猫を飼うなら注意!猫の病気は人にもうつるので注意が必要!

甘え上手な猫は、飼い主に猫なで声で近づいてきてとても可愛いものです、ついつい抱きかかえたりして、遊んでしまう飼い主も多いかもしれません。しかし、中には何かしらの病気を持っている猫も少なくないです。多くの動物がかかる病気は、人への感染の心配がないと言われていますが、猫の病気の中には人間にうつるものもあります。猫を飼うにあたっては、猫がかかる可能性のある病気について知っておく必要があります。猫がかかりやすい病気の中でも、人にうつる可能性があるものに関しての原因や対処法などを、動物病院サプリ編集部がお届けします。

この記事の監修獣医師
鈴木 遊喜子 (アイ動物医療センター高萩 獣医師)

寄生虫が原因で人にうつる猫の病気

トキソプラズマ

トキソプラズマと呼ばれている、原虫(寄生虫)の感染が原因になりかかる病気です。鳥や哺乳類にも感染します。猫の体内に原虫が入った時だけ糞便中に卵のようなもの(オーシスト)が排出されます。猫がこのオーシストを排出するのは感染後の数週間だけといわれており、終生汚染された排便が続くわけではありません。
子猫が感染すると、発熱や下痢、眼の症状、神経症状などを起こして死んでしまいますが、元気で免疫力に問題のない大人の猫の場合にはほぼ無症状です。
汚染された猫の糞を触ったり、肛門を舐めた猫への接触などで人間に感染してしまうことがあります。

トキソプラズマの症状

人間がトキソプラズマを発症してしまった際には、次のような症状があらわれます。 発熱 、倦怠感 、リンパ節の腫れ といったような症状が現れます。 特に妊婦さんが初感染してしまうと、胎児に影響を与え先天性トキソプラズマ症という病気になってしまい、流産のリスクがあるので特に注意が必要です。 しかし、人間にうつることはあっても症状が現れるのはその中の数%~20%ほどと言われています。

トキソプラズマの予防法

人間へのトキソプラズマの感染を防ぐためにはまず、外にいる野良猫に触るのはやめましょう。飼い猫はもちろんですが糞便が落ちているのを見つけたら、そのまま放置しておかないようにし、毎日こまめに除去しましょう。
猫が使うトイレや食器類などを熱湯で消毒することも、トキソプラズマが猫から人間へうつるのを予防する上で効果的な方法です。これ以外にも、豚肉などを生食することでうつることがあるので、調理をする際にはしっかりと火を通すように心がけます。
未処理の井戸水や、海外旅行先での生水にも注意が必要です。畑仕事や土を触った後は手洗いを徹底しましょう。

クリプトスポリジウム症

クリプトスポリジウム・パルバムという原虫が原因になりかかる病気です。猫以外の動物では家畜に寄生していることの方が多いのですが、水道水に入っている塩素に抵抗性があることから、混入してきたものを介してヒトが集団感染をすることがまれにあります。消毒処理が不十分な繁殖施設やペットショップなどでは糞便に付着していることがあり、人間にもうつることがあります。

クリプトスポリジウム症の症状

クリプトスポリジウム症に感染した場合、健康な猫のほとんどでは症状が出ることはありません。しかし人間に感染してしまうと 、激しい腹痛 、水のような下痢 といった症状が感染から1週間前後で起きます。 また、発熱や吐き気といった症状も併せて現れることがあり、免疫機能が正常であれば自然治癒していきます。

クリプトスポリジウム症の予防法

クリプトスポリジウム症を予防するためには、体の中に寄生虫が入らないようにすることが大切になります。
猫からの感染を防ぐためにも、知らない猫に触らないようにすることはもちろんですが、もし触ってしまった後はしっかりと手洗いをするように心がけることが大切です。

細菌が原因で人にうつる猫の病気

猫ひっかき病

猫と遊んでいるときに、誤って引っかかれたりしてしまう人も少なくありません。見た目には目立った傷もないからとそのまま放置しておくと、発症することがあります。 日本の飼い猫でこの細菌を保有しているのは約数%ですが、野良猫では保菌率が高くなりますので、特に猫と頻繁に遊ぶといったような場合には、避けることができない問題です。

猫ひっかき病の症状

受傷後1週間くらいで傷口周辺が赤く腫れ、炎症を起こし化膿したりリンパ節が腫れるといったような症状が現れます。
自然に治ることも多いのですが、まれに重症化することもあるので傷口を流水で十分流してから病院を受診しましょう。

猫ひっかき病の予防法

猫ひっかき病は、引っかかれる、噛まれる以外にもノミを介して感染することもあります。ノミの駆除を定期的に行うことも大切な予防法の一つです。
また、攻撃的な猫などには近づくことは避け、自分で飼っている猫でも万一噛みつかれてしまったり引っかかれた場合などには、傷口の洗浄や消毒を行うようにするほうが賢明です。

サルモネラ症

鶏肉や卵が原因の食中毒のニュースでよく名前を聞くサルモネラ菌ですが、自然界のあらゆるところに存在し、実は猫や犬なども保菌していることがあり、保菌率は数%~10%程度と言われています。
半数以上が保菌していると言われるミドリガメなどに比べると保菌率は少ないようですが、十分に注意する必要がある病気です。

サルモネラ菌の症状

サルモネラ菌に感染した猫は、症状が全くないことが多いのですが、下痢や発熱など目に見える症状が出る場合もあります。 人間の場合には、急性胃腸炎の症状が感染してから数時間~3日程度で発症します。主な症状としては、 悪心 、嘔吐 、下痢 、発熱のほか、子供や新生児がサルモレラ菌に感染してしまうと意識障害や痙攣といったように、症状が重症化しやすいので注意が必要です。

