ペットと暮らすうえで、トリミングは大切なケアのひとつです。見た目を美しく保つだけでなく、健康維持にも重要な役割を果たします。
近年、ペットの寿命は獣医療の進歩と生活環境の改善により年々延びており、長く健康に暮らしてもらうためには日々の適切なケアが欠かせません。
環境省のガイドラインでは、動物を飼うことは動物の命を預かることであり、飼い主には動物が健康で快適に暮らせるようにする責任があるとされています。
トリミングは、この飼い主の責任を果たすための重要な手段のひとつです。
定期的なトリミングを通じて、ペットの皮膚や被毛の状態を良好に保ち、病気の予防や早期発見につなげることができます。
本記事ではトリミングの必要性や効果、適切な頻度や費用の目安、サロンの選び方を環境省や日本獣医師会などの公的機関の情報に基づいて詳しく解説します。
愛するペットとの生活をより豊かにするために、トリミングの必要性について考えていきましょう。
トリミングの必要性と効果

トリミングには、ペットの健康と快適な生活を守るための重要な役割があります。
動物を飼うことは動物の命を預かることであり、飼い主には動物が健康で快適に暮らせるようにするとともに、社会や近隣に迷惑を及ぼさないようにする責任があります。
トリミングは、こうした飼い主の責任を果たすための重要なケアのひとつです。ここでは、トリミングがもたらすさまざまな効果を見ていきましょう。
ペットの毛を清潔に保つ
ペットの被毛は全身を覆っているため、肛門周りや足裏の毛は特に汚れやすい部分です。
トリミングによって毛を短く整えることで、排泄物が毛に付着しにくくなり、清潔な状態を維持しやすいそうです。また、定期的なケアを通じて、皮膚の健康も保つことができます。
飼い主は動物が健康で快適に暮らせるようにするとともに、社会や近隣に迷惑を及ぼさないようにする責任があるので、ケアを怠らないようにしましょう。
ノミやダニを予防する
定期的なトリミングは、ノミやダニなどの寄生虫の予防にも効果的です。
犬猫の主な寄生虫対策として、適切な駆除を行うことが動物の健康維持に必要とされています。
トリミング時の全身チェックで、寄生虫の早期発見も可能です。
ケガを予防する

足裏や肉球の間に生えた毛が伸びすぎると、滑りやすくなり転倒のリスクが高まります。
定期的なトリミングで足裏の毛のカットで、転倒によるケガや関節への負担を未然に防ぐことができます。
飼育環境のなかでケガをする可能性がある箇所を見つけたら、すぐに改善することが重要です。
熱中症を防ぐ
適切な温度管理はペットの健康維持に欠かせません。トリミングで毛を適度な長さに整えることは、体温調節の一助です。
ただし、極端に短くカットすると紫外線から皮膚を守る機能が低下するため、適度な長さを保つ必要があります。
外見を整えられる
トリミングは、ペットの見た目を美しく整える効果もあります。毛を整えることで清潔感が生まれ、社会や近隣に配慮した飼育が可能です。
政府は、人と動物がともに生きていける社会の実現には、飼い主のモラルとマナーが必要であると述べています。
皮膚や体調の変化に気付きやすい
毎日の世話を通して犬や猫の様子や飼育環境の観察も推奨されています。特にふんの状態の観察と、体を触って異常の有無の確認は重要です。
トリミングは、ペットの体に直接触れる機会となるため、普段気付きにくい体の異変を発見するチャンスです。異常が見つかったら、早めに獣医師に相談しましょう。
猫にもトリミングが必要?

猫は頻繁に自分の体を舐めて毛づくろいをするため、基本的には自分で清潔を保つことができますが、それだけでは不十分であるためトリミングも必要です。
一般的に猫は屋内飼育が推奨されており、環境を整えれば屋内だけで心身ともに健康に過ごすことができるとされています。
屋外で猫を飼うことは、病気の感染や交通事故に遭遇する危険があるとともに、周辺地域住民にふん尿で迷惑をかける可能性があるのです。
また、不妊去勢措置を施していない場合には、思いがけない繁殖により子猫が生まれてしまう可能性もあります。
猫の安全性を確保し、近隣住民との良好な関係を保つためにも、室内での飼育に努めることも必要です。
しかし長毛種の猫は、毛づくろいだけでは毛のもつれや毛玉ができやすく、人間のサポートが必要です。
また、換毛期には短毛種でも大量の抜け毛が発生するため、ブラッシングなどのケアが必要です。
猫の場合は、種類や状況に応じて、適切なケアを行うことが大切ですので不明な点があれば、獣医師への相談をおすすめします。
室内飼育の猫であっても、定期的な観察と必要に応じたケアを行うことで、健康的な生活を送ることが可能です。
トリミングと一緒に行われること

