トリミング後にペットの元気がないときに考えられる原因や受診目安をわかりやすく解説!

トリミング後にペットの元気がないときに考えられる原因や受診目安をわかりやすく解説!

トリミングの後にペットが元気をなくしたり、食欲が落ちたりすると、多くの飼い主は心配になるでしょう。

実は、トリミングは見た目を整えるだけでなく、環境の変化や施術の刺激によって心身に負担がかかることもあります。

この記事では、トリミング後に元気がなくなる主な原因や自宅での様子の見守り方、動物病院を受診すべきサインなどをわかりやすく解説します。

大切なペットの健康を守るために、飼い主として知っておきたいポイントをしっかりチェックしておきましょう。

トリミング後にペットの元気がないときに考えられる原因

犬のケアをする女性

トリミング後にペットの元気がない場合、その原因はさまざまです。慣れない環境での緊張や長時間の立ち姿勢による疲れ、シャンプーやバリカンによる皮膚への刺激などが影響していることもあります。

また、体調不良や持病が隠れているケースもあるため注意が必要です。ここでは、考えられる原因をいくつかの視点から詳しく見ていきましょう。

環境でのストレス

トリミングサロンは、ペットにとっていつもと違う匂いや音、人の気配などがある特別な環境です。慣れない空間やほかの動物の存在、ドライヤーやバリカンの音に驚いて緊張してしまう子も少なくありません。

特に繊細な性格の子は、サロンに行くだけでも強いストレスを感じ、帰宅後にぐったりしたり静かになったりしてしまうことがあります。

こうしたストレスは一時的なことがほとんどです。トリミングの前後では優しく声をかけ、安心感を持てる環境で休ませてあげることで、少しずつ落ち着きを取り戻せるでしょう。

長時間のトリミングによる疲労

うとうとする犬

トリミングは毛のカットやシャンプー、ブロー、爪切りなどを含むため、1~3時間ほどかかることがあります。

その間ペットは立ち続けたり、同じ姿勢を保ったりすると、意外に体力を消耗します。特に小型犬や高齢の犬、持病を抱えている犬は疲れが出やすく、帰宅後にぐったりして寝てしまうことも珍しくありません。

無理に遊ばせたりせず、静かで涼しい場所でゆっくり休ませてあげましょう。疲労が翌日まで続くようなら、体調が悪いところがないか注意して見守ることが大切です。

暑さや寒さ、水分不足などの体調不良

トリミング中はドライヤーの熱や冷房の風など、温度変化が起きやすい環境にさらされます。

暑さで体温が上がりすぎたり、逆に冷えすぎたりすると、体調を崩す原因になります。また、緊張や興奮で水をあまり飲めず、軽い脱水状態になることも少なくありません。

帰宅後に舌が乾いている、また呼吸が荒い場合は水を与え、体温を整えてあげることが大切です。数時間たっても元気が戻らない、食欲がないなどの症状がある場合は、早めに動物病院に相談しましょう。

ケガや皮膚トラブルの可能性

チワワのシャンプーを洗面所で行う

トリミング中にバリカンやハサミがお肌に当たって小さな傷ができたり、シャンプーが合わずに皮膚が赤くなったりすることがあります。

帰宅後にペットが体をしきりに舐め、かゆがるような仕草をしているときは注意が必要です。

また、肉球や耳の周りなど、見えにくい部分に異常があるケースもあります。軽い擦り傷なら自然に治ることもありますが、出血や腫れ、膿が見られるときは早めに受診しましょう。

皮膚トラブルを防ぐためには、事前にお肌の状態やアレルギーをトリマーに伝えておくことも大切です。

変化による違和感

トリミング後は毛の長さや手触り、においが変わるため、ペット自身が違和感を覚えることがあります。

自分の体の感覚や匂いが変わることで落ち着かず、しばらく元気がないように見えることも珍しくありません。

また、首輪や服のフィット感が変わり、違和感を覚えている場合もあります。いつもより神経質になっているときは、静かに安心感を持てる時間を与えてあげましょう。

トリミング後にみられる一時的な変化の特徴

犬(ペット)を抱っこするトリマーの女性

トリミング後にペットの様子がいつもと少し違うと感じることは珍しくありません。これは多くの場合、一時的な変化であり、環境の変化や疲れによる自然な反応です。

ここからは、よく見られる3つの一時的な変化を紹介します。

食欲が落ちる

トリミングの後は、緊張や疲れによって一時的に食欲が落ちることがあります。慣れない環境でのストレスや疲労で、帰宅後は食べるより休みたいと感じている場合も少なくありません。

