犬のトリミングは、見た目を整えるだけでなく、健康や快適さを保つためにも大切です。しかし、すべての犬が定期的にトリミングを必要とするわけではありません。犬種によってはトリミングが不要な場合もありますし、逆に、こまめなトリミングが必要な犬種も存在します。
本記事ではトリミングが必要ない犬種・必要な犬種について以下の点を中心にご紹介します。
⚫︎トリミングの目的とは
⚫︎トリミングが必要ない犬種
⚫︎トリミングが必要ない犬種
トリミングが必要ない犬種・必要な犬種について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
トリミングとは
トリミングとは、犬の被毛をハサミやバリカンでカットし、整えるお手入れのことです。見た目を美しくするだけでなく、毛玉の防止や皮膚病予防、清潔な生活環境を維持する役割もあります。
特に、毛が伸び続ける犬種では定期的なトリミングが欠かせません。トリマーと呼ばれる専門職が施術を行い、犬種や毛質に合わせたスタイルを作ります。
また、トリミングはグルーミングと併せて提供されることが多いとされ、シャンプーや爪切り、耳掃除など総合的なケアも含まれることがあるようです。
トリミングの目的とは

トリミングの目的には以下のようなことがあります。
清潔さを保つ
犬の健康と快適さを保つためには、毛が清潔に保たれていることが大切です。定期的なブラッシングやカット、シャンプーなどのお手入れを行うことで、毛が汚れやすくなるのを防ぎ、皮膚の健康を守ります。
トリミングを行わずに毛が伸び続けると、土や埃が毛に絡み、不衛生な状態になります。ノミやダニなどの害虫が繁殖する原因にもなりかねません。
また、お尻周りの毛は排泄物が付着しやすく、放置すると菌が繁殖して悪臭を発することもあります。定期的なトリミングを行うことで、こうした問題を未然に防ぎます。
さらに、長毛犬の場合、毛が長く伸びることが皮膚病や傷の発見を遅らせることがありますが、トリミングを行うことで皮膚の状態をチェックしやすくなり、病気や感染の兆候を早期に発見する助けにもなります。
怪我の予防
犬の毛は体だけでなく、足の肉球の間にも生えています。肉球は犬が歩く際に足の負担を軽減し、滑りにくくするための重要な役割を果たしています。
ですが、毛が伸びると肉球の間に挟まってしまい、フローリングのような滑りやすい場所で転倒しやすくなります。転倒による関節の痛みや脱臼などは、ケガのリスクが高まるのです。
また、ヨークシャーテリアやシーズー、シュナウザーなどの犬種は、目の周りの毛が伸びると眼球に触れて傷をつける可能性もあります。ケガを防ぐためにも、定期的にトリミングを行うことが大切です。
体温調節
犬は人間と違い、発達した汗腺がないため体温調節が苦手です。そのため、暑さを感じるとパンティング(口呼吸)で体温を下げようとしますが、限られた量の熱しか放出できません。夏場には犬が過ごしやすいように毛の長さを調整することが大切です。
毛を短くカットすることで、空気の通りが良くなり、熱がこもりにくくなります。よって、熱中症のリスクを減らし、快適な体温を保ちやすくなります。しかし、過度に毛を短くしすぎると、紫外線の影響を直接受けて皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
また、毛の成長が遅くなることもあるので、カットの際には犬の毛質や体調を考慮し獣医師の意見を参考にして慎重に決めることが大切です。
愛犬のおしゃれ
犬自身がおしゃれをしても気付かないかもしれませんが、トリミングで見た目を整えることによって、飼い主さんは愛犬の魅力をを引き出せるでしょう。
犬のサイズや毛の長さはさまざまで、それぞれに合ったカットを施すことで、愛犬の魅力が引き立ちます。また、トリミング後に”かわいいね””似合ってるよ!”と褒められることは、愛犬にとってもうれしい瞬間となるでしょう。
毛が長い犬種はトリミングが必要?

毛が長い犬種は毛の手入れが大変とされ、定期的なトリミングが必要だと考えられています。しかし、すべての長毛種が頻繁なトリミングを要するわけではありません。一部の犬種は、毛の生え方や自然な整え方のおかげで、トリミングの必要性が低いのです。
例えば、ポメラニアンはふわふわの被毛が特徴で、換毛期には毛が生え変わるため、毛が極端に長く伸びることがありません。そのため、トリミングが必須ではありませんが、毛の美しさを生かしたさまざまなカットスタイルを楽しむ飼い主さんもいます。
パピヨンも同様に、基本的には毛があまり伸びないため、定期的なトリミングは不要です。ただし、耳の飾り毛や顔周りを整える部分的なカットは楽しめます。被毛が絡まりにくい特性もあり、日々の手入れが簡単です。
さらに、シェルティー(シェットランド・シープドッグ)も長毛種ながら自然に毛が整うため、頻繁なトリミングを必要としません。ただし、抜け毛や毛玉防止のためにブラッシングを習慣にすることが大切です。
トリミングが必要ない犬種の特徴

