犬がトリミング中に暴れる理由はさまざまで、飼い主としてはその原因を理解し、適切な対策が大切です。トリミングは、犬にとっては普段とは違う環境や触れられる感覚が伴うため、ストレスを感じることもあります。
本記事では犬がトリミング中に暴れる理由について以下の点を中心にご紹介します。
- 犬のトリミングとは
- 犬がトリミング中に暴れる理由
- トリミング中の犬をリラックスさせる方法
犬がトリミング中に暴れる理由について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
犬のトリミングとは

犬のトリミングとは、犬の毛をカットして整えることを指します。毛が伸びるのが遅い犬種もいますが、、すぐに毛が伸びてしまう犬種もいます。特にそういう犬種は定期的なカットが必要です。トリミングは見た目を整えるだけでなく、犬の健康や衛生面にも大切な役割を果たします。
トリミングは、犬の美容を目的とした作業であり、毛をカットするトリマーによって行われます。トリマーはハサミやバリカンを使って毛を整えたり、トリミングナイフや指を使って毛を抜いたりして仕上げます。トリミングをすることによって、犬の皮膚炎を予防したり、衛生状態を保ったりすることができます。
また、トリミングを定期的に行うことは、犬の快適さを保つためにも必要です。
例えば、顔や足元の毛が長すぎると視界を遮ったり、転倒を招いたりする危険があります。
さらに、長毛の犬は夏場に熱中症になりやすくなるため、適切な長さにカットしてあげることが重要です。
トリミングが推奨される犬種としては、ポメラニアンやマルチーズ、シーズー、プードル、ビションフリーゼ、ヨークシャーテリアなどが挙げられます。
犬の毛の長さや種類に応じてトリミング方法も変わるため、犬の特性に合ったケアが必要です。
トリミングは、犬の見た目を美しく保つだけでなく、健康や快適さを守るためにも欠かせないお手入れの一つです。
犬がトリミング中に暴れる理由

犬がトリミング中に暴れる理由は以下のとおりです。
トリミング時の不安やストレス
犬がトリミングを受ける際には、さまざまな要因で不安やストレスを感じることがあります。
初めてのトリミングや過去に嫌な経験をした犬は、恐怖心を抱えやすくなります。
トリミング器具の音や振動が苦手な犬も多いといわれ、それが不安を引き起こす一因となることがあります。
また、ほかの犬との接触がストレスとなることもあります。
さらに、トリミング中に身体的な痛みや不快感が伴うこともあり、これが犬のストレスの原因となることがあります。
これらの不安やストレスを軽減するためには、犬をトリミングに慣れさせ、リラックスできるようにしましょう。
また、トリミング前に軽くお散歩させることで、犬のストレスを軽減する効果が期待できます。
トリミングを受ける環境やトリマーの選び方にも配慮し、犬がリラックスして過ごせるようにすることが重要です。
そして、トリミングは体力を消耗する作業でもあります。長時間のトリミング後には犬が疲れを感じることがあるため、十分に休息を取らせてあげることが大切です。
トリミング後の犬の様子をよく観察し、無理をさせないように配慮しましょう。
環境の変化による不安
トリミングサロンやほかの犬との接触は、犬にとっては新しい環境となり、不安やストレスを引き起こすことがあります。
見知らぬ場所での変化は、犬の心に負担をかけ、普段とは異なる行動を引き起こすことがあります。
ほかの犬の鳴き声やトリミング作業の音、施術者の動きなどが犬にとっては圧倒される要因となることがあり、これらがストレスの原因となることがあります。
また、犬は敏感なため、音や匂いに対しても警戒心を抱くことがあります。トリミング後に普段と違った落ち着きのなさを見せることがあります。
トリミング後は自宅でリラックスできる環境を整えましょう。
犬が新しい環境に慣れるためには、少しずつ経験を積ませることが大切です。少しずつ慣らしながら、新しい環境への不安を軽減していくことが、ストレスを減らすための効果的な方法です。
慣れない香り
