犬が怪我や病気をしたときの動物病院に行くべき目安やよくある怪我や病気について徹底解説

飼い犬が怪我をしたとき、病院に連れていくべきなのか悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では犬が怪我をしたとき動物病院に行くべき目安について、以下の点を中心に解説します。

  • 犬に多い怪我とは
  • 犬が怪我をしたときに病院に行くべき目安
  • 犬の怪我を防ぐ方法

犬が怪我をしたときの動物病院に行くべき目安について理解するためにもご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬に多い怪我とは

まず、犬がしやすい怪我にはどのようなものがあるでしょうか。

骨折・脱臼

犬によく見られる怪我のひとつに骨折・脱臼があります。主に、階段やベッドなどの高い場所からの飛び降りや転倒によって引き起こされます。

小型犬は骨が細く、日常生活の思わぬ場面で骨折や脱臼が起こりやすいため、注意が必要です。
骨折や脱臼が疑われるサインは、脚を浮かせて歩く、患部を引きずる、歩き方に違和感があるなどの行動が見られます。

こうした症状に気付いたら、すぐに犬を安静にさせ、無理に動かさないようにしながら動物病院を受診しましょう。
診察では必要に応じて包帯やギプスによる固定のほか、手術をすることもあります。回復には安静が重要です。

骨折や脱臼予防のためには、犬が高い場所から飛び降りないような環境づくりが大切です。また、日頃からバランスの取れた食事で骨を丈夫に保つことも、怪我のリスクを下げるのに役立ちます。

誤飲・誤食

誤飲・誤食は、日常生活のなかで起こりやすい重大なトラブルのひとつです。特に子犬や、好奇心旺盛な犬は注意が必要です。家庭内のおもちゃやゴミ、危険な植物、さらにはタバコの吸い殻や竹串などを誤って飲み込むことで、消化管の閉塞や中毒、穿孔(腸に穴が空く)などの深刻な症状を引き起こすことがあります。

誤飲によって現れる症状はさまざまで、嘔吐、下痢、食欲不振、身体の震え、ぐったりするなどが見られます。これらの症状が現れた場合は、すぐに動物病院の受診が大切です。

誤飲・誤食の治療方法は異物の種類や場所によって異なり、催吐剤の使用や内視鏡による除去、さらに重症例では開腹手術が必要となることもあります。

誤飲・誤食を予防するには、犬が誤食する可能性のあるものを置かない、キッチンやゴミ箱をしっかり管理するなどの環境づくりが重要です。
日頃からの注意が、犬の健康を守る第一歩となります。

やけど

やけどは見落とされやすい怪我の一つですが、骨折や脱臼と同様に注意が必要です。例えば、散歩中のやけどが挙げられます。夏場のアスファルトは大変高温になるため、肉球をやけどすることがあります。

また冬場は、こたつやストーブなどの暖房器具に近付き過ぎることで、皮膚にやけどを負ってしまうケースもあります。

犬は全身が毛に覆われているため、外見だけではやけどに気付きにくく、特定の部位を気にして舐める、触ると嫌がる、局所的に抜け毛が増えるなどの異変がサインになります。

やけどを負った犬は痛みにより攻撃的になることもあるため、扱いには注意が必要です。もし、犬がやけどをしている可能性がある場合は、氷水などで患部をしっかりと冷やしてあげましょう。

皮膚疾患

犬によく見られる皮膚疾患は、アレルギー、寄生虫、真菌・細菌感染、内分泌の異常など、さまざまな原因によって引き起こされます。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、耳ヒゼンダニなどによる皮膚のトラブルは頻繁に見られ、外耳炎と並んで注意すべき症状のひとつです。

発疹や脱毛などの目に見える異常、あるいは犬が頻繁に身体を掻いたり舐めたりする行動があれば、皮膚疾患のサインと考えられます。放置しておくと炎症が悪化し、慢性化することもあります。

治療には、抗生物質やアトピー用の内服薬、抗菌シャンプー、食事療法などが用いられます。

皮膚疾患の予防には、定期的なブラッシングやシャンプーで清潔を保つことや、ノミ・ダニなど寄生虫の予防が重要です。

また、脂肪分や添加物の多いおやつは皮膚トラブルの原因となることもあるため、食生活の管理にも気を配ることが大切です。

消化器疾患

消化器疾患は、不適切な食事やストレス、誤飲・誤食などが原因で起こることが多いとされ、日常生活のなかでも十分に注意が必要です。

消化器疾患の主な症状は、下痢や嘔吐が挙げられ、放っておくと脱水症状や体調悪化を引き起こす可能性もあります。

これらの症状の背後には、寄生虫感染や食中毒、ウイルス感染、腎・肝疾患、さらには腫瘍や自己免疫疾患など、さまざまな病気が隠れていることもあります。

なかでも膵炎は注意が必要な疾患で、急性膵炎では激しい腹痛、繰り返す嘔吐、下痢などが見られ、命に関わることもあります。
慢性膵炎になると、長期的な下痢や原因不明の食欲不振が続くことがあります。

