「ペットホテルに愛犬を預けなくてはならないけど、心配……」そう考える方は少なくありません。初めてのペットホテルは犬にとって未知の場所です。普段は元気でも、環境が変わることでストレスを感じて食欲が落ちたり、落ち着きがなくなったりすることがあります。
犬がストレスを感じるのは、慣れない環境や飼い主さんと離れることへの不安、生活リズムの変化などが関係しています。しかし工夫次第で、愛犬が安心して過ごせる環境を整えることができます。
この記事では、ペットホテルで犬がストレスを感じる原因を詳しく解説しつつ、事前準備のポイントについて紹介します。
ペットホテルで犬がストレスを感じる原因

ペットホテルに犬を預ける際、愛犬が感じるストレスの主な原因について解説します。
慣れない環境による不安や緊張
犬は自分のテリトリーを大切にする動物です。いつもと違う環境に置かれると、「ここはどこ?」「何が起きてるの?」と警戒心が強くなります。
ペットホテルには、初めて見る部屋やケージ、知らない人の匂い、ほかの犬の鳴き声など、普段の生活にはない刺激がたくさんあります。特に、慎重な性格の犬や、外出に慣れていない犬は、新しい環境に順応するのが難しく、強いストレスを感じてしまうことがあります。
飼い主さんと離れることによる不安
犬は飼い主さんと一緒にいることで安心感を得ています。そのため、飼い主さんと離れること自体が大きなストレスになることがあります。
甘えん坊の犬や、普段から飼い主さんと長く一緒にいる時間が長い犬は、分離不安と呼ばれる状態になりやすくなります。
分離不安の犬は、飼い主さんがいなくなると、不安で落ち着かなくなったり、ずっと鳴き続けたりすることがあります。食欲がなくなる、そわそわして落ち着かない、ケージのなかをぐるぐる歩き回るなどの行動が見られることもあります。
生活環境の変化による影響
ペットホテルでは、普段と違うスケジュールで過ごすことになります。
家では自由に歩き回れる犬でも、ペットホテルではケージのなかで過ごす時間が長くなることがあるでしょう。ご飯の時間や散歩の時間が家庭とは異なるため、生活リズムが変わり、それがストレスになってしまうことがあります。
食べ慣れているフードとは違うものを出されると、食欲が落ちる犬もいます。神経質な犬は、食べ慣れたもの以外を受け付けなくなることもあるので、可能であれば普段の食事を持参するとよいでしょう。
また、普段は家のなかでのんびり過ごしている犬にとっては、慣れない環境で眠ること自体が難しく、十分に休めないまま疲れてしまうこともあります。
ほかの犬やスタッフとの接触によるストレス
ペットホテルでは、ほかの犬やスタッフと関わる機会が増えます。内向的な犬や、ほかの犬に慣れていない犬にとっては、こうした接触が大きなストレスとなる場合があります。
多くの犬が同じ空間で過ごすタイプのペットホテルでは、犬同士の相性が合わず、ピリピリとした雰囲気になることもあります。初対面の犬が近づいてくると警戒してしまう犬もいるため、犬同士の距離を適切に保つことが大切です。
また、知らないスタッフと接することに不安を感じる犬も少なくありません。飼い主さん以外の人にお世話をしてもらうことに慣れていない犬は、撫でられたり抱っこされたりするだけで緊張してしまうこともあります。
ペットホテル滞在中に犬を安心させるコツ

ペットホテル滞在中でも愛犬が安心して過ごせるよう、以下のポイントを参考にしてみてください。
お気に入りのアイテムを持たせる
犬は、自分の匂いがついたものや、慣れ親しんだものがそばにあると安心します。
効果的なのは、普段使っているベッドやブランケット、クッションなどがあります。これらのアイテムには自分の匂いがついているため、「知らない場所だけど、いつもの匂いがする」と感じてほっとするのです。
飼い主さんの匂いがついたタオルやTシャツを持たせるのも効果的です。飼い主さんの匂いは、犬にとって大きな安心材料です。寂しさを感じたときも、匂いを嗅ぐことで落ち着くことができます。
