動物病院へ行き過ぎるのはよくない?受診のタイミングや判断基準、受診前の準備を解説

動物病院へ行き過ぎるのはよくない?受診のタイミングや判断基準、受診前の準備を解説

動物病院に行き過ぎはよくないと考え、動物病院の受診をためらう飼い主さんも少なくないでしょう。結論からいえば、動物病院に行き過ぎること自体が悪いわけではありません。行くべきときに迷わず行けるように準備を整えるのが大切です。

動物は不調を言葉にできず早期受診が重要である一方、不要な通院はペットのストレスや費用負担を高める可能性があります。

この記事では、動物病院の行き過ぎのよくない点や受信すべきタイミングを解説します。合わせて受診を迷ったときの判断基準や日頃の準備についても紹介しますので、動物病院の受診を考えている方の参考となれば幸いです。

動物病院へ行き過ぎるのはよくない?

動物病院へ行き過ぎるのはよくない?

動物病院へ行き過ぎるのはよくないといわれるのは、ペットのストレスになる場合があることや費用がかかることが理由です。

通院はペットにとって普段とは異なる環境で拘束も伴い、ストレスを感じます。受診を先延ばしにすれば症状の悪化から通院の回数や期間も長引き、費用もペットの負担も膨らみやすいそうです。

必要以上の負担を避けるためにも、受診の的確な判断と普段からの準備を整えることが大切です。

ペットのストレスになる場合がある

動物病院へ行き過ぎることでペットのストレスになる場合があります。動物病院はにおいや音、見知らぬ動物、保定など、ペットにとって刺激の多い場所です。

環境変化に敏感な動物にとって動物病院までの移動から待合室、診察まですべての行程がストレスになる可能性があります。

普段からキャリーに慣らす、覆い布で視覚刺激を減らす、静かな待機場所を選ぶ、診察後はご褒美を与えるなどの成功体験で終えるといったペットのストレスを和らげる工夫をすることをおすすめします。

通院回数をただ減らすのではなく、必要な受診でもストレスを少なくできる環境づくりが要です。

費用がかかる

動物病院への行き過ぎは費用がかかります。通院回数が増えるほど費用は累積し、大きな疾患が見つかれば1回の治療で高額な医療費が請求されるためです。

犬猫の飼い主が1年間にかけた費用のなかで大きな割合を占めるのは医療費です。保険料や健康診断も含めると1年間で7万円(税込)から15万円(税込)ほどの出費となるデータが出ています。

症状が軽いうちに見つけて少ない通院短い治療で済ませるよう心がけることで動物病院にかける費用を抑えられます。日常の観察や食事管理に加え、定期的な健康チェックで小さな変化をいち早く発見する姿勢を持っておきましょう。

動物病院を受診すべきタイミング

動物病院を受診すべきタイミング

動物病院を受診すべきタイミングは、以下のとおりです。

  • けがや出血がある
  • 食欲不振が続く
  • 下痢や嘔吐が続く
  • 皮膚の変化がある
  • 普段と様子が違い苦しそうにしている

それぞれ詳細を見ていきましょう。

けがや出血がある

けがや出血がある場合は動物病院を受診すべきタイミングです。出血が止まらなかったりほかの動物に噛まれたりした場合は緊急性が高いため、ためらわず受診しましょう。

飼い主ができる応急処置は受診までの間に傷口を清潔な水で洗い流し、清潔な布などで止血します。動かし過ぎず安静を保つことが基本です。

傷口の洗い方は体温と同じ温度くらいのぬるま湯を使って、ゆっくりと流すのがポイントです。冷水はペットを驚かせてしまうため避けるようにしましょう。

ほかの動物に噛まれた場合は軽傷に見えても、後から化膿のリスクが高いため様子見せずにすぐに受診するようにしましょう。

食欲不振が続く

食欲不振が続く

食欲不振が続く場合も動物病院を受診すべきタイミングです。食欲不振の原因は、口内炎などの外科的な要因と腹痛などの内科的な要因が考えられます。

ぐったりしていたり呼吸が乱れていたりする場合は重大な疾患が隠れている可能性があるため、すぐに動物病院に相談するようにしましょう。

軽度の食欲不振であればペットフードを飼い主の手から直接食べさせるようにしたり、フードの種類を変えてみたりするとペットの気持ちも和らぎ食欲不振が改善することがあります。

