白くて美しい長い毛が魅力的なマルチーズは、イタリア原産の小型犬です。その可愛らしい見た目と人なつっこい性格でペットとして人気の高い犬種です。
この可愛い見た目をキープするためには、トリミングが欠かせません。
しかし、どのくらいの頻度でトリミングすればよいのか、どのようなカットスタイルがふさわしいのかわからない飼い主の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、マルチーズの被毛の特徴やトリミングの基礎知識、おすすめのカットスタイルやトリミングを頼む際の注意点を解説します。
自宅でのケアについてもわかりやすくお伝えするため、ぜひ参考にしてみてください。
マルチーズの被毛の特徴
マルチーズの被毛は、純白で細くてシルクのような艶があるシングルコートタイプです。シングルコートは、被毛の密度が低くて毛が抜けやすい換毛期がありません。
抜け毛が少なく被毛が伸び続ける特徴から、トリミングをしないと毛が絡まりやすくなり、皮膚トラブルを起こす原因にもなりかねません。
また、細くて絡まりやすい毛はブラッシングが必要で、ブラッシングを怠ると毛玉ができやすくなります。
絡まった毛を無理に引っ張ると皮膚を引っ張ってしまい、炎症を起こすことがあります。マルチーズのきれいな毛を保つためには日々のケアと定期的なトリミングが欠かせません。
マルチーズはトリミングが必要?
先ほど述べたように、マルチーズの毛は抜けにくく伸び続ける特性があるために定期的なトリミングは欠かせません。
美しい見た目を保つだけでなく、マルチーズの健康維持の観点からも必要です。
眼の周囲の毛が伸びると眼に入り、眼の病気につながることがあります。
足裏の毛が伸び過ぎると、滑りやすくなり、関節に負担をかけてしまいます。
長い毛は汚れが付きやすく不衛生になるばかりか、皮膚炎のリスクを高めるため、清潔な状態を保つことが重要です。
特に暑い夏や湿気の多い季節は、トリミングの頻度を増やして大切にケアをしてあげましょう。
マルチーズのトリミングの基礎知識
マルチーズを飼い始めた方やこれから飼いたいと考えている方のなかには、生後どのくらいでトリミングができるのか、トリミングの頻度に疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
また、ペットサロンの料金相場を知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。ここではこれらの疑問を丁寧に解説します。
マルチーズはいつからトリミングできる?
マルチーズのトリミングは、生後3〜4ヶ月頃から始めるのがよいとされています。
基礎ワクチン接種が終わった頃で、多くのトリミングサロンがワクチン接種完了を受け入れ条件としているためです。
子犬の時期のトリミングは毛を美しく保つ目的だけでなく、健康維持のためにも重要です。
皮膚の状態や寄生虫の有無をチェックして、健康で快適な生活を送るためにもこまめなケアを行うようにしましょう。
成長の段階に応じてお手入れの内容が少しずつ異なります。初めのうちはトリミングに慣れさせるために、短時間のシャンプーや爪切りなどから取り入れてみましょう。
慣れてきたらお顔周りのカットをし、少しずつ全身のトリミングに進みます。以下は成長時期に応じたトリミングの目安です。
- 生後2〜3ヶ月:ブラッシング中心で慣らせる
- 生後4〜6ヶ月:短時間だが本格的なトリミング開始
- 生後6ヶ月以降:成犬と同様のトリミング
生後2〜3ヶ月の時期は毛が少なくてやわらかく、生後4〜6ヶ月になると、少しずつ毛は増えてきます。この時期のカットは短時間で済ませるようにしましょう。
これらはあくまでも目安で、マルチーズの個体差によって慣れるスピードが異なります。そのため、性格や状況に応じてケアの頻度を調整しましょう。
健康状態に不安や悩みがある場合は、獣医師に相談するとよいでしょう。
トリミング頻度
マルチーズは毛が長い犬種のため、トリミングは4〜6週間に1回、長くても2ヶ月に1回が目安です。
毛が絡まりやすいため、ブラッシングは2〜3週間に1回を心がけ、こまめなケアを行いましょう。
トリミング頻度は季節ごとに変わります。特に気をつけたいのは梅雨の時期で、湿度が高く皮膚トラブルも起きやすいため、しっかりと乾かすことが重要です。
