ペットホテルではさまざまな動物が同じ空間で過ごします。そのため、ノミやダニの寄生や感染症のリスクが高まることがあります。大切なペットや自分自身を守るためにも、利用前のノミダニ対策が欠かせません。
ペットホテルを利用する際にノミダニ対策が必要な理由と、あわせて知っておきたいフィラリア予防を解説します。また、予防にかかる費用の目安を紹介します。
ペットホテルの利用前にできるノミダニ対策
ペットの毛のなかには、ノミやダニが潜んでいることがあります。散歩中や自宅にいたノミやダニがペットにくっつき、ペットの毛のなかで繁殖していきます。
ノミやダニの繁殖はとても早く、繁殖するとさまざまな病気のリスクが高まるので予防や対策を行うことが重要です。
また、ノミやダニはペットだけではなく、人間にも被害を与える可能性があります。しっかり予防や対策を行い、安全性が高い状態でペットホテルを利用しましょう。
予防薬を使用する
ノミやダニを予防するために、動物病院で駆虫薬を処方してもらうことができます。 予防薬にはさまざまな種類がありますが、主に以下の方法が効果的です。
- フロントラインスプレーやスポットオンタイプ
- 飲み薬タイプ
- オールインワンタイプ
フロントラインスプレーやスポットオンタイプは、ノミやダニに対する即効性があり、ペットに直接塗布することで長期間の効果を発揮します。
特に、スポットオンタイプは簡単に適用できるので、ペットが嫌がらないというメリットもあります。
また、飲み薬タイプのノミ・ダニ予防薬もあります。これらの薬は体内に取り込むことで全身を巡り、ノミやダニが寄生することを防ぐ仕組みです。
飲み薬のメリットは、ペットに直接塗布しなくても与えるだけで十分な効果を得られます。
オールインワンタイプは、フィラリア予防に加えノミやマダニ、さらにはお腹の虫の駆除も同時にできる薬です。
どの予防薬を使用するにせよ、ペットホテルに預ける1週間以上前には施すようにしましょう。薬の効果が身体に馴染むまで時間がかかるため、事前に十分な準備をしておくことが大切です。
シャンプーやブラッシングをする
飼っているペットに対して適切な頻度でシャンプーを行いましょう。シャンプーができないペットは、ブラッシングをこまめに行いペットを清潔に保ちましょう。
ペットを清潔にするだけではなくコミュニケーションを頻繁にとることで、体調に異常がないかを確認できます。
こまめな掃除や換気で室内を清潔にする
ペットの糞や尿は吸い込んだりしないように注意し、早く処理を行いましょう。また、ペットが使用している小屋や寝床、タオル、敷物などはこまめに洗浄をし、清潔を保つことが大切です。
温度や湿度の管理を徹底する
ノミやダニは高温で多湿な環境で増殖します。具体的には温度25〜30度前後、湿度60%以上です。>>福島県庁食品衛生課:ダニを増やさないために
寝具やカーペット、ぬいぐるみなどは洗濯するかクリーニングに出し、ノミやダニを取り除きましょう。除湿器や除湿機能があるエアコンの使用も効果的です。
いつも使っている毛布などはお湯洗いして乾燥機で乾かす
ノミやダニは高温で死滅するため、毛布や寝具、ぬいぐるみ、カーペットなどはお湯で洗うと効果的です。その後、乾燥機を使って乾かすとさらに効果的です。
毛布や寝具、ぬいぐるみ、カーペットなどを天日干しする際に黒い布で覆うと高温になり殺虫力が高まるのでよいでしょう。片面では不十分なので表と裏を干します。
天日干しの後は、ダニやノミの死骸をとるために掃除機をかけましょう。
ペットをホテルに預けるときに必要なもの
ペットホテルを利用する際には、大切なペットが快適に過ごせるように必要な持ち物を事前に準備しておくことが大切です。
忘れ物があるとペットホテルの利用ができなかったり、ペットが不安になったり、ストレスを感じる原因になります。
ペットホテルにペットを預ける際に必要な持ち物はペットの種類やホテルによって異なりますが、一般的に必要とされるものをご紹介します。
狂犬病予防注射済票
ペットホテルではさまざまな動物が同じ空間で過ごすことになります。そのため、犬を預ける場合は感染予防のために狂犬病予防注射済表が必要となっています。
狂犬病の予防接種はお住いの市区町村が行う、年に1回の集合注射や動物病院でも接種できるので忘れずに行いましょう。
法律で義務化されています。狂犬病の予防接種を受けた際には必ず注射済票が交付されます。
ワクチン接種証明書
犬や猫をペットホテルに預ける際に、ワクチンの接種状況を確認されることがありますが、これはペット同士の感染を防ぐためです。
ペットホテルでは複数のペットが同じ空間で過ごすことが多く、接触や空気感染などによって病気が広がるリスクがあり、ホテル全体の衛生管理と安心感のある環境づくりに必要になる場合が少なくありません。
法律による義務化はされていませんが、一般的には混合ワクチンの接種が推奨されており、ホテルによっては接種証明書の提示を求められる場合があります。