下痢や嘔吐が続く

下痢や嘔吐が続く

食事関連の嘔吐は一般的によく見られる症状ですが、嘔吐や水様性の下痢が続くときには動物病院の受診をおすすめします。

受診の目安は下痢にゼリー状のものが混じっている、水を飲んでも吐いてしまうなど症状の回復が見込めない場合です。吐しゃ物を持参できると診察がスムーズに進みます。

皮膚の変化

ペットの皮膚に脱毛、出血、赤みなどの変化が見られる場合も早期受診をするべきです。多くの場合、かゆみが症状として表れますが体を掻きすぎると症状が悪化していきます。

3日程度かゆみがおさまらない、掻きすぎによる出血がある、かゆみが強く睡眠に支障をきたしているなどの症状が見られる際は受診するポイントです。

ご家庭でもペットの生活環境を清潔に保ち、できる限りストレスを与えないようにすることでアレルギーや皮膚環境を整えられます。

普段と様子が違い苦しそうにしている

普段と様子が違い苦しそうにしているときはすぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。動物は言葉を使って伝えることはできませんが、明らかに苦しい様子はSOSの信号です。

重い呼吸障害のサインとして次の症状が表れます。

  • 安静時の開口呼吸
  • 浅く速い呼吸
  • ゼーゼーなどの異常音
  • 鼻翼が大きく広がる
  • 腹部を強く使う呼吸
  • 歯肉や舌が青白く見える
  • 横たわったまま動けない

運動や暑さが原因でなくこれらの症状が見られたら自己判断せず、ただちに動物病院を受診すべきです。搬送時は無理に動かさず、体勢を楽に保ちましょう。

病気の診察以外で動物病院に行くメリット

病気の診察以外で動物病院に行くメリット

病気の診察以外で動物病院では、爪切りなどの日常のケア、フードの相談、健康診断を実施しています。気軽に動物病院を訪れて、ペットと健康に毎日を過ごしましょう。

爪切りなどの日常のケア

動物病院では爪切りなどの日常のケアを行うことができます。トリミングサロンを併設している動物病院は全体の約3割で、
獣医師
が近くにいるため持病があり通常のサロンでは受け入れてもらえないペットにも対応可能です。

日常のケアのなかでも皮膚環境に影響を与えるのはシャンプーです。動物病院ではペットの個々の体の状態に合ったシャンプーで洗うことで皮膚環境をよりよいものにしていきます。通常のサロンとは異なり、獣医師の配慮の行き届いた施術を受けられます。

フードの相談

フードの相談

次に、動物病院ではフードの相談も可能です。動物病院のなかにはペットフードアドバイザーが常勤し、専門的な食事指導を受けられる医院も存在します。

店頭やネット販売では無数のペットフードが並び、どの商品がよいかわかりにくいそうです。手作りでも、ブログやSNSの断片情報を鵜呑みにしてしまい栄養などの知識が身についていないことは珍しくありません。

動物も人と同様に栄養バランスを考えた食事が健康な生活の基礎です。成長段階や持病の有無などペット個別に合わせて考える必要があります。

現在食べているペットフードで食欲低下などが見られたら動物病院に相談してみましょう。普段の食生活を改善することで予防につながります。

健康診断

動物病院では健康診断も可能です。健康診断は病気の予防と早期発見のために役立ちます。かかりつけの動物病院で定期診断を受けることで、以前の記録からわずかな変化にも気づきやすくなります。

検査結果を踏まえた日々のケアのアドバイスが受けられ予防に効果的です。さらに血液検査などで疾患の因子を見つけて早期治療へつなげられるため、健康維持につながります。元気だから行かないのではなく、元気なうちに確かめる意識が動物病院の行き過ぎを防ぎます。

動物病院の受診を迷ったときの判断基準

動物病院の受診を迷ったときの判断基準

動物病院の受診を迷ったときの判断基準はペットの異変を感じ、心配な様子であるかどうかです。迷っていて手遅れになるよりも、はやめの受診で体調を回復させるべきです。

特に緊急性の高い症状が現れている場合は命に直結するため今すぐ動物病院へ連れていきましょう。止血できないほどの出血や痙攣、硬直などの症状は緊急性の高い症状として挙げられます。

食欲不振や嘔吐、下痢が持続する、皮疹が拡大するなどの症状は中程度の症状といえますが、ペットが子どもであったり高齢であったりする場合は短期間で症状が悪化し命を落とすことも珍しくありません。遅くとも24時間以内に病院の受診が必要です。

また、急な体調不良でも夜間診療を行っている動物病院もあります。精密検査ができない医院もありますが、応急処置を施すことも可能です。夜間に緊急性の高い症状が現れても、落ち着いて動物病院に連絡しましょう。

