愛犬のトリミングをしたいけれど「どのようなカットスタイルがあるの?」「オーダーはどのようにすればいい?」とお悩みの方もいるでしょう。
トリミングにはさまざまなカットスタイルがあり、足やしっぽ、お顔周りなど部位ごとにオーダーすることも可能です。
しかし、トリマーへの伝え方によっては、スタイルが期待どおりの仕上がりにならない可能性もあります。
この記事では、愛犬のカットスタイルの種類や、トリマーへ注文する際のポイントを紹介します。
犬のトリミングではさまざまなカットスタイルが可能
愛犬のトリミング時には、多くのカットスタイルが選べます。例えば、代表的なものではテディベアカットやアフロカット、ピーナッツカットなどがあります。
ぬいぐるみのような可愛らしいスタイルから個性的なものまで、仕上がりの雰囲気はさまざまです。
夏に涼しく過ごすために毛を短くするサマーカットのように、季節にあわせた実用的なスタイルもあります。
愛犬が1歳未満なら、子犬特有のやわらかい毛を活かし、長めに整えたパピーカットもよいでしょう。子犬の時期だからこそ楽しめるカットです。
トリミングではさまざまなカットができる楽しみがあり、好みや愛犬の年齢、実用性を考えたスタイルもあります。
犬のトリミングでできる毛の長さの調整
愛犬のカットスタイルのベースとなるのは、全身の毛の長さです。希望する長さや理想の雰囲気によって、ハサミとバリカンのどちらで長さを調整するかが異なります。
ここからは、それぞれの仕上がりの特徴や適しているケース、長さを決めるポイントなどを解説します。
ハサミで行うふんわりカット
ハサミでカットを行うと細かい調整がしやすく、ふんわりとしたやわらかい雰囲気に仕上がります。毛を長めにカットして、ボリュームを出したいときに適したカット方法です。
巻き毛でやわらかい毛質のトイプードルやビジョンフリーゼなどは、ハサミでのカットがよく行われます。
丁寧にブラッシングをしてからカットする必要があり、均一に毛の長さを整えるためには、トリマーの技術と繊細な作業が求められます。
やわらかい巻き毛は毛玉ができやすいため、長めにカットするなら、まめなブラッシングは欠かせません。
ふんわりとした長めのスタイルに適したのがハサミでのカットです。
バリカンで行う短めスタイル
バリカンでのカットは、毛を刈りこんだり短くしたりする際に多く使われます。ハサミよりも短時間でカットできるため、全身を素早く短くしたいときはバリカンの使用が向いています。
バリカンは皮膚が見えるくらいの短いカットだけでなく、10mm前後の長さにオーダーすることも可能です。
1~2mm程度の長さにすれば皮膚が見えてツルツルの印象になり、5mmなら毛を残しつつすっきりとさせられます。
夏に涼しく過ごせるサマーカットには、1~5mm程度の長さがよく選ばれます。
短すぎると夏の日差しが肌に直接当たることもあるので、気になる場合は5mm前後でオーダーするとよいでしょう。
バリカンでのカットは、ふわふわとしたハサミでのカットとは印象が異なり、すっきりとした仕上がりになります。
全身を短くカットする際や、すっきりとした印象にしたい場合は、バリカンでのオーダーがおすすめです。
仕上がりの毛の長さを決めるポイント
毛の長さは見た目の好みで決めるだけでなく、ライフスタイルや毛質、愛犬の性格や季節なども考えて選ぶのがポイントです。
普段から服を着る愛犬なら、服のなかで毛が擦れて絡まらないよう、短めのカットにするとよいでしょう。服を着る胴体の部分だけ短めにし、服から出ている手足を長めにカットする方法もあります。
また、頻繁に外へ出て活発に遊ぶ習慣がある場合も、短めのカットが楽です。毛を短く整えておけば動きやすいだけでなく、汚れが付きにくく、汚れた際のシャンプーとドライヤーが楽になります。
一方、老犬であまり動かず寒さに弱い愛犬は、短すぎるカットを避けて長めのスタイルにすると防寒対策になります。季節にあわせて夏は短くカットし、冬は長めにするのもおすすめの方法です。
ただし、長めのカットは毛質によっては絡まりやすい特徴もあるため、自宅でこまめなブラッシングが必要となります。
頻繁なブラッシングが無理な場合は、長すぎるカットは避けた方が無難です。ライフスタイルや愛犬の年齢、季節などのさまざまな要素から毛の長さを決めていきます。
犬のトリミングで注文できる脚のカットスタイル
脚のカットスタイルは、愛犬の全身のバランスや、胴体のスタイルにあったデザインを選びます。
脚は散歩の際に汚れることが多い部位なので、手入れのしやすいスタイルを検討するのもよいでしょう。ここからは、脚のカットスタイルを紹介していきます。
