長く家を空ける必要があるときに、ペットホテルの利用を検討する方は少なくないでしょう。しかし、狂犬病ワクチンを打っていない状態で急な出張などが決まり、どのように対処すべきかわからず、戸惑ってしまう可能性も否定できません。今回はワクチン接種の重要性を押さえたうえで、狂犬病ワクチンを打っていなくてもペットホテルは利用できるのか、詳しく説明を加えました。ペットを預ける際の注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
狂犬病ワクチンの接種が必要な理由

まずは、狂犬病ワクチンの接種が欠かせない理由について、正しく理解しましょう。ワクチンの接種の必要性を知り、適切に対応しておけば、急な外出が決まっても慌てずに済みます。
- 狂犬病ワクチンはなぜ接種しなければならないのですか?
- 犬の飼い主には、飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせることが法律によって義務付けられています。狂犬病は人畜共通感染症であり、発症するとほぼ100%の確率で死に至るという大変危険な病気です。大切なペットだけでなく、周囲の人たちやほかの動物を守るためにも、法令に則った狂犬病ワクチンの接種は欠かすことができません。
- 狂犬病ワクチンにはどのような効果がありますか?
- 狂犬病ワクチンを接種すると、高い発症予防効果をえることができます。狂犬病はいったん発症してしまえば効果的な治療法がないため、年1回のワクチン接種がとても重要です。
- 狂犬病ワクチンはいつ頃受けるべきなのか教えてください
- 生後91日以上の犬を飼い始めたら30日以内に、動物病院での個別接種または自治体による集団接種にて、狂犬病ワクチンを受けましょう。翌年以降は毎年1回、狂犬病予防注射月間にあたる4月1日から6月30日までの間に接種してください。
- 狂犬病ワクチン接種以外にも接種が義務付けられているものはありますか?
- 法律によって接種が義務付けられているのは狂犬病ワクチンだけですが、ペットホテルやトリミング施設などの多くは伝染病予防や衛生管理の観点から、混合ワクチンの接種も必須としています。義務でないワクチンは無視してよいと考えるのは間違いです。
ペットホテル利用時のワクチンに関するルール
狂犬病ワクチンの必要性について理解を深めたところで、実際にペットホテルを利用するにあたって押さえておきたい、ワクチンに関するルールをまとめます。より具体的な情報を知り、ペットホテルの利用を検討する際に役立ててください。
- 狂犬病ワクチンを打ってないのですが、ペットホテルの利用は可能ですか?
- ワクチンを打っていないペットは免疫力が低いため、ペットホテルにおいてほかの動物と接触すれば、感染症のリスクが一気に高まります。集団感染を引き起こす原因となり、多くのペットたちが危険にさらされる可能性もあるでしょう。そのため、ほとんどのペットホテルはペットを受け入れる際に、ワクチン接種証明書の提出を求めます。必要となる接種証明書の種類は施設によって異なりますが、法律上必ず受けなければならない狂犬病ワクチンの証明書は特に大切です。急遽家を空けることが決まったときなどは、ワクチン接種や証明書の提出が煩わしく感じられるかもしれません。しかし、ペットを守るために不可欠な対応であると理解して、ワクチンを打っていなければペットホテルの利用は難しいと念頭に置いておきましょう。なお、やむをえない事情があってワクチン未接種のペットをすぐに預けたい場合には、動物病院が経営するペットホテルを探してみてください。動物病院によるペットホテルであれば、預かり時にワクチンを接種してくれる可能性があります。また、獣医師によるケアが行き届くことから、ワクチン未接種でも利用が可能かもしれません。いずれにしても、ワクチンに関する細かいルールは施設ごとに違うため、利用を希望するペットホテルを見付けたら、具体的な情報を確認しましょう。
- ワクチンを接種したら、すぐにペットホテルを利用できるのか教えてください
- ワクチンを接種したとしても、効果がすぐに発揮されるわけではありません。接種の直後に免疫ができるのではなく、抗体が生成されるまでには7~14日を要します。そのため、ペットホテルを利用する際には、一週間前までを目安にワクチン接種を済ませるよう心がけてください。直前になって慌てないためにも、早めに対応しておくことがポイントです。
- 持病などによってワクチン接種が難しい場合でもペットホテルは利用できませんか?
- 持病やアレルギーなどが原因で、獣医師にワクチンの接種が難しいと診断されたペットに関しては、予防接種の猶予証明書をコピーして提出すると、受け入れが可能になることも考えられます。しかし、ワクチン未接種の状態でペットホテルを利用する場合には、施設内での行動範囲や集団活動への参加が制限されるなど、サービスの幅が狭まることを覚えておきましょう。
- ワクチンを打ってない場合は、ペットシッターの依頼も難しいですか?
- ワクチン未接種の状態であっても、依頼を受けてくれるペットシッターは存在します。とはいえ、すべてのペットシッターが対応しているのではなく、当然ながら感染のリスクがゼロになるわけでもないため、利用にあたっては具体的なサービス内容や提供されるケアの質を吟味する必要があります。
ペットを預けるときの注意点

終わりに、ペットを預けるときの注意点をまとめます。飼い主が責任を持って準備を整えておけば、信頼できるペットホテルが見付かるだけでなく、滞在中のペットのストレスを軽減することも可能です。
- ワクチン接種証明書を紛失したのですが、ペットを受け入れてもらえますか?
- 万が一ワクチン接種証明書を紛失してしまっても、証明書以外のものでワクチン接種が済んでいることを明示することにより、受け入れが可能になる場合があります。例えば、動物病院の領収証や明細書、健康手帳の記録などが証明書の代わりになると考えられるため、一度利用予定のペットホテルに相談するとよいでしょう。また、動物病院に証明書の再発行を依頼してみるのも一案です。
- ペットホテルを選ぶ際のポイントを教えてください
- ペットホテルを選ぶ際には、預けるペットの健康と安心を確保するために、施設の清潔さや安全性を重視しましょう。加えて、スタッフの資格や経験、動物との接し方やコミュニケーション能力の高さなども、信頼できる施設かどうかを見極める判断材料となります。
- ペットホテル利用前に準備しておくべきことは何ですか?
- ペットは環境の変化に敏感です。どれだけ配慮したとしても、慣れない場所で過ごす時間はペットのストレスになるでしょう。ペットの負担を軽減するためには、普段から留守番の練習をしておくといった準備が必要です。そのうえで、ペットホテル利用時にはお気に入りのグッズなども一緒に預けることにより、ペットが可能な限りリラックスして過ごせるよう配慮してあげてください。
編集部まとめ
自身のペットのみならず、ほかの動物たちを守るためにも、狂犬病をはじめとするワクチンの接種は欠かせません。特に、ペットホテルの利用にあたってペットの健康をしっかりと担保することは、飼い主にとって一種のマナーであるととらえてください。ペットの身体を清潔にして預ける、ノミダニを予防するといったことも、ペットホテルの利用時に守るべきマナーです。また、普段からペットの健康管理を徹底しておくことが、急な外出時の適切な対応につながります。