猫の痙攣とはどのような症状が出るの?考えられる病気やできることについて解説!

猫 痙攣

ペットとして世界中で愛されている猫ですが、人間と同じく痙攣を起こすこともあります。猫の痙攣にはさまざまな要因があり、病気が隠れている場合もあります。また、愛猫が急に痙攣を起こしたらびっくりしますし、心配になりますよね。

本記事ではそんな猫の痙攣について以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫が痙攣する原因
  • 猫の痙攣で考えられる病気
  • 猫の痙攣が起こったときできること

猫の痙攣について理解し、対処するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

猫の痙攣とはどのような症状が出る?

猫の痙攣は、猫が突然体を震わせたり、筋肉を強張らせて手足が突っ張ったような状態を指します。このような症状は突然現れ、前兆はほとんどありません。多くの場合、痙攣は数分程度で治まります。

猫が痙攣する原因

猫が痙攣を起こす原因は多岐にわたります。

まず、筋肉疲労が考えられます。猫が過度に運動したことにより筋肉が疲労し、その結果筋肉がピクピクと痙攣する場合があります。また、寝ている間に足を突然動かしたり、まるで走っているかのような動きを見せることもありますが、これに関しては特に心配する必要はありません。
しかし、激しく震えたり、一部もしくは全身の筋肉が固まったような状態になり、手足を突っ張らせるような症状がある場合は、早急に獣医師の診察を受けることをおすすめします。上記の症状は、何らかの病気が原因で痙攣を起こしている可能性を示しているからです。早期発見と早期治療が、猫の健康を守るための鍵となります。

猫の痙攣で考えられる病気

猫の痙攣は、何らかの病気が原因の場合もあると前述しました。以下からは、その痙攣の原因となる病気について、詳しく解説します。

てんかん

猫のてんかんは、脳の機能に異常が生じる病気ですが、脳の構造自体は正常です。突然、全身性のけいれんや意識障害が発生し、体を突っ張らせたり、泡を吹いたり、倒れたりすることが特徴的な症状となっています。発作は5歳までに見られないこともありますが、生後6ヶ月から3歳の間に初めて起こることが多いようです。

原因は解明されていませんが、遺伝的要素が関与すると考えられています。また、脳炎や脳腫瘍、水頭症、外傷による脳の障害など、他の脳疾患の経過中に発作が起こる「症候性てんかん」もあります。猫では、症候性てんかんが多く、原因としては、猫伝染性腹膜炎(FIP)のようなウイルス感染症や、脳腫瘍などが考えられます。

治療は、主に抗てんかん薬の投与により発作を抑えます。薬はてんかんを治すものではなく、発作を起こりにくくするものです。原因が明らかな場合には、その原因についての治療も行います。薬の継続期間などは猫の発作の頻度や状態によって異なります。また、予防法は確立されていません。

脳炎

「脳炎」は、猫の痙攣を引き起こす可能性のある疾患の一つです。脳炎は、さまざまな原因で発生しますが、猫では特に真菌やウイルスなどによる感染が主な原因となります。脳炎による症状は、脳のどの部位が障害を受けているかにより異なりますが、一般的にはけいれん、食欲不振、元気がない、歩行の異常などが見られます。これらの症状が現れた場合、早期に適切な治療を受けることが重要です。また、感染による脳炎は、抗生物質や抗真菌剤などの投与により治療が行われます。さらに、吐き気や下痢、食欲不振などの消化器症状が見られた場合は状況に応じて点滴や薬物治療などの対症療法が行われます。

脳腫瘍

猫の脳腫瘍は、脳やその周辺に発生する腫瘍を指します。これまで猫の脳腫瘍はあまり多くないと考えられていましたが、CTやMRI検査の普及により、発見されるケースが増えてきています。腫瘍が小さい段階では、大きな症状は見られませんが、腫瘍が大きくなると、麻痺や視覚障害などの症状が現れます。

水頭症

水頭症は、脳脊髄液(脳や脊髄を浮かべる液体)が過剰に蓄積され、結果として脳室が広がり、脳の正常な働きや構造が維持できなくなる状況を指します。猫の水頭症の発症は犬よりもまれで、子猫に多く見られます。