トリミング後、犬の身体に残るトリートメントの香りは、犬にとっては不自然なものです。
犬は自身の匂いに敏感であり、普段の匂いと異なることで違和感を覚え、これが不安やストレスの原因になることがあります。
また、体毛がカットされた感触も慣れないため、しばらく不快に感じることがあるかもしれません。
犬は香りのあるものを我慢している可能性があるため、トリートメントを使用する際は無香料のものを選ぶことを推奨します。
シャンプーの選び方は、犬の肌質や好みに合わせて慎重に選ぶことが大切です。適切なシャンプーを見つけることができれば、使用頻度や濃度を調整しながら使い続けることができます。
根気よく犬に合ったシャンプーを見つけ、使い続けることで、愛犬にとって快適なケアができます。
触られることへの抵抗感
飼い主以外の人に触られることに慣れていない犬は、トリマーに体を触られることに強い抵抗を示すことがあります。耳や足元、お尻周りといった敏感な部分を触られると、不快感を覚え、暴れてしまう場合があります。
犬は本能的に、知らない人に触られることに対して警戒心を抱くことがあり、普段触れられない部位に触れられると驚いたり不快に感じたりすることがあります。
さらに、爪切りや耳掃除など、少し痛みを伴う作業が必要な場面では、犬が抵抗することがあります。過去にトリミング中に強く押さえつけられたり、痛みを感じたりした経験がトラウマとなり、それが原因でトリミングを嫌がることもあります。
そのため、犬がリラックスしてトリミングを受けられるよう、少しずつ慣れさせていくことが大切です。トリミング前に穏やかに体を触ったり、優しくトリミングを行ったりすることで、犬が安心できる環境を作り、抵抗感を軽減できるでしょう。
体調不良や痛み
犬がトリミング中に暴れる原因の一つに、体調不良や痛みがあります。
普段はおとなしくトリミングを受けている犬でも、体調がよくないときや痛みを感じていると、トリミングに対して強い抵抗を示すことがあります。
高齢犬や持病のある犬は、体調の変化に敏感で、少しの不調でもストレスを感じやすいです。
例えば、関節に痛みがある犬は、長時間同じ姿勢を強いられることで不快感を覚え、暴れてしまうことがあります。
また、皮膚にトラブルがある場合、シャンプーやブラッシングの刺激がいつも以上に痛みを伴い、これが犬の暴れる原因になることもあります。
トリミング中に犬の体調が悪化した場合、施術は中止されることが多いようです。
トリミング自体が犬にとってストレスとなり、体調不良の状態で続けると、犬の健康がさらに悪化する可能性があります。
犬が元気な状態で帰れるよう、必要に応じてトリミングを中止し、体調が回復してから再度トリミングを行うことがおすすめです。
トリミング中の犬をリラックスさせる方法

トリミング中の犬をリラックスさせるには、以下のような方法が挙げられます。
安心できる環境を作る
犬がトリミング中にリラックスできるよう、環境を整えることが重要です。静かな音楽を流したり、お気に入りのおもちゃを近くに置いたりすることで、犬の不安を和らげることができます。
飼い主が一緒にいることで安心する犬もいれば、逆に興奮してしまう犬もいるので、犬の性格に合わせた対応が求められます。もし飼い主が近くにいても興奮してしまう場合は、視界に入らないように配慮することがおすすめです。
また、トリミングサロンの温度や湿度も犬の快適さに大きく影響します。犬が快適に過ごせるように、室温を調整し、過度な湿度や乾燥を避けることが大切です。エアコンや暖房を使って、季節に合わせた環境を整えてあげましょう。
トリミング台の上には滑り止めマットややわらかいタオルを敷くことで、犬が安心して座れる環境を作ることができます。また、高さ調整ができるトリミング台を使用し、犬の体格に合わせた高さに調整することも大切です。
さらに、静かな環境での作業がリラックスにつながります。外部の騒音が気になる場合は、窓を閉めたり、静かな音楽を流すことで、犬が安心できる環境を作り出すことができます。清潔で整理整頓された作業スペースを維持することも、トリミングの際に犬が安心して過ごせる要素です。
