ペットを飼っている方は、旅行や出張で家を開ける際、家族や友人にペットを預けることがあるでしょう。しかし、毎回頼るのは気が引けると悩む方もいるのではないでしょうか。
そのようなときに頼りになるのがペットホテルです。
ペットホテルには多様なシステムがあり、初めての利用では戸惑う方も多いでしょう。
ペットホテルを選ぶ際には、まず快適に過ごせる部屋の広さを知っておくことが大事です。
この記事では、ペットが快適に過ごせる理想的な部屋の広さやその影響、ペットホテル選びのポイントを紹介します。
ペットホテルの部屋タイプ
ペットホテルには、ケージタイプ・クレートタイプ・完全個室タイプ・ケージレスタイプの4つの部屋タイプがあります。
それぞれ部屋によって特徴があり、ペットと相性のよい部屋があります。ペットにあわせた部屋を選ぶことで、ホテルでの生活もストレスなく快適に過ごしてくれるでしょう。
ここでは、ペットホテルのお部屋の種類について詳しく紹介します。
ケージタイプ
ペットホテルでは、一般的にケージタイプの部屋が多く用意されています。
ケージで仕切られていることでプライベート空間が確保でき、ペットも安心感を持ってホテルで過ごせます。
ただ、狭い空間が苦手な場合やケージでの生活に慣れていないと、ストレスを感じてしまうことがあるでしょう。
ケージでの生活に慣れていない場合は、個室を利用したり、事前にケージでの生活に慣れさせるトレーニングをしたりしておくとよいでしょう。
クレートタイプ
ケージタイプに少し似ていますが、クレートタイプの部屋もあります。
一般的なクレートよりも広さがあり、犬が快適に過ごせる空間となっています。
散歩の時間や遊ぶ時間はクレートの外で過ごして、就寝時にクレートを利用するというパターンが多いようです。
ただ、ケージタイプと同様に、クレートに慣れていないとストレスを感じてしまうことがあるので注意が必要です。
完全個室タイプ
完全個室タイプの部屋は十分な広さがあるため、自宅と同じような空間で過ごせます。
完全個室タイプであれば、犬を2匹以上飼っている場合でも一緒に預けられるケースがあるので、多頭飼いしている方は安心感があることでしょう。
また、周囲の音を完全にシャットアウトできるので、ほかの犬の鳴き声が気になったり多数の犬と過ごす経験がなかったりするペットでもリラックスして過ごせる空間です。
ほかのペットと一緒に過ごすタイプ
近年では、ケージを使わずにほかのペットと一緒に過ごす、ケージフリータイプの部屋も増えてきています。
広々とした空間で、自由に動き回れるため、ストレスを感じにくいメリットがあります。
自然とほかのペットと触れ合う機会が増えるため、社交性を育てることが可能です。
ペットホテルの理想の部屋の広さ
ペットホテルの理想的な広さは、犬や猫の飼養管理基準によって定められています。
理想的な部屋の広さは犬の大きさによって異なりますが、寝床のみの場合は、タテが犬の体長の2倍✕ヨコが1.5倍✕高さが体高の2倍で計算されます。
では、ペットホテルでの理想的な部屋の広さは具体的にどのくらいなのでしょうか。小型犬と大型犬の場合に分けて具体的に紹介していきます。
小型犬の場合
小型犬が快適に過ごせるスペースは、2平方メートルから5平方メートルが理想的です。
小型犬でも個体差があるため、ペットのサイズに合わせた部屋を選びましょう。
また、寝床に加えて運動スペースも確保する場合は、部屋の広さよりも約6倍の広さが必要となります。
自由に動けるスペースが別で確保されている場合には就寝時の部屋だけで十分ですが、完全個室にする場合は、運動できるスペースが十分にあるか確認をしましょう。
大型犬の場合
大型犬の場合は、6.5平方メートルから11.5平方メートルほどが理想的な広さです。
大型犬も犬種によって大きさが異なるため、ペットに合った広さの部屋を選ぶことが大切です。
大型犬は小型犬に比べて身体が大きく運動量も必要になるため、部屋の広さを十分に確保するだけでも、ストレスを軽減できます。
大型犬が完全個室を利用する場合には、運動できるスペースを確保するために、部屋の6倍の広さを必要とします。
大型犬でもストレスなく過ごせる十分な運動スペースや、プログラムがあるかを事前に確認しておくことが重要です。
部屋の広さがペットに与える影響
部屋の広さが広いほど、ペットが自由に動けるため、快適に過ごせると感じます。
ただし、広すぎる部屋が逆にストレスになるケースもあります。
では、部屋の広さがペットに与える影響には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
安心感を与える
犬にとって十分な広さは、安心感を得ることが可能です。犬は日常的に横になったり、伸びをしたり、歩き回ったりします。
