トリミングに使うハサミとバリカンの違いは?それぞれのメリットとデメリットを解説

トリミングに使うハサミとバリカンの違いは?それぞれのメリットとデメリットを解説

ペットのトリミングに欠かせない道具といえば、ハサミとバリカンです。どちらも毛をカットする道具ですが、用途や仕上がりに違いがあります。

自宅でトリミングをしてみたいけれど、どちらを使えばよいのか迷っている方も少なくないのではないでしょうか。

道具の選び方を間違えると、イメージと異なった仕上がりにならなかったり、ペットにストレスを与えてしまったりするかもしれません。

本記事では、ハサミとバリカンのそれぞれの特徴や使い分けを解説しますので、ペットにあったトリミング方法を見つける参考になれば幸いです。

トリミングに使うハサミとバリカンの違い

毛を刈られた犬

ペットの毛を美しく整えるトリミングには、ハサミとバリカンの二つの主要な道具があります。一見どちらも同じように見えるかもしれませんが、それぞれに適した使い方や仕上がりの違いがあり、目的によって選び方を変えることが大切です。

ここでは、ハサミとバリカンの違いをさまざまな角度から解説します。ペットにあったトリミング方法を見つけるために確認してみましょう。

トリミングのバリエーションの違い

ハサミはカットの自由度が高く、細かいデザインやスタイルの調整に向いています。お顔周りや足先・耳の形などを繊細に整えることができ、個性的なカットにも対応可能です。

毛の流れやボリュームを見ながら微調整できるため、ふんわりした立体感のある仕上がりも得意です。

一方バリカンは、一定の長さで均一にカットすることができ、シンプルで清潔感のあるスタイルに適しています。ただし、デザインの自由度はやや制限されます。

トリミング時間の違い

バリカンは、一気に広範囲をカットすることができるため、全身のトリミングが短時間で可能です。忙しい飼い主の方や、じっとしていられないペットにはメリットです。

一方ハサミは、1本1本を丁寧にカットしていくため時間がかかることがあり、特に初心者の場合はより慎重に行う必要があります。

仕上がりを重視する場合は、時間をかけて丁寧に整えることが必要です。

皮膚への負担の違い

トリミングをする女性 カット

ハサミは、肌に直接当たらないように使用するため、皮膚への負担が少ないのが特徴です。ただし、扱いに慣れていないと誤って皮膚を傷つけてしまうリスクもあります。

バリカンは、肌に密着させて使用するため、摩擦や刃の熱によって赤みや炎症が出ることがあります。敏感肌のペットは、より注意しましょう。

被毛が変化するリスクの違い

バリカンで何度もカットすると、毛質が変化する場合があるため注意が必要です。例えば、くせ毛になったり、毛が生えにくくなったりすることも考えられます。

特に、ダブルコートの犬種では、下毛と上毛のバランスが崩れる可能性があります。毛が密に生えてこないことで、見た目の印象が変わったり、寒さや暑さへの耐性が低下したりすることもあるかもしれません。

一方、ハサミは毛の構造に影響を与えにくく、自然な毛並みを維持しやすいといわれています。毛質を保ちながら整えたい場合は、ハサミでのトリミングが適切です。

料金の違い

サロンでの料金も、使用する道具によって差が出ることがあります。バリカン中心のトリミングは短時間で終わるため、料金は抑えた価格の傾向があります。

一方で、ハサミ仕上がりのカットは技術と時間を要するため、その分費用が上がるケースが少なくありません。予算と仕上がりの希望にあわせて選ぶとよいでしょう。

ハサミでトリミングをするメリット

犬(ペット)のトリミングやカットをするトリマーの若い女性

トリミングの道具のなかでも、ハサミは繊細なカットができる道具です。プロのトリマーも使用しており、その仕上がりの美しさやペットへの優しさが魅力といえます。

バリカンを使用する場合よりも時間はかかりますが、飼い主の方の拘りや愛犬の個性を表現しやすいのが特徴です。ここでは、ハサミを使用したトリミングの代表的なメリットを見ていきましょう。

