トリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?トリミングと皮膚病について解説!

トリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?トリミングと皮膚病について解説!

愛犬のトリミングは、見た目を整えるだけでなく、健康を守るために重要な役割を果たします。では、適切なトリミングが皮膚病予防にどれだけ影響するのでしょうか?

本記事ではトリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?について以下の点を中心にご紹介します。

  • 犬がトリミングを行う主な目的
  • 犬のトリミングと皮膚病予防
  • 犬のトリミングの料金相場

トリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

犬のトリミングの目的

犬のトリミングを行う目的は、見た目をよくするためだけではありません。

トリミングの主な役割を、以下に詳しく解説します。

皮膚病を早期に発見するため

犬のトリミングは、単に見た目を美しくするだけではなく、健康面での大切な目的があります。なかでも、皮膚の健康を維持するために重要とされています。

定期的なトリミングにより、被毛を整えながら皮膚のチェックが行え、トリマーや飼い主さん自身が犬の皮膚の異常を見つけられるようになります。トリミングの習慣は、皮膚病の初期段階での発見につながり、早期治療によって病状の進行を防ぐポイントとなるため、犬の健康維持に重要な役割を果たしています。

清潔を保つため

犬のトリミングは、衛生的な理由からもとても重要です。定期的なトリミングを通じて、犬の被毛は清潔に保たれ、毛が目や肛門、尿道周辺に与える問題を防ぎます。

例えば、毛が長くなると目に入りやすくなり、刺激によって目やにの原因にもなり得ます。

また、毛が伸びすぎると、糞や尿が毛に付着しやすくなり、これが雑菌の繁殖の温床となるため、病気や感染のリスクが高まります。トリミングによってこれらのリスクを軽減し、またノミやダニの繁殖を防ぎます。さらに、肛門腺絞りがしやすくなるため、犬の健康維持にもつながります。

傷がある場合には、傷口周辺の毛をカットすることで、毛が傷を刺激するのを防ぎ、さらに感染のリスクを低減します。このように、犬のトリミングは単なる美容の範疇を超え、その健康管理の基本として位置づけられています。

害虫予防のため

トリミングは、ノミやダニの防止には欠かせない手段です。ノミは吸血昆虫であり、犬に寄生すると強いかゆみを引き起こし、場合によっては重度の皮膚炎や貧血をもたらす恐れがあります。これらの寄生虫は、毛が密集している環境を好むため、毛の長い犬種では隠れやすくなります。

また、ほかのペットや人間にも感染する可能性があり、ノミアレルギーを持つ犬の場合は少量の寄生でも激しい症状を引き起こすことがあります。首の後ろから腰にかけての背中側で症状が現れやすく、赤みやかさぶた、脱毛といった皮膚問題が起こることが多いようです。

定期的にトリミングを行うことにより、毛の量を適切に管理することで、これらの害虫の隠れ場所を物理的に減らしたり、毛を短く保つことで通気性を向上させ湿度が高くなることを防いだりします。湿度が低下すると、ノミやダニの生存と繁殖が困難になるため、害虫のリスクを自然に減少させます。

したがって、トリミングはただの美容行為ではなく、犬や一緒に暮らす家族の健康を守るための予防措置としての重要な役割を持っています。定期的にプロのトリマーによるトリミングを受けさせることで、これらのリスクから愛犬達を守り、快適で健康的な生活をサポートすることが大切です。

ケガを予防するため

犬のトリミングでは、ケガを予防する目的でも行われています。

例えば、足裏の毛の管理では、肉球が本来持っているクッションの役割と滑り止め機能を保てるように整えます。足裏の毛が長くなると、滑りやすくなり、フローリングのような滑りやすい床面での転倒リスクが高まります。これは、犬が思わぬ怪我をする可能性があるため、足裏の毛は適切な長さに保つことが大切です。

また、目周りの毛も長すぎると視界を遮り、犬が周囲の環境を正確に認識できなくなり、事故につながる危険があります。このため、目の周りの毛が長い犬の場合は定期的にカットすることが重要です。

さらに、長く伸びた爪は、折れやすくなり、肉球に食い込んで痛みや出血、感染症の原因にもなります。そのため、適切に爪切りを行い、犬の快適な歩行を支えることが大切です。

おしゃれのため

トリミングサロンでは、さまざまなスタイルと技術が提供されています。

各トリミングサロンが独自のカットデザインを持っているため、飼い主さんは愛犬に合うスタイルを選べるようになっています。おしゃれなカットは犬の種類によっても異なり、犬種特有の美しさを引き出すようにカットされます。

また、スピードトリミングと呼ばれる短時間で洗練されたカットを完成させるサービスは、忙しい飼い主さんにとっても魅力的です。

皮膚病だとトリミングに行けない?

