大型犬は、小型犬や中型犬に比べると運動量が多く力が強いことが特徴です。そのため、ペットホテルを選ぶ際には、大型犬が快適に過ごすことができる環境が整っているのかを確認しておくことが大切です。
特に、十分に運動できるスペースがないと、体力の発散ができずにストレスが溜まり心身に影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、大型犬におすすめのペットホテルの特徴やポイントを解説します。愛犬が快適に過ごすことができるペットホテルを選ぶために、ポイントを確認しましょう。
大型犬に必要な環境の特徴
大型犬は身体が大きく運動量が必要なため、運動スペースやケージの大きさなど、大型犬に適した環境を整える必要があります。
普段とは違う環境になるからこそ、愛犬にとってストレスの少ないペットホテルを選べるように、大型犬に必要な環境を確認しておきましょう。
十分な運動スペースが確保されている
大型犬は身体が大きいため、小型犬や中型犬よりも運動量が多くなります。理想としては、30~60分の散歩を1日2回程度です。
散歩のサービスを行っているペットホテルもありますが、ほかに宿泊している犬もいるため、大型犬が満足できるような散歩を行うことは難しいでしょう。このことから、施設の広さだけでなく、運動スペースの広さを確認しておくことが大切です。
散歩に行くのが難しくても、運動スペースがあれば体を動かすことができます。外にドックランがある施設や、屋内に広々としたスペースが用意されていることが理想的です。
屋内外が適切な温度設定になっている
ペットホテルを選ぶ際は、温度管理がしっかりと行われているかを確認することも大事です。犬種や年齢などによって異なりますが、大型犬にとって理想的な設定温度は20度前後とされています。
特に、大型犬は暑さに弱い犬種が多いため、夏場の温度管理には注意が必要です。温度管理がされていないと、熱中症の危険性が高まります。
温度管理に関するポイントとして、以下を確認しておくことがおすすめです。
- エアコンで適切な温度管理がされている
- ペットケージが窓から離れている
- 暖かい場所と涼しい場所の両方が完備されている
エアコンでの空調管理だけでなく、暖かい場所と涼しい場所の両方が用意されていると適した環境で快適に過ごすことができます。
施設内で犬が快適に過ごすことができる温度管理がされているのか、事前に確認しておきましょう。
大型犬専用の広いケージや個室がある
2022年6月の動物愛護法改正によって、ペットホテルなどにおける犬のケージの広さが定められています。
定められているケージの広さは、タテは体長の2倍以上・ヨコは体長の1.5倍以上・高さは体高の2倍以上です。
このように、身体の大きな大型犬になるとかなりのスペースが必要です。この広さを確保できる施設は限られるため、大型犬のペットホテル選びに苦労する方も少なくありません。
しかし、愛犬が快適に過ごすためにもこの広さは重要です。ペットホテルを選ぶ際は、法律を遵守し、大型犬が快適に過ごすことができるスペースを確保できているか確認しておきましょう。
ノイズ対策された静かな環境がある
犬は音に敏感なため、周辺の環境や施設の騒音対策などを確認しておくことも大切です。近所に騒音を発する施設があったり、施設の騒音対策がされていなかったりすると、犬がストレスを感じる可能性があります。
しかし、音に関しては現地に行ってみないと、どのような環境になっているのかの判断が難しいでしょう。そこで、予約前に見学することがおすすめです。
実際に訪問することで、騒音対策だけでなく、スタッフの対応や施設の雰囲気を確認することもできます。ただし、ペットホテルによっては事前の見学を行っていないこともあるため、まずは見学が可能であるのかどうか問い合わせてみましょう。
安心感を持って大型犬を預けられるポイント
ペットホテルに大型犬を預ける際、大型犬可能と書いてあるから大丈夫ではなく、スタッフや施設に関しての情報を確認しておくことがおすすめです。
大型犬のペットホテル選びに悩んだ場合は、ここで解説するポイントを参考にしましょう。
スタッフの資格や経験