正確なカットをしやすい

ハサミは、1本ずつ丁寧に毛を切ることができるため、切りたい長さにあわせて正確にカットしやすいのが特徴です。

毛の流れやくせに応じて微調整ができるため、全体のバランスが整いやすく自然な仕上がりになります。

特に、お顔周りや足先など繊細な部位のトリミングにはハサミが適しています。

細かなカットやデザインが可能

ハサミを使用すれば、ふんわり丸いシルエットやメリハリのあるラインなど、さまざまなスタイルを作ることが可能です。

例えば、テディベアカットやモヒカンスタイルなどのデザインカットは、バリカンでは表現が難しく細かさが必要です。

飼い主の方の拘りや、犬種ごとの個性を引き出すためにはハサミが欠かせません。

犬へのストレスが少ない

ハサミは、電動ではないため、音や振動がなく敏感な犬にも優しいトリミングができます。バリカンの音や刃の動きに驚いてしまう犬も少なくないため、静かで落ち着いた環境でケアできる点はメリットです。

特に、初めてのトリミングや高齢の犬には、ストレスの負担を考慮してハサミ仕上げがおすすめです。

ハサミでトリミングをするデメリット

トリミング用品を持った人と犬

ハサミを使用するトリミングには、繊細で美しい仕上がりを得られるメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

特に、初心者は難易度が高くペットの性格や毛質によっては予想以上に手間がかかることもあるかもしれません。ここでは、ハサミを使用する際に知っておきたい主なデメリットを紹介します。

技術が必要になる

ハサミで均等に毛をカットするには、ある程度の技術や経験が必要です。力加減や角度・毛の流れを考えながら調整する必要があり、慣れていないと不揃いな仕上がりになることがあります。プロのような仕上がりを目指すには、練習と時間が必要です。

また、部位ごとに適した切り方が異なるため、犬の身体の構造や動きにも理解が求められます。特に、お顔周りや足先などの繊細な部位では少しのミスが見た目に影響するため、慎重な作業が求められます。

初心者の方は、まず部位的なカットからはじめて慣れていくとよいでしょう。

毛量や毛質によっては手間がかかる

毛量のある犬種や巻き毛・細い毛など扱いにくい毛質の場合、ハサミでのトリミングはかなりの労力が必要です。もつれをほぐしながら少しずつカットする必要があるため、時間もかかり途中で犬が疲れてしまうことも考えられます。

毛質によっては、ハサミだけで整えるのが難しいケースもあります。

大型犬の全身のトリミングには不向きである

犬の毛並みを整える女性

身体の大きな犬をハサミだけでトリミングしようとすると、相当な時間と体力が必要です。全身の毛を均等に整えるには手間がかかり、トリマー側にも犬にも負担になる可能性があります。

そのため、大型犬の場合はバリカンとの併用や、部分的なハサミ仕上げが適しています。

バリカンでトリミングをするメリット

自宅でのセルフトリミングや、忙しいなかでの時短ケアに適しているのがバリカンです。ハサミと比較すると手軽に使用でき、初心者でも扱いやすい点が魅力です。

トリミングサロンでも、効率よくきれいに整えるためにバリカンを活用するケースは少なくありません。バリカンを使用するトリミングのメリットを確認してみましょう。

短時間で広範囲をカットしやすい

バリカンは電動で刃が動くため、一度に広い面積を効率よくカットすることが可能です。特に、全身を短く整えたい場合や毛量のある犬種には適しています。

素早くトリミングできるため、長時間動かずにいられない犬に適しています。忙しい飼い主の方にとっても時短につながる便利な道具です。

扱いやすい

ペットサロンでお手入れ

トリミング初心者にとって、ハサミは扱いが難しく感じられることもあります。その点、バリカンはガイドコームをつければ、一定の長さに刈れるため操作が簡単です。

持ちやすい形状で手にフィットしやすく、毛にそって滑らせるだけで自然な形に仕上げられます。お手入れのハードルを下げてくれる道具といえるでしょう。

均一の長さに揃えやすい

バリカンの特徴の一つが、仕上がりの均一さです。ハサミだと手の動きによって多少のばらつきが出る箇所がありますが、バリカンはガイド付であれば一定の長さに整えやすいため、見た目もスッキリと仕上がります。

特に、サマーカットのようにさっぱりと短くしたいスタイルには適しています。

バリカンでトリミングをするデメリット

毛を刈られるペットの犬

バリカンは時短で扱いやすく、初心者にも使用されるトリミング道具ですが、すべての犬や場面に万能というわけではありません。

便利な反面、使用時の注意点やデメリットも存在します。愛犬の毛質や性格によってはバリカンの使用がトラブルの原因になるかもしれません。

バリカンを使用する際に、あらかじめ知っておきたい主なデメリットを解説します。

皮膚トラブルのリスクがある

バリカンは、刃を肌に直接当てて使用するため、皮膚への摩擦や刃の熱によって赤みや痒みなどのトラブルが起きることがあります。

特に、敏感肌の犬や、皮膚が薄い部分では注意が必要です。また、刃の切れ味が落ちていると余計に肌を引っ張ってしまい、負担が増す場合があります。

音や振動がストレスになる場合がある

バリカンの騒音や振動は、人にとっては気にならなくても、犬にとってはストレスとなることがあります。特に、音に敏感な性格の犬や、トリミングに慣れていない犬にとっては恐怖を感じることもあるかもしれません。