直近でペットホテルに預ける予定がなくても災害時などを想定し、接種を済ませておくと不安がありません。
身分証明書
ペットホテル利用時は、飼い主の身分証明書が必要です。
飼い主の本人確認を行うことで、誰が飼い主かを明確にして不正な預かりや引き取りを防ぎます。
また万が一ペットに何かあった場合や預かり期間を過ぎても引き取りがない場合も、飼い主の連絡先がわかっているとスムーズに対応できるでしょう。
犬鑑札(犬の場合)
飼い犬の登録の手続きはお住いの市区町村で行っています。飼い犬を登録した際には鑑札が交付されます。
鑑札は登録番号が記載されており、登録された犬であることを証明するための標識ですので、飼い犬につけておかなければなりません。
飼い犬が迷子になった際は、装着されている鑑札から飼い主のところへ戻すことができるため、飼い犬に身につけさせましょう。
ペットホテルに提出が必要な場合がある書類
ペットホテルを利用する際は、安全性に配慮して書類の提出を求められることがあります。どのような書類が必要になるのかを、あらかじめ把握しておくとスムーズでしょう。
それでは、ペットホテルに提出が必要になる場合がある書類を解説します。
ノミダニ予防の動物病院の証明書
ペットホテルを利用する際に、前もってノミやダニの駆除や予防が必要とされている場合があります。
しかしノミダニ予防の証明書の取り扱いがない動物病院もあるため、その場合はレシートや領収証でも可としているか、印鑑や署名を含む書類を必要としているのかを事前にペットホテルに確認しておくと不安がないでしょう。
フィラリア薬の処方箋(領収書)
蚊を介して犬が感染するフィラリア症は、薬で予防できます。
ただし、獣医師の処方以外では購入できない要指示医薬品に分類されています。フィラリアの予防薬を使用する前に、フィラリアに感染していないことを確認する必要があるため事前に検査をしましょう。
フィラリアの予防薬は、おやつ感覚で噛んで食べることができるものや、毛をかき分けて皮膚に塗るタイプのものがあります。ただし、ペットホテル利用中の投薬は不可の施設が多いので、事前にフィラリアに感染していないかを検査し予防をしておくことが大切です。
ノミダニ予防とフィラリア予防の料金相場
ノミダニ予防薬は、飲み薬やおやつ感覚で食べることができるチュアブルタイプ、スポットオンタイプ(皮膚に垂らす薬)、首輪タイプなど種類が豊富です。選ぶ製品によって価格に差があるでしょう。
犬の場合は一般的なスポットオンタイプで1回あたり1,000〜2,500円(税込)ほどが相場で、猫の場合は1,000〜2,000円(税込)ほどが相場です。体重によって薬の量が変わるため、大型犬や大型の猫ほど費用が高くなる傾向にあります。
一方、フィラリア予防薬は内服薬やおやつ感覚で食べることができるチュアブルタイプ、スポットオンタイプ(皮膚に垂らす薬)、注射などがあります。内服薬やチュアブルタイプ、スポットオンタイプの場合は月1回投与が一般的で、1回あたり1,000〜2,500円(税込)ほどです。
注射の場合は1年に1回で済むものもあり、値段は7,000〜15,000円(税込)ほどが目安となるでしょう。製品によっては1ヶ月に1回1錠でフィラリアやノミ、ダニの対策ができるものもあり、内服薬やチュアブルタイプで体重によって2,500〜3,500円(税込)ほどが相場です。
動物病院によっては診察料が別途かかることもあるため、予防薬の費用だけでなくトータルでいくら必要か確認しておくと不安がありません。
ノミダニやフィラリアの予防は、ペット自身の健康を守るだけでなくペットホテルの利用条件をクリアするためにも重要です。予算やライフスタイルに合わせて、適切な予防プランを検討しましょう。
ペットホテルを選ぶ際のノミダニ対策のチェックポイント
ペットホテルに大切なペットを預ける際は、ノミやダニの対策がきちんと行われているか事前に確認しましょう。また不安なくペットを預けるために、ペットホテル選びで事前に確認しておきたい注意点をご紹介します。
施設の衛生面をチェックする
ペットホテルの衛生面を確認する際は、以下のポイントをチェックすると不安がありません。
- ケージや個室、食器が清潔に保たれているか
- トイレや水飲み場は衛生的に管理されているか
- 排泄物が放置されず適切に処理されているか
- ホテル内に悪臭はしないか
- 定期的な換気や消毒が行われているか
上記のような衛生管理が徹底されているかどうかはペットが快適に過ごせるかを判断する基準になります。
ノミダニ予防をしているか確認する
ペットホテルを選ぶ際は、ノミやダニの予防対策がきちんと行われているかを確認しましょう。
ノミやダニは、動物同士が集まる環境で感染しやすく、ペットやかゆみや皮膚炎などのトラブルを起こす原因になります。さらにノミやダニが媒介する病気が飼い主に広がるリスクもあります。
不安なく大切なペットを預けるために、以下のポイントを事前に確認しておくとよいでしょう。