さらに、消化器疾患のサインとして、「ぺろぺろと舌を出す」「生あくびが多い」「祈りのポーズをとる」「震える」などの行動が見られることもあります。

犬の消化器疾患を予防するためには、栄養バランスの取れた食事を与えること、過食や高脂肪食を避けること、ストレスを軽減して生活環境を整えることが大切です。

異変に気付いたら早めに動物病院を受診しましょう。

外耳炎

外耳炎は、耳の入り口から鼓膜までの外耳に炎症が起きる病気で、アトピー性疾患やマラセチア菌の増殖、耳の汚れや寄生虫などが原因となります。なかでもマラセチア菌によるものは繰り返し発症しやすく、放置すると耳道が狭くなり、慢性化する恐れもあります。

犬の外耳炎の主な症状は、頭をしきりに振る、首をかしげる、耳の後ろを掻いて出血する、耳から異臭や分泌物が出るなどの行動が見られます。
強いかゆみや痛みにより、犬がイライラし攻撃的になることもあるため注意が必要です。

外耳炎の治療には点耳薬や内服薬が使われ、症状に応じた継続的なケアが求められます。
予防のためには、耳を定期的に清潔に保つことが重要です。

ほかの犬に噛まれる

散歩中やドッグラン、公園などでほかの犬に噛まれてしまった場合、噛まれた傷が一見小さくてもきちんと処置しましょう。
内部で組織が損傷していたり、細菌感染を起こすリスクがあり、放置すると化膿や重篤な状態に進行することもあります。

まずは傷口を清潔な水で洗い流し、出血がある場合は止血を行いましょう。
その後はできるだけ早く動物病院で診察を受け、必要に応じて抗生物質などの治療を受けることが大切です。

さらに、ご自身の愛犬が狂犬病のワクチンを打っていれば基本的には問題ありませんが、自治体によっては人が犬に噛まれた場合、犬の飼い主は保健所に届け出を出し、犬に狂犬病の疑いがないか受診させる必要があります。噛まれたのが犬であればそこまでする必要はありませんが、狂犬病のワクチンの確認をしておくと安心です。

こうした事故を防ぐためには、飼い主の方が愛犬の行動を見守り、ほかの犬との接触時には注意を払うことが必要です。
また、愛犬自身が加害者になってしまうケースもあるため、日頃からのしつけや社会性を育てる訓練も重要です。

リードの使用や相手の犬との距離感を保つことで、予期せぬトラブルに備えましょう。

犬が怪我をした際に動物病院に行くべき目安

以下のような状態が見られたら、動物病院へ行くことをおすすめします。

  • 傷口が大きく、圧迫しても出血が止まらない
  • 出血量が多く、血が滴っている
  • 骨折や脱臼が疑われる(足を浮かせている、歩けないなど)
  • 交通事故や高所からの落下などで頭や体を強く打っている
  • 意識がない、またはぐったりして動かない
  • 咬傷や傷口が化膿している
  • 強い痛みで触ると嫌がる、攻撃的になる
  • 食欲がなく、行動に明らかな異常がある

上記の症状が見られたら、自己判断せず、速やかに動物病院に相談してください。

動物病院に連れて行くまでの対処

犬が怪我をした場合、動物病院に連れて行くまでに必要な対処法は以下のとおりです。

【外傷(切り傷・咬傷・擦り傷など)の場合】

  • ぬるま湯または常温の水で傷口を優しく洗う
  • ペットボトルなどで弱い水流を使い、汚れや血を流す
  • アルコール消毒は使わず、清潔なガーゼなどで覆う
  • 傷が深い、出血が止まらない場合はすぐに動物病院へ

【骨折・脱臼が疑われる場合】

  • 患部を動かさないように安静を保つ
  • 添え木やタオル、包帯で優しく固定(関節ごと包む)
  • 固定の際は締めすぎないようにして血流を確保
  • 無理に歩かせず、体勢を崩さないよう運ぶ

