愛犬の舌がいつもより黒く見えてドキッとしたことはありませんか。体質由来の模様や色素沈着のこともあれば、脱水や循環の乱れなど体調のサインが隠れることもあります。本記事では見分け方と受診の目安、日常でできる観察のコツをやさしく整理します。焦らずに、いつもの色・場所・時間帯との違いに気付くところから始めましょう。気になる変化が続くときは早めに相談する心構えも一緒に整えておきましょう。
犬の舌が黒くなる原因

まず、体質による色と病気による暗色を見分けるために、日常での観察ポイントをやさしく整理していきます。
- 犬の舌が黒くなるのはなぜですか?
- 黒く見える理由は大きく二つあります。ひとつは体質由来の色素沈着や斑点で、舌全体がもともと濃い、部分的に黒い斑がある、といったパターンです。もう一つは体調に伴う変化で、酸素不足による紫がかった暗色、出血・壊死・潰瘍の黒変、腫瘍や炎症、薬剤や食べ物の色移りなどです。続く変化か、一時的な汚れかを見極めることが受診の目安になります。体質の斑点は境界がなめらか、年齢とともに増える傾向があります。一方、急に広がる、痛がる、口臭やよだれが増える、元気・食欲が落ちるときは早めの相談が勧められます。
- 生まれつき舌が黒い犬種はいますか?
- はい、舌全体が青黒くなることで知られる犬種にチャウチャウとシャー・ペイがあります。ほかの犬種でも舌や口の粘膜に黒い斑点(色素沈着)がみられることは珍しくありません。ラブラドール、ゴールデン、ジャーマン・シェパード、黒系やブリンドルの毛色などでよく見られます。生まれつきや成長とともにゆっくり現れ、境界がなめらかで大きさが安定していれば体質的な個性の可能性が高いです。一方で、急に広がる、潰瘍を伴う、痛がる、口臭やよだれが増える場合は受診を検討してください。
- 後天的に舌が黒くなるのは原因を教えてください
- 後天的な黒変は大きく次の四つに分けて考えます。
①酸素不足:心肺疾患や気道閉塞、激しい発作で舌が紫黒に見える
②損傷・壊死:咬傷や異物、糸状物の締め付け、熱傷などで血豆や潰瘍、壊死が生じ黒ずむ
③付着・沈着:活性炭や鉄剤・ビスマス、色の濃い食べ物や土、インクなどで一時的に黒く見える
④腫瘍・炎症:メラノーマなどの腫瘍や慢性炎症、感染で色調が変わることがある
拭って落ちるか、時間が経っても変わらないか、痛み・口臭・出血の有無、急に広がるかが受診の目安になります。
注意すべき舌の黒ずみと症状
体質の黒斑と病気由来の暗色を、口内と全身に現れるサインで見分ける視点を、共有します。
- 病気が原因で舌が黒くなる場合、どのような症状を伴いますか?
- 病気が背景にある黒ずみでは、次のサインに注意します。
・口内の痛みや腫れ、潰瘍、出血、強い口臭、よだれ増加
・食べにくい、舌を気にして前脚でこする、頭を振る
・斑が左右非対称、境界が不整、短期間で拡大、拭っても落ちない
・発熱、元気や食欲の低下、体重減少
・呼吸が荒い、咳、舌や歯茎が紫(チアノーゼ)、ふらつき
・顎や舌根の腫れ、首のリンパ節腫脹、黒い痂皮や壊死の色
・異物や糸の締め付け、やけどや薬剤接触の既往がある
・24〜48時間続く
急激に悪化したり、出血を伴う場合は動物病院の受診を急ぐことをおすすめします。
- 舌の一部だけが黒い場合と全体が黒い場合で違いはありますか?
- 舌の一部だけの黒色は、生まれつきの色素斑や加齢による沈着が多く、境界がなめらかで数週間〜数ヶ月ほぼ同じ大きさなら経過観察でよい可能性が高いです。
全体が黒っぽい・紫がかるのは、酸素不足や重い炎症、壊死、出血など全身寄りの要因を疑います。
急に広がる、不整な縁、痛み・口臭・よだれ、拭っても落ちない黒変は受診を急ぐ目安となります。
一方で、食べ物や薬剤の色移りは湿らせたガーゼで軽く拭うと薄まります。
動画で色の出方や時間帯の違いを記録しておくと判断に役立ちます。
- すぐに動物病院を受診すべき舌の状態を教えてください
- 次の状態が受診を急ぐ状態です。
・舌や歯茎が紫〜黒に見え、呼吸が荒く口を開けて呼吸する
・大量のよだれ、強い口臭、痛がって食べられない
・出血や潰瘍、急に広がる黒変、拭っても落ちない色つき
・異物や糸の締め付け、やけどの可能性がある
・ぐったりした感じや失神に似たふらつき、発熱、急な元気・食欲低下
来院前は無理に触らず、移動時は体勢を楽にしてあげましょう。可能なら動画と服用中の薬情報を持参するとよいでしょう。
動物病院での診察と検査方法

次に、舌の黒ずみを診る診察の流れと、負担を抑えて必要な検査を選ぶ視点をやさしく共有します。
- 動物病院では舌の黒ずみに対してどのような診察を行いますか?
