ペットにトリミングを受けさせたいが、「トリミングにどれくらい時間がかかるのかわからず、ペットの負担になりそうで心配」という飼い主さんも多いでしょう。トリミングの時間は、ペットの種類や毛の状態、性格によっても異なります。本記事では、犬や猫のトリミングの平均時間や、トリミングの流れ、事前に知っておきたい注意点などを詳しくお伝えします。トリミングを検討している飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。
トリミングの平均時間
トリミングにかかる時間は、犬と猫では異なります。また、同じ犬でも犬種によっても異なります。ここでは、トリミングにかかるおおまかな平均時間をお伝えします。詳細は施術を受けるトリミングサロンに直接問い合わせるとよいでしょう。
犬のトリミングの平均時間
犬のトリミング時間は、おおよそ1.5時間~3時間程度です。
チワワのスムースコート・フレンチブルドック・柴犬など、小型犬~中型犬で短毛種の場合、トリミングにかかる時間は1.5時間程度で終わることが多いでしょう。
小型犬でも、ポメラニアン・トイプードル・マルチーズ・ヨークシャーテリアなどの長毛種は、2時間以上かかることもあります。
また大型犬は、体の面積が大きく、シャンプーやドライに時間がかかります。カットの要望などによっても異なりますが、3時間前後かかると考えておきましょう。
猫のトリミングの平均時間
猫のトリミングの時間は、大きく分けて、シャンプーの有無と、短毛種か長毛種かによって異なります。
シャンプーをしない場合、短毛種なら30分~1時間程度で終わることが多いです。長毛種でも1時間~1.5時間程度の場合が多いでしょう。
一方、シャンプーをする場合、猫の性格にもよりますが、短毛種でも1時間~1.5時間、長毛種なら1.5~2.5時間程度かかると考えておきましょう。
犬のトリミングの流れ
犬のトリミングの流れはおおまかに下記のようになります。ただし、お店によって、爪切りなどのケアをシャンプーの後にやることもあるなど、手順が変わることもあります。
予約
ほとんどのトリミングサロンは予約が必要です。まずはサロンに連絡して予約を取るところからスタートです。
犬を預けてカウンセリング
お店についたら、多くの場合、まずは飼い主さんがどのようなカットにしたいか、気になっていることがあるかなどを聞き取るカウンセリングの時間があります。
このときに、犬の体調や皮膚の状態、性格などを伝えます。高齢犬や持病がある場合は特にしっかりとコミュニケーションを取っておきましょう。
爪切り・耳掃除・足裏の毛カットなどのケア
爪が伸びすぎると歩行に支障が出るため、定期的なカットが必要です。耳掃除も不快感や病気の予防のために欠かせません。また、足裏の毛が伸びているとフローリングで滑って怪我の原因になるため、足裏の毛をカットするのも重要です。
ブラッシング
シャンプーの前にブラッシングを行います。ブラッシングによって、毛玉やもつれをほぐし、抜け毛も取り除けます。また、ブラッシングは全身の血流を良くする効果もあります。
シャンプーと肛門腺絞り
皮膚病予防などの観点から、定期的なシャンプーは欠かせません。トリミングサロンでは、使用するシャンプー剤を、犬種や皮膚の状態、飼い主さんの要望などによって使い分けることが多いです。
シャンプーは2回行うことが多く、肛門腺絞りを行うときは、毛が汚れやすいので1回目のシャンプーの際に実施することが多いです。
乾燥(ドライ)
シャンプー後は体が冷えないように、速やかにタオルで水分を拭き取った後、ドライヤーで乾かします。長時間のドライヤーは犬にとって負担が大きいため、タオルドライでしっかり水分を吸収することが大切です。
カットと仕上げ
シャンプー後に、飼い主さんの要望を踏まえ、犬種やライフスタイルに合わせて毛のカットを行います。ほとんどのサロンで、仕上げにリボンやバンダナをつけてくれるのも毎回のトリミングが楽しみになる理由のひとつでしょう。
お迎え・フィードバック
すべての工程が終わったら、飼い主さんに連絡が入ることが多いです。トリミング中に、皮膚の赤みがあったなどのフィードバックを聞けるため、健康状態の確認にも役立ちます。
