猫の尿路結石についてご存知ですか?猫も尿路結石になる場合があります。
すぐに対応できるように本記事では、猫の尿路結石について以下の点を中心にご紹介します!
- 猫の尿路結石について
- 猫の尿路結石の検査方法と治療方法
- 猫の尿路結石の予防方法について
猫の尿路結石について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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猫の尿路結石について
- 猫の尿路結石とはどのような病気ですか?
- 猫の尿路結石とは、腎臓で生成された尿が、尿管を経由して膀胱に溜まり、尿道を通じて排出される過程で、いずれかの器官に結石が形成される疾患を指します。
尿は液状ですが、結石はその名の通り石のような固体です。その大きさは砂粒程度から数センチメートルにも及びます。結石が形成されると、尿管、膀胱、尿道などを損傷したり、閉塞したりする問題が生じます。
結石には、成分によっていくつかの種類が存在します。主なものには「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」があります。ストルバイトは「ストルバイト結晶」という結晶が集合して形成される白い結石で、主成分はマグネシウム、アンモニア、リン酸です。一方、シュウ酸カルシウムは「シュウ酸カルシウム結晶」が集合して形成される茶色の結石で、主成分はカルシウムです。
なお、尿路結石はオス猫とメス猫のどちらでも発症しますが、性別による発症の違いは特にありません。しかし、オス猫とメス猫では尿道の構造が異なります。オス猫の尿道は長く、カーブしているのが特徴で、一方、メス猫の尿道はオス猫ほど長くなく、カーブもしていません。そのため、尿道について言えば、オス猫は結石が詰まりやすいと言えます。
- 猫の尿路結石の原因について教えてください。
- 猫の尿路結石の形成は、多くの場合、明確な原因が特定できない現象です。猫の食事の種類や個々の尿の酸性度が異なるため、これらの要素が複雑に絡み合って結石が生じると考えられています。
・尿が過度に酸性化している
・特定のタンパク質が存在する
・尿中に含まれる水分の量
上記の要素が結石の形成に関与しているとされています。
さらに、猫の尿は高濃度の酸性を示します。特定のミネラルやその他の物質が過剰に存在する場合、結石が形成されやすくなります。尿石は硬化した中心部を囲むように様々な層が形成されますが、その初期形成のきっかけは不明です。
ただし、尿中に過剰に存在する尿石形成ミネラルが微細な結晶を形成し、これらが結合して結石が形成されていくと考えられています。結石が形成されると、数週間から数ヵ月にわたって徐々に大きさが増すことがあります。しかし、全ての結石が大きくなるわけではなく、砂粒のような小さな石を形成することもあります。
- 猫の尿路結石の症状について教えてください。
- 尿路結石の症状は、無症状から生命を脅かすほど重篤なものまで、幅広い範囲に及びます。
多くの場合、膀胱炎を引き起こし、トイレの利用回数が増加したり、血尿が見られたり、トイレ以外の場所で排尿が行われたりします。また、尿が滴り落ちる、排尿時に痛みを感じて鳴くなどの症状が現れることもあります。これらの症状に伴い、元気がなくなったり、食欲が減退したり、嘔吐や軟便が見られたり、落ち着きがなくなるなどの症状が出ることもあります。
膀胱に形成された結石が流れて尿道に詰まると、尿道閉塞が引き起こされ、排尿が困難になったり、全くできなくなったりします。この状態が持続すると、急性腎不全に進行し、尿毒症を引き起こし、生命に危険を及ぼす可能性があります。
- どのような猫が尿路結石になりやすいですか?
- オス猫は、メス猫に比べて尿道が細く長いため、結石が詰まりやすいという特性があります。特に去勢手術を受けた後は、そのリスクがさらに増します。 また、手術後のホルモンの変化により肥満になると、脂肪によって尿道が圧迫され、さらに狭くなる可能性があります。
性別にかかわらず、肥満の猫は結石にかかりやすい傾向があります。しかし、オス猫は尿道が細長く、カーブしている部分があるため、結石が尿道に詰まり、重篤な状態になる可能性が高まります。尿道がカーブしていることから、オス猫はメス猫よりも結石が詰まりやすいと言えます。
猫の尿路結石の検査・治療
- 猫の尿路結石の検査について教えてください。
- 尿路結石の疑いがある場合、レントゲンや超音波を用いた検査、さらに尿検査が行われます。
結石が尿道を塞いでしまい、全体的な健康状態が悪化した場合には、血液検査を通じて腎臓の機能が評価されます。これらの検査方法は、猫の尿路結石の診断において重要な役割を果たします。
- 猫の尿路結石の内科的な治療法について教えてください。
- ストラバイト結石が小さい場合、食餌療法を通じて尿の酸性度を調整し、結石を溶解することが可能とされています。
ストラバイト結石は尿がアルカリ性であり、リンやマグネシウムが多いと形成しやすくなります。そのため、食餌療法により尿を酸性に調整し、リンやマグネシウムの摂取を制限します。また、細菌感染が起こることも多く、その際には抗生物質の投与が必要となります。
- 猫の尿路結石の治療で手術をすることはありますか?
