旅行や帰省、急な出張などで家を空けるとき、愛するペットをどこに預けるかは飼い主にとって大きな悩みの一つです。
ペットホテルは有力な選択肢ですが、料金体系は施設によってさまざまで、「結局いくらかかるの?」と不安に感じる方も少なくありません。
この記事では、ペットホテルの料金相場を正確に理解できるよう、料金が決まる仕組みから、犬や猫、小動物など種類別、エリア別の具体的な料金相場を解説します。
ペットホテル料金を決める要素

一見するとどのペットホテルも同じようなサービスに見えるかもしれません。しかし、ペットホテルの料金は、複数の要素が絡み合って決まります。
以下では、最終的な料金を左右する、6つの主要な要素を解説していきます。
宿泊日数
宿泊日数の計算方法は、総額に大きく影響するため最初に確認すべき重要なポイントです。
主に日数計算と泊数計算の2種類があり、計算方法によって、同じ1泊2日の利用でも料金が変わります。
また、ペットホテルは長期滞在者向けの割引制度を設けている施設が多いです。
7泊以上で10%割引やマンスリープランなどがあり、長く預けるほど1泊あたりの単価は安くなります。
ペットの種類
料金設定の基本は、預けるペットの種類とサイズで決まります。
犬の場合は体格に応じて小型犬・中型犬・大型犬に分類され、料金が階層的に設定されているのが一般的です。
また、犬、猫、うさぎなどの小動物、鳥類など動物種によっても料金は異なり、大型犬の料金が特に高く、次いで中小型犬、猫、小動物、鳥類の順で安くなる傾向にあります。
宿泊空間
ペットが滞在する空間の質は、料金が決まるポイントのひとつです。
ペットホテルの宿泊環境は、シンプルなケージから、Webカメラなどを備えた豪華なスイートルームまであります。
ケージタイプは特に低価格ですが、広い空間に慣れたペットにはストレスとなる可能性があります。
個室やスイートルームはほかのペットを気にせず過ごせるメリットがありますが、ケージタイプより高額です。
料金だけでなく、ペットの性格や健康状態を考慮して選びましょう。
オプションサービスの有無
最終的な支払額を大きく左右するのが、有料のオプションサービスです。
基本料金に含まれるサービス内容は施設によって大きく異なるため、基本料金の安さだけで選ぶと、結果的に高額になるケースも少なくありません。
例えば、散歩の追加やトリミング、爪切りなどの部分ケアがオプションの代表例です。
契約前には総額でいくらかかるのかを確認し、基本料金に何が含まれ、何が有料オプションなのかを正確に把握しましょう。
予約のタイミング
ペットホテルの料金は、年間を通じて一定ではありません。
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など大型連休中は予約が殺到するため、多くの施設では通常期より割高な繁忙期料金を設けています。
加算方式は、1泊ごとに500円や1,100円などの決まった金額を追加する定額加算型と、通常の料金に対して10%や20%のように割合で上乗せする率加算型の2つです。
どちらを採用しているかは、ペットホテルによって異なります。
また、繁忙期はキャンセルポリシーも厳しくなり、通常より早い段階(例:7日前)からキャンセル料が発生する場合が多いです。
旅行の計画は早めに立て、予約時にキャンセル規定を確認しておきましょう。
エリア
ペットホテルの料金は、立地するエリアによっても変動します。一般的に、地価や人件費が高い首都圏や関西圏などの大都市部では、料金も高くなる傾向があります。
ただし、高価格帯のホテルは、24時間スタッフ常駐、動物病院との連携など、価格に見合う高い付加価値を提供している施設が多いです。
標準料金だけでなく、サービスの質や安全性、利便性を総合的に評価し、自身のニーズと照らし合わせた判断が求められます。
犬|ペットホテルの料金相場

