犬が変な咳をするときに考えられる原因や動物病院を受診すべきタイミングを解説!

犬が変な咳をするときに考えられる原因や動物病院を受診すべきタイミングを解説!

愛犬が今までにない咳をし始めたとき、多くの飼い主さんは不安になりますね。犬の咳にはさまざまな原因があり、急な症状が深刻なサインである可能性もあります。本記事では、咳のタイプ別の見分け方、考えられる原因、受診の目安、診察までに飼い主さんができる記録やケア、自宅での環境づくり、再発予防のポイントまでをわかりやすく解説します。焦らず冷静に対応できるよう、具体的な判断軸と対処法を手に入れて、愛犬との毎日を守りましょう。

犬が変な咳をする原因

犬が変な咳をする原因

まずは咳のタイプ別の特徴や出やすい状況、季節性を確認し、考えられる主な原因を順に整理していきます。

通常の咳と変な咳の違いを教えてください
通常の咳は、冷たい空気を吸った直後や水をむせたとき、首輪を強く引いたときなどに一過性に起こり、短時間で治まり、ほかの症状を伴いません。変な咳は、何日も続く・頻発する・夜間や運動後に悪化する・ガーガーやカッカッなど異常な音が出る・呼吸が速い、食欲低下、ぐったり、舌や歯茎が紫色になるなどを伴う咳です。吐き気は腹筋を使ってオエッとえずく動作が目立ちます。
迷うときは咳の動画を撮って受診時に見せると判断に役立ちます。小型犬やシニアで続く場合は気管虚脱や心臓病の可能性も疑われます。子犬で集団生活後に乾いた咳が続くときは感染症にも注意が必要です。発熱や開口呼吸があれば早めに受診してください。
犬が変な咳をするときに考えられる原因を教えてください
犬の咳には、いくつかの代表的な原因があります。様子がいつもと違うと感じたら、次のような可能性を考えてみてください。

① 感染症(ケンネルコフなど):乾いたコンコンという咳が続き、ドッグランやペットホテルの後に発症することが場合があります
② 気管支炎・肺炎:咳に加えて熱っぽさや元気のなさ、早い呼吸が見られます
③ 気管虚脱:ガーガーと喉が鳴るような咳。特に小型犬に多く、首輪で引かれたり肥満で悪化することがあります
④ 心疾患:寝ているときや運動後に咳が出やすいです
⑤ 異物や誤嚥:急に激しくむせたり、えずく。よだれが頻発する場合も要注意です
⑥ 刺激物・アレルギー:煙や香水、ハウスダストなどで咳が止まらなくなることがあります
⑦ 腫瘍・寄生虫・慢性気道炎など:慢性的に続く咳では、より精密な検査が必要になることもあります

咳の出る時間帯や頻度、併発する症状をメモしたり、動画を撮っておくと、受診時の診断がスムーズになります。
犬の変な咳は病気の可能性がありますか?
犬の変な咳は、単なるむせや一過性の刺激で出る咳と異なり、病気が隠れている可能性があります。代表的には、感染症、気管虚脱、気管支炎・肺炎、心疾患、異物や誤嚥、アレルギー、寄生虫などです。乾いたカッカッや笛のような音、湿った痰混じりの咳、吐くようなえずきが続く場合は要注意です。数日以上の持続、夜間や運動後の悪化、呼吸が速い・苦しそう、食欲低下や発熱、舌や歯茎が紫色などがあれば、早めに動物病院で診断を受けましょう。なお、逆くしゃみは数十秒で治まりやすく、繰り返して長引かなければ緊急度は下がります。

動物病院を受診すべきタイミング

次に受診の目安を整理します。様子見でよい咳、早期受診、今すぐ救急となる危険の兆候を具体例で示します。

犬が変な咳をしている場合は動物病院を受診すべきですか?
犬が変な咳をしているとき、受診を迷うこともあるかと思います。
以下のような状態が見られる場合は、動物病院への相談を検討しましょう。

① 咳が数日以上続いている、または咳の回数が明らかに増えてきた
② 夜中や運動の後に咳がひどくなる
③ 呼吸が速く浅い、あるいは呼吸が苦しそうに見える
④ 発熱や食欲低下、ぐったりしている様子がある
⑤ 痰が絡むような咳や、吐くようなえずきが見られる
⑥ 子犬・高齢犬・持病のある犬の場合

診察の際には、咳が出ている動画や、いつ・どのくらいの頻度で出たかなどの記録を持参すると判断がスムーズになります。
なお、咳が数回のみで元気や食欲がある場合、加湿や安静で様子を見るケースもあります。
ただし、舌や歯茎が紫色になる、意識がもうろうとする、連続して咳が止まらない、泡を吐くような咳があるときは、すぐに動物病院に連絡してください。
緊急性が高い咳の特徴を教えてください
受診の判断に迷う咳が出たときは、以下のような症状があるかを確認してください。
次のいずれかに当てはまる場合は、迷わず早急に動物病院を受診しましょう。

① 咳が止まらず連続する、または数分おきに激しく繰り返す
② 肩で息をし、首を伸ばす・胸の動きが大きい
③ 舌や歯茎が紫っぽくなる(チアノーゼ)
④ 泡やピンク色の痰、血の混じる咳が出る
⑤ ぐったりして起き上がれない、失神する
⑥ 高熱や手足の冷え、激しい震えが見られる
⑦ 子犬・シニア・持病のある犬で急な悪化

補足として、直前に運動や誤飲がなかったか、服薬中の薬や持病の情報もまとめておくと、診察がスムーズになります。

また、息を吸うときに笛のような音がする、胸が陥没する、唇が青白いといった症状も、呼吸困難のサインです。
市販の鎮咳薬は使わず、移動中は静かで暖かい環境を整え、首輪の圧迫を避けましょう。
咳以外にどのような症状があれば早急に受診が必要ですか?
咳が落ち着いて見えても、次のような症状があればすぐに動物病院を受診してください。
迷っている間に悪化するケースもあります。