さらに、お気に入りのおもちゃを持たせるのもおすすめです。よく遊んでいるボールやぬいぐるみがあれば、慣れない環境でも遊びを通じてリラックスできるでしょう。
普段の食事やおやつを持参する
ペットホテルには専用のフードが用意されていることが一般的ですが、食事が変わると戸惑い、食欲が落ちる犬もいます。事前にいつものご飯を持参してもOKかどうかを確認し、できるだけ普段と同じ食事を与えてもらいましょう。
また、食事だけでなく、おやつを持たせるのも効果的です。好きなおやつがあれば、食事を取れなくても少しずつ食べられますし、ご褒美として与えてもらえば、ペットホテルのスタッフとよい関係を築くきっかけになります。
フードやおやつを持参する際は、普段と同じ量を小分けにして持っていくと、スタッフも管理しやすくなりますよ。
普段のペットの様子を伝えておく
ペットホテルのスタッフは、犬のケアに慣れているとはいえ、初めて会う犬の性格やクセをすぐに把握するのは難しいものです。そこで、事前に愛犬の性格をしっかり伝えておくことが大切です。
- 人見知りなのか、人懐っこいのか
- ほかの犬と遊ぶのが好きor苦手
- どのような遊びが好きか
- 特定の音や状況に対して怖がることがあるか
こうした情報をあらかじめ伝えておくと、スタッフもその犬に合わせた対応がしやすくなります。普段の健康状態や持病の有無も伝えておきましょう。食事の好き嫌いやアレルギー、服用している薬がある場合は、細かく説明しておきます。
ペットホテルのスタッフと信頼関係を築く
犬は飼い主さん以外の人と接するのが苦手なこともあります。見知らぬスタッフに世話をされると、不安や警戒心からなかなかリラックスできない場合もあるでしょう。
可能であれば、ペットホテルに預ける前に、何度か短時間のお試しステイをしておくことをおすすめします。犬にも心構えができますし、スタッフも犬の性格やクセを知ることができ、より適切な対応がしやすくなります。
犬のストレスを軽減するためにできる事前準備

ペットホテルを利用する際、愛犬のストレスを軽減するためには、事前の準備が重要です。ここでは、犬がリラックスしてペットホテルを利用できるようになるための準備について解説します。
日帰りや短時間での利用から徐々に慣れさせる
初めての長期滞在は、犬にとって大きなストレスです。突然知らない場所に長時間置かれると不安が大きくなってしまい、食欲が落ちたり、ずっと鳴き続けたりすることもあります。
そのため、いきなり何泊もさせるのではなく、まずは短時間の滞在からスタートすることが大切です。
例えば、はじめは数時間だけ預けてみて、その後、日帰りで過ごさせるというように、徐々に慣らしていくのがおすすめです。こうすることで、犬は「この場所は怖くない」と学び、安心できるようになります。
ペットホテルのスタッフとも顔なじみになれば、次回の宿泊時に「知っている人がいる」と感じて、よりリラックスしやすくなります。
ペットしつけ教室などに参加して社会性を身につける
ペットホテルには、さまざまな犬が集まります。普段からほかの犬や人と接する機会が少ない犬は、ホテルでの滞在中に「知らない犬がいる」「知らない人にお世話をされる」という状況にストレスを感じやすくなります。
こうした不安を減らすためには、しつけ教室や犬の幼稚園に通うのも有効な方法です。ほかの犬と一緒に過ごす経験を積みながら、人との関わり方も学ぶことができ、社会性を身につけるよい機会になります。
また、日常のなかで飼い主以外の人と関わる機会を増やしておくことも大切です。ペットシッターに短時間預けたりドッグカフェに行ったりして、「知らない人がいても大丈夫」という感覚を育てることができます。
できるだけ普段と近い環境のペットホテルを選ぶ
犬にとって、生活環境の変化は大きなストレスになります。そのため、ペットホテルを選ぶ際は、できるだけ普段の生活環境に近いところを選ぶことが大切です。
