猫が爪の病気になる原因は?治療法や対処法、正しいお手入れ方法も解説

猫が爪の病気になる原因は?治療法や対処法、正しいお手入れ方法も解説

猫の爪が黒く変色していて病気かも、と不安に感じていませんか?猫の爪が黒くなるのは、いくつかの要因が考えられます。

今回は猫の爪が黒くなる原因と対処法を見ていくので、黒く変色していた際の参考にしてみましょう。猫の爪が黒くなるほかにも、爪の異常はいくつか考えられます。

爪が出たままになったり、肉球に刺さったりするケースです。このような猫の爪に関するトラブルへの対処法もあわせて見ていきましょう。

猫の爪が黒くなる原因と治療法

猫 前足 爪

猫の爪は従来、半透明から白っぽい色をしているものです。もし黒く変色しているのであれば、何かしらの異常が発生していると推測できます。

猫の爪が黒くなっている原因は、いくつか考えられます。まずは猫の爪が黒くなる主な要因を見ていきましょう。

加齢変化や付着物によるもの

猫の爪が黒くなっていても、イコール病気ともいい切れません。加齢や付着物によるものであれば、問題ありません。

猫は年齢を重ねるとともに、爪に変化が見られます。爪の厚みが増したり、黒ずんだりする場合もあります。加齢による角質の変化によるものです。

爪に付着物がこびりついているために、黒く変色している場合もあります。後ろ足の爪が黒くなっている場合、自分の耳垢によるものかもしれません。

猫は後ろ足でよく耳のなかを掻きます。このときに耳垢が爪のなかに入ってしまったわけです。

トイレを済ませた後に爪が黒くなっていれば、自分の糞や猫砂が爪のなかに入って黒くなる場合も考えられます。

皮膚糸状菌症

猫の爪が黒く変色しているのは、病気の可能性もあり得ます。例えば今回紹介する皮膚糸状菌症です。

皮膚糸状菌と呼ばれるカビの一種に感染することで発症します。動物だけでなく、ヒトも感染する病気です。

皮膚糸状菌症に感染すると爪が黒く変色するほかにも、爪の根元が炎症により赤く腫れます。ひどくなると爪が剥がれてしまう場合もあります。

もし皮膚糸状菌症の疑いがあれば、速やかに動物病院を受診しましょう。外用薬やシャンプーによる洗浄療法、薬の服用などで、治療にあたります。

皮膚糸状菌症を予防するためには、汚染したゲージをきれいに洗浄しましょう。また感染猫やウサギ、ネズミを介して感染する事例は少なくないので、これらの動物との接触を控えましょう。

メラノーマ

猫の爪が黒く変色している原因に、メラノーマがあります。日焼けでお肌が黒くなるメラニン細胞が腫瘍化する疾患です。

メラノーマは皮膚疾患で、多くは鼻や目、口腔内に発症します。一方で指で発生する場合も稀にあり、この場合爪が黒く変色することもあります。

猫のメラノーマの原因は、判明していません。ヒトの場合紫外線が関係していると考えられているものの、猫は紫外線は危険因子ではないと考えられています。

メラノーマと診断された場合、速やかな治療が必要です。悪性度が高ければ急速な拡大や転移の危険性があるためです。

ただ猫がメラノーマを発症するのはまれなことも、頭に入れておきましょう。

扁平上皮がん

爪が黒く変色しているのは、扁平上皮がんによる可能性もあります。皮膚であればどこでも発症する危険性のある疾患です。

皮膚のなかでも毛の薄い部分、鼻筋や耳介などのお顔の部分や口腔内で発生する症例が多いといわれています。しかしまれに爪の根元に腫瘍ができる場合もあります。

腫瘍を放置していると、徐々に大きくなっていき、初期段階では気にならないものの、腫瘍が大きくなると独特の臭いがする場合もあるでしょう。

扁平上皮がんと診断されれば、手術や放射線治療などで対応していきます。また抗ガン剤の併用も治療の選択肢の一つになるでしょう。

猫の爪が出たままになっている原因と対処法

猫のつめ

犬の爪は常に出たままです。野生時代に獲物を追いかけるために、爪で地面を蹴って走るためです。

一方猫の爪は収納できるようになっています。通常猫の爪は見えないはずですが、出しっぱなしになっていませんか?