トリミングが不要な犬種には、特定の特徴や性質があり、日々のお手入れが簡単なことが多いようです。飼い主にとって手間が少なく、飼いやすい犬種とされています。
以下に、トリミングを必要としない犬種の特徴をご紹介します。
⚫︎被毛の管理がしやすい
トリミングが不要な犬種の多くは、被毛が絡まりにくく、自然な状態でも美しさを保てる特徴を持っています。例えば、ポメラニアンやシェルティーのような長毛種であっても、毛が整いやすいため、頻繁なカットを必要としません。
また、短毛種であれば毛が伸びすぎる心配がなく、軽いブラッシングだけで清潔感を維持できるようです。
⚫︎被毛の伸びが遅い
トリミングが不要な犬種では、被毛が長く伸び続けることが少ないため、定期的に毛を整える必要がありません。パピヨンのような犬種は、耳の飾り毛や顔周りを部分的に整えることはあっても、全身のトリミングが必要になることは少ないです。この性質は、忙しい飼い主にとって魅力的です。
⚫︎抜け毛が少ない
抜け毛が少ない、または換毛期以外の抜け毛が目立ちにくい犬種は、手入れがしやすいといえます。定期的なブラッシングをするだけで被毛の健康を維持でき、掃除の負担も軽減されます。トリミングの手間が省けるだけでなく、室内での飼育もしやすい点がメリットです。
⚫︎被毛が乾きやすい
短毛の犬種や被毛が軽めの犬種は、シャンプー後に乾きやすく、手入れにかかる時間が短縮されます。被毛が厚い犬種に比べ、ドライヤーや乾燥に時間を割く必要がないため、忙しい日常のなかでもお手入れが楽に済みます。
⚫︎初心者にも飼いやすい
トリミングが必要ない犬種は、犬の飼育経験が少ない方でも手入れが簡単な点が魅力です。初めて犬を飼う場合、被毛のお手入れに時間や費用がかかりすぎると感じることがありますが、トリミング不要な犬種であれば、そのような負担を軽減できます。
トリミングが必要ない犬種

