ペットに噛む癖がある場合、旅行や出張などで家を空ける際に預けられるペットホテルを利用したくても、拒否されたり迷惑をかけたりしないかと心配される方が少なくありません。
実際、噛む癖があるペットがペットホテルを利用するにはいくつかリスクがあるため、把握しておくことが大切です。
しかしリスクがあるからといって、飼い主さんが外出を諦める必要はありません。適切な対策ができていれば、ペットホテルを利用することは可能です。
この記事では、噛む癖があるペットをペットホテルに預ける際のリスクや対策について解説します。事前にできる準備も紹介しているので、参考になれば幸いです。
ペットが噛む理由

ペットが噛むのにはいくつか理由が考えられます。主な理由は下記のとおりです。
- 過去の経験の影響
- 外部刺激や環境への不安
- 疾患の影響
- 飼い主との関係性に問題がある
これらの理由によってペットがストレスを抱えた状態になり、普段は穏やかな性格の子でも、防衛本能から噛む行動に出てしまうことがあります。
ここから詳しく解説していきます。
過去の経験の影響
過去に恐怖を感じた経験があると、噛む癖がついてしまうことがあります。
例えば、過去にペットホテルで嫌な思いをした場合、次回以降も強い不安から攻撃的な行動を起こす可能性が否定できません。
外部刺激や環境への不安

初めて利用するペットホテルは、ペットにとってどうしてもストレスがかかりやすい環境です。
ペットは環境の変化に敏感で、普段は大人しい性格でも興奮して攻撃的になってしまうことがあります。
知らない場所で知らない人に世話をされることで、慣れない環境にいる不安から噛む行動につながってしまいます。
大好きな飼い主さんと離れる寂しさも不安を募らせる原因になるでしょう。
また、ほかの犬の存在が外部刺激となって、落ち着かなくなったり興奮したりすることがあります。
疾患の影響
元気そうに見えても、実は疾患が影響している可能性も考えられます。
疾患の影響でペットの体に負担がかかり、それがストレスになって攻撃的な行動につながることがあるため注意が必要です。
元々大人しい性格だったペットが特に理由もなく噛むようになってしまった場合など、気になる点があるならかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
飼い主との関係性に問題がある
飼い主さんとの関係性に問題がある場合、飼い主さんに対しても本気で噛みついてしまうことがあります。
元々は噛む性格ではなかったペットが、飼い主さんとの付き合い方や日常のさまざまな要因から攻撃的な行動を起こすようになってしまったケースです。
今後のことを考えると、要因を見つけて関係の改善をはかる必要があるでしょう。
噛む癖がある状態でペットホテルを利用するリスク

噛む癖がある状態のままペットホテルを利用すると、いくつかリスクが考えられます。主なものは下記のとおりです。
- 受け入れ拒否や追加費用の発生
- スタッフやほかのペットに怪我をさせる
- 事故が起きたときの責任問題
- ストレスによる噛み癖の悪化
- ホテルのサービスを一部利用できない
これらのリスクは、ホテル利用後も飼い主さんやペットに悪い影響を及ぼしかねません。リスクをできるだけ回避するため、ここでは詳しく解説していきます。
受け入れ拒否や追加費用発生の可能性
ペットホテルはペットの安全性を考慮することを前提として預かるため、噛む癖があるペットは受け入れを拒否する場合があります。
ホテルのスタッフやほかのペットに噛みつき、怪我をさせてしまうリスクがあるためです。
また、いったん受け入れてもらえても、問題を起こして次回から出禁になってしまうこともあります。
ホテルによって受け入れ可否の条件は異なりますが、場合によってはそもそもペットを預けられない可能性があるのです。
あるいはペットホテルを利用できたとしても、その際にホテルの物を壊してしまい、追加費用が発生する可能性があるでしょう。
スタッフやほかのペットへの安全性リスク

ペットに噛む癖がある場合、懸念されるのがスタッフやほかのペットに怪我をさせてしまうリスクです。
ホテルのスタッフの手や足に噛みつくと、場合によっては仕事に支障が出る可能性があります。特にペットが興奮状態だと、怪我の程度は重症化しやすい傾向です。
ペットの大きさや興奮度合いによっては、相手を負傷させるだけでなく、場合によっては命を奪ってしまうこともあるでしょう。
事故が起きた際の責任問題
もし自分のペットがホテルのスタッフやほかのペットを傷つけるような事故を起こしてしまった場合、状況によっては飼い主として責任を負わなければならない可能性があります。
ほかのペットを傷つけてしまった場合は、そのペットの飼い主さんが治療費だけでは納得できず慰謝料を請求する可能性があります。問題が大きくなると、弁護士に相談する必要があるでしょう。
ペットホテルでは、一般的に事故が起きた際の規定が設けられており、利用時に同意書を提出します。
この同意書に事故が起きた際の責任についても記載されているので、提出前に確認しておくとよいでしょう。
なお、怪我をさせるだけでなく、ホテルの物を壊すトラブルも考えられます。その場合、修理が必要になったり新しく買い換えたりするなど想定外の出費になる可能性があります。
こちらの責任についても、同意書の提出時やホテルの利用前に確認しておきましょう。
ストレスによる噛み癖の悪化