トリミングサロンでは、被毛のカットだけでなく、ペットの全身的なケアも行われます。
犬や猫の状態を確認するための定期的な健康管理が重要とされており、トリミングサロンで提供されるこれらのサービスはペットの健康維持につながるのです。
ここでは、トリミングと併せて実施される主なサービスを紹介します。
シャンプー

シャンプーは、皮膚や毛の汚れを除去する基本的なケアです。専用のシャンプーの使用で、清潔な状態を保つことが可能です。
定期的な健康管理の一環として、体を清潔に保つことが重要です。
耳掃除
耳の中は汚れが溜まりやすく、放置すると感染症の原因となることがあります。トリミング時に耳の内部をチェックし、汚れを取り除くことで、耳の健康維持が可能です。
異常が見られる場合は、獣医師への相談が大切です。
爪切り
爪が伸びすぎると、歩行に支障をきたしたり、飼い主がケガをしたりする恐れがあります。トリミング時に適切な長さに爪を切ることで、これらのリスクを軽減できます。
爪切りは正しい方法で行わないと出血や痛みを伴うことがあるため、慣れていない場合は専門家に任せると不安がありません。
歯磨き

口腔内の健康を保つために、歯磨きも重要なケアのひとつです。
犬や猫の健康管理は飼い主にとって重要であり、獣医療の進歩と生活環境の改善により、犬や猫の寿命が年々延びていることが示されています。
日常的なケアとして、定期的な歯磨きを行うことが推奨されます。
トリミングにかかる費用の目安

トリミングの費用はペットの種類や体格、毛の状態やサロンの立地などによって大きく異なるものです。
日本獣医師会では、全国の獣医師を対象に診療料金の実態調査を実施しており、その結果が公表されています。
この調査は飼い主が適正な料金を把握するための重要な参考資料となっており、一般的には、犬の場合は体格が小さいほど費用が抑えられ、大型犬になるほど高額になる傾向があります。
これは、体格に応じて施術にかかる時間や使用するシャンプーなどの量が変わるためです。
参考として、犬のトリミング費用は中小型犬でシャンプーが3,000〜6,000円(税込)、シャンプーとカットのセットが5,000〜10,000円(税込)ほどです。
大型犬になるとシャンプーが5,000〜10,000円(税込)、シャンプーとカットのセットは10,000〜16,000円(税込)程度が相場とされています。
長毛種や毛玉が多い場合、特殊なカットスタイルを希望する場合は、追加料金の発生もあります。
猫のトリミング費用は、犬と比較して高めに設定されていることがあります。これは猫の性質上、慣れない環境でストレスを感じやすく、施術に特別な配慮が必要となるためです。
猫の場合、短毛種で7,000〜10,000円(税込)、長毛種で8,000〜10,000円(税込)ほどが目安とされています。
また、猫の取り扱いには高度な技術と経験が求められることも、費用が高くなる要因のひとつです。動物病院でもトリミングサービスを提供している場合があります。
動物病院では、健康状態をチェックしながら施術を行うことができるため、高齢のペットや持病があるペットにとっては安心感を持てる選択肢です。
料金はあくまで目安であり、サロンによって設定が異なるため、事前の確認がおすすめです。
詳細な料金は、日本獣医師会の調査結果を参考にするとともに、複数のサロンに問い合わせて比較検討を行ったうえで決定しましょう。
トリミングの頻度の目安