日常的な動きをストレスなくできる広さがあることで、快適さと安心感を得られます。
部屋の理想的な広さは犬の大きさによって異なりますが、1方向に10歩ほど歩けるスペースを確保しておくとよいでしょう。
また、身を隠せる狭いスペースがあるとリラックスして休息できるので、運動スペースのほかに休息場所を確保してあげるとよりリラックスしてくれるでしょう。
ストレスを軽減する
部屋が広いと、犬が自由に動き回れるスペースが確保でき、ストレスが軽減されます。
走ったり横たわったり、遊んだりと自由に身動きを取れるスペースのほかに、ペットが身を隠して眠れるハウスやクレートの両方のスペースがあるとよいでしょう。
運動不足を防ぐ
部屋が広いことで運動不足を防ぐことも可能です。
もし散歩での運動量が足りなくても、部屋に十分な広さがあれば、運動不足を防止できます。
部屋の広さがペットが理想とする広さを確保できていれば、おもちゃやボールで遊ぶことができ、運動不足の防止につながります。
また、犬にとって運動することはストレス発散につながるので、運動ができるほどの部屋の広さがあるとよいでしょう。
部屋が広すぎることでストレスを感じる場合も
部屋が広ければ運動したりおもちゃで遊んだりできるため、ストレス軽減や運動不足の防止につながりますが、広すぎるとストレスを感じるケースもあります。
犬は本来、巣穴などのテリトリーを作り、敵から身を守るように暮らしてきました。
そのため、暗くて狭いスペースに安心感を覚えることがあります。
すべてが見渡せる広い空間だと、身を隠せる場所がない不安感やテリトリーを守る警戒心からストレスを感じることもあります。
ペットに合った適切な広さを選ぶことが大切です。
広さ以外の部屋のチェックポイント
ペットホテルを選ぶ際には、ペットが理想とする部屋の広さが大事なチェックポイントですが、ほかにも確認しておきたいポイントがあります。
では、ペットが快適にストレスなく過ごしてもらうために、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
部屋の広さ以外のチェックポイントについて見ていきましょう。
温度管理が適切か
温度管理が適切かどうかも大事なチェックポイントです。犬が快適に感じる温度は、20〜25度といわれています。
室温が20〜25度で温度管理されているペットホテルであれば、ストレスを感じることなく快適に過ごせるでしょう。
温度管理が適切ではないと、体調不良を引き起こす原因となるので注意が必要です。
また、高齢のペットや子犬、温度変化に弱い犬種の場合は寒さにとても敏感です。
事前に、ペットホテルの温度管理システムについて確認しておきましょう。
24時間体制でスタッフが常駐し温度管理ができるのか、夜間はスタッフはいないのかなども聞いておくのもおすすめです。
防音対策はされているか
普段、一人で過ごすことが多いペットにとって防音対策はとても大事です。
人間よりも優れた聴覚を持つ犬にとって、高い音や不慣れな音を感じるとストレスとなってしまうため、防音設備の整った環境や個室があるかを確認しましょう。
また、外部からの大きな音にも敏感に反応するので、ペットが落ち着いて過ごせる空間なのかを確認しましょう。
おもちゃやアメニティが充実しているか
犬は環境の変化にとても敏感です。普段とは違う環境で違う人にお世話されることは、ペットにとって大きなストレスとなります。
おもちゃやアメニティは遊びの道具だけでなく、心を安定させる大事な役割を担っています。
そのため、おもちゃやアメニティの充実度も、ペットホテル選びの大切な要素です。
持ち込みが可能なら普段、使用しているおもちゃやベッドを持参し、リラックス空間を作るのもよいでしょう。
衛生管理が徹底されているか
衛生管理が徹底されているペットホテルかどうか、確認することもとても大切です。
排泄後の迅速な対応はもちろんですが、定期的に掃除や消毒が行われているか確認しましょう。
ケージや食事のスペースがきれいに清掃されているか、ペットの共有スペースは清潔かなど、清潔な空間が維持されているかは必ずチェックしましょう。
衛生管理が徹底されていないと、感染症や体調不良の原因となったり、ストレスから食欲不振や問題行動を引き起こしたりします。
清潔な環境が維持されているか、どのように清掃や消毒が行われるのか不安な場合は、実際に見学に行ってみるのもよいでしょう。
万が一の脱走対策はされているか
ペットホテルに大事な愛犬を預ける際に不安なのが、脱走でしょう。万が一のことを考えて脱走対策がされているかの確認も大事です。
ペットホテルでは、窓やドアの鍵の閉め忘れによるペットの脱走が実際に発生しています。