サルモネラ菌の予防

サルモネラ菌の感染を予防するためには、菌を体内に入れないことが大切です。
猫を触った後は、手洗いをすることで猫からの病気を防ぐことができ、サルモネラ菌がうつることを予防できます。

カプノサイトファーガ・カニモルサス症

カプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因で起こる病気です。犬や猫などにいる細菌で、口腔内に常在している菌です。日本国内でも犬や猫の多くが保菌しているカプノサイトファーガ・カニモルサ菌ですが、カプノサイトファーガ・カニモルサスが発症することはとても稀なケースといえます。
しかし、万一発症してしまった場合、とても致死率が高く中でも敗血症になってしまった人は、3割ほどの人が死んでしまうという報告例があるほどなので、注意が必要です。カプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因で起こる病気です。ほぼ全ての犬や猫が保菌している細菌で、口腔内に常在しています。猫の多くが保菌しているわけですが、菌の感染力は弱く、感染しても発症することはとても稀なケースといえます。
しかし、万一発症してしまった場合、免疫力の低下がある人では敗血症になってしまい、亡くなってしまう危険性もあるほどなので、注意が必要です。

カプノサイトファーガ・カニモルサス症の症状

カプノサイトファーガ・カニモルサス症に感染した猫は、ほとんど症状がないので見た目で判断するのはとても難しいことです。しかし、人間の場合には次のような症状が現れることがあります。

・発熱
・倦怠感
・腹痛
・吐き気
・頭痛
といったものが主な症状になります、重症化していくと、
・敗血症
・髄膜炎
などをはじめとする様々な臓器に感染症を生じ、さらに悪化すると多臓器不全から死に至ることがあるので注意が必要になります。また、高齢者の人が発症した場合には、症状が重症化しやすくなるので気をつけなくてはいけません。

カプノサイトファーガ・カニモルサス症の予防法

カプノサイトファーガ・カニモルサス症の予防には、猫が持つ細菌に感染しないことが重要になります。猫に触った後はしっかりと手を洗うことが最も簡単で、過度な触れ合いも避けるようにしましょう。また、猫に噛まれたり引っかかれたりした後はしっかりと傷口を洗浄し消毒して、細菌が体内に入らないようにしなくてはいけません。それ以外にも、攻撃的な行動をとる知らない猫には近づかないことで、菌の感染を防ぐようにしたいものです。

ウイルスが原因で人にうつる猫の病気

狂犬病

数としては多くないのですが、ウイルスが原因となり猫が発症する病気の一つに、狂犬病があります。
狂犬病は、犬がかかる病気と勘違いしている人も少なくありませんが、人間にも感染する病気で万一発症してしまうと致死率が非常に高い病気です。
最後に日本で感染が確認された狂犬病は1954年ですが、動物においても1957年に猫での感染が報告されされたのが最後になるなど、最近では日本国内での発症例は報告されていないです。
しかし今だに世界各地での感染は続いており、日本人が海外で感染している例もあるので引き続き注意が必要といえます。

狂犬病の症状

狂犬病の症状ですが、特徴の一つとして感染してから発症するまでの潜伏期間が長いということが挙げられます。実際に発症まで数年かかるという場合もあるので、 注意が必要です。
主な症状としては、

・発熱
・痛み
・不安感
と言った初期症状から始まり、
・興奮
・精神錯乱
・全身麻痺
・恐水症
などが主な症状です。
感染している猫も同じような症状を見せるので、このような症状が疑われる猫には近づかないのが賢明です。

狂犬病の予防法

狂犬病を予防するためには、狂犬病の症状が確認できる猫のそばには近づかないのが一番です。
万一狂犬病に感染している猫に、傷口や口などを舐められてしまうと、ウイルスが人間にも感染してしまうので注意をする必要があります。

猫の病気が人にうつるのを防ぐことが大切

いくら可愛がっている猫とはいえ、他の猫と遊んでいるときなどに病気に感染してしまうことがあります。
予防接種や定期的な検診で防ぐのはもちろんですが、猫に触った後などは念入りに手を洗うなど、できる限りの注意をすることが大切です。
猫の病気の場合、その多くは無症状で見ただけでは病気に感染しているのかを判断することができないものも多いのです。油断せずに手洗いなどを行い予防することが必要になります。
また、海外などへ出かける際には普段見慣れている猫を見て、人間が警戒せず近づくこともあります。今でも狂犬病で命を落とすことが多い地域など、日本とは衛生状態が違うということを理解することや、出かける前には予防接種を受けるなどの対策をすることも忘れないようにしないといけないようです。

鈴木 遊喜子 獣医師監修ドクターのコメント

ペットからヒトに感染する病気は「人畜共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれます。近年日本でも、犬や猫に寄生した寄生虫がヒトに感染したことによる死亡例も報告されています。恋人や家族のような存在であっても口うつしなどの過剰なスキンシップは避けた方が良いでしょう。特に、抵抗力が低下している高齢の方や、体調を崩している時は知らない猫との接触を避けましょう。もし触ってしまった場合は必ず手を洗ってください。また、海外旅行先でのノラ猫との触れ合いは特に注意が必要です。

 

監修ドクター:鈴木 遊喜子 獣医師

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アイ動物医療センター高萩

出典:http://www.aitom.jp/guide/hospital01.html

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