上記でご紹介した、室温の調節や静かな音楽を流せるかどうかは、依頼するトリミングサロンによって可能かどうかが異なります。また、持病をもっている愛犬に関しては、事前に安心してトリミングが受けられるかどうかを確認する必要もあります。予約時に確認してみるのがよいでしょう。
声をかけたり撫でたりする
トリミング中に犬が落ち着いていられるように、飼い主のサポートが大切です。飼い主がそばにいるだけで、犬は安心感を得ることができます。カット中に声をかけてあげると、犬はリラックスしやすくなります。
「いい子だね」「頑張ってるね」といった優しい言葉をかけることで、犬の不安を軽減することができます。また、飼い主の声が聞こえると、犬は安心してカットに集中できるようになります。
さらに、犬を撫でることや軽いマッサージもおすすめです。犬が好きな場所を優しく撫でてあげることで、緊張をほぐしリラックスさせることができます。
例えば、頭や背中を撫でることで、犬は落ち着きやすくなり、トリミング中のストレスを減らすことができます。飼い主の手のひらの温もりと優しい言葉で、犬が安心感を感じるようにしてあげましょう。
時間を区切ってトリミングする
トリミングを行う際は、最初から長時間続けるのではなく、短い時間で区切って行うことがおすすめです。例えば、10分程度のトリミングを1日に数回に分けて行い、犬の集中力や忍耐力に配慮しながら進めましょう。
トリミングに慣れていない犬や不安を感じやすい犬には、長時間の施術は負担が大きくなりすぎることがあります。短時間で終わらせることで、犬は「思ったよりも簡単だった」と感じ、ポジティブな体験として記憶に残りやすくなります。
また、トリミングの途中で休憩を挟むのもおすすめです。休憩中に犬を台から降ろして自由に動かせる時間を設けることで、犬のストレスを軽減することができます。休憩時間には水を飲ませたり、トイレに行かせたりすることができ、犬がリラックスできるようにサポートできます。
初めてのトリミングや久しぶりのトリミングでは、短時間で少しずつ慣れさせることが大切です。最初は5分程度のトリミングから始め、犬がリラックスしてきたら少しずつ時間を延ばしていきます。このように、段階的にトリミングに慣れさせることで、犬がトリミングをポジティブにとらえやすくなります。
事前に運動やトイレをさせておく
カットを始める前に犬を適度に運動させることで、エネルギーが発散され、落ち着きやすくなります。
例えば、散歩やボール遊びをして体を動かすことがおすすめです。犬の年齢や犬種に応じた運動量を考慮し、小型犬であれば短めの散歩や室内遊び、大型犬であれば長めの散歩やランニングが必要です。運動でエネルギーを消費することで、カット中も犬が落ち着いて過ごせるようになります。
また、トイレを事前に済ませておくことも大切です。トイレを済ませてからカットを始めることで、犬が途中でそわそわすることを避けることができます。カット前にトイレの時間を確保し、犬がリラックスできる状態に整えてあげましょう。
さらに、トイレ後におやつを少し与えることで、犬はよい気持ちでカットに臨むことができるでしょう。
感染予防対策が行われているかどうか
トリミングサロンでは、ペットや飼い主、従業員の健康を守るために、さまざまな感染症対策が行われています。感染リスクを抑えるために、店舗内は“汚染区域”、“緩衝地帯”、“清浄区域”の3つにゾーン分けされ、それぞれのエリアで適切な管理が行われていることが重要になります。
例えば、不特定多数の来店者が利用する出入口やカウンター周辺は“汚染区域”として位置づけられ、ドアノブや床の定期的な消毒が行われます。一方で、トリミング室などの“清浄区域”には、手指や靴底、エプロンなどを消毒したうえで入室するよう管理されており、病原体を持ち込まないよう徹底した工夫がされています。
また“緩衝地帯”とは、清浄区域へ入る前に、消毒や着替えなどの準備を行うための中間エリアのことを指します。施設の内外を区切り、ウイルスや汚れを持ち込まないための対策を行う場所です。