無理に食べさせようとせず、まずは静かな場所でリラックスさせてあげましょう。半日から1日ほどで徐々に元気と食欲が戻るケースがほとんどです。

ただし、24時間以上食欲不振が続き水も飲まない場合は体調不良の可能性もあるため、早めの受診を検討しましょう。

よく眠る

ミニチュアダックスフンドの寝姿

トリミング中は、じっとしているだけでも意外と神経を使い、心身ともに疲労がたまります。そのため、帰宅後にぐっすり眠るのは自然な反応です。

慣れない場所で緊張し続けたぶん、自宅に戻って安心感を得ると一気に眠気が訪れます。いつもより長く寝て動きが鈍いように見えても、しっかり休めば翌日には元気を取り戻すことがほとんどでしょう。

無理に起こさず、静かな環境で十分に休ませてあげることが大切です。睡眠が長引き、反応が鈍いと感じる場合は体調の変化も考慮しましょう。

甘えや警戒行動が強くなる

トリミングの後に飼い主にべったり甘えて離れなくなる子もいれば、逆に少し警戒して距離を取るように見える子もいます。

これはどちらも、ストレスや環境変化に対する自然な反応です。甘える行動は安心感が欲しいという気持ちの表れであり、警戒行動はまだ落ち着かないというサインになっています。

無理に構うより、ペットのペースに合わせてそっと寄り添ってあげましょう。数時間〜1日ほどでいつもの性格に戻ることが多いため、焦らず見守ることが大切です。

注意が必要な症状と動物病院を受診すべきサイン

犬をブラッシングする獣医さん

トリミング後に元気がない場合は、多くが一時的な疲れやストレスによるものです。しかし呼吸が荒い、皮膚が赤い、動かないなどの症状が見られるときは体調不良やケガが隠れている可能性があります。

