小さく可愛らしいハムスターはペットとして広く親しまれていますが、体調を崩したときには専門的な知識や丁寧なケアが必要です。ハムスターの治療は犬や猫と違い対応している病院が少ないため、いざというときどこに連れて行けばよいのか迷う方も少なくありません。
また治療にかかる費用や受診時の準備、注意点も気になるところです。この記事では、ハムスターに対応した動物病院の探し方から治療費の相場と受診時に気をつけたいポイントまで、飼い主さんが知っておきたい情報をわかりやすくご紹介します。
ハムスターの診察に対応してくれる動物病院の探し方
- ハムスターを診察してくれる動物病院の探し方を教えてください。
- ハムスターを診察してくれる病院は、一般的な病院では対応していない場合もあるため、探し方にコツがいります。病院の公式サイトやSNSをチェックしたり、電話で直接確認したりといった方法もあります。
緊急時に備えて、事前に1〜2件の病院を調べておくことがおすすめです。深夜や休日に診てくれる病院があるかどうかも、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
- ハムスターを診察してくれる動物病院が少ないのはなぜですか?
- ハムスターに対応している動物病院が少ないのは、いくつかの要因が重なっています。 まずハムスターを診察してくれる病院が少ないのは、犬や猫と比べて専門的な知識や技術が必要なためです。ハムスターは身体が小さく、診察や治療には高度な専門知識と繊細な技術が求められます。また体の構造も独特であるため、一般的な獣医療の知識だけでは難しい場合もあるためです。
日本の獣医学教育では、主に犬と猫といった一般的なペットを対象としたカリキュラムが中心であり、ハムスターのようないわゆるエキゾチックについては学ぶ機会が限られています。そのため、ハムスターを専門的に診察できる獣医師が少ないのが現状です。
- ハムスターの動物病院が見つからない場合はどうしたらよいですか?
- ハムスターを診察してくれる動物病院が見つからないときは、エキゾチックアニマルに対応している動物病院を探すのがおすすめです。エキゾチックアニマル対応、動物病院、地域名で検索すると対応可能な病院が見つかりやすくなります。
ハムスターのかかりやすい病気や治療の費用相場
- ハムスターがかかりやすい病気を教えてください。
- ハムスターがかかりやすい病気には、以下が挙げられます。
- 下痢
- 皮膚病
- 結膜炎
- 不正咬合
- 腫瘍
ハムスターが病気で弱っているときに見られる兆候は食欲の低下や動きの鈍さ、毛並みの変化などが挙げられます。その他はぐったりしていたり、瞳に輝きがなかったりなどです。
また食べ過ぎや運動不足による肥満は、病気につながるリスクが高まります。日頃から運動やストレスを取り除いて、ハムスターの体調管理を行いましょう。その他に気になる症状があれば、なるべく早くエキゾチックアニマル対応の動物病院に相談するのが大切です。
- ハムスターに対する治療の特徴を教えてください。
- ハムスターに対する治療には、ほかのペットと異なるいくつかの特徴があります。ハムスターは、体重がわずか数十グラムととても軽く内臓や血管も細いため、ちょっとした処置でも高度な技術と繊細さが求められます。
またハムスターはストレスにとても弱く、環境の変化や扱い方によって体調が急変することがあります。そのため診察や治療はできるだけストレスを与えないようにする工夫が必要です。静かな環境での診察や短時間の接触など、短時間での処置が基本となります。そして薬の処方についても注意が必要で、ハムスター専用の容量計算や調合が求められます。薬を与える際も、直接飲ませるのが難しいためエサに混ぜるといった工夫が必要です。
さらに、ハムスターは体調不良を隠す習慣があるため、症状が出たときには病気がすでに進行していることも少なくありません。飼い主さんによる日頃の観察と、早めの受診が重要といえます。このようにハムスターの治療はとても繊細で専門的な対応が必要であり、診察や処置の一つひとつに獣医師の高い知識と技術、そしてハムスターに対する深い理解が求められます。
- ハムスターの治療にかかる費用の相場を教えてください。
- ハムスターの治療にかかる費用は病気の内容や動物病院によって異なりますが、一般的な相場としては、初診料が1,000〜3,000円(税込)かかるでしょう。飲み薬や注射はそれぞれ500〜3,000円(税込)ほどです。検査を行う場合は、糞便検査で500〜1,500円(税込)、レントゲンで3,000〜5,000円(税込)かかる場合や手術や入院が必要になった場合は10,000円(税込)かかる場合もあります。
治療が短時間で済む場合でも、ハムスターは専門的な知識と技術が必要なため、費用が意外とかかることがあります。事前に病院へ問い合わせておくとよいでしょう。もし費用が心配な場合は、ハムスター向けのペット保険があるため、いざというときに備えて加入を検討しておくとよいでしょう。
- ハムスターの入院に対応している動物病院もありますか?
