動物病院でできるダニ予防と治療|ペットをダニから守る方法を解説!

動物病院でできるダニ予防と治療|ペットをダニから守る方法を解説!

ダニはペットの健康を脅かす寄生虫で、かゆみや皮膚炎を引き起こすだけでなく、深刻な病気を媒介することがあります。春から秋にかけてはダニの活動が活発になるため、予防や早期発見が欠かせません。

本記事では動物病院で診てもらえるペットのダニについて以下の点を中心にご紹介します。

  • ペットに寄生するダニとは
  • 動物病院で受けられるダニの治療法
  • ペットのダニの予防法

動物病院で診てもらえるペットのダニについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

ダニについて

ダニとはどのような寄生虫ですか?
ダニは私たちの生活環境に広く存在する微小な寄生虫で、クモの仲間に属します。その大きさは0.2mmほどの微小なものから、吸血によって膨らみ約10倍近くの大きさになるものまでさまざまです。

ダニは8本の脚を持ち、主にホコリ、フケ、食べ物のカスを餌にし、布団やカーペット、ソファなどに生息します。一部のダニは、アレルギーや皮膚炎を引き起こす原因となるため、家庭内の清掃が重要です。

一方、マダニは吸血性のダニで、人や動物に寄生して病気を媒介することで知られています。マダニは草むらや低木に潜み、動物が接触することで寄生します。なかでも犬の散歩やアウトドア活動中に感染リスクが高まるとされています。
ダニは見えない危険を潜ませているため、日常的な予防や清掃が健康を守る鍵となります。
ペットに寄生するダニの種類や特徴を教えてください
ペットに寄生するダニはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

・マダニ
草むらや低木に潜み、犬に寄生して吸血します。寄生された犬にはかゆみや痛みが現れ、病原体を媒介するため感染症リスクも高まります。

・ヒゼンダニ(疥癬ダニ)
皮膚の角質層に寄生し、激しいかゆみや脱毛を引き起こします。肉眼で確認できないため、獣医師による顕微鏡検査が必要です。
イエダニ
家のなかに生息し、直接被害を与えることは少ないものの、糞や死骸がアレルギーの原因になります。

・ツメダニ
皮膚に寄生し、炎症やかゆみを引き起こし、犬だけでなく猫や人間にも影響を及ぼします。

・ニキビダニ
犬の毛穴に常在し、免疫力低下時に増殖して皮膚疾患を引き起こします。

以上のようなダニは、予防と早期の治療が大切です。
ペットにダニが寄生する原因を教えてください
ペットにダニが寄生する原因は、生活環境や感染経路に密接に関係しています。マダニは草むらや低木に潜んでおり、散歩やレジャー中に動物が接触することで寄生します。また、飼い主さんの衣類や靴に付着したマダニが室内に持ち込まれることもあります。


イヌセンコウヒゼンダニやイヌミミヒゼンダニは、感染犬との直接的な接触によって感染します。ドッグランやペットショップでの交流が感染リスクを高めるため注意が必要です。ニキビダニは母犬から子犬に感染することが多い傾向があり、人間には感染しません。

犬の身体はダニにとって理想的な環境で、温かく、毛が隠れ場所となり、血液を栄養源として繁殖します。また、室内のカーペットやソファ、犬の寝具もダニの繁殖場所になるため、定期的な掃除やダニ予防がペットの健康を守るポイントとなるでしょう。

ダニによる症状・病気

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ペットがダニに寄生されるとどのような症状が出ますか?
ペットがダニに寄生されると、さまざまな症状が現れることがあります。

主な症状はかゆみや皮膚の炎症です。なかでもヒゼンダニによる疥癬では、皮膚に強いかゆみが発生し、犬が頻繁に掻きむしることで脱毛や出血を伴うことがあります。また、耳に寄生する耳ヒゼンダニでは、黒い耳垢の増加や耳の異臭、耳を掻く動作が目立ちます。

マダニによる寄生では、吸血による貧血やダニ唾液によるアレルギー症状が見られるほか、命に関わる感染症を媒介することもあります。バベシア症では発熱や黄疸、茶色い尿、貧血などが進行し、重症化すると多臓器不全の危険があります。
ダニによって引き起こされる可能性のある病気を教えてください
例えば以下のような病気が挙げられます。

・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニを介して感染する動物由来感染症で、発熱や嘔吐、血小板減少を特徴とし、重症化すると命に関わります。犬とともにアウトドアを楽しむ際には注意が必要です。

