トリミングの基礎知識|頻度や事前準備、当日の注意点を解説

トリミングの基礎知識|頻度や事前準備、当日の注意点を解説

トリミングは、見た目を整えるだけでなく、ペットの健康を守るためにも重要なケアのひとつです。特に毛が伸び続ける犬種などにとっては、定期的なトリミングは欠かせないケアといえます。

とはいえ、初めてトリミングサロンを利用する際には、「トリミングって何をしてもらえるの?」「事前に準備しておくことは?」といった疑問をもつ飼い主さんも多いのではないでしょうか。

この記事ではトリミングの基本的な知識や頻度、事前準備など、飼い主さんが知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

トリミングの基本

はじめに、トリミングの基本的な役割や、対象となる動物を確認しておきましょう。

「トリミングって何のこと?」「トリミングの必要性は?」そんな疑問にお答えします。

トリミングとは何か

トリミングとは、本来はペットの毛をカット(=トリム)し整えることをいいます。
しかし現在では、本来の意味に加え、耳掃除や爪切りなどの健康の維持のためのお手入れ全般を含めてトリミングと呼ぶことが一般的になっています。特にトリミングサロンでは、こうしたケアを一括して提供しているケースが多くみられます。

ちなみに、諸外国では、ペットのお手入れ全般をグルーミング=groomingと呼び、施術を行う方はグルーマー=groomerと呼ばれます。つまり、日本で使われるトリミングという言葉には、実質的に、グルーミングの意味が含まれているといえるでしょう。

本記事では、この広い意味でのトリミング(=グルーミング)の基礎知識を丁寧に解説します。

トリミングできるペットの種類

トリミングといえば、犬を思い浮かべる方も多いかもしれません。たしかに、犬のトリミングは広く知られており、犬専門のトリミングサロンも数多く存在します。

しかし実は、猫やうさぎ、フェレット、モルモットなどの小動物もトリミングの対象です。

例えば、ペルシャ猫やアンゴラうさぎのような長毛種のペットは、毛玉や皮膚トラブルを防ぐために定期的な被毛のカットやブラッシングが欠かせません。こうしたニーズに応えるため、猫専門、うさぎ専門のトリミングサロンもあります。

ほかにも、インコやデグー、ハリネズミといった小動物は爪切りを主としたケアを行います。自宅で飼い主さんが爪を切ることもできますが、一部のペットショップやトリミングサロンでは、専門のスタッフが安全にカットしてくれます。

このように、トリミングは犬だけのものではなく、多くのペットにとって健康で快適に過ごすために欠かせない大切なケアなのです。

トリミングの必要性

トリミングは、犬の容姿を美しく整えるだけでなく、健康維持のためにも重要な役割を担っています。トリマーと呼ばれる専門スタッフが定期的なケアを行なうことで、さまざまな病気の予防や早期発見にもつながります。

トリミングによって得られる健康面の主なメリットを紹介します。

皮膚炎・皮膚病の予防や早期発見

被毛をカットやブラッシング、シャンプーで清潔に保つことは、皮膚炎や細菌感染などの皮膚トラブルの予防に役立ちます。また、トリミング中に皮膚の異変を発見できることもあり、病気の早期発見にもつながります。


犬種によっては、定期的なカットが欠かせません。例えば、シーズーやマルチーズ、トイプードルなどは被毛が伸び続けるため、放置すると毛玉や皮膚疾患などの原因になります。こうした犬種では、美容目的だけでなく健康維持のためにもトリミングが必須です。

爪や肉球を健康に保つ

伸びすぎた爪は、歩行時に床に引っかかってケガをしたり、関節に負担をかけたりする原因になります。さらに、爪が肉球に刺さってしまうおそれもあるため、爪のケアは定期的に行う必要があります。

併せて、足裏の毛をカットして整えることで、すべり止めの役割を持つ肉球がしっかりと機能するようになり、フローリングでの転倒防止にもつながります。

肛門嚢炎の予防

犬には肛門腺(こうもんせん)と呼ばれる器官があり、排泄時に分泌物を出す仕組みがあります。しかし、この分泌物がうまく排出されずにたまってしまうと、炎症を起こして肛門嚢炎(こうもんのうえん)になることがあります。トリミングの際に行う肛門腺絞りによって、こうしたトラブルを未然に防ぐことが可能です。
ブルを未然に防ぐことが可能です。

