動物病院で処方されるノミダニ薬は何が違う?薬の種類や使用する際の注意点などを解説

動物病院で処方されるノミダニ薬は何が違う?薬の種類や使用する際の注意点などを解説

大切なペットの健康を守るために、ノミやダニの対策を講じることは欠かせません。しかし、薬を服用するにしてもさまざまな種類があって、どれを選べばよいのか見当がつかないという方もいるでしょう。今回はノミダニ薬に焦点を当て、薬の種類やあらかじめ押さえておきたい注意点について、詳しく解説を加えました。動物病院の薬と市販薬の違いなどについてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

ノミやダニに関する基礎知識

ノミやダニに関する基礎知識

薬について掘り下げる前に、まずはノミやダニに関する基礎知識をチェックしましょう。ノミやダニの被害がどのようなものなのか明確になれば、対策の必要性や飼い主が心がけるべきことを理解しやすくなります。

ノミやダニはペットにどのような被害を与えますか?
ノミやマダニが寄生すると、吸血されたことによる貧血が起こるケースも見られます。問題はそれだけに留まりません。犬や猫はノミが原因でノミアレルギー性皮膚炎を発症する場合があります。一度発症すると寄生されるたびに再発しやすくなるため、十分な注意が必要です。
ノミやダニはなぜ駆除しないといけないのですか?
ペットの健康や快適な生活を守るためというだけでなく、ノミやマダニの被害は人間にまでおよびます。飼い主が刺されてしまう可能性もあるので、しっかりと駆除しなければなりません。特にマダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症させるウイルスを媒介するケースがあります。重症熱性血小板減少症候群は発熱・嘔吐・下痢・腹痛などから始まるウイルス性の感染症で、重症化すると血小板減少や出血傾向を引き起こします。特効薬までいきませんがアビガン(ファビピラビル)という抗ウィルス薬が治療薬として承認されています。しかし、人間の致死率が27%と高いため、対策を怠ることはできません。
ノミやダニの主な感染経路を教えてください
ノミは室内外を問わず生息することができ、特にカーペットやソファーといった湿気のある場所を好みます。放置すると短期間で大量発生し、ペットはもちろん人にまで影響を及ぼすため、ノミ駆除薬の使用やこまめなシャンプー、ブラッシングなどにより、ペットを守ることが大切です。一方のダニは特に草むらなどに生息しており、散歩の際にペットの身体へ付着しやすくなります。とはいえ、室内飼いの場合も感染に注意しなければなりません。飼い主の服や靴に付着して、家のなかに入って来る可能性があります。ノミやダニはとても繁殖力が強いため、油断は禁物です。

動物病院で処方されるノミダニ薬

ノミダニ対策の必要性を押さえたところで、予防駆除薬の詳細を確認しましょう。ノミダニ薬には動物病院で処方されるものと、ペットショップやホームセンターなどで気軽に買える市販薬があります。錠剤タイプや液体タイプなど、投与方法も異なるのですが、実際のところどのタイプの薬を選べばよいのでしょうか。

動物病院の薬と市販薬はどう違うのですか?
動物病院で処方される薬は市販薬に比べて効果が大きく、効き目も長い点が特徴です。さらに、獣医師がペットの状況に応じて選んでくれるため、副作用のリスクを軽減できます。値段的には割高に感じられるかもしれませんが、効果が大きく頻繁に使う必要がないことから、結果的に出費が抑えられる場合もあるでしょう。
動物病院で処方されるノミダニ薬は何種類ありますか?
動物病院で処方されるノミダニ薬にはさまざまなものがありますが、2種類に大別できます。1つは錠剤やチュアブルタイプ、クッキータイプなどがある内服薬で、もう1つは液状の薬剤を首の後ろに滴下する、スポットオンタイプの外用薬です。ペットが内服薬を嫌がるようであれば外用薬にするなど、状況に応じて適切なノミダニ薬を選ぶことで、ペットのストレスはもちろん、飼い主が投薬する際の負担も軽減できます。
錠剤タイプのメリットとデメリットを教えてください
錠剤タイプの内服薬であれば、首の後ろに滴下する液体タイプとは違い、シャンプーなどによって効果が落ちる心配はありません。一方で錠剤を吐き出してしまうペットも見受けられ、飲ませることが難しいというのがデメリットです。
液体タイプにはどのようなメリットとデメリットがありますか?
液体タイプの外用薬であれば、ペットが警戒して飲まなかったり、吐き出したりという心配はありません。薬剤に触れないよう気を配る必要はありますが、投与しやすい点が大きなメリットといえるでしょう。一方で、ペットが滴下した部分の皮膚を舐めてしまったり、小さなお子さんが触ったりするリスクは高まります。ペットを多頭飼いしている場合には、ほかのペットにも配慮しなければなりません。滴下してから数日はシャンプーができないことも、あらかじめ留意しておきましょう。

ノミダニ薬を使用する際の注意点

ノミダニ薬を使用する際の注意点

実際にノミダニ薬を使用するときの注意点についても、しっかりとチェックしておきましょう。事前に関連の知識を身に付けておけば、万が一の際にも慌てずに済み、ペットをリスクから守ることができます。

ノミダニ薬には、副作用はありますか?
市場に出る薬についてはさまざまな面から安全性のチェックが行われていますが、ペットにも人間と同じように個体差があり、まったく副作用がないとはいいきれません。コリー系品種についてのみ、副作用が起こるといったケースも見受けられます。また、首の後ろに滴下する液体タイプの場合、皮膚や被毛に異常が生じることが少なくありません。下痢・嘔吐などの胃腸障害や食欲不振といった症状が出る場合があります。そのため、初めてノミダニ薬を投与する際には獣医師の説明をよく聞き、副作用について確認しておくことが大切です。
アレルギー反応が出た場合の対処法を教えてください
万が一、ノミダニ薬を投与した後にアレルギー反応などの異常が見られた場合には、すぐに動物病院を受診して獣医師の判断を仰ぎましょう。自己判断で放置するようなことは避けてください。
ノミダニ薬はいつ使うのが効果的ですか?
ノミは13度を超えると活動が活発になることもあり、暖かい時期に使うのが効果的といえます。しかし、寒い時期には何の対策もいらないということではありません。冬場の気温は13度を超えないケースがほとんどですが、屋内では暖房が使用されており、室温が高くなっています。そのため、寒いからといって完全に休薬してしまうことは危険です。一方、マダニの場合は春から夏にかけて成虫が活発化し、秋から冬にかけても幼ダニや若ダニが活動しています。暖かい時期だけの予防では不十分なので、通年の予防がおすすめです。
薬の服用後、ペットの様子がいつもと違う場合は動物病院へ相談すべきですか?
ノミダニ薬を服用した後にペットの異変を感じたら、速やかに動物病院を受診しましょう。特に飼い主が自分で市販薬を選んだ場合には、成分や用法が間違っており、副作用などのトラブルが起こっているかもしれません。些細に思えることでも気にかかる点があれば、獣医師に相談することをおすすめします。

編集部まとめ

ノミダニ薬にはとても多くの種類があります。そのため、ペットに合うものを選択できれば大きな効果が期待できますが、成分や用法を間違ってしまうと、予期せぬトラブルにつながりかねません。ノミやダニの被害はペットや人間の命に関わるケースもあるだけに、少しでも疑問や不安を抱えているならば、動物病院の受診を検討しましょう。飼い主が責任を持って定期的なケアを心がけ、ペットの異変に対して敏感になっておくことも大切です。

参考文献