旅行や出張など、どうしてもペットのお世話ができないとき、頼りになるのがペットホテルです。しかし、ペットホテルを利用することに不安を感じる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
本記事ではペットホテルのメリット・デメリットについて以下の点を中心にご紹介します。
- ペットホテルとは
- ペットホテルのメリット
- ペットホテルのデメリット
ペットホテルのメリット・デメリットについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
ペットホテルについて

ペットホテルとはどのような施設なのでしょうか?ここで詳しく解説します。
ペットホテルとは
ペットホテルは、旅行や出張などで家を空ける際に、大切なペットを預けることができる宿泊施設です。主に犬や猫が対象ですが、ウサギや鳥などの小動物を受け入れるペットホテルもあります。
利用プランは日帰りから長期間まで幅広く、施設によってサービス内容も異なります。動物病院やトリミングサロンが運営しているケースもあり、ペットの健康管理やケアが充実しているところもあります。
ペットホテルの種類
ペットホテルにはいくつかの種類があり、目的やペットの性格に応じて選ぶことができます。
1. 動物病院併設型
獣医師が常駐しているため、持病のあるペットや高齢のペットにおすすめです。ただし、ケージでの管理が基本で、散歩時間が短いことが多いようです。
2.ペットサロン併設型
ケージフリーや広めのスペースで自由に過ごせるプランもあり、トリミングとセットで利用できることが特徴です。健康管理は動物病院併設型に比べると手薄な場合があります。
3.犬の保育園型
ドッグトレーナーが在籍し、しつけや社会性を学べるのが魅力です。犬同士の交流があるため、社交的な子におすすめです。
4.個人宅型
ペットシッターが自宅で少数のペットを預かる形式で、家庭的な環境のなかで過ごせます。
また、駅や空港に併設された施設もあり、飼い主さんの都合に合わせた利用が行えます。
ペットホテルのメリット・デメリット

ここではペットホテルのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
ペットホテルを利用する主なメリットは、飼い主さんの都合に合わせてペットを預けられることです。旅行や出張などで家を空ける際、親戚や友人に頼むと気を使いますが、ペットホテルなら専門スタッフが対応してくれます。料金体系が明確で、日帰りから長期宿泊まで柔軟に対応できる点も魅力です。
なかには送迎サービスやトリミング付きプランもあり、飼い主さんもペットも快適に利用できる環境が整っています。
デメリット
ペットホテルのデメリットとしてまず挙げられるのは、環境の変化によるストレスです。慣れない場所での宿泊は、神経質なペットにとって大きな負担となり、食欲不振や体調不良を引き起こす可能性があります。
特に、ワクチン接種が必須でも、常に感染を防げるわけではありません。さらに、シニア犬や持病のあるペットは受け入れが難しい場合があり、長期間の利用は費用面でも負担が大きくなります。
ペットホテルとペットシッターの違い

ここまでペットホテルについてご紹介しましたが、ペットシッターとはどのような点が異なるのでしょうか?
犬の場合
ペットホテルでは基本的にケージでの管理となるため、環境の変化に敏感な犬はストレスを感じることがあります。ただし、広いスペースで自由に過ごせる施設もあるため、事前に確認が必要です。
一方、ペットシッターは犬が普段の生活環境で過ごせるため、ストレスが少なくなります。散歩にも連れて行ってもらえるため、運動不足になりにくいのがメリットです。しかし、普段からお留守番に慣れていない犬は、不安を感じて吠えたり暴れたりすることもあります。
猫の場合
猫は環境の変化に敏感なため、ペットホテルではストレスで食欲が落ちることもあります。事前にホテルの衛生環境を確認し、お気に入りのおもちゃや毛布を持ち込めるかチェックしておきましょう。
一方、ペットシッターを利用すれば、自宅で普段通り過ごせるため、猫にとってはストレスが少なく済みます。ペットシッターの仕事は主に餌やりやトイレの掃除、見守りが中心のため、短時間の訪問で済むことが多いようです。しかし、シッターが自宅へ通う手間があるため、ホテルよりも費用が安く抑えられるかどうかはペットシッターによって異なります。
また、自宅の鍵を他人に預けることに抵抗を感じる方は少なくないため、シッターを信頼できるかどうかが重要になります。
小動物の場合
ペットホテルは24時間体制で見守ってくれる施設もあり、夜行性の動物でもこまめに様子を確認してもらえるため、急な体調変化があった場合にも対応が期待できます。
ただし、小動物を預かってくれるペットホテルは限られているため、事前に探しておく必要があります。
一方、ペットシッターは小動物の専門知識を持つシッターが少なく、訪問時間が昼間になることが多い傾向があり、夜行性の動物には不向きな場合があります。
それでも餌やりなど最低限の世話をお願いしたい場合は、ストレスを与えない方法を伝え、慎重に対応してもらうことが大切です。
ペットホテルの料金相場

