ワクチン接種や体調不良で動物病院に来院した際、予想外の待ち時間に悩む飼い主さんもいます。動物病院のにおいやほかの動物の気配に不安を抱くペットもいるため、ストレスフリーに過ごせるような工夫が必要です。
こちらの記事では、動物病院の待ち時間が長くなる理由と快適に過ごすための事前準備、対策方法について解説します。ペットのストレスを軽減させて、飼い主さんとともに快適に過ごせるヒントが知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
動物病院の待ち時間が長くなる理由

動物病院の待ち時間が長くなる理由は、診察内容や混雑状況、緊急対応などさまざまな要因があり、事前に予測するのがむずかしいこともあります。どういった事情で待ち時間が生じているのかを知ることで、飼い主さんの心の余裕にもつながるでしょう。
ここでは、動物病院の待ち時間が長くなる理由について解説します。
診察の内容によって時間がかかる場合がある
動物病院の待ち時間が長くなる要因として、診察内容によっては検査や治療に時間がかかってしまうことが挙げられます。動物病院を受診する理由はさまざまで、なかには複数の検査をしなければ病気の原因が特定できなかったり、長時間の治療が必要だったりすることもあります。
問診と血液検査をした結果、より詳しく調べるためにレントゲン検査や超音波検査が必要になれば1頭あたりの診療時間は長くなるでしょう。言葉を話せない動物を相手にしているからこそ、検査や治療は慎重に行わなければなりません。
なお、複雑な症例や時間のかかる治療で待ち時間が伸びている場合は、動物病院側から説明があります。ペットの病気や怪我は、どの家庭のペットでも起こりうることだからこそ理解する姿勢が求められます。
予約制でない病院では混雑しやすい
動物病院の待ち時間が長くなる要因として、予約システムがないことが挙げられます。最近ではオンラインで事前予約ができる動物病院も増えています。一方で、予約システムを導入していない動物病院もあり、週末や祝日、夕方以降の時間帯は、混雑しやすいです。
待ち時間をなくしたいのであれば完全予約制で受診を受け付けている動物病院を利用することを推奨します。一方で、いつも通っている動物病院が予約制ではない場合、平日の午前中など混雑する時間帯を避けることで待ち時間を短縮できます。
緊急対応が優先されることがある
動物病院の待ち時間が長くなる要因として、急患があると順番が前後してしまうことが挙げられます。交通事故や容態の急変などの連絡が入ると、緊急性の高いペットの診療や治療が優先されるのは当然です。
これは予約制の動物病院でもやむを得ず起こりうる事例です。緊急対応が必要になった場合、すでに待っている方たちへは事情が説明されるでしょう。動物の命に関わるからこそ、飼い主さんとしても理解を示す必要があります。ただ、動物病院内が慌ただしくなり、待合室にいるペットにもその緊張感が伝わってしまうかもしれません。
万が一の緊急対応が発生した際には、動物病院の獣医やスタッフの指示に従い、ペットがリラックスできるようにコミュニケーションをとるようにしてください。
待ち時間を快適に過ごすための事前準備

