季節の変わり目や体調の影響で、愛犬の抜け毛が気になることはありませんか?トリミングサロンは、カットやシャンプーだけでなく抜け毛処理も行われています。
本記事ではトリミングサロンの抜け毛処理について以下の点を中心にご紹介します。
- 抜け毛が多い犬種とは
- トリミングサロンの抜け毛処理とは
- 換毛期のケアのポイントとは
トリミングサロンの抜け毛処理について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
犬の抜け毛について

犬の毛はなぜ抜けるのでしょうか。ここでは、抜け毛の原因や抜け毛の多い犬種、抜け毛を放置するリスクを解説します。
抜け毛の原因
犬の抜け毛の原因には、換毛期によるものだけでなく、栄養の偏りやストレス、老化などが影響していたり、病気が関与していたりする場合もあります。それぞれについて、以下で詳しく述べます。
【換毛期による抜け毛】
犬の毛は一年を通じて生え変わりますが、春と秋は換毛期と呼ばれ、抜け毛が一段と増える季節です。また、室内飼育では季節の変化が感じにくいため、換毛期が長引くこともあります。
【栄養の偏り】
毛の健康維持には、亜鉛やビタミン類、アミノ酸、必須脂肪酸といった栄養素が必要です。これらが不足すると被毛の成長が妨げられ、毛が抜けやすくなります。
【ストレスや老化の影響】
精神的なストレスによって過度なグルーミング行動が起こり、特定部位を噛んだりなめたりすることで脱毛するケースがあります。また、高齢になると皮膚や毛包の機能が低下し、毛が薄くなる傾向も見られます。
【病気が原因となる抜け毛】
感染症による皮膚炎
- 膿皮症:常在菌であるブドウ球菌の異常増殖により皮膚が炎症を起こし、脱毛やフケ、赤みなどが現れる
- マラセチア皮膚炎:カビの一種(マラセチア)が皮膚に増殖し、かゆみや脂っぽい臭い、脱毛を伴う
- 皮膚糸状菌症:真菌(カビ)の感染で、頭部や足に脱毛やフケが生じる
- ニキビダニ症:寄生虫による感染症で、子犬や老犬に多い傾向にあり、局所または全身の脱毛が起こりやすい
アレルギー性皮膚炎
- 食物アレルギー:食材中のタンパク質に反応し、かゆみとともに広範囲の皮膚症状が見られる
- アトピー性皮膚炎:ハウスダストや花粉などの環境アレルゲンが原因で、顔まわりや体全体に皮膚炎が生じる
ホルモンの異常によるもの
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群):副腎ホルモンの過剰分泌により、主に胴体に左右対称の脱毛が見られる
- 甲状腺機能低下症:代謝の低下によって毛の生え替わりが遅れ、尾や体幹部の対称性の脱毛が見られる
- 性ホルモンの異常:生殖器の腫瘍などがホルモンバランスを崩し、脱毛が起こる
遺伝的な要因や特殊な脱毛
- 淡色被毛脱毛症/黒色被毛形成異常症:淡色または黒色の毛が正常に発育せず、部分的な脱毛が見られる遺伝性疾患
- パターン脱毛症:耳まわりや腹部などに毛が細くなって抜ける症状で、特定犬種に見られる
- 脱毛X(アロペシアX):原因不明の毛周期異常による脱毛でポメラニアンやトイ・プードルなどの若齢犬で見られる
- バリカン後脱毛:毛を刈った部位に毛が再生しないケースで、一部の犬に見られる
抜け毛の原因は一概には特定できず、日常的なケア不足から病気まで幅広く考えられます。症状が続いたり悪化する場合は、動物病院での検査や診断を受けることが大切です。
抜け毛が多い犬種
抜け毛が多い傾向にある犬種は、被毛が定期的に生え変わるダブルコートやシングルコートの犬に多く見られます。主な抜け毛の多い傾向にある犬種は、以下のとおりです。
- チワワ
- ポメラニアン
- ゴールデン・レトリバー
- ダックスフンド
- 柴犬
- シェパード
- ピレニーズ
- ニューファンドランド など
これらの犬種では、定期的に手入れをしないと毛が絡まり、健康に影響を及ぼすこともあります。
抜け毛を放置するリスク
犬の抜け毛を放置することは、飼い主や愛犬にさまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。抜け毛を放置することによる主なリスクについて説明します。
【飼い主の健康リスク】
犬の抜け毛やフケを放置していると、飼い主の健康に悪影響を与えることがあります。抜け毛が部屋の空気中に舞い上がると、アレルギー反応や喘息など、呼吸器系の症状が悪化することがあります。特に、アレルギー体質の方や呼吸器に問題がある方は注意が必要です。
【犬の健康リスク】
犬の毛が溜まることで皮膚が呼吸しにくくなり、湿疹や皮膚病の原因となることがあります。さらに、抜け毛はダニやノミなどの寄生虫の温床になり、これらが皮膚のトラブルやアレルギー反応を引き起こすこともあります。また、散乱した毛を犬が飲み込むことで消化器系に問題を起こすリスクもあります。
【毛玉や皮膚トラブルのリスク】
抜け毛が放置されると、毛が絡まって毛玉になりやすくなります。なかでも長毛種の犬では、毛玉が形成されると取るのが難しくなり、皮膚に圧力をかけることがあるため、皮膚病や炎症の原因にもなり得ます。また、毛が抜けて床や家具に散らばると、そこに雑菌が繁殖し、犬の皮膚に感染症を引き起こすこともあります。
【ダニやノミの発生源】
抜け毛を放置すると、家具や布団に溜まった毛にフケが付着し、これがダニやノミの餌になります。なかでも湿気がこもりやすい布団や枕などは、ダニやノミが繁殖しやすい場所となり、注意が必要です。
トリミングサロンでの抜け毛処理