- まず問診で発症時期や変化の速さ、痛みや出血、誤飲や薬剤接触の有無を確認し、口腔内を視診・触診します。湿らせたガーゼで軽く拭い、付着物か色素かを見分け、舌の可動や壊死の有無を評価します。
全身状態は体温・心拍・呼吸、粘膜色、パルスオキシメータで酸素化を確認します。必要に応じて血液検査、レントゲンや超音波、CT、細胞診や生検、細菌培養を段階的に選び、出血や痛みが強いときは処置と鎮痛を優先します。
鎮静の要否も事前に評価します。
- 舌が黒くなった原因を特定するためにどのような検査が必要ですか?
- 原因特定は、まず口腔内の視診・触診と、湿らせたガーゼでの拭き取りで付着か色素かを見分けます。酸素化と循環の評価(粘膜色、パルスオキシメータ)、血液検査(一般・炎症・凝固)を行い、疼痛部は鎮静下で詳細に観察を進めます。
腫瘍や炎症を疑えば細胞診や生検、感染が関与する場合は培養と感受性試験を追加します。広がりや異物の有無はレントゲン、超音波、CTから段階的に選びます。
動脈血ガス分析や乳酸、頸部リンパ節の触診・エコーも手がかりになります。
飼い主さんが記録してきた口腔内の写真記録は経過比較に有用です。
- 舌の黒ずみが病気だった場合の治療方法を教えてください
- 原因によって治療は異なります。感染が関わる黒変は口腔内の洗浄と培養結果に基づく抗菌薬、炎症や免疫反応なら抗炎症薬や吸入・免疫抑制剤を選びます。外傷や壊死はデブリードマン、止血、鎮痛、必要に応じ縫合を行います。
腫瘍が疑われる場合は切除と病理の結果に応じて放射線・薬物療法を検討していきます。
低酸素を伴うときは酸素投与と気道確保、基礎疾患の是正を優先します。
付着色は清拭と原因物質の中止で改善するでしょう。口腔ケア、栄養・水分、再診計画も併せて整えます。
日常生活で気をつけるべきポイント
最後に毎日の観察で無理なく続けられる舌の見方と、受診の目安をまとめていきます。
- 犬の舌の健康状態をチェックする方法を教えてください
- まずは基準色の把握からスタートします。明るい自然光で、落ち着いているときの色・場所・質感を写真で残します。同じ時間帯・同じ向きで見て、乾いた後に湿らせたガーゼで軽く拭い、付着か色素かを確認します。斑の大きさと境界、左右差、痛みの反応、口臭やよだれ、食べにくさを合わせて見ます。安静時呼吸数や元気・食欲、体温の変化も一緒に記録していきます。散歩直後や興奮時は一時的に濃く見えるため、落ち着いて再確認します。急な拡大、紫がかった暗色、出血・潰瘍は受診の目安となります。
- 舌の色の変化以外に注意すべき口腔内の異常はありますか?
- 舌色以外にも、次の口腔内の異常に注意します。
・潰瘍、びらん、黒い痂皮や出血
・しこり、左右差のある腫れ、リンパ節の腫脹
・強い口臭、よだれ増加、口の痛みで触らせない
・歯の破折、歯肉の腫れや後退、歯石の急増
・食べこぼし、噛みにくさ、嚥下のつかえ
・糸状物の巻きつきや異物の可能性
・歯茎が紫/真っ白、乾いてべたつく(脱水)
これらが24〜48時間続く、急に悪化、出血や強い痛みを伴う場合は、早めの受診を検討します。
- 舌の黒ずみを予防するために飼い主ができることがあれば教えてください
- 日々の観察と口腔ケアが予防の土台です。歯みがきやガーゼ拭きで舌・歯茎の状態を整え、写真で基準色を記録します。誤食を避けるために床の小物や糸状物を片づけ、香り製品やたばこの煙は控えます。水分と栄養、体重の管理、散歩後の口内チェックを習慣化するのがおすすめです。おもちゃは破片が出にくい材質を選び、痛がる変化や黒変の拡大に気付いたら早めに相談するとよいでしょう。定期健診で口腔内の写真や計測を残しておくと、わずかな色の変化に気付きやすくなります。夏場は脱水に注意し、こまめに水を替え、室内の温湿度も整えましょう。
編集部まとめ
舌の黒ずみは、体質の個性か、体調からのサインかを見分ける出発点は、ふだんの色と場所を覚えておくことです。変化に気付いたら、落ち着いて観察し、動画と服用中の情報を持って相談しましょう。無理に完璧を目指さなくて大丈夫です。急に広がる、紫がかった暗色、出血や痛み、食べにくさがあれば、迷わず動物病院に相談してください。今日の小さな記録が、明日の健やかな呼吸と食事につながります。焦らず一歩ずつ整えていきましょう。