ペットが動物病院での待ち時間を快適に過ごすためには、その子の性格や特性にあった事前準備が重要です。日頃からキャリーケースに入れる練習をしたり、お気に入りのおもちゃを持参したり、工夫する方法はさまざまです。
ここでは、待ち時間を快適に過ごすための事前準備について解説します。
キャリーケースに慣れさせる
動物病院の待合室では、ペットは原則キャリーケースに入っている必要があるため、狭い空間でも暴れずに過ごせるように慣れる練習が必要です。なお、大型犬のようにキャリーケースに入れない動物は、リードを短めに持って待合室で待つことができます。
病院に行くときだけキャリーケースを使っていると『キャリーケース=嫌な場所に行く』と覚えてしまう子もいます。ペットのストレスを蓄積させないためにも、病院以外でも使う機会を増やすとよいでしょう。キャリーケースに入る練習は、震災時にも役立つため、小さい頃から訓練をさせておくと安心です。
キャリーケース選びでは、動ける広さが確保できているか、外から丸見えになっていないか、底の部分が快適な素材になっているかなどを考慮するのがポイントです。また、チャック部分が弱いと脱走の原因になるため、しっかりと閉じれるタイプのものを使いましょう。
お気に入りのタオルやおもちゃを持参する
動物病院の待合室では、薬品やほかの動物などさまざまなにおいが混ざっており、嗅覚の鋭いペットにとってはストレスの原因になります。そこで、普段から使っているタオルやお気に入りのおもちゃをキャリーケースに入れておくことで、自分のにおいに包まれてくつろぎやすいです。
大きめのタオルをキャリーケースに入れておけば、そのなかにくるまって身を隠せるため、警戒心の強い子や怖がりな子でも安心です。また、好奇心旺盛な子はおもちゃがあれば待ち時間も一人で楽しく過ごせるでしょう。ペットの性格に合わせて持参するものを選んでみてください。
必要な診察情報を事前に準備しておく
いつも通っている動物病院で、ワクチン接種や健康診断をする場合は、カルテに記録が残っているため細かい問診票の記入は必要ありません。一方で、初診や病気などで受診する場合は、ペットの健康状態や基礎疾患の有無などを細かく問診票に記載する必要があります。
スムーズに診察を受けるためには、ペットの情報を事前に整理しておくと無駄な時間を省けます。年齢や体重、アレルギーの有無、過去の発病歴などを日付と一緒にメモしておきましょう。これらの情報は、はじめての診療で獣医から聞かれる代表的な質問です。
ワクチンの種類、合わなかった薬、現在飲んでいる薬の名称などは治療を行う際に重要な情報になります。そのため、ワクチン接種や治療歴が証明できる書類を用意しておくと、適切な治療が可能です。
待合室でペットのストレスを減らす工夫

動物病院の待合室は、薬品やほかの動物のにおいなどが混ざっており、ペットにとっては刺激が強くてストレスの原因になります。視界を遮ったり、ほかの動物との距離感を保ったりすることでリラックスできる空間作りが可能です。
ここでは、待合室でペットのストレスを減らす工夫について解説します。
視界を遮って周囲の刺激を抑える
動物病院の待合室は、自宅で聞く音やにおいとは異なる環境のため、普段よりもペットの警戒心が強くなって興奮することがあります。突然大きな声で鳴いたり、キャリーケースから飛び出そうと暴れ回ったりするときは、リラックスさせるためにキャリーケースから外が見えないように視界を遮ることが効果的です。
カーテンのように周りが見えないように遮断できるタイプのキャリーケースを購入したり、大きめのタオルでキャリーケースを覆ったりしてみましょう。また、キャリーケースのなかにタオルを入れておけば、自ら身を隠す形で静かになることもあります。どうしても静かにならないときは、ペットをよく観察して何に反応しているのかを特定すると、興奮を抑えられます。
ほかの動物との距離を保つ
動物病院の待合室には、犬や猫などの動物がすぐ近くに座ることがあり、ペットが緊張してストレスを抱えることがあります。普段から散歩やドッグランでほかの動物と交流している犬は、慣れているためストレスになりにくいです。一方で、猫やウサギなど家で過ごすことに慣れているペットは、近くに家族以外の動物や人がいることに拒絶反応を示しやすいです。
明らかに近くにいる動物や人に緊張している様子があれば、離れて座るなどして物理的な距離を保つようにしましょう。また、大きな声で吠えたり鳴いたりする声に怯えている様子があれば、飼い主さんからも声がけをして安心させてあげることが大切です。
動物病院によっては、個室を用意しているところもあります。待合室が苦手な様子であれば、個室のある動物病院を探して受診することを推奨します。
落ち着いて接して不安を軽減させる
動物病院の待合室でペットが興奮や緊張している様子であれば、飼い主さんが落ち着いてコミュニケーションをとることで、不安を軽減させられます。人と暮らしているペットは、飼い主さんや家族の表情や声のトーンに敏感です。飼い主さんが落ち着いている様子が伝われば、はじめての環境でも不安や緊張はほぐれてくるでしょう。
逆に、飼い主さんがペットを心配するあまり不安そうにしていたり、待ち時間が長くてイライラしたりしていると、その気持ちがペットに伝染して不安を募らせてしまいます。ペットのストレスを軽減するためにも、優しく声をかけたりキャリーケースの隙間から撫でたりして落ち着かせてあげましょう。
極端にペットが怖がっている際には、無理に声をかけたり撫でたりせず、ほかの動物とは物理的な距離を取りつつ、静観することも効果的です。
待ち時間が長くなった場合の対策