外耳炎の予防

垂れ耳の犬種や耳に毛が多い犬種は、耳の中が蒸れやすく、細菌などが繁殖しやすい環境になります。トリミングで耳掃除をしてもらうことで、耳の中を清潔に保ち、外耳炎の予防につながります。

トリミングの一般的なサービス内容

前項では、トリミングとは何か、またその必要性について解説しました。この章では、実際にトリミングサロンで受けられる基本的な施術内容と、追加料金を払うことで受けられるオプションサービスを紹介します。

トリミングは専門店のほか、ペットショップや動物病院に併設されたサロンでも行われています。

トリミングの基本サービス

トリミングサロンでは、シャンプーコーストリミングコース(シャンプーカットコース)の2つから選ぶのが一般的です。

シャンプーコースでは、皮膚と被毛を清潔に保つための基本的なケアを行う内容で、トリミングコースはシャンプーコースの施術内容に加えて全身のカットを行います。
どちらのコースを選択しても、健康維持に必要な基本的なケアが含まれることが多くなっています。主な施術内容は以下のようなものがあります。

  • 爪切り
  • 耳掃除
  • 肛門腺絞り
  • 足裏バリカン

なお、コースの名称や施術内容はサロンによって異なるため、事前にどういったサービスが含まれているのかを確認しておくことをおすすめします。詳しいサービス内容や料金の目安は、各サロンの公式ホームページなどで公開されていることが多いので、利用を考える際の参考にするとよいでしょう。

トリミングのオプションサービス

トリミングサロンでは、基本コースに加えて、さまざまなオプションサービスを選ぶことができます。これらは見た目を美しく整えるだけでなく、癒しやリラックス効果など、飼い主さんと愛犬の快適な生活に役立つものが多いことが特徴です。

主なオプションサービスには以下のようなものがあります。

  • ハーブパック
  • 泥パック
  • トリートメント
  • 肉球ケア、マッサージ
  • 歯みがき

オプションサービスの内容や料金はサロンごとに幅があります。利用前には、詳細を確認し、自分のペットに合ったサービスかどうかを検討しましょう。

トリミングの理想的な頻度

トリミングの頻度=トリミングサロンに通う頻度というわけではありません。自宅でのブラッシングや爪切りなどもトリミング(グルーミング)に含まれます。

ペットの種類や毛質によって適した頻度は異なりますが、日常的なケアとサロンでの施術をうまく組み合わせて、それぞれの動物に合ったペースでお手入れを行いましょう。

犬のトリミング頻度

トリミングの頻度に明確な決まりはありませんが、犬種・毛質・生活環境などによって適した頻度が異なります。

例えば、長毛種は、被毛が伸び続けるうえに毛玉ができやすいため、月に1回程度のカットを含めたトリミングが理想的とされています。定期的に整えることでスタイルの維持もしやすく、病気の予防だけでなく、清潔感や快適さを保つことができます。

一方、短毛種では、被毛のカットは不要なことが多いですが、2~3ヶ月に1回を目安にシャンプーやブラッシングを行うと、抜け毛対策や皮膚の健康管理に役立ちます。


また、爪切り・耳掃除・肛門腺しぼりなどのケアは、犬種に関わらず月1回程度を目安に行います。多くのトリミングサロンでは、これらの部分ケアのみをオーダーすることも可能なので、全身トリミングを行わない場合でも、定期的なメンテナンスとして利用するのがおすすめです。

犬以外のトリミング頻度

犬以外のペットはどのくらいの頻度でトリミングが必要なのでしょうか。代表的な飼育動物のトリミング頻度を簡単に紹介します。

  • :猫は自分で毛づくろいをしますが、長毛種(ペルシャやメインクーンなど)は毛玉予防のために月1回程度のブラッシングやシャンプーが推奨されます。必要に応じてサロンでのケアも有効です。
  • うさぎ:うさぎには春と秋に換毛期があり、この時期には週に2〜3回のブラッシングが必要です。長毛種はブラッシングに加えて定期的な被毛の部分カットも求められます。
  • 小動物:ハムスターやデグー、ハリネズミといった小動物は、基本的に被毛のケアを必要としませんが、定期的な爪切りが必要です。