症状としては、元気がなくなる、食欲がない、全然起きない、ドーム状の頭部などです。また、猫の水頭症は遺伝によるものが多いですが、生まれながらにして持っている(先天性の)ものでなければ、脳腫瘍や猫伝染性腹膜炎(FIP)、あるいは外傷などによって脳脊髄液の流れに異常が出て、水頭症を引き起こすことが原因とされています。治療方法としては、ステロイド剤や利尿剤などで脳圧の低下や脳の保護を図る内科的治療や、脳室と腹腔などを管でつなぎ、過剰な脳脊髄液を排出する外科的治療があります。

中毒

猫が中毒を起こすのは、特定の有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、体に付着させたりした結果です。中毒を引き起こす可能性のある物質には、殺虫剤、鉛、特定の植物、アボカド、カフェインを含む飲み物などがあります。これらの物質を誤って摂取すると、猫は痙攣を起こす可能性があります。中毒の治療は、摂取した物質の種類や量によりますが、吐かせる薬を投与したり、点滴をして毒素の排出を促したり、胃洗浄を行うことが一般的です。

中毒は予防可能な病気であり、猫が上記の物質を誤って摂取しないように注意を払うことが重要です。また、中毒の症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談することが推奨されます。中毒の予防と早期発見に努め、愛猫の健康を守りましょう。

腎不全末期(尿毒症)

猫が痙攣を起こす原因の一つに腎不全末期(尿毒症)もあります。腎不全末期(尿毒症)は、腎不全は腎の機能障害が深刻で、腎臓の機能を果たせなくなった状態(多くは不可逆的)です。この腎不全が末期になると、尿毒症を引き起こします。そしてこの状態が進行すると、嘔吐や下痢などの症状が現れ、さらに重症化すると痙攣を引き起こすこともあります。このような症状が出た場合、命に関わる可能性もあるため、早急な治療が必要となります。また、腎不全は高齢の猫に多く見られ、一度発症すると回復は難しいとされます。そのため、予防と早期発見が重要となります。病気の進行を遅らせるための治療として、療法食や点滴が行われることが多いです。

猫の痙攣が起こったときできること

猫の痙攣が起こった場合はできるだけ冷静に対処し、よく観察して病院に連れて行くべきかを判断することが大事です。以下で具体的な方法を見ていきましょう。

周りにあるものを片づける

猫が痙攣を起こした際の対処法として、周りにあるものを片づけることが大切です。痙攣中の猫は予測不能な動きをする可能性があるため、ケガを引き起こす可能性のある物が猫の周囲にあれば、遠ざけると良いでしょう。また、キャットタワーや他の高い場所で痙攣が起きた場合は、猫が落下してしまわないように注意する必要があります。

発作の様子を動画で撮影する

猫が痙攣を起こした際、発作の様子を動画で撮影することも推奨されています。痙攣が起こったとき、飼い主はパニックになりがちですが、その状況を冷静に観察し、可能であれば動画で記録することが重要です。動画に記録することで、症状の詳細を正確に獣医師に伝えることが可能となります。動画に記録すると、口頭だけで説明するよりも、症状を具体的に示すことが可能で、適切な診断と治療につながります。ただし、猫が優先なのは変わらないので、動画撮影が猫にストレスを与える場合は避けましょう。

痙攣が1分以上続いたら動物病院に連れて行く

痙攣が1分以上続く場合、または痙攣が何度も繰り返される場合は、できるだけすぐに獣医師の診察を受けましょう。痙攣が長く続くと、脳が回復できない障害を負う可能性があるためです。また、痙攣が止まった後でも、猫の元気がない、意識が戻らない、反応がないなどの症状がある場合も、すぐに獣医師に診てもらうことが重要です。こういった症状の場合は、命に関わる可能性があるため、できるだけ早く適切な処置を受けることが必要です。

まとめ

ここまで猫の痙攣についてお伝えしてきました。猫の痙攣の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫が痙攣する原因は、病気以外では筋肉疲労によるものがある
  • 猫の痙攣で考えられる病気は、てんかんや脳炎、脳腫瘍、水頭症、中毒、腎不全末期(尿毒症)などがある
  • 猫の痙攣が起こったときできることとして、周りにあるものを片づけることや発作の様子を動画で撮影すること、痙攣が続いたら動物病院に連れて行くことなどがある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献