動物病院での待ち時間が予想以上に長くなった場合、ペットの様子を見ながらストレスを軽減できるような工夫が必要です。一時的に外に出たり、ストレスによる体調不良になっていないか注意深く観察することを優先しましょう。
ここでは、待ち時間が長くなった場合の対策について解説します。
外で待機できる場合は車や静かな場所を利用する
動物病院での待ち時間が長くなる場合、待合室ではにおいや音でストレスを感じてしまうことがあるため、外で待機することも検討してみてください。駐車場があればそのスペースや車のなかで待つことも可能です。動物病院によっては、外での待機を認めていないこともあるため、受付のスタッフに確認してから外に出るようにしてください。
外にもたくさんの刺激的な要素があるため、できる限り車の中や静かな場所などを選ぶと落ち着いて過ごせます。また、診療時間は限られているため、順番が回ってきたらすぐに診察室に向かえるように準備を済ませておきましょう。夏場は車内が暑くなるため、クーラーをつけたり窓を開けたりして、ペットが快適に過ごせる空間づくりを優先にしてください。
飲み水を持参し、体調管理をしっかり行う
動物病院での待ち時間が長くなる場合は、ペットの脱水症状を避けるためにも飲み水を用意しておきましょう。特に夏や気温の高い日は、ただ待っているだけでも汗をかいて体調不良になることがあります。コンパクトな飲み水を用意しておけば、待合室でも水分補給が可能です。もし水を持っていなくて脱水症状がみられる場合は、早めに獣医や受付のスタッフに報告して、水分補給をさせてもらいましょう。
待合室でおやつやフードをあげるのは要注意です。ほかの動物を興奮させてしまう可能性があり、動物病院のルールで禁止されている場合があります。動物病院によっては、病院嫌いを防ぐために診察室ではおやつをあげてもよいとしている場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
事前予約や時間帯を調整して混雑を避ける
予約制の動物病院を利用することで、動物病院の待合室での待ち時間は大幅に短縮できます。予約システムや電話などで日時指定をしておくと、待ち時間が減らせるため飼い主さんにとってもペットにとってもストレスが少なく済みます。
また、予約を受け付けていない動物病院では、混雑する時間を避けることで待ち時間を短縮できます。一般的には、平日の夕方以降、土日、祝日が混雑しやすいです。空いている時間を狙うなら、平日の午前中が適切です。また、来院する前に動物病院に連絡して、混雑状況を確認すれば時間調整もしやすいでしょう。待ち時間が長くならないように事前準備をしておくことで、ペットが動物病院での待ち時間を快適に過ごせるようになります。
ペットに適した気温をキープする
動物病院での待ち時間が長くなる場合は、寒さや暑さを回避できる工夫が必要です。動物の種類によって適切な気温は異なります。ほかの動物よりも寒さに弱いのであれば、カイロや毛布を持参することで体温調整がしやすいです。一方で暑さに弱いのであれば、冷感タオルが効果的です。また、車内待機する際には、ペットが快適に過ごせる温度に調整して、クーラーや暖房を入れてあげましょう。
肥満体質の子は、身体に熱がこもりやすく、熱中症を発病するリスクがあります。待合室のクーラーや暖房が効きすぎている際には、受付のスタッフに相談して室温を調整してもらいましょう。ペットが過ごしやすい温度にすることで、体調不良になるリスクを回避して、待ち時間を快適に過ごせます。
まとめ

動物病院は、診療の内容や緊急対応などによって待ち時間が長くなることがあります。待合室での時間が長いとペットがストレスを感じてしまうことがあるため、おもちゃやタオルを用意したり、待つ場所を変えたりなど工夫が必要です。
また、予約できる動物病院を選べば待ち時間を大幅に減らせて、ペットのストレス軽減にも効果的です。事前準備をしつつ、待ち時間を快適に過ごせるようにペットの体調をよく観察しながら順番を待ちましょう。