10歳以上の高齢犬・猫をペットホテルに預けたいけれど、年齢を理由に断られないか心配な飼い主さんも多いでしょう。10歳以上のシニアペットでも、それぞれのペットホテルが提示する条件を満たすことができれば預かってもらえる可能性があります。この記事では、高齢ペットを預ける際の具体的な条件や注意点、適切なペットホテルの選び方まで詳しく解説します。
ペットホテルでの10歳以上の犬・猫の取り扱い

10歳以上の犬・猫は一般的にシニア世代として位置づけられ、多くのペットホテルでは特別な配慮が必要な高齢ペットとして扱われます。年齢による体力の低下や持病のリスクが高まるため、通常の成犬・成猫と比較して、急変のリスクや、緊急時の対応を必要とする可能性が高くなります。
ペットホテルによって年齢の基準は異なりますが、10歳以上のペットの受け入れに制限を設けている場合が多く、また、事前の健康診断書の提出を義務付けている施設がほとんどです。
若くて元気なペットは、ペットホテル専用の施設に預けることが多いと思われますが、シニアなペットの場合は、動物病院内に併設するペットホテルを選択することも有用です。
10歳以上の小型犬・中型犬の取り扱い
小型犬・中型犬の場合、10歳以上でも元気で活発な個体も多く、施設によっては、12歳以上をシニアと扱う施設もあります。ただし、施設によって基準は異なり、施設のホームページのチェックや問い合わせを行い、個別に確認する必要があります。
10歳以上の大型犬の取り扱い
大型犬は小型犬に比べて老化が早く進む傾向があり、10歳以上をシニアと扱う傾向にあります。
大型犬の場合、体重管理も重要な要素となります。肥満は関節や心臓への負担を増加させるため、食事量の調整や運動量に関しても、事前に飼い主と詳細な打ち合わせが行われることが一般的です。
食事の内容や運動量に関しても施設のスタッフと事前に打ち合わせを行い、それぞれのペットに合わせて対応できるように準備をすることが重要です。
10歳以上の猫の取り扱い
10歳以上の猫は一般的にシニアに分類されることが多く、ペットホテルでの管理においても特別な注意が必要です。猫は環境変化によるストレスを受けやすい動物であるため、高齢猫の場合はより慎重な対応が求められます。
ペットホテルのなかには、シニア特別対応などのサービスを設けており、それらを利用することも有効となるでしょう。
ペットホテルに10歳以上の犬・猫を預けられる条件

10歳以上の高齢犬・高齢猫をペットホテルに預ける場合、若い犬猫とは異なる条件が設けられていることがほとんどです。多くのペットホテルでは、高齢ペットの安全を最優先に考えた特別な受け入れ条件を定めています。
健康診断の結果を提出できること
10歳以上のペットをペットホテルに預ける際、特に重要な条件が獣医師による健康診断書の提出です。それぞれの施設によりますが、数週間や数ヶ月以内に発行された診断書の提出が義務付けられることが多くなります。
健康診断では特に心臓、腎臓、肝臓の機能をチェックし、ペットホテルでの預かり期間中に急変するリスクがないかを確認します。また、混合ワクチン接種証明書と狂犬病予防注射済証も必須となっており、これらの書類がない場合は預かりを断られる可能性があります。
健康状態に問題がないこと
現在の健康状態が良好であることは、高齢ペットの預かりにおける最低条件です。一般的には急性の病気を罹患している場合や、持病があると受け入れが難しい場合がありますが、なかには動物病院と併設している施設において、持病や投薬の必要がある犬や猫も預かりをしている施設もありますので、お近くのペットホテルにご相談ください。
また、ペットホテル側で預かり当日に健康チェックを行い、獣医師の診断書と実際の状態に差異がある場合は、安全のため受け入れを見合わせることがあります。
なお、投薬が必要な場合は、薬の管理方法や投薬スケジュールについて事前に詳しく相談し、ペットホテルスタッフが適切に対応できるかを確認しておく必要があります。複雑な投薬スケジュールや特殊な処置が必要な場合は、獣医師が常駐する動物病院併設のペットホテルの利用を検討することをおすすめします。
10歳以上の犬・猫をペットホテルに預ける際の注意点

