猫が誤飲したときはどうする?誤飲した場合に現れる症状や動物病院での処置などを解説

猫が誤飲したときはどうする?誤飲した場合に現れる症状や動物病院での処置などを解説

猫は好奇心旺盛で、ひもやビニール片、ヘアゴムなどを遊びの延長で飲み込んでしまうことがあります。誤飲は無症状のこともありますが、嘔吐、よだれ、元気消失、腹痛のしぐさなど、さまざまな兆候が見られることも。飼い主さんが見ていない場面で起きることもあるため、おもちゃの欠損や包装の破れ、糸くずの落下など、小さな違和感にも気付けます。この記事では、誤飲の原因や症状、受診時の流れや予防策をやさしく解説します。

猫が誤飲しやすい物

猫が誤飲しやすい物

まず、家のなかで猫が口にしやすい具体例を把握し、日常の片づけと保管の視点をよりそろえましょう。

猫が誤飲しやすい物にはどのようなものがありますか?
誤飲しやすいのは、糸・ひも・毛糸・釣り糸、ヘアゴムや輪ゴム、猫じゃらしの先端、細いプラスチック片やビニール、ボタンやビーズ、鈴、紙やアルミホイルを丸めたもの、綿棒やティッシュ、糸の付いた裁縫針、観葉植物の葉、ラッピングのリボンやクリスマス飾りのテグス、骨や串など食卓の残り物、小さなおもちゃ部品などです。特に長い糸状物や針付きは腸に絡みやすく危険度が高いため、見当たらないときは早めの受診を検討します。
危険性が高く命に関わる誤飲物を教えてください
命に関わりやすい誤飲物は次のようなものが挙げられます。
①糸・ひも・テグス・釣り糸などの長い線状物(腸に絡み裂ける)
②縫い針・画鋲・串・魚骨などの鋭利物(穿孔→腹膜炎)
③複数の磁石(腸壁を挟み壊死)
④ボタン電池(化学熱傷)
⑤硬いプラスティック片やトウモロコシ芯などの栓子化(腸閉塞)

これらの誤飲が疑われる、あるいは行方不明なら、嘔吐誘発は避け、速やかに受診するようにしましょう。時間が経つ程合併症と手術の負担が増します。
子猫と成猫で誤飲リスクに違いはありますか?
子猫は探索欲や遊び衝動が強く、口で確かめることがあるうえ、歯の生え変わり時期は噛み癖も出やすい。身体が小さく腸も細いため、少量でも詰まりやすく、脱水や悪化が早い傾向があります。成猫はストレスや習慣による異食(布・ビニール・糸)や、食卓残り物の誤食が主因になりがち。いずれの年齢でも糸状物や針付きは危険度が高く、疑えば早めの受診を。予防は年齢に応じたおもちゃサイズの見直しと、糸類・ゴム類はきちんとしまって保管することや、遊び後の片づけ徹底が有効です。

誤飲時に現れる症状

吐く・食べない・ぐったりなどの変化は誤飲の徴候です。危険度サインを軽い順に押さえて受診判断に活かしましょう。

猫が誤飲した場合、どのような症状が現れますか?
誤飲のサインには以下のようなものがあります。
・落ち着きがない
・口をくちゃくちゃする
・よだれ、嘔吐(泡や未消化物)
・食欲低下
・腹部を気にして祈りのポーズ
・便秘や下痢
・口や肛門から糸が出ている
・嘔吐や吐こうとしても出ないしぐさ
・お腹のはりや痛み

特に誤飲物が気道に入った場合は、激しい咳、喘鳴(ゼーゼー)、呼吸困難、舌や唇の蒼白〜紫変など、緊急性が高まります。これらが複数重なった場合や悪化する場合は、すぐに受診が必要です。
誤飲した物の種類によって症状は異なりますか?
異物の種類で出やすい症状は異なります。
糸・ひもは腸に絡みやすく、繰り返す嘔吐と吐き気、腹痛、口や肛門から糸が見えることがあります。
針や骨など鋭利物は突然の強い痛み、血の混じる吐物や黒色便を伴います。
磁石の複数飲み込みは急速な嘔吐と元気消失、腹部の強い圧痛が生じます。
ボタン電池はよだれ、口内のただれ、血混じりの吐き気が目印となります。
いずれも悪化が早く、早期受診が重要です。
すぐに動物病院を受診すべき緊急性の高い症状を教えてください
次のようなときはただちに受診してください。
・激しい呼吸困難
・チアノーゼ(口唇や舌が紫)
・意識がもうろう・倒れる
・何度も吐くあるいは吐こうとしても出ない
・血を吐く
・黒色便
・強い腹痛や急な腹部膨満
・よだれが止まらない
・口や肛門から糸が見える(※絶対に引っ張らない)
・ボタン電池や複数の磁石、針・串が疑われる、
・飲み込み後に元気・食欲が急落し数時間で悪化している
これらが緊急度の高いサインとなります。