- 宿泊するペットにノミやダニの予防薬の使用を義務付けているか
- 定期的にホテル内の駆虫や消毒を行っているか
- ノミやダニが確認された場合の対応方法を明記しているか
また自分のペットに事前に予防薬を使用しておくことで、感染リスクを減らすことができます。愛犬や愛猫の健康を守るためにも、ノミダニ対策を徹底しているペットホテルを選びましょう。
ペットホテルに利用時のノミダニ以外の注意点
ペットホテルを利用する際はノミやダニ対策のほかにもチェックすべきポイントがあります。大切なペットが不安なく過ごせるよう以下の点に注意し、ペットホテルを選びましょう。
まず、ペットのストレスへの配慮が大切です。知らない場所で過ごすのは、動物にとって大きな負担になります。普段から使っている毛布やおもちゃを持ち込めるか、個室を用意してくれるかなど、ホテルごとの対応を事前に確認しておくと不安がありません。
次に、体調や持病に関してあらかじめホテルに伝えておくことも忘れないようにしましょう。動物は体調が悪くても隠すことがあります。普段の様子や注意点を事前にきちんと伝えておくことで、ホテル側も早めに異変に気付くことができます。
さらに、ホテルのスタッフさんがどれくらい動物に慣れているかや、資格を持っているかを確認しておくと不安が減ります。動物取扱責任者の資格を持つスタッフさんがいるかどうか、もしものときに獣医師と連携できる体制が整っているかを事前に調べておくと、いざというときの対応がスムーズです。
最後に、緊急時の対応に関して確認しておきましょう。ホテルによっては夜間は無人のところがあります。夜間はスタッフさんが常駐しているか、近くに提携している動物病院や夜間に対応できる体制があるかなどを事前に確認しておきましょう。
まとめ
ペットホテルを利用する際には、ノミやダニの予防はもちろんそのほかの予防策もしっかりと行うことが大切です。ペットホテルはさまざまな動物が同じ空間で過ごすため、感染症や寄生虫のリスクが高まります。
ペットホテルを利用する前にはワクチンや狂犬病の予防接種をしっかりと確認し、必要に応じて証明書の提出を行うことをおすすめします。
ペットホテルではノミやダニの予防だけでなく、施設内の衛生状態にも十分に配慮が必要です。ペットが快適に過ごせるようにケージや食器、トイレの清掃状況を確認しましょう。
排泄物が放置されていないか、換気や消毒が定期的に行われているかも重要なチェックポイントです。また、ペットが宿泊する環境が清潔なことを確認し、ペットの健康や安全性を重視することができます。
ペットホテル選びの際には、ストレス軽減のために普段使っている毛布やおもちゃを持参できるか、個室が用意されているかを確認しておくと不安がありません。
特にペットがストレスを感じやすい場合は、なるべく自宅での生活に近い環境を提供してもらうことが大切です。事前に確認しておくことでペットの安心感や快適さが大きく向上します。
さらに、事前にペットの体調や持病に関してペットホテルに伝えておくことが重要です。動物は体調が悪くても症状を隠すことがあるため、普段の様子や健康状態をきちんと伝えておくことで、異変に気付いてもらいやすくなります。
もしものときにすぐに対応できるように、ホテルのスタッフさんの動物取扱責任者資格や、獣医師との連携がしっかりしているかを確認しておきましょう。また、緊急時の対応体制に関しても事前に調べておくことが大切です。
ペットホテルによっては、夜間はスタッフさんが常駐していないこともあります。そのため、ホテルが提携している動物病院が24時間対応できるか、または緊急時に対応できる体制が整っているかを確認しておきましょう。
万が一のトラブルにも冷静に対応できるよう、事前に準備をしておくことが安心感につながります。
さらに、ペットホテル利用の際に必要な書類を確認しておきましょう。狂犬病予防注射済票やワクチン接種証明書が求められることが多いため、事前に準備しておくと手続きがスムーズに進みます。
特に、ワクチン接種証明書が求められることがあるため、直近で預ける予定がなくても予防接種を済ませておくと便利です。
ノミダニやフィラリアの予防薬は、ペットの健康を守るための大切な投資です。予防にかかる費用は、種類やペットの体重、年齢によって異なりますが、適切な予防を行うことで、ペットの健康を守ることができます。
予算やライフスタイルに合わせて、適切な予防プランを選ぶことが大切です。また、予防薬の価格だけでなく、動物病院の診察料も考慮しておくと不安がありません。
ペットホテルの利用前にしっかりと対策を講じ、必要な準備を整えることで、ペットが安全性が高い状態で快適に過ごすことができます。
ペットの健康を優先的に考え、ペットホテルに預ける際には、ペットが元気で健康に過ごせるように飼い主としてできる限りの準備を行いましょう。
ペットホテルを利用する前に事前にしっかりと確認し、大切なペットが安全性が高く快適に過ごせる環境を整えておきましょう。
参考文献