高齢ペットをペットホテルに預ける際は、若いペットとは異なる配慮が必要です。環境の変化によるストレスや体調変化のリスクを最小限に抑えるため、事前の準備と適切な対応が重要となります。この章ではどういった場合にペットホテルへと預かってもらうことが困難になる可能性があるか、また、預かることができる場合に事前に準備できることを解説します。
健康状態によっては当日に断られる可能性を考慮して予定を立てる
10歳以上のペットは当日の健康チェックで預かりを断られる可能性があるため、柔軟な予定を組むことが大切です。多くのペットホテルでは、預かり時に獣医師やスタッフによる健康状態の確認を行っており、すでに体調を崩している場合や、急変のリスクがある場合などは、受け入れが困難な場合があります。
一般的には、預ける前までに事前に以下の項目についてペットホテルと詳細な打ち合わせを行いましょう。
- 持病や服薬状況の詳細な説明
- 緊急時の対応方法と連絡体制
- 預かっている間の見守り体制
- かかりつけ動物病院の情報共有
- 預かり当日の健康チェック基準
動物病院と併設しているペットホテルのなかには、夜間に獣医師や動物病院スタッフ見守りを行う施設や、見守りカメラを設置している施設などもあります。施設により体制は異なりますので、安心して預けられる環境を探してみることをおすすめします。
また、若いペットにおいても当然可能性は0ではありませんが、シニアなペットでは預かっている間に急変を起こす可能性がより考えられますので、施設によっては、預けられる日数に上限を設けていることもあります。そのあたりも事前に施設に確認をする必要があります。
お気に入りの食器やおもちゃを用意する
慣れ親しんだアイテムを持参することで、環境変化によるストレスを大幅に軽減できます。高齢ペットは若いペットよりも環境の変化に敏感で、ストレスが体調不良や食欲不振につながりやすいため、いつもの匂いがついたアイテムの準備が重要です。
また、シニア犬のなかには、腰や首に負担をかけないように高さを合わせた食器を使っていることもあるかと思います。そういった場合にも普段使っている食器を用意することは有効でしょう。
普段食べているフードやおやつを用意する
食事内容の急な変更は消化器トラブルや食欲不振の原因となるため、いつものフードとおやつを十分な量持参することが必要です。特に高齢ペットは消化機能が衰えており、新しいフードに慣れるまで時間がかかる傾向があります。
また、環境の変化によるストレスで食事量が減ることも有り得ます。食事量が減ると体力の低下や免疫力の低下につながりますので、そのような際に特別なおやつを準備しておき、対応してもらうこともよいでしょう。
特別な配慮が必要なケース
腎臓病や糖尿病などの疾患により療法食を食べている場合は、獣医師からの指示書も併せて持参してください。また、食物アレルギーがある場合は、アレルゲンとなる食材を明確に伝え、誤って与えられることのないよう注意書きを作成しましょう。
薬を混ぜて与えている場合は、薬の投与方法や注意点についても詳しく説明をしておくことが重要です。
10歳以上の犬・猫を預けるペットホテルの選び方