この爪が出たままなのは、いくつかの原因が考えられます。主な原因と対処法を見ていくので、参考にしてみましょう。

爪切りができていない

爪とぎで爪が短くなると誤解されることも多いのですが、爪とぎは古くなった爪の外層を剥がし爪を鋭く保つための猫の本能的な行動です。
特に飼い猫では定期的に尖った部分を爪切りし短くしてあげる必要があるので、爪が出たままになっているのはしばらく爪切りができていない証拠かもしれません。

指の異常

爪床や腱の異常で、爪が出しっぱなしの状態になることも考えられます。

猫の爪は本来、肉球を押したり離したりすると、爪は出たり入ったりするものです。

もし肉球をいじっても、爪が動かないようであれば指の異常が疑われます。
もし爪が出しっぱなしで、肉球を押しても爪が動かないようであれば、動物病院で診療を受けた方がよいでしょう。

猫の爪が肉球に刺さる原因と対処法

肉球

猫の爪が肉球に刺さってしまう事例は決して少なくありません。猫の爪はカーブした形状をしているので、肉球に刺さってしまうためです。

爪が肉球に刺さってしまうと、歩行困難になったり炎症を起こしたりする恐れがあります。なぜ爪が肉球に刺さってしまうのか、いくつか要因があるので見ていきましょう。

生活環境

野良猫や地域猫などいわゆる外猫は屋外を走り回ったり、よじ登ったりする際にある程度自然に爪が削れますが、屋内飼育の猫ではそうはいきません。

室内飼育の猫では定期的に爪をチェックし、もし爪が伸びすぎているようであれば、爪きりケアをしましょう。また上下運動する習慣をつけて、少しでも爪が削れる環境を作るのもおすすめです。

屋内飼育で猫が動かないようであれば、キャットタワーを設置するとよいでしょう。猫はもともと立体的な運動を好む傾向があるからです。

爪切りができていない

前述したように猫は定期的に爪切りをしないとどんどん爪が伸びてしまいます。
爪切りをせずに放置してしまうことで巻き爪になり、肉球に刺さってしまうこともあります。歩く際に床に爪が当たりカチャカチャと音が鳴っていると伸びすぎの合図なので爪切りをして適度な長さを保ってあげましょう。

特に高齢になると、運動量が少なくなり、爪とぎする頻度も減少しがちです。爪が太くなって、伸びやすくなるので注意しましょう。

甲状腺機能亢進症

猫の爪が肉球に刺さる原因として、病気も考えられます。特に高齢の猫で肉球に爪が刺さるのであれば、甲状腺機能亢進症による爪の過長が原因かもしれません。

甲状腺機能亢進症に罹患していると、爪の成長ペースが速まることも少なくありません。ほかにも多食や異常な活動性、多飲多尿、粗毛などの症状が現れる場合もあります。

甲状腺機能亢進症が疑われるのであれば、動物病院を受診しましょう。血液検査やエコー検査などで診断します。

甲状腺機能亢進症と診断されれば治療の基本は内科による投薬になりますが、外科療法により甲状腺を摘出することも選択肢として挙げられます。

猫が爪を噛んだり引っ張ったりする原因と治療法

足の爪を噛む三毛猫

猫が異常行動する場合には、注意が必要です。猫の異常行動は多岐にわたりますが、今回紹介する爪を噛んだり引っ張ったりするのもそのなかの一つです。

もし猫が爪を噛んだり引っ張ったりするのであれば、何か原因があるかもしれません。以下の要因に心当たりはないか、一度確認しましょう。

爪が伸びている

猫が爪を噛んだり引っ張ったりする原因として、爪への違和感が挙げられます。爪が伸びすぎて違和感があるので、噛んだり引っ張ったりするわけです。

爪の伸びすぎのほかにも、爪が割れていたり、肉球に異物が挟まったりすることで違和感を抱く場合もあります。もし、しきりに猫が爪を気にするようになったら、爪の状態を確認しましょう。