【やけどの場合】

  • 氷水や冷たい水で患部をゆっくり冷やす(直接氷は避ける)
  • 10〜15分程度冷却
  • 痛がって触れない場合は無理をせず早めに病院へ

【誤飲・誤食の場合】

  • 吐かせようとしたり、背中を叩いたりしない
  • 飲み込んだ物がわかれば持参して動物病院へ
  • 症状がなくてもすぐに獣医師に相談する

上記のような状態がある場合、犬を無理に動かさず、落ち着ける静かな場所で安静にさせましょう。また、優しい声がけで犬を安心させてあげるのもおすすめです。

また、暑さや寒さに気をつけ、快適な環境を整えたり、移動中は楽な体勢を保ち、なるべく犬を揺らさずに運ぶことも大切です。

犬の怪我を防ぐ方法

犬の怪我を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか、以下で解説します。

ラグやマットを敷く

フローリングやタイルなどの滑りやすい床は、犬が足を滑らせて転倒し、骨折や脱臼などの怪我を引き起こす原因になります。

活発な犬やシニア犬、関節の弱い犬にとっては、日常の歩行がリスクにつながることもあります。そのため、ラグや滑り止めマットを敷いて対策するのがおすすめです。

ラグやマットで滑りにくい環境を整えると、転倒や滑落による怪我を予防できます。また、床の冷えを防ぎ、冬場の寒さ対策にも役立ちます。

リビングや廊下、段差のある場所など、犬がよく通る場所にラグやマットを敷くと効果が期待できます。

飛び降りを防ぐ

犬の怪我を防ぐうえで、家のなかでの「飛び降り・落下」は注意が必要です。階段やソファ、ベッドなどの高い場所からの飛び降りは、小型犬や高齢犬にとって骨折や脱臼などのリスク要因となります。

対策として、階段にはペット用のゲートを設置し、犬が自由に昇り降りできないようにしましょう。
また、高い家具には登らせないよう工夫し、必要に応じてステップを設けることも有効とされています。

散歩中目を離さない

散歩は犬にとって大切な運動と気分転換の時間ですが、その一方で思わぬ怪我や事故のリスクも潜んでいます。

散歩中に犬から目を離してしまうと、拾い食いによる誤飲・誤食や、鋭利な物を踏んでのけが、ほかの犬との接触による咬傷事故などが起こる可能性があります。

タバコの吸い殻やプラスチック片など、人間にとっては些細なゴミでも、犬にとっては命に関わる危険物になることがあります。

また、犬が夢中になって歩いているうちに、車道へ飛び出してしまうリスクもあります。これは飼い主の方のリードさばきと、注意力が大きく関わってくる場面です。
散歩中は愛犬の動きだけでなく、周囲の環境やほかの動物、通行人にも気を配り、安全を意識することが大切です。

さらに、ほかの犬との接触も注意が必要です。相手の犬の性格や体調はわからないため、むやみに近づけず、様子を見て距離を保つことが大切です。

散歩中は、ただ歩くだけでなく、飼い主としての観察力と判断力が問われる大切な時間でもあります。

危険な家具や家電に近づけないようにする

犬を怪我から守るためには、家のなかにある危険な家具や家電に近づけない工夫も必要です。

寒い季節には、こたつやストーブなどの暖房器具に犬が近づきすぎて、やけどをしてしまうリスクがあります。柵やペット用ゲートを使って距離を保ち、直接触れられないようにしましょう。

また、キッチンや階段も事故が起こりやすい場所です。犬用ゲートで立ち入りを防ぐとともに、普段から危険な場所には近づかないようしつけをしておくことも大切です。

蓋つきのゴミ箱を使う

犬の誤飲・誤食事故は、ゴミ箱をあさったことがきっかけで起こることがあります。
生ゴミや食べ残しが入っているゴミ箱は、強い匂いで犬の興味を引いてしまいがちです。鋭い嗅覚を持つ犬は、わずかな匂いでもすぐに反応し、中の物を食べようとする可能性があります。

このような事故を防ぐためには、簡単に開けられない蓋つきのゴミ箱を使うことがおすすめです。
中身が見えない構造のものや、ロック機能がついたタイプを選ぶと、さらに安心でしょう。

また、ゴミ箱の設置場所にも工夫をしましょう。
キッチンやダイニングのように食べ物の匂いがしやすい場所では、犬が届かない位置に置く、あるいは扉のなかに収納するなどの対策がおすすめです。

普段何気なく使っているゴミ箱も、犬にとっては思わぬ危険のもとになります。
日頃から身の回りの環境を見直し、愛犬を守るよう心がけましょう。

まとめ

ここまで、犬が怪我をしたとき動物病院に行くべき目安についてお伝えしてきました。犬が怪我をしたときの動物病院に行くべき目安について、要点は以下のとおりです。

  • 犬に起こりやすい怪我は骨折・脱臼、誤飲・誤食、やけど、皮膚疾患、消化器疾患、外耳炎、ほかの犬に噛まれることなどがある
  • 犬が怪我をした際に病院に連れていく目安は、頭や体を強く打っていたり、傷口が大きく、圧迫しても出血が止まらなかったりする場合などが挙げられる。外傷の場合はぬるま湯や常温の水で傷口を優しく洗い、やけどの場合は、氷水や冷たい水で患部をゆっくり冷やして動物病院へ連れて行く
  • 犬の怪我を防ぐためには、ラグや滑り止めマットを敷いて滑りにくい環境を整えたり、階段にペット用のゲートを設置し、昇り降りや飛び降りを防いだりする方法などが挙げられる

犬の怪我は、軽い擦り傷から命に関わるものまでさまざまです。
飼い主の方は、愛犬の様子をしっかり観察し、必要に応じて速やかに動物病院を受診する判断力を持つことが大切です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献


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