また、夏の暑い時期にも注意が必要で、汗や汚れが付きやすいため毛を普段より短くカットして体温調整をしやすくすることも大切です。
冬は乾燥による静電気の発生で毛が絡まりやすくなるため、保湿やトリートメントを取り入れたトリミングをするとよいでしょう。
飼い主の生活スタイルに合わせて、ブラッシングが十分にできないと感じる場合は、トリミングサロンに通う頻度を増やすのも方法の一つです。
トリミングの料金相場
トリミングの料金の全国平均は、総務省統計局の小売物価統計調査によると、6,989円(税込)です。トリミングの料金はトリミングサロンの形態やカットスタイルによっても異なります。
トリミングサロンは以下のとおりさまざまな形態が展開されています。
- 独立型サロン:トリミング専門の店舗
- 併設型サロン:動物病院やペットショップなどに併設している店舗
- 移動型サロン:トリミングカーで移動先や商業施設の駐車場などで展開
- 訪問型サロン:飼い主の自宅に訪問するスタイル
自分の飼い犬に適したサロンを選ぶことでストレスが少なく施術が受けられるでしょう。次に一般的なマルチーズのトリミングの料金相場を紹介します。
- シャンプーのみ:3,000〜5,000円(税込)程度
- カットとシャンプー:4,000〜8,000円(税込)程度
シャンプーのみのコースには、シャンプーと部分カット、爪切りや耳掃除などが含まれます。カットとシャンプーの場合は、全身カットと足回りのカットも含まれた料金設定です。
オプションの付いている施術を依頼した場合は追加料金がかかる場合もあります。
獣医師がいるトリミングサロンでは健康チェックや歯科検診が受けられることが特徴ですが、一般のサロンよりは料金が高めに設定されている場合があります。
マルチーズにおすすめのカットスタイル
マルチーズは純白で美しい、シングルコートの犬種です。長く伸ばすフルコートはスタンダードスタイルとされていますが、毛が絡まりやすいため、短くカットする飼い主の方も少なくありません。
毛が伸びるスピードが早いといわれているマルチーズは、さまざまなカットスタイルに挑戦しやすい犬種です。以下におすすめのカットスタイルを詳しく紹介します。
まんまるカット
まんまるカットは、お顔や頭を刈りこんでぬいぐるみのような愛らしさを出すヘアスタイルです。
目元や口元がはっきり見えるため、マルチーズの表情がわかりやすくなるのが特徴です。
テディベアカット
テディベアカットは、毛をふんわりさせて可愛らしさを印象付ける定番のスタイルです。口の毛や耳の毛の長さによって雰囲気を変えることができます。
短めにすると、くまのぬいぐるみっぽさが出やすくなります。
サマーカット
サマーカットは全身の毛を短くし、耳はボブカットにするスタイルです。活発なイメージを与え、涼しげな印象に仕上がります。
日々のケアが楽になり、夏の暑い時期や洋服を着せる際などに快適に過ごせます。
サマーカットの注意点は、毛を短くし過ぎることによる日焼けや皮膚炎のリスクがあることです。
犬の毛は紫外線から皮膚を守る役割も果たしているため、適切な長さを保つようにしましょう。
個性的なカットスタイルの例
上記以外でも、マルチーズにはさまざまなカットのバリエーションが展開されています。その他のカットは次のとおりです。
- アフロカット
- シュナウザーカット
- パピーカット
- エレガントカット
- フルコート
- トップノット
- ライオンカット
例えば、マルチーズなのにシュナウザーに見えるスタイルでは、お顔周りを四角くカットして耳の毛を短くします。
毛を一部分だけ長くするスタイルは、個性的で上品な見た目にできます。耳の毛を長く残したり、頭の毛だけを長くしたりして、ヘアアレンジを楽しむことも可能です。
サロンによってできるデザインが異なるため、希望するスタイルの写真を持参するとよいでしょう。
マルチーズのトリミングを頼む際のポイント
マルチーズは定期的なトリミングが必要な犬種です。
カットの種類によっては注意が必要なスタイルもあるため、トリミングを依頼する際には事前にこれから解説するポイントに気をつけるようにしましょう。
サマーカットの注意点