ストレート、ブーツカット
ストレートカットとブーツカットは、どちらもよく見られる一般的な脚のカットスタイルです。
ストレートカットは、脚の付け根からつま先までを真っすぐにカットします。一方で、ブーツカットは脚の付け根が細く、つま先にいくほど広がっていくスタイルです。
どちらのスタイルも、毛の長さにより見た目の印象が異なります。短めにすればすっきりとした印象になり、長めのカットなら、ふわふわとしたぬいぐるみのような雰囲気に仕上がります。
ブーツカットも広がりを大きくするか控えめにするかで印象が異なり、ゴージャスさを出したいなら広がりを大きくするのがおすすめです。
ただし、やわらかい毛質や巻き毛の犬種は毛玉ができやすく、きれいなブーツカットのラインを保つには自宅でのブラッシングが欠かせません。
手入れのしやすさを考えるならストレートカットか、広がりを控えめにしたブーツカットがよいでしょう。
ブレスレット
ブレスレットカットは、名前のとおり足首にブレスレットをはめたような見た目で、足首の部分だけボリュームのあるポンポンをつくるスタイルです。
全身を短くすっきりとカットしても、足首にポンポンを付ければおしゃれで可愛らしい雰囲気が出せます。
服を着たスタイルとも相性がよく、足首のポンポンがよいアクセントになります。ブレスレットカットは、プードルのショーカットにもよく使われるスタイルです。
きれいな形のポンポンを作るには高度な技術が必要なため、経験豊富なトリマーに依頼するとよいでしょう。
バリカン
脚をバリカンで短めにカットすると、清潔感がありシンプルな印象になります。毛の絡まりが軽減されるためブラッシングが楽になり、散歩中に汚れが付きにくいのもメリットです。
胴体と脚の毛の長さを同じに揃えれば細く華奢な印象になり、足の毛を胴体よりも長めにすれば、適度にボリュームのあるスタイルに仕上がります。
バランスのよい長さがわからなければ、トリマーに相談して決めるとよいでしょう。
あまり短くし過ぎると、紫外線の刺激や寒さを感じる原因となるため、季節を考えて長さを選ばなければなりません。
バリカンで脚を短くするカットは、手入れがしやすくシンプルなスタイルです。
犬のトリミングで注文できるしっぽのカットスタイル
しっぽの長さや毛質により、似合うしっぽのカットスタイルはさまざまです。
しっぽはよく動き目立つ部位なので、愛犬に似合ったスタイルを見つけると、より一層可愛さが増すでしょう。毛質やしっぽの長さにより、どのようなスタイルがあうのかを解説します。
筒状、たぬき
しっぽの付け根から先までを、同じ太さで揃えるのが筒状スタイルです。一方で、たぬきカットはしっぽの付け根が細く、先端が太く丸みがあります。
筒状スタイルは、しっぽの長さに関係なくできるスタイルです。毛を短くカットすればシンプルで細いしっぽに仕上がり、長くカットすれば、揺れ動くしっぽの毛が上品な印象になります。
たぬきカットはきれいな形を作るために長めのしっぽに適しており、ころんとした可愛らしいラインが特徴です。毛量が多くてやわらかい毛質だと、ふんわりとしたボリュームが出せます。
胴体や脚のカットとのバランスを見ながら、しっぽのボリュームを調整すると全身に統一感のある仕上がりになります。
ポンポン
しっぽの先を丸く残すポンポンカットは、短いしっぽによく似合うカットスタイルです。お尻に付いた丸いポンポンが可愛らしい印象です。
しっぽが短いとちょうどよいボリュームのポンポンが作れますが、長いしっぽでは丸い球体が作れないため、おすすめできません。
少し長い程度のしっぽなら、バランスを見ながら楕円形にすることが可能です。愛犬のしっぽの長さがポンポンに適しているかは、トリマーに相談してみるとよいでしょう。 ポンポンカットは、毛質がやわらかく毛量のある犬種におすすめで、プードルによく見られるカットスタイルです。
バリポン、ライオン
バリポンカットとは、しっぽの根元から中間までをバリカンで短くし、先端を丸いポンポンにカットするスタイルです。
ライオンカットも同じようにバリカンで短くしますが、先端は丸くせずにふさふさとした毛を長く残します。名前のとおり、ライオンのしっぽを真似たカットスタイルです。
ライオンカットは、ユニークで個性的な印象に仕上がります。どちらのカットをするにも、ある程度のしっぽの長さが必要です。
バリポンはふんわりとした丸さを出すために、毛量が多くやわらかい毛質に向いています。一方でライオンカットは、しっぽの先の毛質がストレートに近い犬の方が作りやすいカットです。
しっぽの毛質や密度により仕上がりが異なるため、どちらのスタイルがあうかはトリマーに相談してみるとよいでしょう。