- シュウ酸カルシウム結石は食餌療法で溶解することができず、その除去には外科的手術が必要となります。
結石を手術で取り除いた後は、再発を防ぐための食餌療法が行われます。
ストラバイト結石でも、その大きさが大きい、または症状が強く出ている場合は、手術が必要となることがあります。特に、膀胱内にシュウ酸カルシウム結石が形成されている場合や、症状が重度で長期化する場合、または尿道閉塞のリスクが高い場合は、手術が適応となります。
オス猫は、メス猫より尿道が狭く、結石が詰まりやすいため、手術が必要となるケースが多いです。
- 猫の尿路結石の治療費について教えてください。
- 膀胱結石の治療にかかる費用は、さまざまな要素により変動します。費用の見積もりを行う際には、動物病院の獣医師と相談し、画像診断や血液検査、尿検査、検査費用と入院費、さらに手術が必要となる可能性を考慮することが重要です。
猫の尿路結石の予防
- 猫の尿路結石を予防するために日常生活でどのような工夫ができますか?
- 水分摂取の促進
尿が濃くなり、長時間膀胱に留まることを防ぐためには、猫が適切な量の水分を摂取し、頻繁に排尿することが重要です。
食事や水の提供方法を工夫し、猫の水分摂取量を増やすことが推奨されます。
ドライフードを与えている場合、それを湿らせることも一つの方法です。しかし、多くの猫はカリカリとした食感を好むため、ウェットフードをトッピングすると良いでしょう。
また、ぬるま湯や常温の水を好む猫もいますので、冷たい水から温度を変えることも効果が期待されます。飲水量が明らかに少ない場合、水の置き場所や容器など、何か気に入らない要素があるかもしれません。また、食器とは別の場所に水を置く、ウォーターファウンテンを試すなどの工夫が有効です。猫が頻繁に通るルートに水を複数箇所設置し、多頭飼いの場合は猫の数+1の水入れを用意しましょう。
ストレスの軽減
ストレスがかかると免疫力が低下し、膀胱炎になりやすくなります。
敏感な性格の猫の場合、環境の変化に注意が必要です。猫と一緒に遊んだり、話しかけたりすることでコミュニケーションを取り、ストレスを軽減しましょう。
トイレ環境の整備
猫の中には、トイレにこだわりのある子もいます。
清潔さはもちろん、トイレの形状や大きさ、設置場所、猫砂の種類などによって、排泄を我慢してしまう可能性があります。
猫が快適に排泄できているかどうか、トイレの環境を再確認してみましょう。
運動不足の解消
運動不足はストレスを引き起こすだけでなく、水分摂取量の減少や肥満につながります。
肥満になると動くのがさらに難しくなり、排泄の回数も減少するという悪循環に陥ります。
一人遊びも良いですが、可能な限りおもちゃを使って猫の運動を促す遊びを取り入れてあげましょう。
- 猫の尿路結石を早期発見するためのチェックポイントを教えてください。
- 猫の尿路結石の一般的な症状は以下の通りです。
血尿
排尿時の緊張(これは排尿障害とも呼ばれます)
排尿時の鳴き声
また、頻尿、性器の舐める行動、尿スプレー、通常はしない場所での排尿なども、尿路結石の兆候として報告されています。
尿路結石を外科的に除去した後、猫が活発になる事例が多いため、尿路結石が存在することは痛みを伴うと考えられています。
結石の存在は、レントゲン検査や膀胱の超音波検査により確認できます。
腹痛、血尿、排尿時のいきみなどの症状が見られた場合は、獣医師による診断を受けることが重要です。
尿路結石の進行は以下のようになります。
初期段階では、猫が頻繁に排尿しようとし、尿が少量しか出ないか、全く出ないことがあります。また、排尿を試みるときに激しい痛みを感じ、鳴き叫ぶことがあります。
尿道が閉塞し、排尿ができなくなると、1日から2日で体内に毒素が蓄積します。これにより元気がなくなり、食欲がなくなり、嘔吐や下痢、脱水症状が見られ、昏睡状態に陥り、最悪の場合、約3日以内に死に至ることがあります。尿道閉塞は緊急事態であり、すぐに獣医師の治療を受ける必要があります。
メスの猫よりも、オスの猫の方が尿道が長く、結石が詰まりやすい傾向があります。尿道が詰まると、膀胱を空にできず、腹部が圧迫され、痛みを感じます。閉塞が解消されないと、膀胱が破裂する可能性があります。
編集部まとめ
ここまで猫の膀胱炎についてお伝えしてきました。
猫の膀胱炎の要点をまとめると以下の通りです。
- 猫の尿路結石は猫の尿路結石とは、腎臓で生成された尿が、尿管を経由して膀胱に溜まり、尿道を通じて排出される過程で、いずれかの器官に結石が形成される疾患
- 猫の尿路結石の検査方法にはレントゲンや超音波を用いた検査、さらに尿検査などがある。治療方法には食餌療法や外科手術がある
- 猫の尿路結石の予防方法は水分補給を多く意識したりストレスの軽減、トイレの環境整備、運動不足の改善などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。