トリミングが必要ない犬種について以下で解説します。
チワワ
チワワは、その愛らしい見た目と小型犬らしいサイズ感で、愛されている犬種です。その被毛は大きく分けて”ロングコート(長毛)”と”スムースコート(短毛)”の2種類があり、それぞれに異なる特徴を持っています。
以下で詳しく解説します。
⚫︎被毛の種類
ロングコートのチワワは、ふんわりとしたやわらかな長毛が特徴で、日本国内で注目を集めているタイプです。ダブルコート(上毛と下毛の2層構造)の個体が多いようですが、シングルコートのチワワも見られます。一方、スムースコートは短毛でお手入れがしやすく、原種に近いとされています。
⚫︎トリミングの必要性
チワワの被毛はロングコートであっても一定以上の長さには伸びないため、トリミングの必要はほとんど必要ないとされています。ただし、ロングコートの場合、毛が絡まりやすくなることがあるため、定期的なブラッシングで被毛を整えてあげることが重要です。スムースコートは毛が絡む心配が少なく、簡単なお手入れで済むのが魅力です。
チワワは小柄ながらも活発で賢い性格を持ち、適切なケアを行うことで長く健康な日々を送れます。それぞれの被毛の特徴に合わせたお手入れを楽しみながら、チワワとの生活をより豊かにしていきましょう。
ダックスフント
ダックスフントは、そのユニークな長い胴体と短い足が特徴的な犬種で、愛されています。この魅力的な外見に加え、賢く活発な性格から、家庭犬として愛されている犬種です。
1.被毛の種類と特徴
ダックスフントの被毛には、”スムースヘアード(短毛)”、”ロングヘアード(長毛)”、”ワイヤーヘアード(粗毛)”の3つのタイプがあります。それぞれに特性があり、手入れのしやすさが異なります。
⚫︎スムースヘアード
短毛で毛玉や絡まりがほとんど発生せず、手入れが簡単なタイプです。ただし、抜け毛は発生するため、定期的なブラッシングが必要です。
⚫︎ロングヘアード
やわらかく長い毛が特徴で、毛が絡まりやすいため、こまめなブラッシングやトリミングが必要です。
⚫︎ワイヤーヘアード
独特の粗い毛質を持つタイプで、毛玉になりやすい傾向があり、定期的なトリミングやストリッピングがおすすめです。
2.トリミングの必要性
ダックスフントは、毛の長さにかかわらずトリミングが必須というわけではありませんが、ロングヘアードやワイヤーヘアードの場合は毛の絡まりを防ぐために、手入れの頻度が高めになります。
一方で、スムースヘアードはトリミングの手間がなく、初心者でも管理しやすいのが大きな魅力です。
3.注意点とケア
ダックスフントは寒さに弱い犬種とされており、スムースヘアードのように被毛が短いタイプは、気温の低い環境では防寒対策が必要です。セーターや防寒着を用意してあげることで、快適に過ごせるように配慮しましょう。また、どの被毛タイプであっても、抜け毛や被毛の健康を保つために、日々のブラッシングを欠かさないことが大切です。
4.性格と生活環境
とても賢く、訓練を覚えるのが早い一方で、自身の意見をしっかり持つ性格でもあります。家庭では活発に動き回るため、十分な遊び時間や運動を確保してあげると、ストレスなく健康的に過ごせるでしょう。
ダックスフントは、被毛の種類に応じた適切なケアと愛情を持って接することで、長く幸せな日々をともに過ごせる犬種です。初心者からベテランの飼い主まで、幅広い方々におすすめできるパートナーとなるでしょう。
フレンチブルドッグ
フレンチブルドッグは、その愛嬌たっぷりの顔立ちと独特のスタイルで、さまざまな方に愛される犬種です。短毛種であるため、お手入れが簡単な点もポイントです。初心者の飼い主にも扱いやすい犬種とされています。
以下で詳しく解説します。
⚫︎被毛の特徴とケア
フレンチブルドッグの被毛は短く密度が高いため、毛玉ができたり絡まったりする心配はありません。そのため、トリミングの必要はなく、日常的なブラッシングも短時間で済ませられます。
ただし、被毛が短いからといって抜け毛が少ないわけではないため、こまめな掃除が求められます。また、シャンプーも自宅で簡単に行えるため、特別なサロンケアは不要です。
⚫︎性格と家庭環境
フレンチブルドッグは温厚で愛情深い性格を持ち、家族と強い絆を築くのが得意です。子どもやほかのペットとも仲良くできるため、家庭環境にすぐになじむでしょう。遊び好きでエネルギッシュな一面もありますが、過度な運動を必要としないため、忙しい家庭にも合った犬種です。
パグ
パグは、短い被毛と特徴的な顔立ちが魅力の犬種です。そのユニークな外見と愛らしい性格で、世界中の愛犬家に親しまれています。短毛種でお手入れが簡単ですが、独自のケアが必要な部分もあります。
⚫︎被毛の特徴とケア
パグの被毛は短毛ながらもダブルコートで、アンダーコートがしっかり生えているため、意外と抜け毛が多いのが特徴です。春先や季節の変わり目には、抜け毛が増えるため、こまめなブラッシングが必要です。
ブラッシングをすることで、抜け毛を取り除くと同時に、皮膚の健康を保つ効果も期待できます。また、顔にあるしわの部分は汚れがたまりやすいので、定期的に清潔に拭き取ってあげることが重要です。
⚫︎暑さに弱い性質
パグは短頭種であるため、暑さに弱いという特徴があります。気温が上がる春先から夏にかけては、熱中症対策が欠かせません。涼しい環境を整えたり、水分補給をしっかり行ったりすることが必要です。
また、被毛が短い分、紫外線の影響を受けやすいため、日差しの強い日は散歩時間を工夫し、直射日光を避けるよう心がけましょう。
柴犬
柴犬や甲斐犬などの日本犬は、短めの被毛を持つダブルコートの犬種です。そのため、大がかりなトリミングは必要ありませんが、足裏の毛が伸びすぎると滑りやすくなることがあるため、足裏の毛を整える”足裏カット”を行うことがおすすめです。
柴犬は換毛期になると驚く程大量の毛が抜けます。
定期的にブラッシングを怠ると、抜けた下毛が浮き毛となってオーバーコートのうえに重なってしまうことがあります。そのため、大量に毛が抜け始めて慌てないよう、普段からこまめにブラッシングやシャンプーをして、被毛のケアをしてあげることが大切です。
トリミングが必要な犬種

トリミングが必要な犬種は、シングルコートと呼ばれ、下毛が生えない被毛を持つ犬種のことを指します。これらの犬は、毛が自然に抜け落ちる量が少なく、放っておくと毛が伸び続けてしまいます。
そのため、毛が絡まったり汚れが溜まったりするのを防ぐために、定期的なトリミングや毛のお手入れが必要です。
トリミングが必要な犬種には、以下のような犬が挙げられます。
⚫︎プードル
⚫︎マルチーズ
⚫︎シー・ズー
⚫︎ヨークシャーテリア
⚫︎ミニチュアシュナウザー
⚫︎コッカースパニエル
⚫︎ビションフリーゼ
トリミングが必要ない犬種のお手入れ方法

お手入れ頻度の理想は、少なくとも週に2〜3回はブラッシングをしてあげるのがおすすめです。愛犬の毛質や皮膚の状態に合ったブラシを選び、コミュニケーションを楽しみながら丁寧にケアを行うことで、健康な被毛を保ちます。
まとめ

ここまでトリミングが必要ない犬種・必要な犬種についてお伝えしてきました。トリミングが必要ない犬種・必要な犬種の要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎犬の健康と快適さを保つためには、毛が清潔に保たれていることが大切である
⚫︎毛が長い犬種は毛の手入れが大変とされ、定期的なトリミングが必要とされる
⚫︎トリミングが必要ない犬種には、チワワ、ダックスフンドなどが挙げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。