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犬の飼い主さんの方のなかには、「皮膚病があるとトリミングサロンに犬を連れて行けない」と思われていることがあります。これは、トリミングが皮膚病を悪化させたり、ほかのペットに病気を広げることにつながったりするかもしれないという心配から生じています。しかし、実際には皮膚病がある犬でもトリミングを受けることが推奨されるケースが多いようです。

特にノミやダニの予防薬を適切に使用している場合、脱毛を伴わない皮膚病を持つ犬はトリミングを受けた方がよいでしょう。皮膚病がある犬のトリミングは、専門的なケアを必要とするため、まずは動物病院で獣医師に相談することが大切です。獣医師の指導のもと、処方された特別なシャンプーや治療法を用いることができます。

一部のトリミングサロンでは、皮膚病を持つ犬のための特別な薬浴サービスを提供しており、ペット保険の適用範囲内で行えることがあります。そのため、トリミングをキャンセルする前に、保険の適用について保険会社に確認し、適切な処置を受けられるかどうかを調べてみるとよいでしょう。

トリミングと皮膚病の関係

ここでは、トリミングと皮膚病の関係について解説します。

トリミングは皮膚病予防になる?

これまで述べてきたように、トリミングは、ペットの皮膚病を予防する方法の一つです。特に長い毛を持つ犬種にとっては、毛が絡まることで湿気が溜まりやすく、その結果、細菌や真菌の繁殖による皮膚病のリスクが高まります。定期的なトリミングによって、これらの問題を防ぎます。

さらに、毛の長さが適切に保たれることで、外部からの汚れやアレルゲンが毛に付着することが減少し、皮膚への刺激が少なくなります。

また、トリミング中にはペットの皮膚を細かく観察する機会が増え、異常があれば早期に発見でき、赤みや脱毛などの初期症状が見られた場合、速やかに獣医師の診察を受けて症状の悪化を防ぐことができます。

【病気別】トリミングで期待できる効果

トリミングで期待できる効果を、病気別に具体的に解説します。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応によって皮膚が炎症を起こす状態を指します。この病気は、アレルゲンが皮膚に触れることで炎症が引き起こされ、皮膚の保湿成分であるセラミドが減少し、保水能力が低下することで悪化することがあります。この結果、脂漏症を発症しやすくなり、それに伴って細菌やマラセチア菌の増殖が進むこともあります。

犬アトピー性皮膚炎の管理においてトリミングは重要な役割を担います。皮膚を清潔に保ち、炎症を引き起こすアレルゲンの除去を助けるために、獣医師の推奨するシャンプーや条件に応じた洗浄方法が推奨されます。

治療においては、薬浴やマイクロバブル、炭酸泉といった方法を提供しているところもあり、皮膚の深層にまで作用し、犬アトピー性皮膚炎による痒みや炎症を穏やかにする作用が期待されています。また、皮膚表面だけでなく、毛穴の深くに溜まった汚れやアレルゲンを除去し、症状の緩和に寄与します。

犬アトピー性皮膚炎は根治が難しい病気であるため、飼育環境の改善や薬物療法などを組み合わせて継続的なケアが必要です。

細菌感染

犬における細菌感染は、体内にすでに存在しているブドウ球菌などの常在菌が過剰に増殖することにより起こります。この過剰な菌の増加は、皮膚の健康を脅かし、さまざまな皮膚疾患を引き起こす可能性があります。

適切なトリミングは、これらの過剰な菌を取り除きます。専門のトリミングサロンでは、犬の皮膚状態に合わせたシャンプーを使用し、細菌の過剰増殖をコントロールするための洗浄を行います。これにより、犬の皮膚は清潔に保たれ、細菌によるさらなる感染のリスクが減少します。

真菌感染

真菌感染は犬の皮膚病の一つで、マラセチア菌や皮膚糸状菌が原因となることがあります。これらの菌は異なる特性を持っており、トリミングとシャンプーのアプローチもそれぞれ異なるので注意が必要です。

マラセチア菌は犬の皮膚に常在しているため、通常は問題を引き起こしませんが、特定の条件下で過剰に増殖すると皮膚の問題が発生することがあります。このタイプの感染では、適切なシャンプーが大切です。トリミングサロンでの専門的なシャンプーで、マラセチア菌の数を管理し、皮膚の健康を保ちましょう。

一方で、皮膚糸状菌症は別のアプローチが必要です。この感染症は人やほかの犬に感染する可能性があります。症状としては、痒みが少ないかまったくなく、局所的に毛が抜けることが特徴です。