トリミングの適切な頻度は、ペットの種類や毛の長さ、皮膚の状態などによって違いが生じます。
動物取扱業者には年1回以上の獣医師による健康診断が義務付けられており、定期的な健康管理が必要不可欠です。
健康診断では、触診や視診により全般的な健康状態の把握ができ、病気やケガなどの早期発見につながります。
トリミングと健康診断を組み合わせることで、より効果的なペットの健康管理が可能です。
長毛種の場合
長毛種は毛が伸びやすく、汚れが付着しやすいため、高い頻度でのケアが必要です。
飼い主は動物が健康で快適に暮らせるようにする責任があるため毛の状態を観察し、1ヶ月〜1ヶ月半を目安に汚れや毛玉が目立ってきたら、適切なケアを行いましょう。
具体的な頻度は、ペットの個体差や生活環境によって異なるため、獣医師やトリマーと相談しながら決めることが大切です。
短毛種の場合
短毛種は頻繁なカットの必要性が低く、トリミングの頻度は長毛種よりも少なくて済みます。2ヶ月半〜3ヶ月を目安とし、定期的な観察と健康管理に努めましょう。
短毛種の場合も、換毛期にはブラッシングをこまめに行うことが大切です。ペットの状態を見て、獣医師と相談しながら、適正な頻度を決めることが推奨されます。
トリミングサロンの選び方と準備

トリミングサロンを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえることで、愛するペットにぴったりなケアを受けさせることができます。
動物取扱業の適正化に向けた基準も存在し、これらの基準を満たしているサロンを選ぶことが重要です。
トリミングサロンの選び方

トリミングサロンを選ぶ際は、まず通いやすさを重視しましょう。自宅から近いサロンは、移動によるペットのストレスを軽減し、定期的な通院をしやすくします。
次に、サロン内の清潔感と雰囲気の確認が大切です。動物取扱業者には適切な飼養管理が求められており、清潔で整理された環境が重要とされています。
トリミングサロンは第一種動物取扱業の保管に該当し、都道府県知事または政令市の長への登録が必要です。登録を受けているサロンであれば、一定の基準を満たしていると判断できます。
トリマーとのコミュニケーションが取りやすいことも重要です。ペットの状態やケアの希望をしっかり相談でき、誠実に対応してくれるサロンを選びましょう。
また、トリマーが動物取扱責任者の資格を持っているかどうかも確認ポイントのひとつです。料金設定やサービス内容も事前に確認しましょう。
金額が明確であり、サービス内容が適切であることの確認が大切です。不明な点があれば、遠慮なく質問をおすすめします。
初回利用時には、カウンセリングの時間を十分に取ってくれるサロンを選ぶと安心感が持てます。
トリミングサロンに行く前に準備すること
トリミングを受けるためには、適切な予防接種を受けることが必要です。
犬や猫には感染症や生活習慣病など、人と同じように多くの病気があり、定期的な健康診断と予防接種が大切とされています。
普段からかかりつけの動物病院を決めて、相談しておくことが推奨されています。特に犬の場合は、狂犬病予防法に基づく予防接種が義務付けられているのです。
また、混合ワクチンの接種も、ほかのペットとの接触がある環境では重要です。
トリミングサロンによっては、ワクチン接種証明書の提示を求められることがあるため、事前に準備しておきましょう。
トリミング当日は、ペットが健康な状態であることが大切です。体調不良の場合は、トリミングの延期をおすすめします。
犬や猫の食欲や動作、表情などに異常がないか気を配ることも重要であり、少しでも体調に不安がある場合はサロンに相談しましょう。
トリミング後は、ペットが疲れていることがあります。トリミングが終わったら、ゆっくりと休ませてあげましょう。
また、トリミング後の様子で気になることがあれば、すぐに獣医師への相談が大切です。
まとめ

トリミングは、ペットの健康と快適な生活を守るために欠かせないケアです。
飼い主は動物が健康で快適に暮らせるようにするとともに、社会や近隣に迷惑を及ぼさないようにする必要があります。
トリミングの頻度は、ペットの種類や毛の長さ、皮膚の状態によって異なります。ペットの状態を観察し、獣医師やトリマーと相談しながら、適切な頻度を決めることが大切です。
トリミングサロンを選ぶ際は通いやすさや清潔感、トリマーとのコミュニケーション、料金設定などを総合的に判断することが重要です。
信頼できるサロンを見つけて、定期的にトリミングを行うことで、ペットの健康と美しさを維持できます。
また定期的な健康診断も重要であり、かかりつけの獣医師と相談しながら、総合的な健康管理を行うことが推奨されています。
愛するペットとの生活をより豊かにするために、適切なトリミングと健康管理を心がけましょう。
参考文献
