動物病院で困らないために|クレートの選び方や慣れ方、連れて行く際の注意点を解説

動物病院で困らないために|クレートの選び方や慣れ方、連れて行く際の注意点を解説

動物病院にペットを連れて行く際、クレート(ペット用キャリー)が必要です。これは、自宅から動物病院までの移動時の安全性を守るだけではなく、待合室でのストレス緩和にも効果的です。しかし、ペットに適したクレート選びや慣れさせるための方法を知らなければ逆効果になることもあります。ここでは、クレートの選び方や慣れさせ方、動物病院を受診する際の流れと注意点についてQ&A形式で解説します。

クレートの選び方

クレートの選び方
クレートには、どのようなものがありますか?
クレートには大きく分けてハードタイプとソフトタイプの2種類があります。ハードタイプはプラスチックや金属が使われていて、頑丈なので通院や長距離移動に向いています。ソフトタイプは布製で軽量なため、日常の移動や収納時に便利です。そのほかにもキャスター付き、防災用などさまざまなタイプがあるので、動物病院への通院頻度やペットの性格にあわせて選択しましょう。安全性、通気性、収納のしやすさなどを比較しながら選ぶのがポイントです。
クレートのサイズはどのようにして決めたらいいですか?
クレートのサイズ選びでは、ペットがなかで立ち上がったり方向転換できたりする広さが理想です。犬や猫は、窮屈な空間に対してストレスを感じやすいですが、広すぎても不安を感じることもあります。目安は体高からプラス5cm程、伏せた状態の長さと同程度の奥行きです。ペットを立たせた状態で床から頭までの高さ、伏せた状態で前足から尻尾までの長さを図ってみてみるとサイズ感がわかりやすいです。成長とともにクレートのサイズを変更することでストレスのない通院が可能になるでしょう。
目的に合ったクレートサイズの判断方法を教えてください
通院や短時間の移動で使用する場合はコンパクトサイズがおすすめです。狭すぎず広すぎないクレートは、ペットに安心感を与え、移動時の揺れで不安を感じる可能性が低くなります。一方で飛行機や車などで長時間移動するのであれば、水皿やトイレシートを設置できるゆとりのあるサイズが理想です。子犬や子猫の場合は、長く使えるように最初から大きいサイズを選ぶ飼い主さんもいますが、広すぎて不安を感じていないかどうか配慮してあげましょう。

クレートへの慣れさせ方

クレートへの慣れさせ方
クレートを嫌がるのですがどのように慣れさせたらよいか教えてください
普段からクレートに入る習慣のないペットはクレート=動物病院に行くと察知して強い拒絶反応を見せることも珍しくありません。クレートに慣れさせるためにも、安心できる場所として認識してもらえるように日常生活のなかで使う習慣をつけるのがおすすめです。クレートの扉を開けた状態でリビングに置いたり、なかにおやつやおもちゃを入れておき、ペットが自発的に入るように促すのもよいでしょう。クレートに入るトレーニングをするのであれば、ペットが自発的に入ったときに飼い主さんがたくさん褒めてあげることも大切です。このようにクレートに対する拒絶反応を和らげられるように日常生活に取り入れてみましょう。
クレートへ慣れさせるときに重要なポイントはありますか?
ペットがクレートに慣れるために何より重要なポイントはクレート=怖くない、楽しいというイメージを定着させることです。動物病院に行くときだけクレートを使っているのであれば、ペットにとってクレートは怖い、痛い、嫌いなどネガティブなイメージが蓄積されるので自然と拒絶反応が芽生えます。クレートに入るとおやつやおもちゃがもらえるなどのポジティブな経験を蓄積させることが大切です。日常生活では扉を開けた状態で出入りできるようにしておき、ペットの性格にあわせてゆっくりと慣れさせてあげてください。
クレートへ慣れさせるうえでの注意点を教えてください
クレートに早く慣れてほしいからといって強制的に入れたり、無理に閉じ込めたりすることは厳禁です。ペットの恐怖心や警戒心が強くなるので逆効果になる可能性があります。また、うまくできないからといって叱ってはいけません。クレートに入るトレーニング自体に拒絶反応を持ってしまうと慣れるまでの時間も長くなります。はじめのうちは短時間ずつ使用するようにして、徐々に受け入れてもらえるように根気よく向き合いましょう。

