愛犬・愛猫のトリミングに必要なものは?準備のポイントや注意点も解説

トリミングに必要なものは?持ち物のチェックリストや自宅で行う場合に準備するものも解説

大切な家族である愛犬や愛猫の健康管理は飼い主の義務であり、ペットは常にコンディションを気にしてあげなくてはいけない存在です。

食事や散歩など気にかけてあげることはたくさんありますが、体中を覆っている被毛のケアも重要なポイントです。

被毛を放置していると被毛同士が絡まり、皮膚炎や眼の病気が発生してしまいます。

特に長毛種と呼ばれる毛が抜けないタイプでは、被毛が伸び続けてしまうため定期的なトリミングがかかせません

愛犬や愛猫の健康を守るために飼い主はトリミングの知識を得ておきましょう。

トリミングサロンに行く際に必要なもの

犬(ペット)のトリミングやカットをするトリマーの若い女性

トリミング中は基本的に飼い主はペットをトリマーに預けて、ペットと離れた状態になります。

トリマーは専門知識を持ったペットの専門家で、ペットを清潔にして必要に応じて被毛をカットしてくれます。

緊急時の連絡先を伝えておくのはもちろんですが、トリミング中にトリマーとペットが困らないように必要なものを揃えておきましょう。

トリミングは3時間近くかかる作業なので、スムーズに行えるよう配慮が必要です。

予防接種証明書やワクチン記録

トリミングサロンはペットがワクチンを接種できているかを確認し、預かるペットが人や動物の集団に入れても大丈夫な存在か見極めます。

犬の予防接種には2つ種類があり、狂犬病ワクチン混合ワクチンに分けられます。

狂犬病ワクチンは国が定期的な接種を定めているワクチンで年に1回必ず受けさせなければいけません。一方、混合ワクチンは狂犬病ワクチンと違って任意の接種なので、必ず受けなければいけない義務はありません。

外飼いか室内飼いかのような生活環境に左右されず致死率の高い病気の予防に推奨されているワクチンを、コアワクチンと呼びます。

混合ワクチンにはさまざまな種類がありますが、ジステンパーウイルスやアデノウイルスなどのコアワクチンが入っているものを選びましょう。

猫の予防接種も法律で義務化されておらず、任意での接種になっています。狂犬病のように人間に感染しないので任意接種になっていますが、猫の健康のためにコアワクチンの入った注射を1年から3年ほどの間隔で接種するとよいでしょう。

ワクチンを打つと動物病院から接種の証明書が発行されるので、証明を受けてから1年以内の証明書をトリミングサロンに提出するとトリミングを受けることができます。

ワクチンは定期的に接種するものなので、接種して証明書が発行される都度トリミングサロンに提出し、健康状態を確認してもらいましょう。

普段使っている首輪やリード、ハーネス

顔を人に撫でられる犬

トリミング中は普段使用しているアイテムをすべて外すことになります。トリミング後に着け間違いを防ぐためにアイテムにはペットの名前を書いておきましょう

生体認証用のマイクロチップを体内に挿入していない場合は、逃走したときのために裏面に飼い主の連絡先も合わせて記入しておくとよいでしょう。

特に猫の場合は移動用のキャリーやバッグに入れて連れていくこともあるので、トリミングが終わるまでキャリーを預かってもらえるのか確認しましょう。

猫は環境の変化に弱いため、トリミングサロンのクレートよりも普段使っているキャリーの方が落ち着くこともあります。

トリマーと相談して、愛猫が少しでも快適な環境をつくりましょう。

気に入っているおもちゃやおやつ

猫に挟まれた茶色の犬

犬や猫にとってトリミングは、いつもと違う場所で知らない人間に全身を触られたり水をかけられたりするストレスを受けやすい行為です。

長毛種の犬や猫は幼い頃から定期的にトリミングに通うので慣れていることもありますが、頻繁なトリミングを必要としない犬や猫は慣れない環境にストレスを感じます。

少しでもストレスを軽減できるように生活環境にあるおもちゃを持参して、安心感を与えられるよう工夫してみましょう。

犬や猫は飼い主の匂いがついたものが大好きなので、飼い主の私物を置いていくのも効果的です。

トリマーと相談してお気に入りのおやつを預けておくと、がんばったご褒美になり、おやつをくれたトリマーに好印象を持ってもらうことができます。

トリミングサロンが愛犬や愛猫のお気に入りの場所になると、その後もスムーズに通わせられます。

トリミングサロンに行くときの準備のポイント

ペットサロンでお手入れ

食事管理や排泄物の処理など、犬や猫のお世話は生活のすべてに関わっていてどれも重要なものです。

トリミングは被毛や健康の管理であり大切なお世話のひとつですが、併せて美容の要素も強いです。愛犬や愛猫をさらにかわいく仕上げてくれる飼い主にとって楽しい瞬間にもなります。