また、散歩中にリードが外れてしまい脱走するトラブルが発生し、怪我をしてしまったり行方不明になったりするケースが起こっています。
普段とは違う環境に預けられたことによるストレスから問題行動を起こす子は少なくないため、脱走対策がしっかりと行われているかの確認をしましょう。
大事なペットを守るためにも、ドアが二重扉になっているか、散歩時はハーネスを利用しているかなどの脱走対策の確認は重要です。
カメラなどで様子を確認できるか
近年では、見守りカメラを設置するペットホテルが増えてきています。
万が一、体調不良を起こしたりトラブルが発生したりした場合でもカメラが設置してあることで、ペットの様子が確認できるので安心感を持って預けられます。
外出中でも、いつでもペットの様子を確認できるのは、飼い主にとってとても安心感があるでしょう。ペットホテル選びにはカメラが設置されているかを確認しましょう。
ペットホテル選びのポイント
ペットホテルを選ぶ際には、ペットが自由に動けるスペースやリラックスできるスペースが確保できることが重要です。
では、ペットが快適に過ごせるペットホテルを選ぶには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
ペットがストレスフリーで、楽しく過ごしてもらうためのペットホテルの選び方について詳しく紹介します。
スタッフの経験と対応の丁寧さ
スタッフの経験と対応の丁寧さもペットホテルを選ぶ際には大事なポイントです。
ペットホテルのスタッフが、トリマーやペットシッター、動物看護師や動物取扱責任者などの動物に関する資格や専門知識を持っているか確認しましょう。
動物に対して知識があるスタッフや経験が豊富なスタッフが在籍していれば、怪我や体調不良などのトラブルが発生しても適切な判断を行い処置をしてくれます。
スタッフの経験が豊富であれば、飼い主も安心感を持って預けられます。
フードの持ち込みの可否
ペットホテルを選ぶポイントとして、フードの持ち込みの可否を確認しておきましょう。
犬は環境の変化に敏感なので、普段と違う環境で過ごし、普段とは違うフードとなることでストレスを感じます。
ペットホテルでは基本的にフードの提供を行っていますが、環境の変化によるストレスで食欲不振となってしまうケースがあります。
万が一、ペットホテルのフードを食べない場合に備えて、普段食べているフードを持ち込めるのか確認しておきましょう。
持ち込みが可能な場合は、1食ずつ小分けにして渡すとスムーズです。
緊急時の対応
もし、ペットホテルを利用中に体調不良や怪我、トラブルなどの緊急事態が発生した場合の対応についても確認をしておきましょう。
ペットホテルでは、環境の変化で急な体調不良や食欲不振、問題行動が起こることもあります。
もし怪我や体調不良を起こした場合には、連携している病院があるか、夜間対応してくれるのかなどの対応方法について必ず確認しておきましょう。
また、トラブルが発生した場合の連絡方法や対処法など、想定できるトラブル対策について事前に確認しておくことも大事です。
料金の明瞭さ
ペットホテルを選ぶ際には、料金体系の明瞭さも判断材料にしましょう。
ペットホテルでは基本料金に含まれるサービスや別料金のオプションを事前に把握しておくことが大事です。
例えば、基本料金に散歩が含まれていることが多いものの、1日に3回散歩をしてほしいという場合には追加料金が発生するケースがあります。
予算に合うかだけでなく、ペットが快適に過ごせるかを考えたうえで料金を確認しましょう。
ペットホテルの料金相場
ペットホテルの利用料金は、ホテルや立地、サービスによって大きく変動します。
ペットホテル1泊の料金相場は、小型犬が約3,000円・中型犬が4,000円、大型犬が5,000〜6,000円となっています。
この料金はケージタイプやクレートタイプの宿泊料なので、個室を利用したり追加のオプションを利用したりすると、さらに料金がかかることを覚えておきましょう。
また、ペットホテルによっては連泊や長期利用することで割引が利用できる場合もあります。
まとめ
ペットホテルを選ぶ際には、まずペットの大きさにあわせた部屋選びがとても重要です。
部屋はペットにとって大切なテリトリーです。安心感を持ってリラックスできる空間を選びましょう。
また、スタッフの経験や資格、トラブル対応力も重要です。緊急時の対応体制を事前に確認しておきましょう。
ペットホテルは、飼い主が安心感を持って大切なペットを預けられる施設です。
信頼できるペットホテルがあれば、急な外出時も心配が減り、飼い主のストレス軽減にもつながります。
ペットが落ち着ける環境が整ったペットホテルを利用して、飼い主もリラックスできる時間を過ごしましょう。
参考文献