱなしになる犬種に比べて全身のカットは基本的に不要だからです。ここでは、なぜトリミング不要といわれるのか、その理由と、毛質ごとのお手入れの違い、最低限カットしたい部位、そしてオシャレ目的のトリミングを解説します。
ミニチュアダックスフンドはトリミングが不要といわれている理由
ダックスフンドの毛は定期的に毛が生え替わります。長毛種ではありますが、毛は一定の長さまで伸びると自然に抜け変わるため、とめどなく伸び続けることは少ないとされます。そのため、トリミングサロンで全身カットを頻繁に行う必要性は高くなく、基本的にはシャンプーやブラッシング中心のグルーミング犬種ともいわれます。
また、短毛であるスムースヘアーのダックスフンドの場合、そもそも毛量が少なく伸びにくいためカットの必要は少ないです。ロングヘアーやワイヤーヘアーであっても、プードルのように毎月毛先を整えないとボサボサになる犬種ではないことが、トリミング不要といわれる理由です。ただし、ブラッシングやシャンプーといった基本的なお手入れは必要であり、被毛が抜け替わる際のケアは欠かせません。
毛質によるトリミングの重要度の違い
ミニチュアダックスフンドには大きく分けてスムースコート、ロングコート、ワイヤーコートの3種類の毛質があります。毛質によって手入れの仕方やトリミングの重要度に違いが出てきます。
| 毛質タイプ | 特 徴 | お手入れ・注意点 |
|---|---|---|
| スムースヘアー | 短く滑らかで密な被毛 毛が伸び続けることはなく、身体にぴったり沿うような毛並み | 抜け毛処理やシャンプーは必要だが、基本的にカット不要 日常的なお手入れはブラッシングと汚れ拭き取りで十分 |
| ロングヘアー | やわらかく長めの毛で、耳・胸・お腹・脚に飾り毛がある 毛玉や汚れがつきやすい毛質 | 定期的なブラッシングが必須 飾り毛のトリミングや毛先を整えると清潔で美しく保てる |
| ワイヤーヘアー | 硬くごわついた剛毛で、眉毛や顎ひげのような毛が顔に残る | ブラッシングをより頻繫に行う 毛が伸びてゴワついた場合は、ストリッピングなど専門ケアが必要になることも 伸び方や毛質に応じてプロのトリマーに相談 |
このように、毛質に応じてトリミングの重要度が変わります。いずれの場合も、伸びっぱなしで困る毛ではないため全身カットの頻度は少なめですが、毛質ごとの適切なお手入れで健康と美しさを維持しましょう。
定期的な部分カットが必要な部位
全身の大がかりなトリミングは不要とはいえ、安全・清潔のために定期的にカットしておきたい部位があります。それが以下の部分です。
- 足先・肉球周り
- 肛門まわり・お腹
- 耳の周り
以上のような部分カットは、ミニチュアダックスフンドの毛質タイプを問わず必要になりうるケアです。月に一度くらいを目安に様子をみて、伸びてきたらカットしてあげるとよいでしょう。
おしゃれのためのトリミング
必須ではないとはいえ、「愛犬を可愛くカットしてあげたい」と考える飼い主さんもいらっしゃるでしょう。ミニチュアダックスフンドの場合、トイプードルのように毛量が多くふわふわした犬種ではないため、カットで劇的に見た目を変えるのは難しい犬種です。しかし、耳の毛や尻尾の毛をカットしてイメージチェンジすることは可能で、実際におしゃれ目的でトリミングする飼い主さんもいます。
ただし、ファッション性を重視した大幅なスタイルチェンジを行う場合は、被毛や皮膚への影響にも注意しましょう。被毛を極端に短く刈り込むと直射日光や紫外線の影響を受けやすくなることや、毛質が変化して元通り生えなくなる可能性もあります。おしゃれトリミングをする際は、犬の負担にならない範囲で、トリマーさんとも相談しながら行うとよいでしょう。
ミニチュアダックスフンドのシャンプーとトリミングの頻度