動物病院を受診するための準備

動物病院を受診するために、首輪やリードを使用することとキャリーケース内で落ち着けるよう整えることが大切です。日頃からリードの使用とキャリーケースに慣れさせることで、スムーズに診察できます。

首輪やリードを使用する

動物病院を受診するための準備の1つ目は首輪やリードを使用することです。普段おとなしいペットでも、日常とは異なる空間では思わず逃げてしまう可能性があります。

首輪やリードがなく制御がきかない場合、咬傷事故や脱走などのトラブルが起こりえます。待合室や駐車場はほかの人やペットの出入りが多く、緊張や恐怖で突発的な行動に出やすい環境です。

ほかのペット、通院者、スタッフとの衝突や診療機器の破損にもつながります。さらに自由に動き回ることで不要な接触が増え、感染症の拡大リスクも高まります。

首輪やリードでペットを制御するのは飼い主のマナーです。リードを忘れてしまっても病院スタッフに相談し、思わぬけがを防ぐようにしましょう。

キャリーケース内で落ち着けるよう整える

動物病院を受診するための準備の2つ目は、キャリーケース内で落ち着けるよう整えることです。キャリーケースで移動するのを病院に行くと認識している動物も少なくありません。

キャリーケースに慣れさせるには、普段から扉を開けたままペットが普段くつろぐ場所に設置します。キャリーの近くにフードボウルを置き、慣れたら入口付近から内部へと少しずつ移動すると自然とキャリー内へ入ります。おやつで誘導するのも有効です。

キャリー内を快適にするためやわらかな敷物やおもちゃを入れ、フェロモンスプレーも活用しましょう。扉が不意に閉じてストレスを感じさせないよう、紐で固定するなどの工夫も必要です。

その後、段階的に奥でくつろげるようにしていきキャリー内を居心地よく過ごせる空間として認識させます。

普段からキャリーケース内で過ごせるようにすることで、移動のストレスを軽減させられます。診察をスムーズに進めるためにもキャリ―ケース内で落ち着けるように慣れさておきましょう。

日々の健康チェックポイント

日々の健康チェックポイント

動物病院への不必要な通院を防ぐために、日々の健康チェックを行うことがおすすめです。チェックリストを作成しておけば、動物病院へ行くかどうかの判断をしやすくなります。具体的には次のポイントに気を付けるとよいでしょう。

  • 食欲と飲水量が減っていないか
  • 下痢や血便はしていないか
  • 嘔吐が続いていないか
  • 湿疹や脱毛の症状は出ていないか
  • 呼吸が苦しそうだったり咳が続いていたりしていないか
  • 歩き方がフラフラしていないか
  • 帰宅時の出迎えがないなど普段と異なる行動をしていないか

上記のポイントにあてはまるものがある場合は動物病院の受診のサインです。ペットの普段の行動をよく観察し、少しの変化に気付けるようにしておく必要があります。

また、気になる様子があった日は日時や状況をメモしたり写真や動画に残しておくと、受診時に獣医師へ正確に説明しやすくなります。

小さな不調のサインにも気付きやすくするためにもトイレの回数や排泄物の状態、睡眠時間などもあわせて記録しておくのもおすすめです。。

季節の変わり目や高齢期は体調を崩しやすいため、いつも以上にこまめなチェックを心がけましょう。日ごろからデータを蓄えておくことが、いざというとき愛犬・愛猫を守る力になります。

まとめ

まとめ

動物病院へ行き過ぎるのはよくないといわれるのは、ペットのストレスと費用面での負担が大きくなることが要因です。ただしペットの健康を考慮し、行くべきタイミングで動物病院を受診するのが大切です。

けがや出血がある、食欲不振が続く、下痢や嘔吐が続く、皮膚の変化がある、普段と様子が違い苦しそうにしているなどの症状が見られる場合は動物病院を受診するタイミングであるといえます。

動物病院へ行くことがペットのストレスにならないよう普段から環境を整える配慮も必要です。動物病院では診察以外にも爪切り、トリミングのサービスや健康診断などの健康相談全般を行っています。日常的に通院すれば、唐突な受診に対する抵抗を減らせます。

また、必要以上の診察を防ぐために日頃から健康チェックを実施することが大切です。ペットが普段とは異なる行動を取っている際は、動物病院の受診を考えましょう。飼い主と動物病院が連携して、ペットが健康に過ごせる環境を作るよう心がける必要があります。

参考文献