ここからは、トリミングサロンでの抜け毛処理について、流れや費用目安を解説します。
トリミングサロンの抜け毛処理の流れ
犬のトリミング時には、抜け毛の処理が重要です。トリミングサロンでの抜け毛処理の流れを紹介します。
第1ステージ:ブラッシングで下処理
まず、トリミングに入る前に抜け毛の下処理を行います。この段階で、シャンプーをする前にブラッシングを行うことが重要です。抜け毛を放置したままシャンプーに入ると、毛が絡まってフェルト状の毛玉ができてしまう恐れがあります。シンプルな作業ながら、重要なステップです。
第2ステージ:シャンプー中の抜け毛処理
シャンプーを行うことで、被毛に詰まっていた抜け毛が浮き上がってきます。シャンプーの洗い流しの際に新たに抜ける毛をしっかり取り除くことで、トリミング後の仕上がりをより美しく保ちます。
第3ステージ:ドライヤーでの本格的な抜け毛処理
トリミングのなかでも抜け毛が目立つステージが、このドライヤーで乾かす作業です。シャンプーとブラッシングで抜け毛をかなり取り除いた後でも、ドライヤーで乾かすと多くの抜け毛が出てきます。
このように、トリミングサロンでは、抜け毛処理を細かく分けながらケアが行われています。
トリミングサロンの抜け毛処理の費用目安
トリミングの基本料金には抜け毛処理が含まれていない場合があります。抜け毛処理には、専用のクレンジングやトリートメントを使用して、抜け毛を取りやすくした後、ブラッシングなどが行われます。これらにかかる追加料金は、抜け毛処理の作業時間に応じて設定されているサロンもあります。
抜け毛料金の目安は、10分で1,100円程度で、対象となる犬種は、ポメラニアン、ゴールデン・レトリーバー、コーギー、柴犬など、抜け毛が多い傾向の犬種です。
自宅でのブラッシングによって抜け毛を軽減するできますが、大量に抜け毛が残っている場合は、追加の処理が必要となることを理解しておきましょう。
トリミングは抜け毛対策におすすめ?
犬の抜け毛を管理するために、トリミングはおすすめな方法の一つです。
特に長毛種やダブルコートを持つ犬においては、定期的にトリミングを行うことで、抜け毛の管理がしやすくなります。
また、トリミングをすることで抜け毛の量も減少し、犬の毛が整うため、部屋や家具に散乱する毛が減り、飼い主にとっても快適な生活空間を保ちます。
自宅でできる抜け毛対策