シニア世代の犬・猫をペットホテルに預ける際は、通常の成犬・成猫よりも慎重にホテル選びを行う必要があります。年齢を重ねたペットは体調の変化が起こりやすく、適切な対応ができる施設を選ぶことが重要です。
獣医師が運営しているペットホテルを選ぶ
10歳以上のペットには、獣医師が常駐または運営しているペットホテルを選ぶことを強く推奨します。動物病院併設のペットホテルや、獣医師が経営するペット宿泊施設であれば、万が一の体調不良や緊急事態にも迅速に対応できます。高齢のペットや持病を持っている場合は有効な選択肢になります。
日頃から預け慣れているペットホテルを選ぶ
シニア期のペットにとって、環境の変化は大きなストレス要因となります。可能であれば、若い頃から利用している馴染みのあるペットホテルを選ぶことが理想的です。
普段から利用しているペットホテルであれば、スタッフがそのペットの性格や好み、健康状態の変化を把握しています。また、ペット自身も施設の匂いや環境に慣れているため、ストレスを最小限に抑えることができます。
初めて利用する施設の場合は、事前に短時間の預かりサービスやデイケアを利用して、ペットが環境に慣れる機会を作ることも有効でしょう。
サポート体制が充実しているペットホテルを選ぶ
10歳以上のペットを預ける際は、24時間体制での見守りとサポートが重要になります。年齢を重ねたペットは夜間や早朝に体調を崩すことが多いため、常にスタッフが対応できる体制の施設を選びましょう。
理想的なペットホテルでは、愛玩動物看護師や愛玩動物飼養管理士などの資格を持つスタッフが配置されています。これらの専門知識を持つスタッフがいることで、シニアペットの微細な体調変化も見逃すことなく、適切な対応が期待できます。
施設のなかには、夜間に愛玩動物看護師や獣医師が見守りを行う施設もあります。
10歳以上の犬・猫をペットホテルに預ける際のよくある質問

施設によって預かることのできる基準や年齢制限は異なりますが、この章は、シニアのペットをペットホテルに預ける際によくある質問を詳しく解説します。
持病がある犬・猫でもペットホテルに預けることはできますか?
持病がある10歳以上の犬・猫でも、病気の種類や症状によってはペットホテルに預けることが可能です。ただし、すべてのペットホテルが持病のあるペットを受け入れているわけではありません。
また、厳密なコントロールが必要な疾患がある場合などは受け入れが困難となる可能性が高くなります。
事前に獣医師から診断書や意見書を取得し、ペットホテルとの詳細な打ち合わせが必要です。
投薬治療中のペットもペットホテルに預けられますか?
現在、ペットへの投薬は、令和4年に施行された愛玩動物看護師法により、獣医師もしくは愛玩動物看護師以外のみが行うように定められています。(指導を受けた飼い主も投薬をすることはできるため、自宅でペットに飼い主が投薬することは許可されています。)
そのため、投薬治療中の10歳以上のペットを預かり投薬治療を行うことができるかどうかは施設により異なります。ペットホテルが投薬を行うことができるか事前に確認するようにしましょう。
投薬治療中のペットを預ける際は、獣医師からの詳細な投薬指示書と、薬剤の正確な分包が必要です。また、投薬ミスを防ぐため、薬ごとに投与時間、投与量、注意事項を明記しペットホテルのスタッフに渡せるようにまとめ書きを作るのもよいでしょう。
10歳以上の犬・猫をペットホテルに預けない方がよいケースを教えてください
10歳以上の高齢ペットのなかでも、身体面においては、厳密なコントロールが求められる疾患や、重篤な状態になる可能性が高い場合は、緊急の対応が必要となる可能性があるため、預けないほうがよいでしょう。
また、行動面では以下のような状態も預けることが望ましくないと考えられます。
- ほかの動物に対して攻撃的
- 初めての場所で極度のストレスを示す
- 夜泣きや異常行動が頻繁
これらの症状がある場合は、ペットホテルではなく、住み慣れた自宅でのペットシッターサービスや、信頼できる家族・友人への依頼を検討することをおすすめします。
ペットの性格や体調を十分に理解したうえで、適切なケア方法を選択することが重要です。
まとめ

10歳以上の犬・猫をペットホテルに預けることは可能ですが、健康診断の結果提出や良好な健康状態が条件となります。獣医師が運営するホテルや普段から利用しているホテルを選び、お気に入りのおもちゃや普段のフードを用意することで、シニアペットも安心して預けられます。ただし持病や投薬治療の有無によっては預かりを断られる場合もあるため、事前の相談が重要です。
参考文献