うさぎの体調が悪い?動物病院へ連れて行くべき症状と注意点を解説

うさぎの体調が悪い?動物病院へ連れて行くべき症状と注意点を解説

うさぎは体調の変化がわかりにくい動物であるため、病気のサインを見逃してしまうことが少なくありません。デリケートな動物なので、ちょっとしたことでも病気になったり、急に亡くなったりするため、飼い主の丁寧な観察が大切です。

この記事では、うさぎの体調不良のサインや動物病院へ連れて行くべき症状、受診時の注意点を詳しく解説します。

体調不良を防ぐための日常ケアのポイントも紹介しますので、大切なペットの健康を守るため、ぜひ参考にしてみてください。

 うさぎの体調不良のサイン

うさぎの体調不良のサイン

うさぎの体調変化はわかりにくいため、些細な変化でも病気が隠れている可能性があります。以下のような変化が現れた際には、早めに動物病院への受診を検討してみてください。

  • 食欲がない・水を飲まない
  • 便や尿の異常
  • 動きが鈍い・元気がない

それぞれ具体的に解説します。

 食欲がない・水を飲まない

普段は食欲があるのに、急に餌を食べなくなったり、水を飲まなくなったりしている場合は、体調不良のサインかもしれません。

  • いつもは食べている牧草やペレットを食べない
  • 好物であるはずの野菜やおやつにも反応しない

このような兆候には注意しましょう。

うさぎの消化器官は繊細なため、腸の働きが悪くなると食欲の低下が見られます。丸一日以上食事を取らない場合は、何らかの変化が起こっている可能性が高いです。

  • 胃腸うっ滞
  • 肝リピドーシス
  • 不正咬合

これらのほかにも、さまざまな病気が原因で食欲不振のサインが現れます。食事の様子がいつもと異なるときには、動物病院への受診を検討ください。

 便や尿の異常

うさぎの体調不良のサインは、便や尿の排泄物にも現れます。通常の便では、コロコロと丸い形をしていて色も均一です。

しかし、排泄物が以下のような状態だと注意しなければなりません。

  • 便の形がいびつになっている
  • 便がひとつにつながっている
  • 便の水分量が多い
  • 便の量が極端に少ない
  • 尿の色が赤みを帯びている
  • 尿の匂いが普段とは異なっている

これらのサインには、胃腸うっ滞や盲腸糞異常などの病気が隠れている可能性があります。また、食物繊維不足やストレスによる消化器系の異常も考えられます。

いつ頃から兆候が見られるのか、記録を残しておきましょう。

 動きが鈍い・元気がない

普段は活発に動き回るうさぎが、急にじっとして動かなくなったり、ケージの隅でうずくまるような行動を見せる場合は体調不良のサインです。

ゆっくりとくつろいでいるため動かないのか、体調不良でぐったりしているのか、うさぎの表情と息づかいを観察することが大切です。

  • 力なく寝そべっている
  • 息が荒くなっている
  • 表情がうつろになっている

うさぎは、元気で気持ちのよいときでも横になって寝るものです。体調不良の兆候をしっかりと判別をして、早めに動物病院に受診して原因を特定してもらいましょう。

 うさぎを動物病院に連れて行くべき症状

うさぎを動物病院に連れて行くべき症状

うさぎに以下のような症状が現れた場合は、早急に動物病院を受診するようにしましょう。

  • 呼吸が荒い・お口を開けて呼吸している
  • 目や鼻からの異常な分泌物がある
  • 毛並みの乱れや皮膚に異常が見られる

それぞれ具体的な症状と考えられる病気を解説します。

 呼吸が荒い・口を開けて呼吸している

うさぎが口を開けて呼吸していたり、呼吸が早く荒くなったりしていると、肺炎や心臓病などの深刻な病気が疑われます。

一般的に健康な状態のうさぎは、鼻だけで呼吸をしています。口呼吸が必要となっているのは、鼻からの呼吸だけでは酸素不足になっている可能性があります。

呼吸が荒くなっている原因には、以下が考えられます。

  • 呼吸器系の感染症
  • 細菌感染によるスナッフル
  • 心臓病

これらの病気は、放置をしておくと命に関わるため、すぐに動物病院で診察を受けるようにしてください。

 目や鼻からの異常な分泌物がある

目や鼻に涙や鼻水が見られる場合は、感染症や歯の不正咬合が原因で発症している可能性があります。分泌物の性状によって原因となる病気は異なります。

  • 濃い黄色の目やにが出ている
  • 黄色から緑色っぽい鼻水が出ている
  • 白目が赤くなっている
  • 頻繁に目を擦る仕草がある

これらの症状が見られる場合は、パスツレラ菌やブドウ球菌による細菌感染症が疑われます。結膜炎や涙嚢炎の可能性もあり、これは放置していても改善しにくいため、獣医師による治療を受けましょう。

