犬が問題行動を起こすと、周囲への影響は小さくなく、飼い主としては何とか改善したいと考えるものです。そこで頼りになるのが犬のしつけ教室ですが、実際にプロのサポートを受ければ、問題行動を改善することができるのでしょうか。今回はしつけ教室で取り組む問題行動改善トレーニングをテーマに、しつけ教室へ通うメリットや、押さえておきたい注意点などの情報をまとめました。犬が問題行動を起こす原因から、順を追って解説を加えるので、ぜひ参考にしてください。
犬が問題行動を起こす原因と対処法
まずは、犬の問題行動とはどのようなものなのか、その概要を押さえましょう。問題行動が起こる原因についても理解を深めると、飼い主としてどう対処すればよいのか、見えやすくなります。
- 犬の問題行動には、どのようなものがありますか？
- 犬の問題行動とは、飼い主や周囲の人たちを困らせる行動のことであり、具体的例としては、攻撃的な行動や無駄吠え、トイレの失敗などが挙げられます。加えて、音への過剰な恐怖反応や、極端に臆病であること、自傷行為なども、問題行動の一種です。犬にとっては自然な行動であっても、飼い主が対応に苦慮したり、日常生活に支障が出たりするようであれば、問題行動ととらえられます。人と犬がうまく共存するためにも、問題行動を改善することが重要です。
- 犬が問題行動を起こす理由を教えてください
- 犬は環境の変化や運動不足、孤独や退屈から来るストレスを感じているときや、飼い主の意思が理解できないことや、主従関係が逆になっているときなどに、問題行動を起こします。また、自分のテリトリーを守ろうと攻撃的になることも、問題行動が起きる理由と考えられます。
- 問題行動が見られたら、どう対応すべきですか？
- 問題行動が見られると、つい感情的になってしまいますが、頭ごなしに叱りつけたり、体罰を加えたりすれば、犬が飼い主のことを恐ろしい存在と認識し、問題行動がエスカレートする可能性もあります。問題行動を叱るよりも、正しい行動が取れたら褒めてあげることを繰り返してください。根本的なところで、犬がストレスを感じづらい環境を整えてあげることも必要です。
問題行動を起こす犬がしつけ教室に通うメリット
問題行動の対処法をお伝えしましたが、飼い主が家庭で実践するとなると、なかなか難しい面があるのも事実です。ここでは、問題行動を起こす犬をしつけ教室へ通わせるメリットについて、詳しく説明します。
- しつけ教室では、どのような問題行動が改善できますか？
- 無駄吠えに関しては、犬が吠える理由を探り、不安を軽減する環境づくりや社会化トレーニングの実施によって、改善を試みます。また、噛み癖がある場合には、噛まれない状況をつくることが大事です。そのために犬が一人で落ち着ける環境をつくることや、飼い主が構い過ぎないこと、無理にケアしないことを心がけましょう。また、飼い主が主導権をもって散歩したり、十分な運動をさせることも効果的です。その他にも、トイレの失敗や、散歩中の引っ張りなどの改善が期待できます。なお、問題行動は飼い主の対応が一因であるケースも見られるため、飼い主と犬がともに学んで成長していくことがポイントとなります。
- しつけ教室に通えば、問題行動はすぐに改善されますか？
- 過去のトラウマによって問題行動が引き起こされている場合や、成犬になった後に長期間その行動を繰り返していた場合には、問題が根深く、すぐに変化が見られないことも少なくありません。しつけ教室で行うトレーニングだけでは十分でなく、家庭での接し方や生活環境の見直しを迫られる可能性もあるでしょう。飼い主が適切な対応を取れるかどうかも、改善のスピードに大きく影響します。その犬に合った効果的なトレーニングが継続されなければ、しつけ教室に通っても、改善までに長い時間を要したり、改善自体ができなかったりすることも考えられます。
- 自宅で飼い主が行うしつけとの違いを教えてください
- 飼い主が自宅において自己流で行うしつけとは違い、しつけ教室に通えば、プロのトレーナーによる正しい知識に基づいたしつけを受けることができます。犬だけでなく、飼い主がしつけのポイントを教示してもらえるのもメリットです。しつけ教室におけるほかのペットとの交流が、犬の社会化を促進することにもつながります。さらに、客観的な視点からのアドバイスにより、問題行動の改善を阻害していると思われる、生活習慣などを見直すこともできるでしょう。このように、しつけ教室にて行われるトレーニングの効果は、自宅でしつけを進めたときとは大きく異なります。
しつけ教室で問題行動の改善に取り組むときの注意点
さまざまなメリットがあるしつけ教室ですが、誤った利用の仕方をすると、逆効果にもなりえます。おわりに、しつけ教室で問題行動の改善に取り組むときの注意点についても、確認しておきましょう。
- 愛犬に合ったしつけ教室の選び方を教えてください
- 一口にしつけ教室といっても、その方針や教えている内容はさまざまです。教室を選ぶときには、愛犬の性格や行動パターンを考慮に入れたうえで、プログラムやトレーニングの進め方などに目をとおし、ニーズに応じた施設へ通うようにしましょう。
- しつけ教室で問題行動が悪化するケースもありますか？
- 施設の方針やトレーニングの方法が合っていないと、せっかくしつけ教室に通っても、問題行動が悪化するケースがあります。飼い主とトレーナーの連携がうまく取れないというのも、しつけ教室が逆効果になる一因です。加えて、シンプルにトレーナーの技術や経験が不足しているときも、問題行動の改善は難しいでしょう。しつけ教室でのトレーニングを失敗に終わらせないためにも、慎重に施設を選ぶことが大切です。
- しつけ教室に通うことは犬の負担になるのか教えてください
- しつけ教室は、犬に対してさまざまな刺激をもたらします。特に見知らぬ場所やほかのペットに慣れていない犬の場合、しつけ教室に通うことは少なからず負担となりえるでしょう。結果として、しつけの効果が得られないばかりか、体調不良に陥る可能性も否定できません。通学や長時間のトレーニングにより、心身ともに疲労が蓄積されることも考えられます。もし、愛犬にストレスの兆候が見られたら、トレーニングの内容や教室に通う頻度を調整するなどして、過度な負担を強いらないように配慮してあげてください。
- プロに任せると決めたら、飼い主はしつけに介入しない方がよいですか？
- しつけ教室に通い始めたら、しつけはトレーナーに一任すべきと考える方もいるかもしれませんが、それは間違いです。しつけ教室での学びは、日常生活のなかで実践してこそ定着しやすくなります。トレーナーに教わったことを教室内で完結させるのではなく、家庭においても同じルールやコマンドを使い、練習を繰り返しましょう。その際には、家族全員が同じ方法で対応するように気を配ると、犬は混乱することなく正しい行動を身に付けていきます。
編集部まとめ
愛犬の性格や行動パターンを見極めたうえで、相性のよいしつけ教室に根気よく通えば、根深い問題行動も改善する確率が高まります。一方で、合わない施設を利用すると、問題行動が悪化してしまう恐れもあるため、しつけ教室選びは慎重に進めてください。しつけ教室においては飼い主もともに学び、トレーニングの内容を家庭で実践することが大切です。一人で悩まず、必要に応じてしつけ教室のサポートを受けることで、愛犬とより健やかな日々を送りましょう。