猫のトリミングの流れ
猫のトリミングの流れは犬とは少し異なります。猫は、自分で毛づくろいを頻繁に行う動物で、水に対して強いストレスを感じる子も少なくないため、シャンプーを行わないことも多いからです。
猫のトリミングは、犬のように全身のカットを行うケースは多くありません。犬よりも、より健康管理や清潔の維持といった意味合いが強いため、くれぐれも無理のない範囲で取り入れましょう。
予約
猫のトリミングも、お店を選んで予約することからはじまります。猫に慣れているトリマーや、猫専門サロンを選ぶと安心です。
猫を預けてカウンセリング
健康状態だけでなく、性格を含め、過去のトリミング経験などを伝えましょう。飼い主さんが望むメニューと猫が負担なく受けられる施術に対する認識を、飼い主さんとお店側で共有することが大切です。
爪切り・耳掃除・足裏の毛のカット
猫の爪切りや耳掃除を飼い主さんが日常的に行うことは難しいですよね。また、犬と同様に足裏の毛が伸びていると怪我の原因になるためカットしてもらうとよいでしょう。
ブラッシング(グルーミング)
ブラッシングで毛玉をほぐします。毛玉がひどい場合に、部分的にバリカンでの処理を行うこともあります。できる限りブラッシングで抜け毛を取り除くことで、猫が毛づくろいで毛を飲み込み過ぎて毛球症になることを防ぐことができます。
シャンプー(希望や必要に応じて)
一般的には、猫にはシャンプーは不要とされています。しかし皮脂やフケが多いなど、体質によってはシャンプーで清潔を保つことも大切です。シャンプーは飼い主さんの猫アレルギーの対策にもなります。
乾燥(ドライ)
シャンプーを行った場合、犬と同様、まずタオルドライして、その後にドライヤーで乾かします。
部分カット
希望や必要に応じて、お尻周りやお腹、脇の下などの毛玉になりやすい部分を中心にカットします。
トリミングに時間がかかる原因
ペットのトリミングに時間がかかることが気になる飼い主さんも多いでしょう。トリミングに時間がかかる主な原因は下記の3つです。
- 特殊なカットを行う
- 毛玉が多い
- ペットがトリミングを嫌がっている
ここではそれぞれについて解説します。
特殊なカットを行う場合
通常のトリミングより、トリマーの高度な技術と緻密な作業が必要なスタイルの場合、時間がかかることがあります。
例えば、同じスタンダードプードルでも、カットのスタイルにはテディベアカット、アフロカット、ライオンクリップなどさまざまなものがあります。テディベアカットやアフロカットと比較すると、ライオンクリップの方が高い技術を必要とするため、時間がかかることが多いです。
オーダーメイドのスタイルカットを希望する場合も、飼い主さんの希望イメージに近づけるため、何度も調整しながらカットを進める必要があり、カウンセリングの時間も長めになる傾向があります。
毛玉が多い
自宅であまりブラッシングをしていないペットの場合、被毛がからまったり毛玉がたくさんできていることがあります。長毛種の場合、特にブラッシングが不十分だと毛玉ができやすくなります。
毛玉は、皮膚の近くにできていることが多く、皮膚を傷つけないように取り除くには、慎重に時間をかけて少しずつ行う必要があります。
状態によっては、バリカンを用いることもありますが、バリカンの使用にも安全への配慮が必要なため、時間がかかる傾向があります。
ペットがトリミングを嫌がっている
ペットがトリミングに慣れていなくて怖がっていたり、過去に嫌な経験をして極端に神経質になっている場合などは、激しく抵抗したり、思わぬところで動くことがあります。
このようなとき、無理にトリミングを続けると事故のもとになるため、ペットとトリマー双方の安全のために、少し休憩を挟むなどの対応が必要で、トリミング時間が通常より長くかかる傾向があります。
トリミングの時間を短くするポイント
上でお伝えしたように、トリミングの時間が長くなる原因のひとつに、ペットがトリミングに慣れていないなどで、トリミングを嫌がることが挙げられます。この点に関しては、飼い主さんの少しの工夫でトリミングの時間を短縮できることもあります。