  • 透明な涙が止まらない
  • 目やにが増えている
  • 目元の毛が常に湿って脱毛が見られる

鼻涙管閉塞や不正咬合によって見られることがある症状です。これらの病気も放置をしていると感染症に発展して重症化しやすいため、症状が確認されたら動物病院に受診する方がよいでしょう。

 毛並みの乱れや皮膚に異常が見られる

毛がぼさぼさになっていたり、脱毛が目立ったりする場合は、寄生虫感染や皮膚真菌症が原因になっていることが少なくありません。ダニやノミ、リングワームと呼ばれる真菌による感染症です。

皮膚に赤みやかさぶたが見られる場合は、接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎が原因となっている可能性があります。これらの病気になると症状が強くて、強いストレスを感じやすくなってしまいます。

いずれの病気も、寄生虫や真菌を適切に駆除したり、アレルギーの原因となる物質を取り除いたりするなど専門的な処置が必要となります。

正確な診断をしてもらうためにも、いつからどのような症状を発症しているのかを記録して、獣医師に相談することが大切です。

 うさぎを動物病院へ連れて行く際の注意点

うさぎを動物病院へ連れて行く際の注意点

動物病院に連れて行く際にもポイントがあります。大切なペットに負担をかけることなく、適切に治療してもらうためにも以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 受診前に症状をメモしておく
  • うさぎに適したキャリーケースで移動する
  • 移動時にストレスをかけない工夫をする

 受診前に症状をメモしておく

日頃の様子や具体的な症状をメモしておくことが大切です。

獣医師に正確に診断してもらうためには、症状がいつから発症して、どのくらいの程度なのか、頻度も含めて伝えなければなりません。うさぎによって個体差があるため、健康なときの状態もメモしておくのもよいでしょう。

大切なペットが体調不良を起こしていると、飼い主は慌ててしまうものです。獣医師に正確に症状を伝えるために、受診の際には具体的な症状のメモを準備しておきましょう。

 うさぎに適したキャリーケースで移動する

動物病院への移動の際には、うさぎ専用のキャリーケースを使用しましょう。1万円前後で購入できるものが一般的です。

動物病院では犬や猫など、ほかの動物との距離が近くなることが想定されます。パニックになって逃走やケガをさせないためにも、うさぎに適したキャリーケースを使用してください。

 移動時にストレスをかけない工夫をする

うさぎは環境の変化に敏感でストレスを感じやすい動物のため、移動時の工夫が大切です。

  • 周囲の音を遮断するためキャリーケースを布で覆う
  • できるだけ移動時間の短い動物病院を選ぶ
  • 夏場は暑すぎないように保冷剤やエアコンで適温を保つ
  • 冬場はカイロやブランケットを用いて保温する
  • 車内では振動を抑えるためキャリーケースを固定する

動物病院の通院ストレスで症状を悪化させないためも、できるだけの工夫をしましょう。

 うさぎの体調不良を見逃さないための観察ポイント

うさぎの体調不良を見逃さないための観察ポイント

体調不良を見逃さないためには、日頃からの丁寧な観察が欠かせません。食事の量や排泄物の状態、普段の行動において些細な変化を見逃さないために、以下のポイントを意識して観察してみてください。

  • 食事や排泄の状態を毎日チェックする
  • 日常の行動パターンの変化を把握する
  • 呼吸音や体温に変化がないかを確認する

それぞれ具体的に解説します。

 食事や排泄の状態を毎日チェックする

うさぎの体調管理には、食事量や排泄物の状態確認が効果的です。体調不良のサインが現れやすいため、毎日観察をするようにしましょう。

元気なときよりも、餌を食べる量が少なかったり、排泄物の色や形が違う場合には、体調に何らかの異変が起きている可能性があります。

毎日のチェックでは、以下の項目を確認すると異変に気付きやすいでしょう。

【食事のチェックポイント】

  • 普段よりもペレットや牧草の摂取量が減っていないか
  • 牧草や野菜の摂取量が急に変わったりしていないか
  • 食べるスピードが遅くなっていたり食べ方に違和感はないか
  • 水分摂取量が極端に増えたり減ったりしていないか
  • 特定の牧草や野菜だけを残す偏食はないか

【排泄物のチェックポイント】

  • 便の大きさや形が、コロコロとした丸い形で均一になっているか
  • 便が極端に小さかったり、いびつな形になっていたりしないか
  • 便の色が、茶色や濃い緑色の健康的な状態と同じか
  • 黒っぽい便や白っぽい便の排泄が続いていないか
  • 盲腸便が過剰に出ていたり、食べずに残っていることはないか
  • 尿の色が赤や濃いオレンジ色になっていないか