サマーカットの注意点は、被毛を短くし過ぎると皮膚に紫外線が当たりやすくなり、日焼けや刺激を受けた皮膚が炎症を起こすリスクがあることです。
熱中症にも気を付け、通気性のよい服を着せ、体温調節や熱中症対策にも注意しましょう。
カットのイメージは具体的に伝える
カットをお願いするときは、「丸くしてほしい」や「ふんわりさせてほしい」などの曖昧なイメージを伝えるのは控えましょう。
できるだけ、写真を提示したり具体的なカットの長さやカットの部位を伝えたりして、トリマーとの意思疎通をスムーズにしましょう。
愛犬の性格や苦手なことなどを伝える
トリミングには子犬のうちから慣らすことが重要です。もしも過去にトラブルや怖い思いをしたことがある犬は、恐怖心やトラウマから抵抗を示すことがあります。
カットを依頼する際には、愛犬の性格や過去のトラウマの経験などを事前にトリマーに伝えておくことをおすすめします。
それは、施術中の安全性を高め、愛犬の環境を快適に保つために重要だからです。
マルチーズは温厚で素直で、頭のよい犬です。明るくフレンドリーな一方で、敏感な面があり、神経質になることもあります。
騒音や過度のストレスに注意を払い、落ち着いた環境でトリミングできるよう、トリマーにはしっかりと愛犬の性格や苦手なことを共有しましょう。
マルチーズの自宅ケアのポイント
マルチーズの毛は伸びるスピードが早く、細い毛が絡まりやすい特徴があります。定期的にトリミングに通うだけでなく、自宅でのケアも欠かせません。
ここでは自宅で推奨されるケアと注意点を具体的に詳しく解説します。
ブラッシングを行う
マルチーズは美しい被毛を保つためにもこまめなケアが欠かせません
ブラッシングでもつれを防ぎ、血行を促進して皮膚の健康を保ちます。 ブラッシングは2〜3週間に1回を目安に行いましょう。ただし、毛が長いスタイルの場合は毛玉を防ぐためにも1日に1回のブラッシングがおすすめです。
毛玉取りに向いているものや被毛に負担をかけないブラシ、毛が長いマルチーズ向けや細かい部位用ブラシなどさまざまな種類が販売されています。
ブラッシングの際は、力を入れ過ぎないように気をつけ、毛玉がどうしても取れないときは無理をせずにトリマーさんにお願いするようにしましょう。
必要に応じて足の裏やお尻周りの部分カットを行う
トリミングの頻度は4〜6週間に1回が目安ですが、部分的に伸びてきた場合は必要に応じて自宅でもカットを行いましょう。
足の裏の毛は伸び過ぎるとフローリングの床などで滑りやすくなり、関節に負担がかかりやすくなります。マルチーズは膝蓋骨脱臼とよばれる病気にかかりやすい犬種です。
先天的な原因で発症する場合は防げませんが、日常生活の環境を整えることで病気のリスクを減らせます。
伸びた足の裏の毛をカットしたり、床にカーペットを敷いたり、爪を切ったりして滑らないように気をつけてあげましょう。
お尻周りの毛は長くなると排泄物が付きやすくなり、不衛生で匂いの原因にもなります。足の裏同様、自宅での部分カットが必要です。
顔周りのケアを行う際の注意点
マルチーズの眼は、もともと涙管が狭く、涙やけが起きやすい特徴があります。眼から溢れた涙が周囲の被毛に付着すると、赤褐色に変色してしまいます。
まつ毛も長く、角膜に接触すると目の病気につながりかねません。日頃から異物が目に入らないようにし、適度なトリミングを行いましょう。
汚れやすい目元や口元は、毎日やわらかいガーゼで拭き取りましょう。耳の中も汚れが溜まりやすい部分です。週に1回程度はチェックと清掃をしましょう。
お顔周りはデリケートな部分です。ケアするときは怖がらせないように慎重に行う必要があります。
まとめ
マルチーズは被毛の特徴から、定期的なトリミングや日々のこまめなケアが欠かせない犬種です。
トリミングは見た目を可愛く保つだけではなく、健康維持管理の観点からも重要な役割を持つことがわかりました。
愛犬に合わせたカットスタイルを楽しむと同時に、トリマーさんとの円滑なコミュニケーションを心がけ、愛犬の快適な生活と安全性の高いトリミングをサポートしましょう。
被毛のケアや健康維持のためには自宅でのケアも必須です。こまめなブラッシングや部位ごとのお手入れに気を配り、愛犬との絆を深めましょう。
本記事が、これからマルチーズを飼う方や、すでに飼い始めている方の参考になれば幸いです。
参考文献