ここでは、トリミングをスムーズに進めるためのポイントとして
- 人やトリミング器具に慣れさせておく
- ペットをリラックスさせる
- トリミング前にブラッシングする
という3つの方法をご紹介します。
ペットを人やトリミング器具に慣れさせておく
ペットがトリミングに慣れることができない理由のひとつとして、トリミングサロンという非日常的な空間で、たくさんの見たことのない道具を体に当てられることがあげられます。慣れていないペットは、何をされるのかわからずに恐怖を感じるのです。また足先や口元、耳の周りを触られ慣れていないペットは、それらの部位を触られることに抵抗感をもちやすい傾向です。
そこで、日常的にブラッシングをしたり、ハサミや爪切りを見せるなど、道具に慣れさせておくとよいでしょう。繊細な足先や口周り、耳などに触られることに慣らしておくことも重要です。
ブラシやハサミ、爪切りなどの道具に対して、ペットが「これは普段から身の回りにあるもので、怖いものではない」と認識してくれればトリミングサロンでも落ち着いていられます。
飼い主さんがドライヤーをするときに、近くでドライヤーの音を聞かせたり、バリカンを使ってみせるなども効果的です。
ペットをリラックスさせる
ペットが緊張していたり興奮していると、少しの刺激でもパニックをおこすことがあります。トリミング前に、できるだけペットがリラックスできるような工夫をするとよいでしょう。
事前に、散歩や遊びによってエネルギーを発散させておくことが効果的なことも多いです。トリミングの直前は、少し暗い場所で静かに過ごさせる方がよいこともあります。ペットがどのようなときにリラックスできるのかを普段から把握しておくと役立ちます。
普段あまりお出かけをしないペットの場合、トリミングサロンに向かうまでの移動で興奮することもあります。キャリーバックに入れられるだけでストレスを感じる子もいるため、日常的にキャリーバックに入ってもらったり、近場に移動するなどの練習をしておくこともよいでしょう。
トリミング前にブラッシングする
トリミングサロンに向かう前に、まず自宅でブラッシングして、毛の絡まりや毛玉をできる限り取っておくと時間の短縮につながります。
ブラッシングなどのお手入れは、トリミングサロンに行く直前だけでなく、日常的に行っておくことで、飼い主さんとのコミュニケーションの時間になったり、ペットの皮膚や被毛の状態を健康に保つことができるなど、メリットもあります。
トリミングを受ける前の注意点
トリミングの際、ペットへの負担を最小限にするために、飼い主さんが注意すべき点があります。ここでは特に重要な、食事の時間と体調管理の2点に着目してお伝えします。
ペットの食事を早めに済ませておく
トリミングの最中は、何度かペットの姿勢を変えることがあります。お腹を少し圧迫する姿勢もあり、食事の直後だとペットの体に負担がかかります。トリミングサロンに向かう道中も、食後すぐだとペットが吐いてしまうこともあります。
そこで、トリミングの日は家を出る2~3時間前までに食事を終えておくことをおすすめします。普段より食事の量を少し減らしておくなどの工夫もよいでしょう。
ただし空腹すぎると、空腹が原因で嘔吐してしまったり、攻撃的になる子もいるため、ペットの性格に合わせた調整が必要です。
ペットの体調を確認する
特に大切なことは、ペットの体調を把握しておくことです。下痢をしている、咳をしているなど、少しでも体調に異変があるときは、無理にトリミングを受けさせず、獣医師にトリミングを受けられるかどうかを相談しましょう。
トリミングはペットによっては心身への強いストレスとなる場合もあるため、体調が万全でないときは、体調悪化につながることがあります。
まとめ
ペットのトリミング時間は、ペットの種類や毛質、性格によって大きく異なります。本記事でもご紹介したとおり、事前の準備や普段からのケアが時間短縮の鍵となります。ペットのトリミングを検討する場合、まずは自宅でブラッシングなどをしてみて、ペットの反応をみながら、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
参考文献