ホテルにいたときのストレスによって、自宅に帰ってから噛み癖が悪化していることがあります。
ペットは元々環境の変化に敏感でストレスを溜めやすいのですが、加えてホテルで十分な遊びや散歩の時間がなかったり環境が悪かったりすると、より精神的に負担がかかってしまいます。
特に連泊するような長時間の場合、ストレスの影響が大きく、自宅に帰ってからも噛む行動が習慣化してしまう可能性があるのです。
散歩など一部のサービスを利用できない可能性
ほかのペットやスタッフの安全性を考慮して、噛む癖があるペットは散歩や歯磨き、スキンシップなど一部のサービスを利用できない可能性があります。
特に散歩はペットが気持ちをクールダウンできる大切な時間なので、この時間がない場合、興奮状態が続いたりストレスを溜めやすい状態になってしまったりするでしょう。
噛む癖があるペットをペットホテルに預けたい場合の対策

噛む癖があるペットをペットホテルに預けたい場合は、適切な対策をすることが重要です。
飼い主さんが事前にできる対策がいくつかあるので、ペットとペットホテルに負担をかけすぎないためにもしっかり行っておきましょう。
ここから詳しく解説します。
事前に「噛む可能性がある」と伝えて相談
ペットホテルに預ける際は、必ず事前に「噛む可能性がある」と伝えておきましょう。
受け入れ拒否をされないようにと噛むことを伝えずに預けると、後から予期せぬトラブルが起こりかねず、責任問題が発生することもあります。
噛む可能性があると事前に相談することで、スタッフはどのようなときに噛むのか、またその強さはどの程度なのかなどを確認してある程度準備ができます。
ペットのために安全性の高い対応策を考えてくれることも期待できるため、預ける方も預かる方もお互いにメリットが高いです。
噛む癖があるペットへの対応に慣れているスタッフがいるか確認
噛む癖があるペットに慣れているスタッフがいればスムーズに対応してくれる場合があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
スタッフが噛む癖のあるペットに慣れていると、最初から受け入れ拒否するのではなく、いったん受け入れてペットの様子を見極めてくれる可能性が高いです。
そのペットが環境に慣れれば問題ないと判断されたり、ほかのペットと接触しないように個室対応やリードを装着したりと、適切な対処をしてくれることが期待できます。
また噛まれないための知識や技術を持っていたり、噛まれたときの適切な処置ができたりするスタッフもいるため、怪我をさせてしまうという不安も軽減できるでしょう。
個室管理やほかのペットとの接触回避が可能か確認

個室管理やほかのペットとの接触回避が可能かどうか、事前にホテルに相談してみましょう。
ほかのペットとの接触を回避できれば、ペット同士で喧嘩する心配をせずに済みます。
可能なら短時間のお試し預けをする
ホテルによっては短時間のお試し預けを実施していることがあるため、積極的に利用してみましょう。
お試し預けでホテルの環境に慣れておくと、ペットもホテルのスタッフも心の準備ができます。
なかには複数回実施できるケースもあるため、環境の慣れに不安がある方は相談してみるとよいでしょう。
なお、お試し預けはできなくても事前に施設内を見学できる場合があります。
実際に見てみるだけでもある程度預けるイメージがついたり事前に疑問点を確認できたりするため、お試しがなければ見学の有無を確認しておくのがおすすめです。
必要に応じて口輪(マズル)トレーニングを行う
噛み癖を防止する口輪(マズル)トレーニングを行うのも方法のひとつです。
ペットのお口が開くのを制限する口輪をつけるのはかわいそうと考える方もいますが、実際はペットのストレス軽減につながるといわれています。
ただし最初はつけるのを嫌がるケースが少なくないため、紙コップでフードを食べさせたり口輪のベルトを緩くしたりと、少しずつ慣れさせてあげると抵抗感が少なくなるでしょう。
口輪をつけられるようになれば、ほかのペットと接触する機会があるフリースペースでの預かりでも、トラブルを回避できます。
ただし飼い主さん以外が口輪をつけるのは嫌がることが少なくないため、口輪をするかどうかは事前にペットホテルに相談しましょう。
噛む癖があるペットをペットホテルに預ける前の準備