健康で清潔な被毛を保つには、適切な頻度でのシャンプーとトリミングが大切です。ここでは、ミニチュアダックスフンドに適したシャンプーの頻度とトリミングの頻度を解説します。
シャンプーの頻度
ミニチュアダックスフンドを含め、犬のシャンプーは月に1回程度行うとよいでしょう。シャンプーのし過ぎは皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥やフケ、かゆみなど皮膚トラブルの原因です。一方で、長期間洗わないと被毛がベタついて不衛生になったり、犬特有の体臭が強くなってしまうことがあります。
トリミングの頻度
ミニチュアダックスフンドの場合、全身のカット自体は頻繁に必要ありませんが、前述した部分的なカットは定期的に行うとよいでしょう。一般的な目安として、トリミングの頻度は1~1.5ヶ月に一度程度がよいでしょう。これは被毛の伸び方や個体差によっても異なるため、愛犬の毛の状態を見て調整してください。
ミニチュアダックスフンドの人気スタイル

基本的なお手入れだけでも十分かわいいミニチュアダックスフンドですが、せっかくならトリミングでおしゃれなスタイルを楽しみたいという飼い主さんもいるでしょう。ちょっとした工夫で印象を変えることは可能です。ここでは、ミニチュアダックスフンドに人気のカットスタイルを顔周り・胴周り・尻尾の部位別に解説します。
顔周りの人気スタイル
顔周りでは特に耳のカットスタイルによって印象が大きく変わります。ミニチュアダックスフンドのチャームポイントでもある垂れ耳を、生かしたりスッキリ見せたりする人気のスタイルは以下のようなものです。
- 耳の毛を一直線に切り揃えたスタイル(おかっぱカット)
- 耳の形に合わせて丸くカットするスタイル(ラインカット)
- 耳の飾り毛を根元からバリカンで短く刈り取ってしまうスタイル(サマーカット)
このほかにも、左右非対称に片耳だけ長さを変えるアシメカットなど個性的なアレンジもあります。ただし、アシメカットは高度な技術が必要で、毛質的にもダックスフンドでは難しい場合があります。トリマーさんと相談しながら、愛犬に似合う耳スタイルをみつけてください。
胴周りの人気スタイル
胴体部分のカットは、長さや刈り取り方で印象をガラリと変えることができます。毛量や毛質によってできるスタイルは限られますが、ダックスフンドで楽しまれている代表的なスタイルもあります。
- 全身の被毛をバリカンで短く刈り揃えるスタイル(サマーカット)
- ライオンのたてがみをイメージしたユニークなスタイル(ライオンカット)
- 背中の中央ラインだけ毛を残し、そのほかの背中や脇腹の毛を短く刈り上げるスタイル(ハイエナカット)
これらのカットスタイルは、見た目のかわいらしさだけでなく、季節や生活環境に合わせて快適に過ごすためにも役立ちます。毛量や皮膚の状態に応じてスタイルを選び、仕上げはプロのトリマーに相談するとよいでしょう。
尻尾の人気スタイル
尻尾のカットも、見た目と衛生面の両方で大切なポイントです。ダックスフンドの尻尾はもともと細長いですが、飾り毛が伸びるとほうきのように広がります。以下のようなスタイルで尻尾を整えると、可愛さとお手入れのしやすさがアップします。
- 尻尾の先端に毛の房を残し、根元から途中までの尻尾毛を短く刈るスタイル(ライオンカット)
- 桃の実のように丸く整えるカット(桃尻カット)
- 尻尾の毛を根元から先まで思い切って短く刈り上げてしまうスタイル(ツルツルカット)
尻尾のカットは、お尻の汚れ予防にも直結します。特に長毛の子は尻尾やお尻の毛が伸びすぎないよう、適度に整えてあげてください。どのスタイルにする場合も、愛犬が快適に過ごせることを第一に考え、嫌がる様子があれば無理に凝ったカットにしないことも大切です。
ミニチュアダックスフンドのトリミングサロンを選ぶポイント