無理に続けるとトリミング自体が苦手になってしまう可能性もあるため配慮が必要です。

被毛の質感が変わりやすい

ブラッシングされる犬3

バリカンで何度も刈り込むと、毛質が変化することがあります。例えば、以前よりもくせが強くなったり、毛が生えにくくなったりすることも考えられます。

特に、ダブルコートの犬種は下毛と上毛の生え方に影響がでやすいため、頻繁な使用には注意が必要です。

デザインの自由度が低い

バリカンは、基本的に一定の長さで均一にカットするため、ハサミのような繊細なデザインカットに向いていません。丸みをもたせたシルエットや、部位ごとの長さを細かく調整するスタイルを目指す場合、ハサミの方が柔軟に対応可能です。

スタイルに拘りたい場合は、バリカンだけでは限界があります。

特定の犬種には不向きな場合がある

すべての犬種がバリカンに適しているわけではありません。例えば、ゴールデンレトリバーや柴犬などのダブルコート犬種は、バリカンを使用すると毛の生え方が乱れる可能性があります。

また、カット自体が必要ない犬種にバリカンを使用する必要は基本的にありません。犬種の特性にあった方法を選ぶことが大切です。

トリマーにトリミングの注文するときのコツ

ペットサロンでお手入れ

トリミングサロンで愛犬のカットを依頼するとき、イメージしていた仕上がりと違うという経験はありませんか。そんなミスマッチを防ぐためには、トリマーとのコミュニケーションがとても大切です。

犬の状態や希望スタイルをしっかり伝えることで、より満足のいく仕上がりになります。トリマーにトリミングを依頼するときのコツを紹介します。

写真を使ってイメ-ジを伝える

言葉だけでは、仕上がりのイメージを正確に伝えるのは難しいものです。理想に近いスタイルの写真を見せることで、トリマーも具体的に理解しやすくなります。

自分の犬と似た犬種や毛質の写真を選ぶと、より現実的な提案を受けやすくなります。

部位ごとの希望を伝える

全体のスタイルだけでなく、お顔は丸く・耳は長めに残して・足先はすっきりなど、部位ごとの希望も具体的に伝えましょう。

犬の体格や毛量によっては、要望どおりにできないこともありますが、事前に相談することで納得のいく仕上がりにつながります。

生活スタイルも伝えておく

家での過ごし方や、散歩の頻度・ケアのしやすさなどもトリマーに伝えておくと、より実用的なスタイルを提案してもらえます。例えば、毎日散歩にいくので短めがよいなど日常の様子を共有するとよいでしょう。

皮膚トラブルや体調を伝える

皮膚が弱い・病気がある・シニア犬であるなど、健康面の情報も忘れずに伝えましょう。バリカンの使用を避けた方がよい場合や、短時間で終わらせた方がよい場合など、愛犬にあったケアをしてもらえるようになります。

気になる点は遠慮せずに相談する

こんなことを聞いてよいのかなと遠慮せず、疑問や不安は事前にトリマーに相談しましょう。プロの目線からアドバイスをもらえるだけでなく、信頼関係を築くきっかけにもなります。

愛犬のことを一緒に考えてくれるパートナーとして、積極的にコミュニケーションをとることがおすすめです。このように、少しの工夫と伝え方で仕上がりの満足度が向上します。愛犬の個性と暮らしにあったトリミングスタイルを作り上げていきましょう。

まとめ

タンポポと犬

ハサミとバリカン、それぞれのトリミング道具には特徴やメリット・デメリットがあります。ハサミは繊細で自由なカットができ、自然な仕上がりが魅力ですが技術や時間が必要です。

一方、バリカンは手早く均一に仕上げられ初心者にも扱いやすい反面、肌への負担やスタイルの自由度に制限があります。

どちらが適しているのかは、犬種や毛質・性格・生活スタイルによってさまざまです。またトリミングをサロンに依頼する際は、写真や希望のスタイル・生活環境をしっかり伝えることで、より満足のできる仕上がりに近づけることができます。

大切なことは、愛犬にとって快適でお手入れしやすいスタイルを見つけることです。道具の特徴を理解し、目的やシーンにあわせて上手に使い分けましょう。

参考文献