ペットホテルを選ぶ際、スタッフが取得している資格や経験などを確認することもおすすめです。預けるペットホテルに悩んだときの判断材料となるでしょう。
- 愛玩動物看護師
- ペットシッターアドバイザー
- 愛玩動物飼養管理士
- ペット飼育管理士
その他にも、トリマーの資格を取得しているスタッフがいる場合は、普段のトリミングでも利用できます。
トリミング中にスタッフと愛犬がコミュニケーションを取ることで、愛犬が施設に慣れ、ホテル滞在時のストレス軽減につながるでしょう。
また、動物健康管理士の資格を取得しているスタッフがいる場合は、健康管理のアドバイスを受けられることもあります。
緊急時の動物病院との連携体制
慣れない環境にいることで、体調を崩してしまう犬は少なくありません。そのため、ペットホテルを選ぶ際は、緊急時の対応に関しても確認しておくことが重要です。
動物病院と連携しているホテルであれば、早急に対応してもらえます。対応が遅れた結果、死亡してしまうケースもあるため、緊急時の対応方法に関しては、予約前にしっかりと確認しておきましょう。
大型犬の扱いに慣れたスタッフがいるか
身体の大きい大型犬は力が強く、遊びの延長で力を入れすぎてしまうことがあります。例えば、大型犬の尻尾一振りは花瓶を倒す勢いがあり、飛びついてきたときは人が倒れることもあるでしょう。
そのような場合に大型犬の扱いに慣れたスタッフがいると、適切な対応をとることができます。また、大型犬特有の行動などを把握していることで、トラブルを未然に防ぐ役割も担っています。
小型犬のように抱っこしたり、人の力で制御したりすることが難しいからこそ、経験豊富で大型犬の扱いに慣れたスタッフがいることが重要です。
大型犬の脱走対策を徹底しているか
ペットホテルに愛犬預けた際、犬が脱走し死亡してしまったという事故が実際に発生しています。特に、大型犬は身体が大きく背の低い柵であれば簡単に超えることが可能です。
このことから、二重扉になっているか・背の高い柵が備えられているか、などを事前に確認しておきましょう。その際、ホームページの情報や写真のみで判断するのではなく、実際に施設をみておくことがおすすめです。
また、動物取扱業の登録を行っている施設かの確認もしておきましょう。動物取扱業の登録は、動物の販売や保管などを行う場合に登録を受けなければいけないと定められており、ペットホテルもこれに該当します。
登録業者は、動物の管理の方法・施設や設備に関する基準・従業員の数などを守ることが義務付けられています。この登録の有無は、店内やホームページで動物取扱業者標識が提示されているかどうかで確認することが可能です。
大型犬に適した食事と健康管理のポイント
大型犬の健康は、食事や環境に左右されます。そのため、ペットホテルに大型犬を預ける際は、食事プランや投薬などを確認しておくことが大切です。
愛犬の健康のためにも、事前の確認はしっかりと行うようにしましょう。
愛犬の食事プランに対応しているか
ペットホテルを利用する際は、愛犬が普段食べているご飯を持ち込めるかどうかを事前に確認することが大切です。
ペットホテルによっては食事が用意されている場合もありますが、普段と異なるご飯が原因で体調を崩してしまう犬は少なくありません。また食物アレルギーを引き起こす恐れも考えられます。
愛犬の健康を守るために、できるだけ普段の食事を持参し、慣れ親しんだご飯を用意してあげることをおすすめします。
投薬や健康管理のサポートが可能か
投薬をしている犬は、投薬が可能であるかどうか確認しておきましょう。1回の量を小分けにして、日付や投薬タイミングなどを記載しておくと、スタッフがわかりやすく間違いも起こりにくいためおすすめです。
ただし、獣医師または愛玩動物看護師以外の無資格者による投薬は法律違反となります。これは、2022年5月に愛玩動物看護師法が施行され、愛玩動物看護師が国家資格となったことが理由です。
愛犬に投薬が必要な場合は、動物病院のペットホテルか愛玩動物看護師が在籍しているペットホテルを探すようにしましょう。
大型犬をペットホテルに預ける前に準備すること
ペットホテルに大型犬を預けるためには、事前の準備が必要です。しっかりと準備を行うことで、安心感を持って預けることができます。