ペットホテルの料金は、動物の種類や大きさ、宿泊環境によって異なります。地域によっても価格差があるため、事前に確認することが大切です。
【1泊あたりの料金目安】
- 小型犬:約3,000円~5,000円
- 中型犬:約3,500円~6,000円
- 大型犬:約4,000円~8,000円
- 超大型犬:約7,000円以上
- 猫:約2,500円~8,000円(ケージフリーかどうかで変動)
- ハムスター・インコ:約1,000円~3,000円
- うさぎ・フェレット・モルモット:約1,000円~3,000円
【その他の料金ポイント】
- 一時預かり:数時間のみの利用は割引料金が適用されることがある
- 長期宿泊:連泊の場合、割引料金が適用されることがある
- 追加サービス:散歩や送迎、トリミングなどを別途オプションが用意されていることがある
ペットホテル選びのポイント

以下ではペットホテルの選び方を解説します。
①清潔さと安全性
ペットホテルを選ぶ際、清潔で安全な環境かどうかを確認することは重要です。
まず、清潔な環境は感染症を防ぎ、ペットの健康を守るために欠かせません。ケージや個室が清掃されているか、共用スペースが清潔に保たれているかをチェックしましょう。排泄物の処理が適切に行われているか、空調管理や換気がしっかりしているかも重要なポイントです。
特に、ほかのペットと接触する機会がある施設では、ワクチン接種証明書の提出を義務付けているか確認することが望ましいです。
また、ペットが脱走しないように柵や扉がしっかり設置されているか、施設内に危険な場所がないかを見ておきましょう。万が一の災害時やペットの体調不良に備え、緊急時の対応マニュアルがあるか、夜間の管理体制が整っているかも確認することが大切です。
②スタッフ経験や接し方
経験豊富なスタッフや動物に関する資格を持つスタッフがいるホテルを選ぶことで、より安心して預けることができるでしょう。ペットに優しく接しているか、飼い主さんの話をしっかり聞き、ペットの性格や普段の習慣を理解しようとする姿勢があるかを確認しましょう。
また、スタッフの数が適切かどうか、緊急時に適切な対応ができるかどうかも大切なポイントです。動物病院と提携しているホテルを選びましょう。
③ケージなどの広さ
ペットホテルを選ぶ際には、ペットが快適に過ごせるスペースが確保されているかを確認することも重要です。
法律では、犬の場合は体長の2倍以上の高さと幅、猫の場合は体長の2倍以上の高さと1.5倍以上の幅が基準とされています。なかでも猫の場合は、ケージ内に棚が設置されているなど、上下運動ができる環境が理想的です。
また、広いフリースペースがあるペットホテルでは、犬が自由に動き回れる時間が設けられている場合もあります。ケージに入れっぱなしではなく、適度に運動ができる環境が整っているかどうかもチェックポイントです。
④ほかのペットとの触れ合い
ペットホテルではケージで管理されることが多いようですが、ドッグランやフリースペースを設け、ほかのペットと自由に遊べる環境を提供する施設も増えています。社交的なペットにとっては、運動や交流の機会が増えることでストレス解消や社会性の向上につながります。
しかし、性格によってはほかのペットとの接触がストレスになったり、相性が合わずトラブルに発展したりする可能性もあります。そのため、ペット同士の接触がある施設では、スタッフがしっかりと見守っているか、トラブルを防ぐための工夫がなされているかを確認しましょう。
⑤ペットのニーズに対応しているか
ペットホテルを選ぶ際には、ペットの個性やニーズにどれだけ対応できるかが重要です。
まず、ケージでの管理かフリースペースで過ごせるかを確認しましょう。ケージフリーで自由に動けるプランがあるホテルなら、活発なペットにおすすめです。
また、散歩の有無や回数、長さなども重要なポイントです。犬は運動が必要なため、ホテル側が散歩を行ってくれるか、オプションで追加できるかを確認しておきましょう。
さらに、食事や寝具の持ち込みが可能かどうかも重要です。普段と同じフードやお気に入りのベッドがあることで、ペットが安心して過ごしやすくなります。
ペットホテルに預ける前にやっておきたいこと