犬のトリミングで注文できる耳や顔周りのカットスタイル
お顔周りのカットスタイルで、キュートやクールなどの印象が大きく異なります。胴体のカットと雰囲気をあわせれば、ちぐはぐな印象にならずにまとまりのあるスタイルに仕上がります。
理想の雰囲気やお顔の輪郭にあうスタイルを選ぶのが大切です。お顔の代表的なカットスタイルを紹介します。
テディべア、アフロ
テディベアカットは、丸くふんわりとしたカットスタイルで、ぬいぐるみのような可愛らしさが特徴です。
テディベアカットが似合う代表的な犬種はトイプードルで、丸い目にころんとした丸みのあるカットがよくあいます。
トイプードルのなかでも、マズルの短い犬はより似合いやすい傾向にあります。近年では定番のカットスタイルです。
一方で、アフロカットは頭の毛を長く残し、頭から耳にかけてボリュームのある丸いシルエットを作るスタイルです。
どちらも丸みのあるスタイルですが、テディベアカットに比べると、アフロカットはインパクトがあります。頭の毛を長く残すため、自宅でのまめなブラッシングが必須です。
テディベアカットとアフロカットは、丸みのあるスタイルが好きな方におすすめできます。
ピーナッツ、顔バリ
ピーナッツカットはお口周りを細くカットし、頭は丸く適度なボリュームを出すスタイルです。
顔バリも似ていますが、顔バリはお顔全体の毛を残さずにバリカンで刈ったスタイルです。ドッグショーに出場する、プードルのショーカットによく使われます。
どちらのスタイルもお顔の細さが強調され、小顔効果があります。マズルの長い愛犬にもよく似合い、可愛らしさよりも、気品やクールさが際立つ印象です。
汚れやすい目やお口周りの手入れがしやすく、お顔周りに毛玉ができないメリットがあります。
お顔周りは常に清潔に保たなければ皮膚トラブルにつながりやすいため、手入れに自信のない飼い主さんにもおすすめのカットです。
顔なり
愛犬の輪郭に沿って、自然に形を整えるのが顔なりカットです。特別なデザインのカットを施さず、本来の輪郭が活かされます。
シンプルでカットスタイルの崩れが気になりにくく、手入れが楽なのが魅力です。個性的なスタイルや、手入れの大変なスタイルが苦手な飼い主さんによいでしょう。
トリミングサロンでの注文のポイント
トリミングサロンでのカットの注文がうまくできないと、トリマーに意志が伝わらず、理想のカットスタイルに仕上がりません。
どのようなオーダーのしかたをすればよいのか、ポイントを解説します。
毛を何cm残してほしいと具体的にオーダーする
毛の長さを伝える際には、長めや短めといった抽象的な表現でなく「1cmの長さにして」と、何cmかを具体的に伝えるのがポイントです。
長めや短めの長さがどれくらいなのかは感覚に個人差があり、飼い主さんとトリマーとの間でとらえ方にずれが生じるケースがあります。
また、「1cm切って」という言い方よりも「1cm残して」と、残す長さを伝えるのがおすすめです。残す長さでオーダーする方がトリマーにわかりやすく、失敗を防げます。
さまざまな角度から撮った愛犬の写真を用意する
トリマーに理想のカットを伝えるには、愛犬のトリミング直後の写真を見せるのがよい方法です。
次回のトリミング時に見せられるよう、さまざまな角度から写真を撮っておくとよいでしょう。
立った状態で横から撮った写真や、正面からのお顔のアップなど、全身とアップ写真の両方を用意すると役立ちます。
トリマーも口頭で伝えられるよりも正確に把握でき、カットがしやすくなります。
理想のカットスタイルのイメージに近い写真を見せる
雑誌やインターネットから理想のカットスタイルを探し、その写真を見せるのもよいオーダー方法です。
口頭ではイメージが正確に伝えきれず、理想のスタイルからずれてしまう可能性もあります。
同じ犬種のカットスタイルなら骨格や毛質が近いため、スタイルを再現しやすくなるでしょう。口頭よりも写真で伝えることが、トリミング時のオーダーのポイントです。
まとめ
この記事では、犬のさまざまなカットスタイルや、トリミング時のオーダーのポイントを紹介しました。愛犬の毛質や毛量、骨格やお顔の輪郭などにより、似合うスタイルは異なります。
理想のカットスタイルが決まったら、愛犬の毛質や骨格にあっているかを、トリマーに相談してみるとよいでしょう。
オーダーの際には写真を見せたり具体的な長さを伝えたりと、トリマーと正確な意思疎通ができるよう工夫をします。
さまざまなカットスタイルを試しながら、お気に入りや手入れのしやすいスタイルを見つけていくとよいでしょう。
参考文献