いざ預けるとなったときに慌てることのないように、ここで紹介することを参考にしながら準備を行っていきましょう。
健康チェックとワクチン接種の証明書を準備する
ペットホテルには、不特定多数の動物が集まるため、ワクチン接種やノミ・マダニの予防を受けておくことが大切です。
また、ほとんどのペットホテルで預ける際に、ワクチン接種の証明書が必要となります。ワクチン接種後は、証明書をなくさないように保管しておきましょう。
その他にも、施設によっては健康診断書の提出が必要な可能性があります。健康診断の結果は数日かかることがほとんどのため、早めに受けておくことがおすすめです。また、愛犬の体調を把握しておくためにも、定期的に健康診断を受けておくとよいでしょう。
特に、老犬や持病がある犬などは、緊急時にどのような対処が必要となるのかを預ける際に伝えておくことも重要です。
事前にペットホテルの設備や環境を見学する
ペットホテルは、施設によって備えられている設備や運動スペースなどが異なります。そのため、大型犬をペットホテルに預ける際は、事前見学をしておくとよいでしょう。
事前見学をすることで、施設の環境だけでなく、スタッフの犬に対する接し方を確認できます。
事前見学の際は、運動スペースの確認はもちろん、ケージや施設の清潔感・脱走防止対策・スタッフの対応などを確認しておくことがおすすめです。
愛犬の性格や習慣をスタッフに伝える
ペットホテルのスタッフが犬の異変を早期に発見できるようにするためにも、愛犬の普段の様子を伝えておくことがおすすめです。
食事・散歩・排便排尿の様子だけでなく、愛犬の性格やクセなども伝えておくとよいでしょう。これにより、スタッフが犬との接し方を工夫しやすくなり、トラブルを未然に回避することにもつながります。
大型犬を預ける際にチェックしたい追加サービス
ペットホテルでは、施設によって行っているサービスはさまざまです。ただ宿泊するだけでなく、オプションとしてプラスαのサービスを受けられることもあります。
大型犬を預ける際におすすめの追加サービスがこちらです。
- 散歩代行
- グルーミング
- 見守りカメラ
散歩代行はぜひ利用しましょう。また、施設によっては見守りカメラで24時間愛犬の様子を確認できる追加サービスもあります。愛犬の様子を確認しておきたい方は、利用してみるのもよいでしょう。
ただし、これらのサービスはあくまでも一例であり、行われているサービスは施設によって異なります。追加のサービスを検討する際は、事前にホームページを確認したり、施設に問い合わせたりすることが重要です。
大型犬が快適に過ごせるための工夫
身体が大きい大型犬は、ペットホテルで快適に過ごすことができるのかどうか、しっかりと確認しておかなければいけません。大型犬のペットホテルを選ぶ際、小型犬とは異なるチェック項目がこちらです。
- 運動スペース
- 施設内の広さ
- ケージや個室の広さ
先にも説明したように、ペットホテルのケージの広さは動物愛護法によって定められています。そのため、大型犬が宿泊するためには、かなりのスペースが必要です。
また、運動量の多い大型犬が快適に過ごすためには、十分に遊べる運動スペースも確保しなければいけません。愛犬が快適に過ごすことができるように、ペットホテル選びの際は上記の3つのポイントをおさえておきましょう。
まとめ
大型犬をペットホテルに預ける際には、基準を満たした広さのケージがあるのか・十分な運動スペースは用意されているのか、を確認しておくことが大切です。
運動が足りていないと、体力の発散ができずにストレスが溜まり、体調不良につながる可能性があります。運動量の多い大型犬だからこそ、運動スペースの確認が重要となるのです。
また、ペットホテルを利用する前には、事前に施設の見学に行くことがおすすめです。事前見学では、運動スペースの広さ・スタッフの対応・施設の衛生管理などを、しっかりと確認しておきましょう。
どうしても適切なペットホテルが見つからない場合は、ペットシッターを利用する方法もあります。数日間、家を預ける予定がある方は愛犬が快適に過ごせるためにはどうしたらいいのか、よりよい方法を見つけましょう。
参考文献