ペットホテルを利用する前には、以下の点を確認しておきましょう。
ペットの健康状態をチェック
ペットホテルを利用する前に、ペットの健康状態をしっかり確認しておくことが大切です。
チェックすべきポイントは以下のとおりです。
- 目:充血や目ヤニがないか
- 口:口臭や歯茎の腫れがないか
- 鼻:乾燥しすぎていないか、鼻水が出ていないか
- 耳:汚れや異臭、かゆがる様子がないか
- 皮膚:赤みや湿疹、ノミ・ダニの付着がないか
- 食欲・排泄:いつもと変わらず食べ、正常に排泄できているか
ワクチン接種
ペットホテルでは、多くの動物が同じ空間で過ごすため、感染症対策としてワクチン接種が必須となっている場合がほとんどです。特に犬の場合、5種以上の混合ワクチンと狂犬病予防接種が、猫の場合は3種混合ワクチンが一般的な利用条件となっています。
ワクチン接種をしていないと、預けることができない場合があるため、事前に証明書を用意しておきましょう。また、直前のワクチン接種では免疫が十分に定着しないため、少なくとも数日前までには済ませておくことが望ましいです。
ハウストレーニング
ペットホテルでは、ペットを主にケージやクレートのなかで管理します。そのため、事前にハウストレーニングを行い、ケージに慣れさせておくことが大切です。
最初は、自宅にケージやクレートを設置し、日常的にハウスとして使わせるようにしましょう。おやつやお気に入りのおもちゃを使い、自らケージに入る習慣をつけさせることがポイントです。
また、扉を閉めた状態で短時間過ごさせる練習を繰り返すことで、ケージ内でもリラックスできるようになります。
メリハリのある距離感
ペットホテルに預ける際、飼い主さんと離れることに慣れていないとペットが大きなストレスを感じる可能性があります。
例えば、四六時中ペットと一緒に過ごし、常に抱っこしたり構いすぎたりすると、依存心が強くなり、飼い主がいないと落ち着かなくなることがあります。逆に、まったく構わないと寂しさや不安を感じさせてしまうため、適度なバランスをとることが重要です。
理想的なのは、遊ぶときはしっかり遊び、休むときは別々の空間で過ごすなど、メリハリをつけることです。
社会化トレーニング
ペットホテルは、普段と異なる環境で過ごすため、環境の変化に対応できるよう、以下のような社会化トレーニングを行っておくことが大切です。
- 生活音に慣れさせる:掃除機やテレビの音、外の車の音など、さまざまな音を聞かせて慣れさせる
- 飼い主以外の周囲に慣れさせる:飼い主以外の人間と接する機会を増やし、動物病院やペットシッターなど異なる環境にも慣れさせる
- 外の環境に慣れさせる:散歩を通じて、異なる場所やにおい、人間の多い場所を経験させる
- ほかのペットとの交流:可能であれば、ほかの犬や猫と触れ合う機会を作り、社交的な態度を身につける
- 排泄のコントロールができていること:室内の決まった場所や散歩時に、飼い主の指示で排泄できると安心して預けられる
時間預かりを利用
ペットホテルを初めて利用する場合、いきなり長期間の宿泊をすると、ペットにとって大きな負担になることがあります。そこで、事前に短時間の預かりサービスを利用して、環境に慣れさせるのがおすすめです。
ペットホテルではショートステイや日帰り預かりが可能な場合があり、一時的に預かってもらうことで、ペットはホテルの雰囲気やスタッフに慣れることができ、飼い主さんも実際のサービスや対応を確認できるでしょう。
また、数日間の宿泊を予定している場合は、事前に何回か短時間の預け入れを試しておくことで、ペットも“ここは安心できる場所”と認識しやすくなります。
持ち物の準備
ペットホテルを利用する際には、必要な持ち物をしっかり準備しておくことが大切です。事前に確認し、忘れ物がないようチェックリストを作成するとよいでしょう。
【必需品】
- 食事(ペットフード):宿泊日数分+予備を用意し、いつも食べているものを持参する
- 首輪・リード:散歩がある場合や移動時に使用するため、慣れたものを持っていく
- ブランケット・毛布:普段使っているものを持参すると、ペットが安心できる
- おもちゃ:慣れたおもちゃを持たせることで、不安を和らげる効果が期待できる
【あると安心なもの】
- ワクチン証明書:ペットホテルによっては提示を求められる場合がある
- 常備薬:持病がある場合や、体調管理のために必要な薬を用意する
- 排泄用品:トイレシートや猫砂を持参することで、環境の変化によるトイレの失敗を減らせる可能性がある
また、万が一に備えて、首輪に名札をつける、マイクロチップの装着なども検討するとさらに安心です。事前に必要な持ち物をしっかり準備し、ペットが快適に過ごせるようにしましょう。
まとめ

ここまでペットホテルのメリット・デメリットについてお伝えしてきました。ペットホテルのメリット・デメリットの要点をまとめると以下のとおりです。
- ペットホテルとは、旅行や出張などで家を空ける際に、大切なペットを預けることができる宿泊施設であり、動物病院併設型・ペットサロン併設型・犬の保育園型・ペットシッターが自宅で少数のペットを預かる形式などの種類がある
- ペットホテルの主なメリットは飼い主さんの都合に合わせてペットを預けられることで、施設の種類のよってさまざまなサービスが受けられる
- ペットホテルのデメリットは、慣れない場所での宿泊が神経質なペットにとって大きな負担となることで、食欲不振や体調不良を引き起こす可能性がある
ペットホテルのメリット・デメリットを正しく理解して、ペットとともに無理のない日々を送りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。