・バベシア症
バベシア原虫が赤血球に感染し、貧血、黄疸、茶色い尿などの症状を引き起こします。重症の場合、多臓器不全に至ることもあります。

・ライム病
マダニが媒介する細菌感染症で、犬には発熱や関節の腫れ、人間にも神経症状や関節炎を引き起こす可能性があります。

・ダニ麻痺症
マダニの毒性物質が神経系に影響を与え、筋力低下や呼吸困難が急速に進行します。

以上のような病気は、早期発見と対処が重要です。ペットの健康を守るためにも、定期的なダニ予防や早期治療を心がけましょう。

ダニの予防法・治療法

ペットにダニがついているのを見つけたらどうすればよいですか?
ペットにマダニが寄生しているのを見つけた場合、焦らず冷静に対処することが重要です。

まず、マダニを無理に引っ張ったりつぶしたりしてはいけません。ダニを引き剥がそうとすると、皮膚にマダニの口や頭の部分が残り、炎症や感染症を引き起こす可能性があります。
また、つぶすことでマダニの体内にある病原体が皮膚に押し込まれ、病気を引き起こすリスクが高まります。

ダニを発見したら、まずはペットを落ち着かせ、寄生箇所を観察します。
その後、速やかに動物病院を受診し、獣医師に除去してもらいましょう。
動物病院で行われるダニの治療法を教えてください
動物病院では、マダニが寄生している場合、獣医師が専用の器具を使用して除去に努めます。この際、マダニの口や頭部が皮膚内に残らないよう慎重に処置されます。続いて、寄生箇所を消毒し、皮膚の炎症を抑えるケアが行われます。

また、ダニ駆除剤が使用されることもあります。駆除剤には、皮膚に塗布するタイプや経口薬があり、寄生したマダニを48時間以内に駆除する効果が期待できます。近年ではフィラリア予防薬と組み合わさった経口薬も利用されています。

重度の寄生によって貧血や炎症が見られる場合は、さらに貧血改善の治療や抗炎症薬が処方されることがあります。

動物病院で受けられるダニ予防について教えてください
動物病院では、市販の予防薬より効果の高いとされているノミ・マダニ予防薬を処方してもらえることがあります。これらの薬は、ペットの健康状態やライフスタイルに合わせて選べるのが特徴です。


主な予防薬には、おやつ感覚で食べられるチュアブルタイプや、首の後ろに塗布するスポットオンタイプがあります。チュアブルタイプは飲ませやすく、スポットオンタイプは手軽に使用できるため、ペットの性格に応じた選択がおすすめです。

動物病院で処方される予防薬には、ノミ・マダニの駆除に加え、蚊を媒介とするフィラリア症を同時に予防できるオールインワンタイプもあります。これらの薬は獣医師の診断のもとでのみ処方される要指示薬で、市販品では手に入りません。

予防薬は春から秋の寄生虫が活発な時期に定期的に投与することが推奨されます。費用は1ヶ月分で約2,000〜3,000円になります。

ペットがダニに寄生されないためにできることはありますか?
ペットをダニから守るためには、清潔な環境づくりと定期的なケアが不可欠です。まず、犬のベッドやクッション、カーペットなどの布製品をこまめに洗濯し、太陽光に当てて乾燥させることでダニの繁殖を防ぎます。部屋の隅や家具の下も掃除機をかけて清潔を保ちましょう。

ペットの身体をブラッシングやシャンプーで清潔に保つことも重要です。毎日のブラッシングはノミ・ダニの早期発見に役立ち、皮膚の炎症や異変にもいち早く気付くことができます。

さらに、動物病院で処方される駆除薬を予防として活用するのがおすすめです。
また、散歩時には草むらや茂みに注意し、飼い主自身も肌を露出しない服装で対策を行いましょう。

新しいペットを迎える際には動物病院で健康診断を受け、寄生虫のチェックを行うことも大切です。日常的なケアと予防で、ペットと家族の健康を守りましょう。

編集部まとめ

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ここまで動物病院で診てもらえるペットのダニについてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • ペットに寄生するダニは主にホコリ、フケ、食べ物のカスを餌にし、布団やカーペット、ソファなどに生息し、一部のダニはアレルギーや皮膚炎を引き起こす原因となる。ダニによって引き起こされる病気として、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、バベシア症、ライム病、ダニ麻痺症などが挙げられる
  • 動物病院で行われるマダニの治療法は、獣医師が専用の器具を使用して除去したり、マダニの口や頭部が皮膚内に残らないよう慎重に処置したりするほか、寄生箇所を消毒し、皮膚の炎症を抑えるケアが行われたり、ダニ駆除剤が使用されたりすることが挙げられる
  • ペットがダニに寄生されないためには清潔な環境づくりと定期的なケアが不可欠であり、ブラッシングやシャンプーでペットを清潔に保ったり、部屋の隅や家具の下も掃除機をかけて清潔さを心がけたり、動物病院で処方される駆除薬を予防として活用したりすることが推奨される

ダニの予防には動物病院で処方してもらえる予防薬が役立ちます。
また、万一ペットがダニに寄生されてしまった場合は、速やかに動物病院を受診することが重要です。日常的なケアにより、ペットと家族の健康を守りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献