爪が伸びていないか、肉球に問題が起きていないかチェックしましょう。もし爪が伸びすぎているようでしたら、爪きりをして適度な長さに調整するのがおすすめです。

骨折・関節炎・刺傷

猫が爪を継続的に噛むようになった場合、患部に痛みもしくはかゆみを感じている可能性もあります。
足先に痛みを感じているのであれば、骨折や関節炎などが考えられます。また木片や釘を踏んだことで刺傷を起こして、爪を噛む仕草をしているのかもしれません。

ほかにも感染症やアレルギーに伴い足先の皮膚で炎症を起こして、爪を噛む場合もあります。この場合、爪を噛む要因となっている疾患を治療する必要があります。

速やかに動物病院へ行き、獣医師の診療を受けましょう。

ストレスや習慣

爪を噛んだり引っ張ったりする原因として、ストレスが関係している可能性もあります。何かにストレスを感じ爪を噛む行動をしているのかもしれません。

猫はヒトと比較して、繊細なところがある点は留意しておきましょう。私たち人間にとっては取るに足らない変化でも、猫はストレスを感じてしまいます。

ストレスが要因の場合、爪を噛む頻度が増し、爪がボロボロの状態になりかねません。過剰に毛づくろいしたり、食欲がなくなったりなどほかの異常行動が見られるようになる場合もあります。

もしストレスが原因と疑われるのであれば、生活面で大きな変化はなかったか、一度思い出してみましょう。

狼瘡様爪床炎

狼瘡様爪床炎に伴い、猫が爪を噛んだり引っ張ったりする場合もあります。狼瘡様爪床炎の原因は不明なものの、自己免疫の問題により発症すると考えられています。

一つの爪から発症し、放置するとすべての爪が数週間で罹患するといわれています。爪を気にする症状から狼瘡様爪床炎が疑われるようなら、動物病院を受診しましょう。

猫の爪トラブルで病院に行くタイミング

獣医と猫

猫の爪に異常が見られるけれども、どのタイミングで動物病院に行けばよいかわからない方もいるでしょう。基本的には猫の爪に何らかの顕著な症状が見られたときがおすすめです。

具体的には爪の周辺が腫れていたり、膿が出ていたりする場合には動物病院に連れていきましょう。もし出血しているのであれば、早めに動物病院で受診しましょう。

出血量が少なかったとしても、適切な治療が必要です。ほかに肢を常に上げている状態であれば、動物病院を訪れるべきタイミングといえます。

肢を常に上げているのは、指や爪の腫れから痛みで地面につけられなくなっている可能性も十分に考えられます。

猫の爪の正しいお手入れ方法

爪切りを我慢する猫

猫の爪切りをする際には、肉球を軽く押しましょう。肉球を押すと、爪が出てくる仕組みになっているからです。軽く押すだけでも爪は出てくるでしょう。

爪を切る際には、少しずつ切るのがポイントです。先端から2~3mm程度のところでカットするのが目安です。

深爪にしてしまうと、出血する場合もあります。出血が見られれば、速やかに止血を施しましょう。

爪切りをしようとしても、猫が嫌がってしまう場合もあるでしょう。その場合にはご褒美をあげてみるのはいかがでしょうか?

ご褒美をあげると、猫はご褒美の方に集中します。その間に爪切りをしてしまうわけです。無理やり抑え込んで爪切りをすると、ますます爪切りを嫌がります。

爪切りが怖いものだと、トラウマになってしまうからです。猫がリラックスできるように、バスタオルや洗濯ネットでくるむなどの対策をしましょう。

まとめ

白黒猫

猫の爪の状態をチェックすると、いろいろな異変を察知できる場合があります。今回紹介したように、猫の爪が黒く変色している場合もその一つです。

ただ単に加齢や汚れが詰まっていて黒くなっている場合もあります。一方で病気が隠れている可能性もあるので、注意しましょう。

ほかにも爪が伸びすぎているのも、問題です。爪が伸びすぎると肉球に刺さり、炎症を起こして歩行困難の状態になりかねません。

猫の爪は定期的にカットして、伸びすぎないように注意することも重要です。猫が嫌がらないように、ご褒美をあげて気持ちよく爪切りできる環境を作りましょう。

参考文献