皮膚糸状菌症の場合、感染の拡散を避けるためにトリミングサロンでの処理は避け、自宅や動物病院で専門的なケアを行うことが推奨されます。シャンプー治療を行うことは重要ですが、その際は感染を防ぐための適切な措置を取りながら行う必要があります。

真菌感染におけるトリミングとシャンプーの適用は、感染の種類によって異なるため、獣医師の指導のもと、症状の確認と適切な処理方法の選定が重要です。

寄生虫感染

寄生虫感染は、腰背部に発症することが多い傾向にあり、なかでもノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの刺激によって引き起こされるアレルギー反応によるものです。

ノミ自体が動物から動物へ直接移ることは少ないですが、ノミが生息する環境を通じて感染が広がるリスクはあります。このため、寄生虫の予防と駆除はペットの健康管理において重要です。イソオキサゾリン系の薬剤が効果的とされていますが、薬剤の使用だけでなく、トリミングでの寄生虫感染予防も大切です。

定期的なトリミングは、ノミやダニなどの寄生虫が隠れる場所を減少させ、シャンプーにより寄生虫を物理的に除去し犬の皮膚を清潔に保ち、さらなる感染のリスクを減らします。

脂漏症

脂漏症は、体質的な要因や犬アトピー性皮膚炎に伴って発生する犬の皮膚に起こる症状です。この症状は、油性脂漏と乾性脂漏の二つの形態に分けられます。油性脂漏では皮膚が過剰に油っぽくなり、一方で乾性脂漏ではフケの生成が増えます。

脂漏症の管理には、皮膚の過剰な油分や角質を適切に調整することが重要で、サリチル酸を配合したシャンプーやクレンジングオイルの使用が推奨されます。これらの製品は、過剰な皮脂を除去し、皮膚の状態を健康的なバランスに戻すのに役立ちます。

さらに、トリミングサロンでのマイクロバブル洗浄は、小さな気泡を利用して皮膚の深部まで清潔にし、汚れや余分な皮脂を優しく除去します。このプロセスは、従来の洗浄方法では取り除くことが難しい汚れやアレルゲンも除去できるため、脂漏症の症状緩和に役立ちます。

犬のトリミング料金の相場

犬のトリミング料金は、そのサロンの立地、犬の大きさ、被毛の状態、提供されるサービスの種類、そしてトリマーの技術レベルによって異なります。都市部や高級地域にあるサロンでは料金が高くなる傾向があります。

犬のサイズによる料金差は、小型犬のトリミングは4,000円〜7,000円程度で提供されます。中型犬の場合、料金は約6,000円〜9,000円の範囲が多いようです。一方、大型犬はサービス内容にもよりますが、約1万円〜1万6,000円の範囲でトリミングが行われています。

さらに、犬の被毛の状態も料金に影響します。毛玉やもつれがひどい場合、追加料金が発生することがあります。これは、トリマーがより多くの時間と技術を要するためです。さらに、カットが技術的に難しいとされるトイプードルやスタンダードプードルなどの犬種では、料金が高くなる傾向にあります。

シャンプーコースやグルーミングのみのサービス利用の場合は、中小型犬では約3,000円〜6,000円で、大型犬では約5,000円〜1万円の範囲で提供されます。

トリミング料金に関しては、サロンによって料金設定や犬種に対するサイズの定義が異なるため、予想外の料金を請求されることを避けるためにも、詳細を事前に確認をしておくとよいでしょう。

犬のトリミングはプロに任せよう

犬のトリミングをするべき理由は?トリミングを始める年齢や料金目安なども併せて解説します!

愛犬のトリミングを自宅で行う場合、犬にストレスや怪我のリスクをもたらすことがあります。全身カットやシャンプーは、犬が不安を感じやすく、また、耳掃除や肛門腺の絞りなどのデリケートな処理も、専門の技術を要します。

トリミングサロンでは、トリマーが犬の皮膚の異常に気付く可能性もあり、飼い主さんが見逃すかもしれない細かな部分のチェックも行われます。愛犬の健康と安全を考えると、トリミングは経験豊富なプロに任せることをおすすめします。

まとめ

ここまでトリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?についてお伝えしてきました。トリミングで愛犬の皮膚病を予防できる?の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬のトリミングを行う目的は、皮膚病の早期発見、清潔を保つ、害虫予防、ケガ予防、おしゃれなどのため
  • トリミングはペットの皮膚病を予防する方法の一つであるほか、トリミング中に皮膚を細かく観察し異常があれば速やかに獣医師の診察を受けて症状の悪化を防ぐきっかけになる
  • 犬のトリミング料金は施設によって異なるため、事前に確認をとることが大切

愛犬のトリミングは、美容だけでなく健康維持にも欠かせない要素です。適切なケアで愛犬を守りましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【参考文献】