動物病院での診察と治療方法

動物病院での診察と治療方法

ここでは受診時の検査と処置の流れを押さえ、迷わず伝えるべき情報を整理します。

誤飲の疑いで受診した場合、どのような検査を行いますか?
まず問診で飲んだ可能性のある物・時間・症状の推移を確認し、視診・触診で口腔や腹部の痛みやはりを評価します。次にレントゲン(必要に応じ造影)、腹部エコー、血液検査を組み合わせ、位置・数・合併症の有無を判断します。
金属はレントゲンに写りやすく、ひも状異物や布やビニールはエコーが手がかりとなります。
結果により催吐、内視鏡、外科手術の適応を検討します。
口や肛門から糸が見えても引っ張らず、催吐は経過時間や誤飲物の性質で可否がわかれます。
誤飲物を取り除くためにはどのような治療法がありますか?
治療法は誤飲物の性質と位置・経過時間で主に次の中から選択します。
①短時間かつ危険物でない場合は催吐で吐出を試みる。
②胃内~上部消化管に留まる物は内視鏡で把持・回収。
③腸閉塞・穿孔の疑い、複数磁石、糸状物の広範絡み、電池や針などは開腹手術で摘出。
④自然排出を期待する経過観察は、鋭利物や閉塞所見がない小片に限り、画像で位置を確認しつつ実施。
浣腸や下剤の自己判断は避けます。術後は再発予防策として飼育環境やおもちゃの見直しも指導されることがあります。
誤飲の治療にかかる費用の目安を教えてください
費用は施設や体格、時間帯で差が出ますが目安は次のとおりです。
・初診+血液検査+X線・エコー1~3万円
・催吐処置0.5~1.5万円。内視鏡摘出5~15万円
・開腹手術20~50万円(重症例で追加)
・入院は1日5千~2万円
・術後投薬や再検査0.5~2万円
・夜間救急や大型猫、合併症があると上振れします。
・術前点滴・鎮痛管理、摘出物の病理検査で1~3万円程度が加算されることもあります。
ペット保険の補償割合や免責、時間外加算の有無で自己負担は変わるため、見積もりを確認しましょう。
内視鏡や開腹手術が必要になるのはどのようなケースですか?
内視鏡が必要になるのは、誤飲物が胃〜上部小腸にとどまり、把持できる形状で、穿孔の所見がなく、摂取後の経過が短く、全身状態が安定している場合です。食道にとどまるボタン電池や、胃内停滞が続く電池も対象に含めます。開腹手術は、腸閉塞や穿孔が疑われる場合、複数の磁石や広範囲の糸絡み、鋭利物で粘膜損傷が強い場合、内視鏡で回収できない場合に判断します。発熱や腹膜刺激、ショックの兆しがあるときは外科を優先します。

誤飲時の応急処置と予防策

最後に、もしも誤って愛猫が異物を飲み込んでしまった場合の対処と予防策を整理します。

猫が何かを飲み込んだ可能性がある場合、飼い主はまず何をすべきですか?
慌てて、吐かせようとしない、口をこじ開けない、糸や誤飲物が見えても引っ張らない、食塩水や牛乳・下剤を与えない、無理に水や餌を与えない、ことに注意します。
次に落ち着いて状況を整理します。疑う物の種類・大きさ・数・飲み込んだ時刻・症状の推移をメモし、残骸や包装を持参できるようまとめます。猫を静かな部屋やキャリーで安静にし、排泄物は保管します。かかりつけや夜間救急に電話し、指示にしたがって受診準備を進めます。
自宅で無理に吐かせようとするのは危険ですか?
はい、危険です。猫は過敏で、誤って気道に入って窒息や誤嚥性肺炎を起こすおそれがあります。針や骨、糸、磁石、ボタン電池などは吐かせると損傷や穿孔、壊死の危険が増します。食塩水や過酸化水素水(オキシドール)、牛乳、下剤の自己判断投与も中毒や悪化を招きます。嘔吐誘発は原則として獣医師の指示下でのみ可否を判断し、指示がなければすぐ受診します。時間が経つと誤飲物が腸に進み、嘔吐させても排出できない可能性が高くなります。
猫の誤飲を防ぐために日常生活で気をつけることを教えてください
家の片づけを徹底し、糸・ひも・テグス・ヘアゴム・輪ゴム・ビニール片・小さなおもちゃ部品を出しっぱなしにしないようにします。遊ぶときは大きめで丈夫なおもちゃを選び、使用後はすぐ片づけます。食卓の残り物や骨・串、薬や乾電池、磁石、裁縫道具は密閉して高所に保管します。観葉植物は安全性の高い種類に替え、テグスや飾りを使う季節の装飾は猫の届かない位置に設置します。定期的に飲み込みやすい物のチェックリストを家族で共有し、来客時も注意を徹底します。

編集部まとめ

猫の誤飲は、身近なひもやゴム、ビニール片、おもちゃの部品などで起こりえます。特に、糸や針、ボタン電池、磁石などは危険性が高く、発見が遅れると命に関わることもあります。吐く、食べない、ぐったりする、苦しそうな呼吸などの変化は重要な受診のサインです。受診時には、状況や飲み込んだ物を冷静に伝えることで、診断と処置がスムーズに進みます。日頃の生活空間の整理や、おもちゃの見直しも誤飲予防には欠かせません。

【参考文献】