愛犬に合ったホテルを選ぶためには、まずお住まいのエリアの料金相場を把握し、預ける前に必要な準備をしっかりと行うことが大切です。
以下では、エリア別の料金相場と、安心して預けるための準備を解説します。
エリア別|犬のペットホテル料金相場
犬を預かってくれるペットホテルは、利用料金がサイズや利用プラン、オプションなどだけではなく、エリアでも料金相場が異なります。
以下は、各エリアの犬対応ペットホテル料金の相場表です。
エリア | ケージ/標準室(小型犬) | ケージ/標準室(中・大型犬) | 個室/スイート |
---|---|---|---|
北海道・東北 | 3,000円〜4,500円 | 4,000円〜8,000円 | 5,500円〜8,500円 |
北関東 | 3,300円〜5,500円 | 3,500円〜6,600円 | 6,000円〜8,300円 |
首都圏 | 4,000円〜8,800円 | 4,500円〜11,000円 | 4,400円〜8,800円 |
甲信越 | 3,000円〜4,400円 | 3,900円〜5,000円 | 5,000円〜 |
北陸 | 2,500円〜4,400円 | 3,000円〜5,000円 | − |
中部 | 2,500円〜4,400円 | 3,300円〜5,500円 | 4,500円〜6,600円 |
関西 | 2,500円〜7,700円 | 5,500円〜9,900円 | 7,900円〜11,000円 |
中国・四国 | 2,500円〜3,900円 | 3,000円〜4,800円 | 4,400円〜9,900円 |
九州 | 2,500円〜6,400円 | 3,000円〜7,700円 | 5,500円〜15,000円 |
犬をペットホテルに預ける際の事前準備
安心して愛犬を預けるためには、事前の準備が不可欠です。
まず、多くのペットホテルでは、狂犬病予防注射済票と混合ワクチン接種証明書(原則として1年以内のもの)の提示を求められます。
もし利用している動物病院がワクチン接種間隔を毎年としていない場合には、抗体価証明書で代用可能です。ワクチン接種間隔に応じて、ペットホテルに提出書類を確認しておきましょう。
次に、普段から食べ慣れているフードを1食分ずつ小分けにして持参すれば、環境の変化によるストレスを軽減しやすいです。
また、ホテルは多くの犬が利用する共同生活の場です。
ほかの犬や人に対して過度に吠えたりしないよう、日頃からのしつけや社会化トレーニングも徹底しておきましょう。
猫|ペットホテルの料金相場

猫は犬以上に環境の変化に敏感な動物なため、料金だけでなく、いかにストレスなく過ごせるかの見極めが大切です。
以下では、猫の料金相場と、猫ならではの事前準備のポイントを解説します。
エリア別|猫のペットホテル料金相場
以下の表では、猫対応のペットホテルの各エリア料金相場をまとめました。
エリア | ケージ/標準室 | 個室/デラックス |
---|---|---|
北海道・東北 | 2,000円〜4,500円 | 7,000円前後 |
北関東 | 3,500円〜5,000円 | 6,900円~15,000円前後 |
首都圏 | 3,500円〜6,500円 | 4,400円~14,000円前後 |
甲信越 | 2,500円〜5,500円 | 4,400円〜 |
北陸 | 2,000円〜4,500円 | ― |
中部 | 2,500円〜4,000円 | 6,600円〜 |
関西 | 3,500円〜9,000円 | 11,000円前後 |
中国・四国 | 2,500円〜3,500円 | 4,400円〜 |
九州 | 2,500円〜3,500円 | 5,000〜5,500円 |
猫のペットホテル料金相場は、首都圏に近いほど高い傾向にあります。
猫対応のペットホテルは高額なデラックスルームを用意している施設が多く、設備投資や需要の違いが料金に反映されています。
猫をペットホテルに預ける際の事前準備
環境の変化に敏感な猫を安心して預けるには、猫の習性に合わせた特別な準備が必要です。
犬の鳴き声や匂いが届かない、完全に分離された滞在エリアが確保されているかを確認しておきましょう。
なお、犬と同じく、ほかの猫との感染症を防ぐための混合ワクチン接種証明書あるいはワクチン抗体価証明書の提示は必須なため、準備しておきましょう。
小動物|ペットホテルの料金相場

うさぎやハムスター、フェレットなど小動物を預かってくれるペットホテルは、犬猫に比べると少ないです。
しかし、専門知識を持った施設を選べば、安心して預けられます。
以下では、小動物の料金相場と、とてもデリケートな小動物を預ける際のポイントを解説します。
エリア別|小動物のペットホテル料金相場
以下の表のように、小動物対応のペットホテルは動物の種類別に料金差が生じる施設が多いです。
エリア | うさぎ・フェレットなど | ハムスター |
---|---|---|
北海道・東北 | 1,500円〜3,500円 | 1,000円〜2,500円 |
北関東 | 2,500円〜6,500円 | 1,000円〜6,500円 |
首都圏 | 2,500円〜6,500円 | 1,000円〜6,500円 |
甲信越 | 2,000円〜3,000円 | 1,500円〜3,000円 |
北陸 | 2,000円〜4,500円 | 2,000円〜4,500円 |
中部(東海) | 2,000円〜3,000円 | 1,500円〜2,500円 |
関西 | 1,500円〜3,000円 | 1,000円〜3,000円 |
中国・四国 | 1,500円〜3,500円 | 2,000円〜3,000円 |
九州 | 2,000円〜3,500円 | 1,000円〜3,000円 |
小動物は特にデリケートな動物なため、治療中や投薬中の場合は預かり不可とするペットホテルも少なくありません。
もし医療ケアが必要な場合は、動物病院を併設しているペットホテルを選びましょう。
小動物をペットホテルに預ける際の事前準備
小動物をペットホテルに預ける際は、普段から使い慣れているケージごと預けるのが基本です。
給水器や食器、トイレ、巣箱、食事など、生活用品一式を持参します。
また、小動物は捕食される側の動物なため、犬や猫の存在はストレスになりかねません。
ペットホテルの預かりスペースが、ほかの動物から隔離された静かな場所にあるかも確認しましょう。
鳥類|ペットホテルの料金相場

