いつも元気いっぱいに振舞うペットも突然、体調の急変や事故に遭うことがあります。特に幼少期やシニアのペットは、夜中や明け方に急に体調が変化することは珍しくありません。
早朝や深夜に動物病院で診てもらえるか、往診に対応してもらえるかで命に関わることもあります。早朝や深夜など、営業時間外でも診察してもらえる動物病院はあるのでしょうか。
ペットが元気なうちに、ぜひお近くの夜間救急動物病院や早朝対応のできる動物病院を探しておきましょう。
動物病院の営業時間

動物病院は何時から始まるのでしょうか。早朝から営業開始する動物病院があるので、近所にあれば朝一番に診てもらえるかもしれません。都市部では深夜から早朝のみ営業する夜間救急動物病院もあります。
- 動物病院の一般的な営業時間を教えてください。
- 動物病院の営業時間は病院により異なりますが、人間の病院に近い時間帯が多いです。
午前診、午後診があり、午前は8:30~10:00から12:00頃の病院が多く、午後診は14:00~16:00から17:00~20:00頃の病院が一般的です。獣医師が複数在籍する大きな病院では、昼休みがない通し営業の動物病院もあります。
土日祝も営業する動物病院は多く、日祝は午前診のみの病院が大半です。
まれに常に午前診のみの動物病院もあるので、事前に診療時間を確認しましょう。
動物病院が多い都市部では早朝、深夜まで営業する病院が多い傾向にあります。早朝7時頃から開業する病院や、深夜23時頃まで開業する病院もあります。
急患に限り24時間受付できる病院もあります。
- 緊急時に早朝でも診察してくれる動物病院はありますか?
- 全国各地に点在する夜間救急動物病院では夜間、早朝の営業が可能です。そのうちの1軒、埼玉県所沢市の日本小動物医療センターでは21:00から翌朝5:00まで夜間救急医療を行います。
夜間救急動物病院はかかりつけ医の営業時間まで保つように緊急措置を行い、ペットの容態を安定させ、かかりつけ医へとつなげる役目があります。人間の救急病棟と同じ役割だと考えると理解しやすいでしょう。
ただし、夜間救急動物病院は数が少なく、東京都、神奈川県を除けば各県に1軒から数軒しかありません。例えば四国は夜間救急動物病院がないため、各県の獣医師会員が持ち回りで夜間当番を行っているそうです。
個人の動物病院でも夜間、早朝に診てもらえるケースもあります。ただし、獣医師のスケジュール次第なので、必ず診てもらえる保証はありません。
- 早朝に往診をしてもらうことはできますか?
- 病院によってはスケジュールが合えば早朝の往診も可能かもしれませんが、必ず診てもらえるとは限りません。
高齢化などでペットの容態が不安定な場合は、往診ができる動物病院に事前に相談しましょう。スケジュールが合えば早朝でも往診に応じてもらえることがあります。
都市部には往診専門の動物病院もあり、早朝でもある程度は柔軟に対応してもらえるでしょう。
早朝の往診については、事前にかかりつけ医にも相談しましょう。近隣の対応可能な病院を紹介されることもあります。
動物病院の営業時間外にペットが体調不良になった場合の対処法