これらのチェックポイントは、健康なときから毎日記録しておくことが大切です。健康な状態と比べることで、体調の変化にも早期に気付くことができます。

 日常の行動パターンの変化を把握する

普段の行動や姿勢の変化を観察するのも、体調の異変を見逃さないためのポイントです。些細な行動や姿勢の変化のなかには、体調不良や病気のサインであることが少なくありません。

  • 活発に動く時間帯でもケージの奥でじっとしている
  • ぐったりと横たわっていて力がない、表情がうつろ
  • 歩行時に足を引きずるような仕草がある
  • 首を一方向に傾けたままもとに戻らない
  • 鼻を大きく動かして呼吸している、呼吸が荒い
  • 普段とは違う場所で動かずじっとしている
  • 身体や手足が小刻みに震えている

これらの行動や姿勢が見られると、病気やストレスが隠れている可能性があります。

行動や姿勢のなかには、明らかにわかりやすい変化もあれば、注意深く観察しないと見つけられないものもあります。特に、ぐったりと横たわっている状態は、リラックスして休んでいるのか、病気や体調不良によるものなのか、判断がつきにくいものです。

日頃からの行動パターンを観察して、違和感があるようなら早めに、獣医師に相談するのが望ましいでしょう。

 呼吸音や体温に異変がないか確認する

呼吸音や体温の変化の確認も、うさぎの体調変化を見逃さないためのポイントです。異変に気付きやすくなるためには、健康的なうさぎの状態のバイタルデータを確認しましょう。

【一般的なうさぎのバイタルデータ】

項目基準値補足
体温38.5〜40.0度犬猫より高く、耳や身体で確認可能
心拍数130〜325回/分胸に手を当てると確認可能
呼吸数30〜60回/分リラックス時の数値、口呼吸は注意
血圧90〜130/60〜90mmHGストレスや病気で変動しやすい
食事量50g/kg/日(体重の5〜15%)2kgのうさぎで1日に100gの餌を食べる
糞便量約50個/kg/日2kgのうさぎで1日に約100個の糞便量
適正温度18〜28度極端な寒暖差には注意
適正湿度40〜60%湿度管理も健康やストレスに影響

正常な呼吸数は、1分間に30〜60回とされています。鼻の動きや胸の上下運動で数えられます。ゼーゼー、ヒューヒューといった音は、鼻炎や肺炎などの呼吸器疾患の可能性があります。

健康的な状態のバイタルデータと比べて異変がないか、日頃からの確認が体調変化の早期発見のポイントです。

 うさぎの健康を守るためにできる日常ケア

うさぎの健康を守るためにできる日常ケア

大切なペットの健康を守るためには、飼い主による日常的なセルフケアが大切です。以下のポイントを抑えるようにしましょう。

  • 適切な食事管理をする
  • 快適な飼育環境を維持する
  • 定期的な健康チェックを受ける

 適切な食事管理をする

餌の与え方にも工夫を加えることで健康維持につながります。

繊維質が豊富な牧草を主食としながら、ペレットや野菜は適量を補助的に与えるようにしましょう。水分補給には、新鮮な軟水を使用することで、脱水症状や尿路結石を予防しやすくなります。

さまざまな栄養が摂取できるように、餌の種類を定期的に見直すことも大切です。

 快適な飼育環境を維持する

適切な飼育環境は健康維持の基本です。うさぎが快適に過ごせるように、温度や湿度の管理を徹底するようにしましょう。

適切な温度を保つために、夏場はエアコンや扇風機を使用、冬場はヒーターや毛布で調整ができます。また、湿度が低すぎると、乾燥によって呼吸器疾患にかかりやすくなります。

ケージの設置場所は、直射日光を避けた風通しのよい、静かな場所の方が、リラックスして過ごすことができるでしょう。

うさぎの様子を観察しながら飼育環境を定期的に見直すことも大切です。ストレスを感じさせにくい飼育環境へのこだわりが大切です。

 定期的な健康チェックを受ける

動物病院で定期的に健康チェックを受けることも大切です。飼い主のセルフチェックのみでは、気付きにくい症状や初期段階の病気を見落としてしまう可能性があります。

餌の摂取量や排泄物など、少しでも気になる異変が現れた際には、早めに獣医師に相談することが大切です。

まとめ

うさぎは繊細で体調不良を隠しがちな動物です。明らかな異変が現れたときには症状が進行してしまっていることも少なくありません。食事量や排泄物の異常、行動に違和感が見られた場合は、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

本記事で紹介した、動物病院に連れて行くべき症状と受診時の注意点が、大切なペットの健康管理に役立ててもらえれば幸いです。

参考文献