ここまで、抜け毛対策の重要性やトリミングサロンでの抜け毛対策について述べました。
ここからは、自宅でできる抜け毛対策について、主な対策を解説します。
ブラッシング
毛が抜けやすい犬種や換毛期を迎える犬にとっては、ブラッシングをこまめに行うことが重要です。換毛期は毛が大量に抜け落ちるため、毎日のブラッシングで毛の掃除を行い、皮膚の通気性が向上し、被毛の保湿性も保たれ、皮膚炎や毛玉の予防にもつながります。
さらに、ブラッシングを通じてノミやダニ、しこりなどの健康トラブルを早期に発見できるため、愛犬の健康管理にも役立つ重要な作業です。
また、犬種や毛質によって、使用するブラシの種類は異なります。短毛種にはラバーブラシや獣毛ブラシが推奨されており、長毛種にはスリッカーブラシやピンブラシがおすすめです。これらのブラシを使い分け、愛犬の皮膚を傷つけないように優しく丁寧にケアすることが大切です。
このように、ブラッシングは抜け毛を減らすだけでなく、愛犬の美しい被毛と健康を保つための大切な日常的ケアです。
ムダ毛や毛玉の処理
犬の毛にムダ毛や毛玉ができてしまうと、見た目だけでなく皮膚にも負担をかけることがあります。毛玉やもつれを放置すると、皮膚を引っ張って不快感を与え、ブラッシングが嫌いになる原因にもなります。そこで、自宅でできる毛玉の処理方法を紹介します。
まず、毛玉ができてしまった場所には、スリッカーブラシの使用がおすすめです。特に、毛が絡まりやすい首回りや耳の後ろ、内股、お尻周りなどは、念入りにケアする必要があります。
毛玉がひどくなる前に、毛先から少しずつ丁寧にほぐしていくことが重要です。無理に引っ張ることは避け、皮膚が引っ張られないよう指で軽く押さえながら作業を進めましょう。毛玉が取れたら、コームブラシで全体を整えて、毛のもつれを解消します。
もし毛玉が大きくなりすぎている場合や、皮膚に近い部分でフェルト状になっている場合、無理にほぐすことは避けるべきです。急いで処理しようとすると、皮膚を傷つけたり、ハサミを使う際に怪我をする恐れもあるため、トリミングサロンへ相談しましょう。
シャンプー
シャンプーは体を清潔に保つだけでなく、毛穴に詰まった汚れを洗い流すことで抜け毛の予防にも役立ちます。毛穴の汚れがたまると毛根に悪影響を与え、抜け毛の原因となるため、定期的なシャンプーで毛穴を清潔に保つことが大切です。
シャンプー前には、あらかじめブラッシングをして毛玉を取り除いておくと、洗う際に毛が絡まずスムーズに作業できます。洗った後は、タオルで優しく水気を拭き取り、ドライヤーで熱を当てすぎないように注意しながら丁寧に乾かしましょう。
湿った状態が長く続くと、皮膚のかゆみや炎症の原因になることがあります。さらに、シャンプー後に保湿ケアを行うことで、乾燥による肌トラブルを防げるでしょう。
洋服を着させる
抜け毛が多い傾向にある犬の場合、服を着せることで毛が散らばるのを防ぎ、床や家具に抜け毛が広がるのを抑えられます。抜け毛が服のなかに集まるため、掃除が簡単になり、部屋の清潔さを保ちやすくなります。
しかし、洋服を着せる際には季節や素材に注意が必要です。暑い季節に暖かい服を着せてしまうと、体温調整がうまくいかなくなり、犬の体調を崩す原因になりかねません。夏には通気性のよい素材を選ぶようにしましょう。
また、服を着せたままで長時間放置すると、ノミやダニがつくこともありますので、定期的に服を交換し、清潔に保つことが大切です。
最初は服を嫌がる犬もいますが、着せる度に褒めてあげると、次第に服に慣れることが多いようです。また、服を着用することは抜け毛対策だけでなく、寒がりな犬や老犬には防寒対策としても役立ちます。
換毛期のケアのポイント

換毛期には、犬の身体が多くのエネルギーを消費して新しい毛を生やすため、ストレスや疲れを感じやすくなることがあります。そのため、食事での栄養補給が重要となります。
なかでも、毛を構成するたんぱく質やケラチンの生成に必要な亜鉛を十分に摂取することが大切です。良質な動物性たんぱく質を多く含むフードやサプリメントを与えることで、愛犬の被毛の健康をサポートできます。
換毛期は愛犬にとって負担がかかる時期ですが、しっかりとケアを行うことで、ストレスを軽減し、美しい被毛を維持できます。
まとめ

ここまでトリミングサロンの抜け毛処理についてお伝えしてきました。トリミングサロンの抜け毛処理の要点をまとめると以下のとおりです。
- 抜け毛が多い傾向にある犬種は、被毛が定期的に生え変わるダブルコートやシングルコートの犬に多く見られる
- トリミングサロンでは、トリミングの際に抜け毛処理を細かく分けながらケアが行われており、料金も抜け毛処理として追加のトリミング費用が発生する場合がある
- 換毛期には、犬の身体が多くのエネルギーを消費して新しい毛を生やすため、毛を構成するたんぱく質やケラチンの生成に必要な亜鉛を十分に摂取することが大切
トリミングサロンの抜け毛処理は、愛犬の健康維持にも役立ちます。トリミングサロンと家庭でのケアを上手に組み合わせ、抜け毛と上手に付き合っていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。