ペットの体調が急変したら、早急に動物病院へ連絡しましょう。
流血など外傷がある場合は、飼い主さんが応急処置を行いましょう。事前に応急処置のやり方を知っておくと、慌てずに対応できます。
- 早朝など営業時間外にペットの体調に異変があった場合、どうすればよいですか?
- 夜間、早朝であってもペットの体調が急変したら、まずはできるだけ早く夜間救急診療に対応した動物病院に連絡しましょう。
夜間救急動物病院には必ず事前に電話連絡をして、指示を仰いでから搬送しましょう。飛び込みで動物病院に入ってもほかの救急処置で手が回らないことがあります。一刻を争うときでも、事前の電話連絡は必須です。
- 早朝など営業時間外にペットが怪我をした場合の応急処置の方法はありますか?
- あります。基本的に、人間への応急処置と同じ方法です。
【流血、ケガ】
傷口を流水で洗い、清潔な布で10分ほど圧迫すると止血できます。止血したらケージに入れ、なるべく暴れないようにしてから病院へ搬送してください。
【異物の誤飲】
誤飲で窒息している場合は、手で取れそうなら取り除きます。この場合、異物を逆に押し込んでしまう場合もあるため、慎重に行いましょう。異物が見えない場合は後ろ足を持って逆さ吊りにして、背中を強く叩きましょう。衝撃で異物を吐き出せることがあります。骨折など二次被害を避けるために、なるべく無理のない力で処置しましょう。
【けいれん】
けいれんの発作が長い、何度も発生する場合は脳や内臓に異常が起きている可能性があります。ただちに動物病院に連絡をして判断をあおぎましょう。
【熱中症】
熱中症が疑われる場合は流水をかけて身体を冷やし、冷たいタオルなどを首、脇やお腹に当てて病院へ行きましょう。夜間でも熱中症リスクはあります。
- 動物病院が開くまで、怪我や病気のペットにしてはいけないことを教えてください。
- 広い場所に放置して、過度に暴れさせないようにしましょう。
異物の誤飲は毒物でない限り、自宅で無理やり吐かせることは、できるだけ避けます。
誤飲した異物の容器やラベル、吐しゃ物も持参して獣医師に診せてください。
けいれんで嘔吐した場合は窒息させないために吐しゃ物を取り除く必要があります。しかし筋肉が過度に緊張するため、無意識に噛まれるリスクがあります。飼い主さんが大怪我をするので、無理に取り除くのは控えましょう。
- 近隣の夜間対応の動物病院を調べておくべきですか?
- ぜひペットが元気なうちに、夜間対応の動物病院を調べましょう。
特に犬、猫以外のペットは夜間救急では対応できないケースが多く、事前のリサーチが欠かせません。事前にかかりつけ医に夜間対応ができる病院を尋ねておくことをおすすめします。
特に夜間対応の動物病院は都市部に集中しているなど、動物病院は都市と地方で特徴が大きく異なります。
お住いの都道府県(または自治体名)+動物病院+夜間診療
以上のキーワードで検索して、夜間救急連絡先を確認しましょう。
早朝に動物病院にかかる際の費用相場

病院により金額は大きく異なりますが、早朝に診察を受けた場合は夜間救急診察料を別途請求されます。例えば日本小動物医療センターでは検査費、治療費に加え、夜間救急診察料(9,900円)が加算されます。
- 早朝に動物病院を受診すると割り増し費用がかかりますか?
- はい。深夜、早朝の受診は割り増し費用が発生します。
費用は病院により大きく異なります。多くのケースではホームページなどに料金が記載されているので、事前に確認しましょう。もし記載がない場合は、事前に電話で確認してください。
事前に割り増し費用を確認しておくと、いざというときに慌てません。
- 早朝に往診をしてもらった場合の費用相場を教えてください。
- 早朝に往診を依頼する場合は夜間救急診察料に加え、往診費も発生します。
医師が自宅まで車移動するため、動物病院から自宅までの距離で費用は変動します。愛知県のある病院では往診料は市内2200円、市外は要相談となっています。
兵庫県のある夜間救急往診病院では夜間診察料11,000円+往診料(一律)5,500円+処置料15,000円~が相場です。この場合は費用が合計31,500円からになります。
このように全国均一の費用相場はなく、価格は病院により大きく異なります。動物病院が遠ければ遠いほど往診料は上がる傾向があり、有料道路を利用する場合は高速道路料金を併せて加算されます。おおよその金額の目安は、必ず事前に確認しましょう。
支払いは現金またはカードのみの病院が大半です。その場で支払えるように、普段から現金を準備しましょう。
編集部まとめ

夜間救急動物病院であれば、早朝でも診療できることがあります。しかし、救急病院のためすべての医療に対応できるとは限りません。特に犬、猫以外の動物は受付できないこともあるため、事前のリサーチは欠かせません。
往診は事前に動物病院と相談すれば早朝でも対応できることがあります。しかし地方では動物病院の数が少なく、必ずしも早朝に対応できるとは限りません。緊急時に備えて、往診可能な病院を複数リサーチしましょう。
参考文献