① 呼吸が速い・浅い・苦しそう
② 舌や歯茎が青紫〜白くなる
③ ぐったりして反応が鈍い、失神やけいれんが見られる
④ 高熱が続く、強い震え・寒気が止まらない
⑤ 食欲も水分も摂れず、嘔吐や下痢が続き血が混じる
⑥ 泡やピンク色の唾液、血混じりの吐しゃ物がある
⑦ 急な腹部膨満、ふらつき、倒れこみなどが見られる
⑧ 子犬・シニア・持病(心臓・気管など)のある犬で、急に症状が悪化したとき

受診前は、発症した時間や経過、症状の変化を簡単にメモしておくとよいでしょう。
移動中はできるだけ静かで暖かい環境を保ち、首輪の圧迫は避けてあげてください。

動物病院での診断と治療方法

動物病院での診断と治療方法

最後に診断と治療の流れを解説します。検査内容、主な治療、自宅での注意点、再発予防を具体例も交えて示します。

犬の変な咳の原因を調べるためにどのような検査を行いますか?
咳の原因を探るためには、段階的な検査が行われます。
まず問診と身体検査で、咳の始まった時期・頻度・誘因、ワクチン歴・既往歴・生活環境などを確認し、呼吸数・粘膜の色・体温・聴診音(副雑音・ラ音)など全身状態を観察します。
引き続き次の検査を進めていきます。
①胸部レントゲンで肺・気管・心臓の形や陰影、気道の狭まりなどを確認
②血液検査で炎症・感染・貧血、肝臓や腎臓などの機能もチェック
③心疾患が疑われる場合は、心エコー・心電図・NT-proBNPなどを追加
④状況により、超音波・CT・気管支鏡・気管洗浄(PCR検査・培養)、フィラリア抗原検査や便検査

呼吸の状態が不安定なときは、まず酸素吸入などで安定化を図ってから慎重に検査を進めます。
咳の様子がわかる動画や、経過の簡単なメモを持参すると、診断がスムーズになります。
動物病院での治療方法を教えてください
治療は、咳の原因と重症度によって大きく異なります。原因別に主な治療方法をご案内します。
①感染症(細菌性):抗生物質を中心に治療します

②炎症やアレルギー性:抗炎症薬・気管支拡張薬・去痰薬・ネブライザー(吸入)などを併用します
③心疾患に伴う咳:ピモベンダンや利尿剤やACE阻害剤、必要に応じて酸素吸入も使われます
④気管虚脱:体重管理やハーネスへの切り替え、鎮咳薬や拡張薬で管理し、進行例では気管ステントや外科手術を検討します
⑤異物・誤嚥:内視鏡や外科による異物除去が必要です
⑥寄生虫性:駆虫薬で対応します

重症の場合は入院し、酸素ケージ・点滴・鎮静処置などで全身を安定させながら治療が進みます。
あわせて、室内の加湿、煙や芳香剤の回避、安静な環境づくりなどの生活面での配慮も大切です。
自宅でできる対処法や注意点はありますか?
自宅ではできるだけ安静に過ごせるよう、散歩や遊びは短時間にとどめて、興奮を避けます。お部屋は適度に加湿・換気を行い、煙や芳香剤、掃除機による粉じんなどの刺激をできるだけ減らします。首元の負担を減らすために首輪からハーネスへ切り替えるのもおすすめです。室温は暑すぎず寒すぎず、乾燥しすぎないよう整え、寝床はあたたかく清潔に保ちます。食欲があれば、消化のよいごはんを少量ずつ分けて与え、水分補給もしっかり行いましょう。
咳の動画や、発生した時間帯・頻度・悪化しやすい場面をメモしておくと、受診時に役立ちます。
なお、人の風邪薬や市販の咳止めは与えず、呼吸が苦しそう、ぐったりしている、泡やピンク色の痰が見られるときは、迷わず受診してください。
変な咳が治った後も注意すべきことはありますか?
咳が治った後は、すぐに普段とおりに戻さず、2〜3日は散歩を短めにし、激しい運動や興奮を避けて静かに過ごしましょう。
お薬は自己判断で減らしたり中止せず、指示どおりにきちんと飲み切ることが大切です。再診の予定がある場合は必ず守りましょう。
夜間の咳や呼吸の荒さ、食欲の低下、元気のなさ、泡やピンク色の痰など、再発のサインにも注意が必要です。
気になる変化があれば、時間帯や回数、どのようなときに起きたかなどを記録しておくと、受診時に役立ちます。
咳の再発予防として、体重管理やハーネスの使用、室内の加湿と換気、煙や芳香剤・粉じんの回避なども継続しましょう。
ごはんは消化のよいものを少しずつ分けて与え、水分もこまめに補ってください。
寝床はあたたかく乾いた場所に整え、冷えや乾燥を避けて過ごせるようにします。
また、ワクチンやフィラリア予防、歯周病ケアなどの日常的な健康管理も、身体の抵抗力を保つうえで大切です。

編集部まとめ

咳が長引く、夜間に悪化する、呼吸が苦しそうに見えるといった、飼い主さんの気付きと判断が、愛犬を守る第一歩になります。変化に気付いたら、咳の様子や時間帯を記録し、無理のない範囲で安静と環境調整を行いましょう。心配な症状があれば早めに相談を。動物病院での診断・治療、自宅でのケアや再発予防を組み合わせれば、多くの子が落ち着いて過ごせるようになります。焦らず、見守る力を信じて、愛犬と一緒に歩んでいきましょう。

【参考文献】