犬を預かる際には、抱っこではなくリードを使った引き渡しを基本とし、体表の消毒やシャンプーを素早く行うことによって、ウイルスの付着リスクを軽減します。使用する消毒液も、ペットに無害な成分のものを選んでいる点が重要です。
そのほかにも、来店予約の時間管理や人数制限、カウンセリングの電話対応、対面時のビニールカーテンの設置、キャッシュレス決済の導入など、人と人との接触を最小限に抑える工夫も見られます。
このように、トリミングサロンでは人と犬の両方を守るための感染症対策がしっかり行われているかどうかが、安心して利用できるかどうかの大きなポイントになります。来店前には、店舗の対策状況を確認しておくとより安心でしょう。
犬のトリミング中の注意点

犬のトリミング中の注意点は以下のとおりです。
安全を優先させる
トリミングを行う際は、使用する道具に細心の注意を払いましょう。目や耳の周り、足の間など敏感な部分をカットする際は慎重に作業を進めることが大切です。また、トリミング台を使用する場合は、犬が落下しないように十分に対策を講じることが必要です。
ストレスの兆候を見逃さない
トリミング中は犬の状態をチェックし、過度なストレスが感じられた場合は休憩を挟むことが重要です。犬が舌を出したり、過剰に唾液を出したり、震えたり、目を見開いたりする場合は、注意が必要です。
さらに、以下のような行動も確認しましょう。
- 耳を後ろに倒す
- 尾を下げる、または体の下に巻き込む
- 激しく唸ったり吠えたりする
- 落ち着きなく動き回る
- 口を過度に舐める
- パンティング(口を開けて浅い呼吸をする)
上記のような行動がある場合、トリミングを一時中断し、犬がリラックスできるように時間を取ることが大切です。
室内の温度管理に注意する
室内のクーラーの設定温度に気をつけ、クーラーの風が直接当たらないようにしましょう。犬は体温調整が苦手で、急激な温度変化に弱いため、クーラーの温度を管理する必要があります。
特に暑い季節には、ペットたちが熱中症になるリスクを避けるため、温度をこまめに確認しましょう。
犬をトリミングに慣れさせる方法

犬をトリミングに慣れさせる方法は以下のとおりです。
トリミング道具に少しずつ慣れさせる
トリミング道具に慣れるために、少しずつ触らせたり、近くに置いてみたりして、おやつを使ってよい印象を与えましょう。また、トリミング中は、優しく接してくれるトリマーを選び、子犬がリラックスしているときには褒めたり、おやつを与えてトリミングに慣れさせるのもおすすめです。
トリミングが終わった後は、特別なおやつや遊びでご褒美を与え、ポジティブな体験として犬の記憶に残るようにしましょう。
スキンシップをとる
もし知らない人に触られるのを嫌がって暴れる場合は、まずトリマーさんに犬とスキンシップをとってもらうところから始めましょう。無理にシャンプーやカットをすると、犬が痛みや不快感を感じ、今後トラウマになってしまう可能性があります。
飼い主は「最初はカットができなくても問題ない」と思い、リラックスした気持ちで犬をサロンやトリマーに慣れさせていくことが大切です。
まとめ

ここまで犬がトリミング中に暴れる理由についてお伝えしてきました。
犬がトリミング中に暴れる理由についての要点をまとめると以下のとおりです。
- 犬のトリミングとは、犬の毛をカットして整えることを指す。犬の毛は放置しておくとどんどん伸びていくため、定期的なカットが必要
- 初めてのトリミングや過去に嫌な経験をした犬は、恐怖心を抱えるため、トリミング中に暴れる場合がある
- トリミング中の犬をリラックスさせるには、静かな音楽をかけたり「いい子だね」「頑張ってるね」と声をかけたりすることが大切
トリミング中に犬が暴れる理由はさまざまで、犬の性格や経験、環境が影響しています。しかし、適切な準備やケア、そしてポジティブな体験を積み重ねることで、犬もトリミングに慣れ、リラックスして過ごすことができるようになります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。