動物病院を受診する際の流れ

動物病院を受診する際の流れ
動物病院の待合では、クレートに入れたまま待機した方がよいですか?
動物病院にもよりますが、一般的にはクレートに入れたまま待機することが推奨されます。待合室では、ほかにも動物や飼い主さんがいるため、クレートに入れずに待機させていると突然興奮して暴れたり不安を感じたりすることがあるからです。また、動物病院には感染症を持った動物が来院している可能性があるので、好奇心で近づいてしまうと感染リスクにつながります。クレートに入れたまま待合室で待機することで、ペットがストレスを感じることを防げるうえ、感染リスクをから守る効果も期待できます。どうしてもペットがクレートに入れない場合は、事前に動物病院に相談しておきましょう。
クレートからペットを出すときは、リードなどをつけてから出すべきですか?
ペットをクレートから出すときは、リードをつけてあげてください。動物病院の待合室は、さまざまな動物や医薬品の匂いが充満していたりペットが苦手な音が響いたりします。こういった環境がペットの興奮材料となり暴れたり逃げたりするリスクがあるので、飛び出し防止を防ぐためにもリードの装着は必須です。ただし、ずっとリードをつけたままクレートに入れておくと、リードをかじって誤飲したり動いたときに首に絡まったりする恐れがあります。クレートに入っているときは取り外し、出る直前に付け直すようにしてください。
クレートからペットを出すタイミングを教えてください
診察室に呼ばれて、獣医師やスタッフから指示があったらペットをクレートから出すようにしてください。待合室で呼ばれたとき、診察室に入ってすぐに出てしまうと、ほかの動物と接触したり興奮したりして怪我のリスクが高まるからです。暴れやすいペットの場合は、クレートに入れたまま問診を済ませるケースもあるので、飼い主さんの判断ではなく、獣医師やスタッフの指示に従うようにしてください。

動物病院にクレートで連れて行く際の注意点

車に乗せるときはクレートを固定した方がよいですか?
車に乗せるときは、クレートを必ず固定してください。ペットを乗せているときは、安全運転を心がける飼い主さんがほとんどですが、やむを得ず急ブレーキやカーブをするときにクレートが揺れると、なかにいるペットは不安を感じます。場合によっては怪我や事故の原因にもなります。シートベルトで固定できない場合、後部座席の床に置いて座席の位置で調整すると揺れを抑えられるでしょう。普段はほとんど車に乗らないペットは、短時間でも車酔いする可能性があるので細心の注意を払うようにしましょう。
ペットがクレートに入るのを嫌がったらどうすればよいですか?
ペットがクレートに入るのを嫌がったときは、無理に押し込もうとせず、好きなおやつやおもちゃを使ってなかに誘導してみてください。普段から生活空間の片隅にクレートを置いて、日常的に触れる機会を作ることで警戒心を和らげることにつながります。また、扉の取り外しができるタイプのクレートを用意することで、入り口が広くなるので入りやすくなることもあります。すぐに動物病院に連れて行きたいのにクレートに入ってくれない場合、最終手段として洗濯ネットに入れてからクレートに入れる方法が有効です。
クレートの使用で注意すべきことがあれば教えてください
クレートを使用するにあたって、まずは頑丈でペットのサイズに適したものを選ぶことが重要です。また、動物病院に行くときだけクレートを使うと拒絶反応をみせることがあるので、日常的に使えて寝床にできるように生活空間に置いておきましょう。最初のうちはクレートに入れないペットもいますが、トレーニングをするのであれば入れなくても叱ることはせずにペットの性格にあわせて根気よく向き合うように意識してください。

編集部まとめ

動物病院に行く際には、ペットの安全性と安心感を守るためにクレートの使用が重要です。頑丈な素材でペットの大きさにあわせたサイズ選びをすることで、移動時や待ち時間のストレス緩和にもつながります。ただし、クレートに入ることに対して強い拒絶反応をみせるペットも多くいるので、おやつやおもちゃを使ったクレートに入るトレーニングを取り入れてみてもよいでしょう。クレートの苦手意識を克服できるまでの期間はペットの性格によって大きく異なるので、ゆっくりと時間をかけて向き合ってあげてください。

参考文献