飼い主にとって満足の高いトリミングがペットにとっても快適になれば、飼い主もペットも同じ時間を楽しめます。

ペットがトリミングにストレスを感じないように、スムーズに進められる準備をしましょう。

仕上がりイメージを伝えられるようにしておく

トリミングで飼っている犬や猫をさらにきれいな見た目にしたいと思う飼い主は少なくありません。

かわいくしたいのか、クールな印象にしたいのか、仕上がりのイメージは明確にしておきましょう。

特にトイプードルのような長毛種の犬は、カットの仕上がりによって見た目の印象が大きく変わりますが、さまざまなカットの種類があるのでトリマーもイメージを固めにくいです。

犬種による伝統的なカットに加えて、新しいカット方法も出てきているため、トリミングサロンに行く前にあらかじめ調べておいて画像を保存しておくとスムーズです。

保存した画像をトリマーに見せて、明確な仕上がりイメージを伝えましょう。

ペットの性格やアレルギーなどの情報をまとめておく

初めて行くトリミングサロンでは、トリマーがペットの情報について細かく聞き取りをしたりシートに記入したりします。

病気や予防接種に関することがほとんどですが、どのような性格で何が苦手なのかも伝えておくとトリマーが配慮できるため、ペットのストレスの軽減につながります。

トリマーが預かっていないおやつを与えることはありませんが、ほかの犬や猫のおやつを誤食してしまうなどの事故がおこる可能性もあるため、アレルギーについても伝えます。

愛犬や愛猫を守るために、飼い主とトリマーの間で情報は共有しておきましょう。

送迎の有無やサービス内容を確認しておく

ドライブ

ペットの送迎をしてくれるトリミングサロンもあるので、忙しい方は利用をおすすめします。

トリミングは時間がかかるため、ペットを送って3時間近く待ってからまた迎えに行っていると半日近く時間をとられてしまいます。

送迎サービスを利用すれば送る時間と帰る時間に家にいればよいだけなので、時間を有効に使えて便利です。

料金はトリミング料金に入っている場合もあれば、別料金のところもあるので注意しましょう。

ほかにも一時預かりやペットホテルを併設していたり、ペットシッターの派遣をしているトリミングサロンもあります。

事前にサービス内容を確認してから通うトリミングサロンを決めると、サービスが必要になったときに愛犬や愛猫が慣れた環境で受けることができるのでおすすめです。

料金に含まれる内容を確認しておく

トリミングを申し込む際は、事前に料金に含まれる内容を確認しておきましょう。

特にトリミングとグルーミングの違いを理解しておくことが大切です。

トリミングはカットをすることで健康を維持するために行うグルーミングとは違うものになります。

トリミングサロンによって違いはありますが、シャンプーコースと呼ばれるグルーミングのみのコースと、グルーミングに追加してカットをするシャンプーカットコースで分かれていることがほとんどです。

愛犬や愛猫に行なってあげたい施術はどれなのかを、予約前にしっかり確認することが大切です。

また、トリミングサロンによってグルーミングの内容は違うので、併せて確認しましょう。

トリミングの基礎知識

猫の毛並みを整えるトリマーの女性

トリミングとは整頓するという意味で、ペット関連で使うときは犬や猫の被毛をカットして整える行為のことを指します。

トリミングは、犬や猫の健康を維持するための施術であるグルーミングと併せて行われるのが一般的です。

グルーミングはシャンプーで洗いブラッシングをして清潔にしたうえで、爪切りや耳掃除、肛門腺絞りといったケアをします。

特に犬は足裏の毛が伸びると滑りやすくなるため、足バリと呼ばれる足の裏にバリカンをかける施術が欠かせません。

トリミングは動物病院やトリミングサロンで、トリマーと呼ばれる専門のスタッフが行います。

トリマーは国家資格ではありませんが、専門学校やトリマー養成校で資格を取得した、あらゆる犬種や猫種のトリミングに精通しているペットの専門家です。

子犬と子猫のトリミングはいつからできる?

子犬のトリミングは狂犬病ワクチンと混合ワクチンの接種が終了し、獣医師の許可が出てから行います。

個体差はありますが、許可が出るのは生後3ヶ月から6ヶ月くらいの時期です。

子猫のトリミングも同様に混合ワクチンの接種後になり、トリミングよりも予防接種が優先されます。

子犬や子猫の体調を考慮して、トリミングはワクチン接種後3日から1週間ほどあけます。

トリミングの頻度

トリミングの頻度は犬種や猫種によって違うので、愛犬や愛猫に合ったトリミングの間隔を見つけていきましょう。

長毛種で頻繁にトリミングの必要な場合は1ヶ月半から2ヶ月の間隔がよいといわれていますが、同じ犬種や猫種でも、毛が伸びる速さや絡まりやすい毛質かどうかは個体差があります。