小型犬や高齢の子ほど悪化が早いため、異変を感じたら早めの受診が大切です。ここでは、注意すべき具体的なサインを紹介します。

呼吸が荒い、震えている

帰宅後に呼吸が荒い、体が震えているなどの症状がある場合、強いストレスや痛み、発熱などが原因の可能性があります。

トリミングの緊張が長く続くと一時的に震えることもありますが、安静にしてもおさまらない場合は注意が必要です。

特に、呼吸が速い、苦しそう、舌の色が紫がかっているときは、酸素不足やショック状態の可能性もあります。

そのような場合はすぐに動物病院へ連絡し、医師の指示を仰ぎましょう。冷暖房を適切に調整し、体を安静に保つことも大切です。

皮膚の赤みや腫れ

おとなしく毛を刈られる犬

バリカンやハサミが皮膚に当たったり、シャンプーやリンスの刺激で炎症を起こしたりすることがあります。

皮膚が赤くなり、腫れて熱をもっている場合は、細菌感染やアレルギー反応の可能性も考えられます。

放置するとかゆみや痛みが強まり、ペットが掻き壊して悪化させることも少なくありません。特に首まわりやお腹、足の付け根などは要チェックしましょう。

清潔を保ちつつ自己処置は避け、獣医師に診てもらうのがおすすめです。薬で炎症を抑えれば、数日で改善するケースも多くあります。

触るのを嫌がる

いつも触らせてくれる場所に触れようとしたときに、唸るや逃げる、体を硬くするなどの反応が見られる場合、どこかに痛みがあるかもしれません。

バリカンによる擦り傷や筋肉のこわばり、関節への負担などが考えられます。特定の部位をかばうような歩き方をしていたら、筋肉痛や打撲の可能性もあるでしょう。

むやみに触ると痛みが悪化することもあるため、無理に確認せず、落ち着いて動物病院で診てもらうのがおすすめです。早期に原因を特定すれば、回復も早くなります。

嘔吐や下痢、血尿がある

トリミングによるストレスや緊張で胃腸の動きが乱れ、軽い嘔吐や下痢が起きることがあります。

しかし、何度も吐く、血が混じる、下痢が続く、水も飲まないといった場合は要注意です。脱水症状や内臓疾患、感染症の可能性もあります。

また、血尿が見られる場合は泌尿器系のトラブルが疑われ、放置すると悪化するおそれがあります。これらの症状が見られたときは、時間を置かずに動物病院を受診しましょう。

ぐったりして起き上がれない

キャバリア

トリミング後にぐったりして動かない、立ち上がるのを嫌がるといった状態は、体力の消耗や痛みだけでなく、熱中症やショック症状の可能性もあります。

特に、息が荒く、体が熱い、冷たいなどの変化を伴う場合は緊急性が高いサインです。自宅で様子を見るのは危険なので、すぐに動物病院へ向かいます。

搬送中は涼しく静かな環境を保ち、無理に立たせたり食べさせたりしないようにしましょう。早い処置が命を守ることにつながります。

元気が戻らない、食欲がない状態が2日以上続く

トリミング直後の一時的な疲れなら、多くは1日以内に回復します。しかし、2日以上経っても元気が戻らない場合は、体調不良が隠れている可能性が高いです。

トリミング中の疲労がきっかけで持病が悪化したり、感染症や炎症を起こしていたりするケースもあります。

少しでもおかしいと感じたら、早めに病院で診察を受けましょう。早期発見と治療が回復を早め、再発防止にもつながります。

トリミングでのペットの負担を軽減するための対策

愛犬と遊ぶ女性

トリミングは見た目を整える大切なケアですが、ペットにとってはストレスを感じやすい時間でもあります。

できるだけ安心感をもって過ごせるように、飼い主ができるサポートや事前準備を行いましょう。以下のポイントを意識することで、トリミングが怖い時間から気持ちのいい時間へと変わるはずです。

トリマーとのコミュニケーションと信頼関係の構築

トリマーとの信頼関係は、ペットの安心感にも直結します。ペットの性格や苦手なこと、普段の様子を丁寧に伝えることで、より丁寧な対応をしてもらえるでしょう。

また、トリマーからの報告やアドバイスにも耳を傾けることで、次回以降のトリミングもスムーズになります。

飼い主とトリマー、ペットの三者が信頼し合うことで不安が軽減され、より快適にトリミングを受けられるようになります。

事前のサロンの見学

初めて利用するサロンでは、事前に見学して雰囲気を確認しておくと安心感を得られます。店内の清潔さやスタッフの対応、ほかのペットの様子などを観察し、落ち着いた環境かどうかを見極めましょう。

可能であればペットも一緒に連れて行き、匂いや音に慣れさせるのも効果的です。見慣れた場所として記憶しておくことで、当日の不安や緊張を軽減できます。

短時間コースや慣らしコースを利用

ペットサロンで爪を切る女性

トリミングに慣れていない子や怖がりな性格の子には、いきなりフルコースよりも短時間で終わる慣らしコースがおすすめです。

爪切りやブラッシングなどの軽いケアから始めて、少しずつトリミングに慣らしていくことで、ストレスを減らせます。

初回から無理をさせず、ここは怖くない場所と覚えさせることがポイントです。サロンによっては段階的なコースを用意している場合もあるので、相談してみましょう。

おやつやおもちゃ持参でリラックスさせる

ペットの緊張を和らげるために、普段使っているおもちゃやお気に入りのおやつを持参するのも効果的です。

自分の匂いがついたものがそばにあるだけで安心感が生まれます。サロンによっては持ち込みが制限されている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

トリミング中におやつを与えることで、ペットに頑張ったらご褒美がもらえるというよいイメージを持たせることができ、次回以降の不安を減らすことにつながります。

帰宅後はたっぷり褒めて安心させる

トリミングを頑張った後は、たくさん褒めて声をかけてあげましょう。優しく撫でたり、お気に入りのおやつを与えたりすることで、トリミングがうれしい体験と結びつけられます。

帰宅後は疲れていることも多いので、静かな環境でゆっくり休ませることも大切です。トリミング後のフォローが次回のストレスを大きく減らし、ペットとの信頼関係を深めるきっかけにもなります。

トリマーに持病や気になる症状を伝えておく

愛犬と遊ぶ女性

ペットに持病がある場合や、最近少し元気がないなど気になる点があるときは、必ずトリマーに伝えておきましょう。

関節の痛みや皮膚疾患、心臓病などがある場合、施術中の体勢や作業内容を工夫してもらえることがあります。

無理な姿勢や長時間の作業を避けるだけでも、体への負担は大幅に減ります。トリマーが状況を把握していれば、異変にもすぐ気付けるため、トラブル防止にもつながるでしょう。

シャンプー剤や皮膚アレルギーの有無を共有する

ペットのなかには、特定のシャンプー成分や香料にアレルギー反応を示す子もいます。過去に皮膚が赤くなったり、かゆがったりした経験がある場合は、必ずトリマーに伝えましょう。

サロンによっては、家庭で使用しているシャンプーを持ち込めるほか、低刺激や無香料のシャンプーを選べる場合もあります。

こうした情報を共有しておくことで、トリミング後の皮膚トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

ペットサロンでお手入れ

トリミング後にペットの元気がないと感じたときは、まず環境の変化や疲労による一時的な反応かどうかを見極めましょう。

多くの場合は休息で回復しますが、呼吸の乱れや嘔吐、ぐったりして動かないなどの症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

日頃からトリマーとの信頼関係を築き、持病や体質、使用するシャンプーの情報を共有しておくことも大切です。

トリミングを怖い時間ではなく快適なケア時間にするためには、飼い主のサポートと愛犬の様子の観察が欠かせません。

ペットが発する小さなサインを見逃さず、心身ともに安心感を持てるトリミング習慣を整えていきましょう。

参考文献