例えば、普段から自由に家の中を歩き回っている犬なら、ケージレスで過ごせるペットホテルの方がリラックスしやすいでしょう。一方で、普段からケージに慣れている犬であれば、個別のケージが用意されているホテルの方がよいかもしれません。
また、事前に施設を見学して清潔さや安全性、スタッフの対応などを確認し、愛犬が過ごしやすいペットホテルを選んであげましょう。
犬のストレスを軽減するペットホテルの選び方

ペットホテルを選ぶ際には、愛犬が安心して過ごせる環境を提供できるかどうかがとても重要です。ここでは、犬のストレスを軽減するために、ペットホテルを選ぶ際に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
清潔で設備が充実しているか
犬は嗅覚が鋭いため、汚れた場所や不快な臭いがする環境ではストレスを感じやすくなります。見学が可能なペットホテルであれば、事前に訪れて以下の点をチェックしてみましょう。
- 室内やケージが清潔に保たれているか
- 食器やトイレがこまめに清掃されているか
- 犬が過ごすスペースの換気がしっかりされているか
- 消毒や衛生管理が徹底されているか
設備面も重要です。ケージが狭すぎると犬は息苦しさを感じてしまいますし、運動不足にもなりがちです。できるだけ広々とした個室や、遊び用のスペースが用意されている施設を選ぶとよいでしょう。
スタッフが24時間常駐している施設であれば、夜間も犬の様子を見守ることができます。長期間預ける場合は、緊急時の対応が迅速に行われるかどうかも確認しておきましょう。
犬の性格やニーズに合っているか
ペットホテルは施設によってサービスの特徴が異なります。愛犬の性格や生活習慣に合った環境かどうかを見極めることが大切です。
社交的な犬であれば、ドッグランや共同スペースがあり、ほかの犬と遊べる環境の方がストレスを感じにくいかもしれません。一方で、内向的な犬は、個室で落ち着いて過ごせる施設の方が向いているでしょう。
ペットホテルによっては、一頭ずつ対応してくれる、ケージレスで自由に動けるなど、宿泊中の過ごし方を選べるところもあります。ホテルごとの特徴をしっかり確認し、愛犬にとって快適な環境を選び、できるだけストレスを感じず過ごせるように配慮してあげましょう。
必要な健康管理やケアサービスが受けられるか
ペットホテルでの滞在中、犬が体調を崩したり、ちょっとしたケガをしたりする可能性もあります。高齢の犬や持病がある犬を預ける場合は、ホテル側が適切な健康管理を行ってくれるかどうかがとても重要になります。
体調チェックを定期的に行ってくれるか、特別なケアが必要な場合に対応してもらえるか、
提携している動物病院があるかといった点は、事前にしっかりと確認しておきましょう。
スタッフとコミュニケーションが取れるか
ペットホテルを選ぶ際には、スタッフとの相性も大事なポイントです。スタッフとの良好なコミュニケーションは、愛犬の滞在中の安心感につながります。事前に愛犬の性格や日常のルーティン、健康状態などを詳しく伝え、スタッフが適切に対応できるようにしましょう。
滞在中の様子を定期的に報告してくれるペットホテルを選ぶと、飼い主さんも安心できるでしょう。ホテルによっては、写真や動画を送ってくれるサービスや、Webカメラで愛犬の様子をリアルタイムで確認できるシステムを提供しているところもあります。
まとめ
ペットホテルを利用する際、犬がストレスを感じないようにするには、事前の準備やホテル選びが重要です。犬にとって慣れない環境は不安のもとですが、短時間の滞在から徐々に慣らしたり、普段の食事やお気に入りのアイテムを持参したりすることで、落ち着いて過ごせるようになるでしょう。
また、ペットホテルの選び方もポイントです。設備面やスタッフのサポートなどを事前に確認することで、愛犬が快適に過ごせる施設を選ぶことができます。
愛犬の性格や生活習慣に合ったペットホテルを見つけ、預けられるよう準備をしておきましょう。しっかりと対策をすることで、飼い主さんも犬も安心してペットホテルを利用できますよ。