加齢によって毛質が変わるとトリミングの間隔が変わってきたり、皮膚の病気にかかることもあるため、定期的にかかりつけの動物病院やトリミングサロンで相談しましょう。

また、季節によっても頻度が変わるので、間隔を変えたくない場合はカットする長さを調整するとよいでしょう。

自宅でトリミングする際に必要なもの

グルーミングする茶色の犬

トリミングサロンへ連れていくのではなく、自宅でセルフトリミングをしている飼い主もいます。

適切なカットができていれば、飼い主とペットの密なコミュニケーションがとれるセルフトリミングはメリットが多くあります。

ペットの健康状態をまめにチェックでき、高齢になってトリミングサロンに通うのが難しくなったときに自宅で対応できることも大きなメリットです。

セルフトリミングにハードルの高さを感じている方もいるかもしれませんが、全てではなく部分的にカットするだけでもおすすめです。

部分的なカットもペットの清潔保持につながるので、気になる方は挑戦してみてはいかがでしょうか。ここからはセルフトリミングに必要なものを確認していきます。

ブラシかコーム

犬や猫の被毛は定期的にブラッシングをしてフケやほこりを取り、絡まりを解かないと皮膚病の原因になります。

ブラッシングは基本的に毎日行いましょう。細い針金がついたスリッカーブラシで全身の被毛の絡まりを取り、終わったらコームブラシで絡まりがとれているかを確認します。

犬や猫の種類によっては直毛で絡まりがなかったり、ヘアレスで被毛自体がほとんどなかったりするので、愛犬や愛猫に合ったケア用品が必要です。

また被毛が抜けやすい犬や猫であっても、体に抜けた毛がついている状態は不衛生につながるので、ブラッシングをして抜けた毛を取り除きましょう。

カットはさみ、バリカン

トリミング用のはさみやバリカンも用意する必要があります。

はさみはストレイトシザーと呼ばれるカットばさみと、セニングシザーと呼ばれるすきばさみを使用します。

特にセニングシザーは失敗が少ないので、セルフトリミングを始めたばかりの飼い主はストレイトシザーよりもセニングシザーをメインに使用するとよいでしょう。

長毛種の犬や猫にはバリカンを使うとすっきりとしたカットになりますが、特に猫は独特の音と使用感から苦手に感じることもあるため、あらかじめ音に慣れさせるなどしてストレスを感じさせないようにしましょう。

シャンプーやリンス

シャンプーやリンスは人間と同じものではなく、犬用や猫用の刺激が少なく舐めても問題のないものを使用しましょう。

長時間のシャワーが嫌いな犬や猫にはリンスインシャンプーもおすすめです。

かわいい愛犬や愛猫がシャンプー後によい匂いになっているのは飼い主にとって幸せなことですが、犬や猫は香りの強いものが苦手です。

無香料や微香料など香りの少ないシャンプーやリンスを選んで、リラックスしてもらいましょう。

爪切り、耳掃除、歯磨きなどのケア用品

男性に爪切りしてもらう猫

被毛のケアと一緒に爪や耳などほかの部位のケアも行えると、効率よく体調を観察できます。

犬や猫の爪には血管が通っていて個体によっては透けて見えますが、血管の見えない犬や猫の爪を無理に切りすぎると出血することもあります。

そのため、初心者の方はやすりタイプの爪切りを使用するとよいでしょう。

耳掃除はふき取りタイプのガーゼもありますが、ガーゼとふき取り液が別になっているものの方がよく取れるだけでなく、水分量が調整できるため使いやすいです。

歯磨きは毎食後にするのが効果的なので、子犬や子猫のうちから歯ブラシに慣れさせておきます。

人間と同じ柄のついたタイプの歯ブラシがよく汚れを落としてくれるので、慣れさせておくと成犬や成猫になってもきれいな歯を維持しやすくなります。

柄のついた歯ブラシが苦手なら、人の手で拭き取るシートタイプの歯磨きグッズを使用して、歯を触られることに慣れさせておきましょう。

タオルとドライヤー

犬や猫の体を拭くときに、人間の体を拭くために作られたタオルを使っても時間がかかってしまいます。

濡れた状態が長く続くことは犬や猫にとってストレスになるので、少しでも時間を短縮できるように犬や猫に適したトリミング用のタオルを使用するのがおすすめです。

ドライヤーは固定できるものが使いやすく、ボックスに濡れた犬や猫を入れておくと乾かしてくれる便利アイテムもあります。

トリミング後に注意したいこと

ヘソ天で眠るトイプードル

トリミングをした場所がトリミングサロンでも自宅でも、トリミングを終えた犬や猫はとても疲れているので、元気そうに見えても長時間の遊びや散歩はお休みしてゆっくり休める環境を用意します。

皮膚の状態や体調に異変があったらすみやかにトリミングサロンに相談するか、動物病院で獣医師に診察してもらいましょう。

高齢や持病があるなど心配のある犬や猫のトリミングをする場合は、体調に変化があったら動物病院に連れていけるよう、午前中に行うのがおすすめです。

まとめ

茶色の犬と猫

トリミングは愛犬や愛猫の健康を維持し、見た目も整えられるため、行うメリットは大きいでしょう。

トリミングサロンにお願いする場合は、トリマーとコミュニケーションを取り、ペットの体調管理に気を配ってあげましょう。

今回はトリミングに必要なものやグッズについてお伝えしました。

健康な愛犬や愛猫と1日でも長く一緒にいるために、知識を活かしていきましょう。

参考文献