- ハムスターの入院に対応している動物病院はありますが、犬や猫に比べて数は少ないです。ハムスターはとても小さくデリケートなため、入院管理にも専門的な知識と設備が必要です。エキゾチックアニマルを専門に診ている病院や、高度な医療設備を持つ動物病院に限られるのが一般的です。
ハムスターを動物病院に連れていくときの準備と注意点
- ハムスターを動物病院に連れて行くときに準備することを教えてください。
- 安全性に配慮して移動できるよう、専用のキャリーケースや通気性のある小さなケースを用意しましょう。ケースのなかには普段使っている床材や巣材を入れて、できるだけ落ち着ける環境を作ってあげることが大切です。また寒さや暑さに弱いため、季節に応じてカイロや保冷剤で温度調節も忘れずに行いましょう。
そしていつからどのような症状があるのかなどメモの準備と、可能なら便を採取して持参すると役立ちます。病院によっては予約が必要な場合もあるため、事前に確認してから向かうとよいでしょう。
- ハムスターの移動時に気を付けることがあれば教えてください。
- ハムスターを移動させる際は、できるだけストレスをかけないように工夫が必要です。ハムスターは車の揺れや音、匂いに敏感なため、静かに安定した場所で運び温度管理を行いましょう。車の芳香剤は使わず移動時間はできるだけ短く、座席上のシートベルトで揺れないように固定しましょう。トランクに置くよりも空調が効きやすく、ハムスターの様子を観察しやすいためです。
またその他の注意点としては、ハムスターの給水です。水漏れ防止のため給水器は外しましょう。その代わり水分を多く含む果物や野菜を入れておくとよいでしょう。
- 治療前後で注意することはありますか?
- ハムスターの治療前後にはそれぞれ注意すべきことがあります。小さく繊細な動物であるため、特に体調管理とストレス軽減が大切です。受診前にいつからどのような症状があるかを整理しておくと、診察をスムーズに行うことができます。便や尿を持参すると検査時に役立つ場合があります。また採取した便や尿は乾かないよう、密閉袋に入れましょう。基本的にハムスターは絶食の必要はありませんが、手術前など例外もあるため事前に病院に確認しておくのがおすすめです。
治療後帰宅してからは、静かな場所でゆっくり休ませ、ケージ内も清潔で快適な環境に整えましょう。飲み薬や外用薬が処方された場合は、量や回数をしっかり守りましょう。難しい場合は病院に相談するとよいでしょう。また食欲や排泄などを観察し、いつもと違う様子があればすぐに病院へ連絡するとよいでしょう。
複数飼いの場合は、一時的に別ケージにしてストレスや感染を防ぎます。治療後も小さな変化を見逃さないように観察することが大切です。不安なことがあれば遠慮せず、動物病院に相談しましょう。
編集部まとめ
ハムスターの診察に対応している動物病院は限られているため、事前にエキゾチックアニマル対応の病院を探しておくことが大切です。
治療費用は診察内容によって異なりますが、診察や検査などで数千円かかることが一般的でしょう。手術の場合は、10,000円程度になる可能性もあります。
通院の際はストレスを与えないような移動方法や、温度管理に気を付け治療前後も体調をよく観察しましょう。
万が一のときに慌てないためにも、日頃から準備しておくことが、飼い主さんとハムスターにとって大切だといえます。
参考文献