ミニチュアダックスフンドのトリミングをプロに任せる場合、サロン選びも重要なプロセスです。安心して愛犬を預けられ、なおかつ仕上がりにも満足できるサロンを見つけるために、以下のポイントに注目しましょう。
ミニチュアダックスフンドのカット経験が豊富か
トリミングサロンやトリマーさんによって得意な犬種やカットスタイルは異なります。ミニチュアダックスフンドはトリミングの頻度こそ少なめですが、犬種特有の体型や毛質がありますので、できればダックスフンドの扱いに慣れたトリマーがいるサロンを選ぶとよいでしょう。
犬の負担を減らす対応(時間・環境・設備)が整っているか
トリミングはワンちゃんにとって数時間に及ぶこともある作業です。できるだけストレスや負担を減らしてくれるサロンを選びましょう。以下のような点を確認するとよいでしょう。
- 施術時間の配慮がある
- 清潔感のある店内、個室対応など環境の配慮がある
- 設備が整い、安全対策がとられている
事前カウンセリングを丁寧に行ってくれるサロンや、お店見学を受け付けているサロンもあります。愛犬に合いそうかどうか、遠慮せずに気になる点は質問しておくと、預ける際の不安が軽減します。
料金やオプション内容が明瞭か
トリミングサロンを利用するうえで、料金体系がわかりやすく良心的であることも大切です。料金を見る際のポイントは、基本コースに何が含まれているかと、オプション料金の設定です。例えば、毛玉料金や薬用シャンプー使用料など追加オプションがある場合、その料金が明示されているか確認しましょう。不明瞭な追加料金がなく、見積もりを事前に教えてくれるサロンだと信頼できます。
自宅でミニチュアダックスフンドのトリミングをする方法と注意点

プロのトリミングサロンに頼む以外にも、自宅で愛犬のカットに挑戦するという選択肢があります。ミニチュアダックスフンドは部分的なケアが中心のため、ポイントを押さえれば飼い主さん自身でもお手入れ可能です。ここでは、セルフトリミングの前に準備しておきたい道具、実際のカット手順、そして失敗しないための注意点を解説します。
セルフトリミングの前に準備する道具
まずは必要な道具を揃えることから始めましょう。以下のようなアイテムがあると、自宅でのトリミング作業が安全かつスムーズに行えます。
- コームとブラシ
- ペット用のトリミングハサミ
- バリカン(電動バリカン)
- 爪切り・ヤスリ
これらがトリミングを行う際に必要な道具ですが、そのほかにも切った毛が飛び散らないよう敷くビニールシートや新聞紙、毛くずをコロコロする粘着ローラーなどもあると後片付けが楽です。ご褒美としてのおやつや保定用の補助リードも用意しておくとよいでしょう。
セルフトリミングの方法
道具が揃ったら、実際に自宅トリミングを始めてみましょう。以下は基本的な手順とポイントです。
- トリミングする環境を整える
- カット前に全身をブラッシングする
- 犬を環境に慣らす
- 足裏・足周りのカット
- 肛門周り・お腹のカット
- 耳周りのカット
- 全体のバランスを見て、足りないところを整える
作業中は優しく声掛けし、合間に褒めたりおやつを与えたりしてワンちゃんの不安を和らげてください。慣れないうちは全部いっぺんにやろうとせず、今日は足周りだけ、明日は耳だけというように分けて行っても構いません。
セルフトリミングの注意点
自宅でカットをする際には、いくつか気をつけるべきポイントがあります。愛犬の安全を最優先に、無理のないセルフトリミングを心がけましょう。
- もし愛犬が嫌がって暴れるようなら無理をしない
- 犬の表情・体調に留意する
- 仕上がりの完璧さを求めすぎない
- ケガ・皮膚トラブルの早期発見に取り組む
セルフトリミングは経済的で飼い主とのスキンシップにもなりますが、愛犬の安全と快適さが何より大事です。無理せず楽しくお手入れすることで、ワンちゃんに慣れてくれるでしょう。デザイン重視のトリミングはプロに任せ、日々のケアの延長として自宅カットを取り入れてみてください。
まとめ

ミニチュアダックスフンドは基本的に全身トリミングが不要な犬種です。ただし、健康と清潔を保つためには、足裏や肛門周り、お腹、耳まわりなどの部分カットが欠かせません。月1回程度のシャンプーと日々のブラッシングで、皮膚トラブルやニオイを防ぎましょう。耳や尻尾の毛を整えるだけでも印象が変わり、おしゃれも楽しめますが、短くしすぎると皮膚に負担がかかるため切り過ぎに気をつけましょう。サロンを利用する際はダックスに慣れたトリマーを選び、自宅では安全に配慮してケアを行うことで、清潔で快適な毎日を保てます。
参考文献