トリミングの事前準備

トリミングサロンの予約をしたら、当日を迎えるための準備を始めましょう。施術がスムーズになるだけでなく、ペットがリラックスして過ごすためにも、飼い主さんのサポートは欠かせません。

予約後から前日までと当日にわけて、準備しておきたいポイントを紹介します。

前日までにしておくこと

トリミングサロンの方針によって細かい違いはありますが、以下のような準備をしておくことで、当日を安心して迎えることができます。

ワクチン・予防薬の確認

トリミングサロンの利用時には、狂犬病ワクチン混合ワクチンの接種を済ませておくのが一般的です。多くのサロンでは1年以内の接種証明書の提示が求められます。

併せて、ノミやダニの駆除と予防も忘れずに行いましょう。

トリミングサロンでは、ほかの動物も出入りするため、体調管理や衛生面の配慮は基本的なマナーともいえます。サロンの規約に明記されていない場合でも、感染予防として事前にしっかり対策をしておくことが大切です。

体調チェック

発熱や下痢、嘔吐など、いつもと違う体調の変化が見られたときは、無理をせず予約の延期を検討しましょう。

せっかく取った予約かもしれませんが、まず優先すべきは愛犬の体調です。落ち着いた状態で施術を受けられるように整えてあげましょう。

また、早めにサロンに連絡を入れることで、別の予約枠への振替や、キャンセル待ちの調整がしやすくなります。お店にとってもスケジュールを立て直しやすく、互いの信頼関係を築くうえでも大切な配慮です

予約情報の再確認

予約内容やお店へのアクセス方法、持ち物などは前日までに再チェックしておきましょう。

当日の準備

トリミング当日は、予約の数時間前までに軽めの食事を済ませておきましょう。満腹のままだと移動中や施術中に体調を崩すおそれもあるため、控えめが安心です。外出前にはトイレも済ませておくと、ペットも落ち着いて過ごせます。

また、ペットの性格やストレス反応、嫌がる部位(耳・足・お尻など)をトリマーに伝えておくことも大切です。事前のカウンセリングで共有できる場合もありますが、当日もメモなどにまとめて渡すと、トリマーがより配慮しやすくなります。

移動中の不安をやわらげるために、お気に入りのおもちゃや毛布など、ペットが安心できるアイテムを持参するのもおすすめです。声をかけながらリラックスさせてあげましょう。

トリミング中に起きやすいトラブル

いつもは穏やかな犬でも、慣れないトリミングによる緊張やストレスで思いがけない行動をとることがあります特にハサミやバリカンを使用する全身カットでは、怪我をしてしまうリスクも考えらえます。

暴れる、噛みつくといった行動が強い場合には、安全確保のためトリミングを中断せざるをえないケースもあります。

こうした可能性を飼い主さんも理解し、必要に応じて事前に愛犬の性格や過去の反応を伝えておくことが大切です。

トリミング当日の注意点

トリミング当日は、時間に余裕を持ってサロンに到着するようにしましょう。遅刻してしまうと施術時間が短くなったり、希望していたコースメニューが受けられなくなったりする場合もあります。

また、施術開始時にペットができるだけ落ち着いた状態でいられるような配慮も必要です。お気に入りのグッズの持参や飼い主さんの声かけなどが、ペットの安心感につながります。

まとめ

犬にとってトリミングは、美容面だけでなく、健康維持や怪我、病気の予防にもつながる重要なケアです。
犬種によって必要な施術内容や頻度は異なりますが、定期的に行う必要があるので、飼い主さんにとっても無理のないスケジュールを立て、愛犬に合った頻度で継続することが大切です。

サロンを予約したら、当日までに準備を整えて、愛犬にとって快適な経験になるようサポートしてあげましょう。

参考文献