小動物と同じく、鳥類も預かってくれるペットホテルが少ないです。
鳥類は環境の変化に弱く、温度管理や騒音など鳥類特有の繊細な配慮が求められるため、施設選びは慎重に行う必要があります。
以下では、鳥類の料金相場と、安心して預けるための準備を解説します。
エリア別|鳥類のペットホテル料金相場
以下の表では、エリア別に鳥類に対応したペットホテルの料金相場をまとめました。
エリア | 料金目安(1ケージあたり) |
---|---|
北海道・東北 | 1,000円〜2,500円 |
北関東 | 1,000円〜3,500円 |
首都圏 | 2,000円〜6,500円 |
甲信越 | 1,500円〜3,000円 |
北陸 | 2,000円〜4,500円 |
中部(東海) | 1,000円〜2,500円 |
関西 | 1,000円〜2,000円 |
中国・四国 | 1,500円〜3,000円 |
九州 | 1,000円〜3,000円 |
鳥類はエリアを問わず、総じてオプションが少ない傾向にあります。
ただし、自発的な食事が難しい場合は強制給餌を行ってくれるペットホテルを探しましょう。
鳥類をペットホテルに預ける際の事前準備
鳥類を預ける際も、普段から使い慣れたケージごと持参するのが基本です。
愛鳥が安心して過ごせるよう、止まり木、おもちゃ、食器など、生活用品一式を揃えて持参してください。
また、鳥類は急な温度変化や大きな音にとても敏感です。
施設が、鳥にとって快適な温度を維持する空調管理を徹底しているか、そして静かな場所で預かってもらえるかの2点を確認しておきましょう。
ペットホテル料金を比較する際のポイント

ペットホテルを選ぶ際、料金の安さだけに目を向けてしまうのは危険です。
大切なペットの安全と健康を守るためには、価格とサービスの質を総合的に判断する必要があります。
以下では、料金を比較検討するうえで、飼い主がチェックすべき3つの重要なポイントを解説します。
基本料金に含まれるサービスを確認する
料金比較で特に大切なのは、自分のペットに必要なサービスをすべて含めた総額で見積もりを取り、比較検討することです。
基本料金が安くても、散歩や食事がすべて別料金のオプションであれば、最終的に高額になる可能性があります。
例えば、以下のような点は確認しておきましょう。
- 標準プランで食事は提供されるのか
- 散歩は1日に何回含まれているのか
- ケージから出て遊ばせる時間はあるのか
また、滞在中の様子を確認できるライブカメラの利用が、有料かもチェックしておきたいポイントです。
料金だけでなく運営会社の情報やサービスの質も比較する
信頼できる施設かを見極めるため、第一種動物取扱業(保管)の登録があるかを確認してください。
登録は法律で定められた義務であり、登録情報が見当たらない施設は利用を避けるべきです。
また、Webサイトの情報だけを鵜呑みにせず、事前に施設見学を行いましょう。
滞在中のほかのペットたちがリラックスしているかどうかも、施設のケアの質を判断するよい材料になります。
スタッフの人数や体制を確認する
施設の設備と同じくらい重要なのが、ペットの命を預かるスタッフの体制です。
特に、夜間にスタッフが常駐しているかは大きなポイントです。
24時間スタッフ常駐の施設は、夜間の急な体調変化にも迅速に対応できます。
持病のあるペットや高齢のペットを預ける場合は、獣医や愛玩動物看護師が夜間に滞在している施設を選びましょう。
看護や介護が必要な分だけ料金は高くなりますが、より安心して預けられます。
まとめ

ペットホテルの料金は、宿泊日数、ペットの種類やサイズ、お部屋のグレード、オプション、利用時期、そして立地エリアなど、さまざまな要素によって決まります。
特に首都圏などの都市部では料金が高くなる傾向がありますが、その分24時間スタッフが常駐するなど、手厚いサービスが受けられることも多いです。
大切なのは、表面的な価格だけで判断しないことです。
基本料金に含まれるサービス内容を細かく確認し、必要なオプションを含めた総額で比較検討しましょう。
また、動物取扱業の登録があるか、施設は清潔で安全か、スタッフの体制は万全かなど、サービスの質を自分の目で確かめることも欠かせません。
この記事で解説した料金相場やチェックポイントを参考に、予算やニーズ、そして何よりも愛するペットの性格や健康状態に合ったペットホテルを見つけてあげてください。
参考文献