噛む癖があるペットをペットホテルに預ける際は、事前の準備が大切です。
ワクチン接種証明書やホテルのスタッフに伝えておくべき情報など、預ける当日に慌てないように準備しておきましょう。
ここからは事前に準備しておくべきことを解説します。
ワクチン接種証明書の準備と健康状態の確認
ペットホテルを利用するには、ペットが1年以内にワクチン接種済みであることを条件としているケースが一般的です。
感染症対策のため、狂犬病ワクチンや混合ワクチン(2種〜9種)は必ず済ませておきましょう。どちらも動物病院で受けられます。なお、混合ワクチンは5種以降の接種が一般的です。
ワクチンを接種するとワクチン接種証明書が受け取れるため、ホテル利用時に持参して提示しましょう。
また、なかにはノミやダニ、フィラリアの予防をすることを条件にしているホテルもあるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
併せて、ペットの健康状態を確認しておくのも重要です。体調不良の場合は当日に受け入れを拒否されることがあるため、不安があるときは預ける前に相談しておきましょう。
性格や落ち着きやすい方法など情報共有の準備
預けるペットの性格や落ち着きやすい方法などは、できるだけ詳しくホテルのスタッフに伝えておきましょう。共有漏れがないように、伝える事項をメモに記載しておくのがおすすめです。
特に、ほかのペットと接触したときの過去の行動や怖がるものなどは伝えておくとよいでしょう。
事前に情報共有しておくと、もしペットが興奮状態になって噛みつこうとした際も、スタッフが対処しやすくなります。
そのため、ペットにとってもスタッフにとっても負担が軽減できるでしょう。
お気に入りのグッズの準備

ペットがお気に入りのグッズを準備しておくのもおすすめです。普段から使っているおもちゃや服、おやつなどがあると、慣れない場所で過ごすペットの不安が軽減できるでしょう。
また、ホテルによってはベッドやケージの持参を受け入れているケースがあります。持参する場合は事前に確認しておきましょう。
なお、ごはんの持参も推奨している、または必須にしているケースが少なくありません。こちらもお気に入りの味やトッピングなどにしてあげると、ペットの気分を高めやすくなるでしょう。
緊急時の連絡体制を確認
緊急時の連絡体制はペットホテル側としっかり確認しておきましょう。基本的に、ペットに異変があった際はまず飼い主さんに連絡が入ります。
その後かかりつけの動物病院へ連れて行ってもらえるのが一般的です。そのため、かかりつけの動物病院があるかどうかも事前に伝えておきましょう。
もし飼い主さんに連絡がつかない場合は、動物病院に連絡を入れてホテル側の判断で連れて行くのが一般的です。
なお、かかりつけが休みの場合は開いている動物病院へ連れて行くことになると想定されるため、気になる場合はどこが候補になるのか確認しておくとよいでしょう。
ペットホテル以外の選択肢

噛む癖があっても受け入れてくれるペットホテルを探すほかに、ペットホテル以外の選択肢を考えてみるのもおすすめです。
例えばある程度ペットに慣れている親族や友人がいれば、頼んでみるのも方法のひとつです。一度でも行ったことがある場所なら、初めての場所よりはペットの不安も軽減できるでしょう。
場所を変えるのが不安な場合は、自宅で世話をしてくれるペットシッターに依頼する方法もあります。
ペットシッターが来てくれればペットはいつもどおり自宅で過ごせるため、環境の変化によるストレスは軽減できるでしょう。
また、動物病院へ預ける方法もあります。動物病院はペットホテルを兼業しているケースが珍しくないため、噛む行動にはある程度慣れていて受け入れてもらえる可能性があります。
それでも預け先が見つからない場合は、民間の動物保護施設を検討するのも選択肢のひとつです。
ペットホテルのようなサービスはないのが一般的ですが、スタッフは攻撃的な行動に慣れている可能性が高く、受け入れてくれやすい傾向です。
まとめ

噛む癖があるペットでも噛む理由やリスクを把握し、適切な対策ができれば、ペットホテルで受け入れてもらえる可能性があります。
ペットにもペットホテルにも負担が少なく済むよう、事前に必要な準備をしておきましょう。また、場合によってはペットホテル以外の選択肢もあります。
そもそもペットが噛むのは、自己防衛の本能から起こる自然な行動です。噛むことが悪いのではなく、対処法を考え、これからもペットと飼い主さんの絆を深めていきましょう。
参考文献
