愛犬の問題行動、拾い食いにお困りではないでしょうか。地面に落ちているものを食べる行動は、愛犬を危険にさらしてしまうことになります。
愛犬の拾い食いの悩みを解決し、安心感のある散歩や暮らしを望む飼い主さんは少なくないでしょう。本記事では、まず拾い食いの背景にある犬の気持ちや原因を探り、拾い食いに伴うリスクを解説します。
ご家庭で実践できる改善策に加え、プロのドッグトレーナーが教えるしつけ教室ではどのようなトレーニングができるのか、そして飼い主さんと愛犬にぴったりの教室を見つけるためのポイントをご紹介します。
愛犬の拾い食いに悩まない、穏やかな毎日を目指しましょう。
拾い食いの原因
犬が拾い食いをする行動には、本能や好奇心、退屈、飼い主への欲求など、いくつかの原因があります。
犬の祖先が食べ物を探し回っていたため、地面のものを食べるのは自然な習性です。また、犬はお口で探索するため、興味のあるものがあるとすぐお口にくわえてしまいます。
刺激が不足すると退屈しのぎになる場合や、拾い食いで飼い主が反応するのを楽しんで繰り返す場合もあります。
例えば、散歩中の熱心な匂い嗅ぎや、留守番が長い犬のゴミ箱あさりなどです。
拾い食いは単なる問題行動ではなく、本能や心理、環境が複雑に影響して起きることが少なくありません。
拾い食いをするリスク
楽しい散歩が一転、危険な状況になりうるのが犬の拾い食いです。地面に落ちているものは、犬にとって有害なものである可能性があります。
誤ってお口にしたものが、愛犬の健康を脅かすリスクを伴うことを理解しておきましょう。
体調不良につながる可能性がある
犬が拾い食いで、嘔吐や下痢といった消化器系の体調不良を引き起こす可能性が高まります。
地面に落ちているものは品質が不明で、細菌やウイルスが付着している可能性もあるでしょう。
犬の消化に適さないものを摂取すると、胃腸に負担がかかり消化不良を起こします。
命に関わる可能性がある
さらに深刻な場合、拾い食いは愛犬の命に関わる重大な事態を招く危険性もはらんでいます。
犬にとっての毒物（ネギやブドウ、チョコレート、ナッツなど）や毒劇物（農薬やタバコの吸い殻）を誤って摂取するリスクや、消化できない異物（ビニール片や石など）を飲み込み、食道や胃腸を傷つけたり詰まらせたりする可能性があるからです。
特に異物による閉塞は緊急手術が必要な場合もあります。
道路上の毒餌や、鋭利な串や爪楊枝、小さなボタン電池などは、中毒や内臓損傷、腸閉塞を引き起こし命に関わることもあります。
拾い食いは単なる不衛生な行為としてだけではなく、命の危険と隣り合わせであることを認識する必要があるでしょう。
拾い食いを改善する方法
本章では、犬の拾い食いを効果的に改善するための具体的な方法をご紹介します。
- 拾い食いをしないよう飼育環境を整える
- 飼い主の存在を認識させる
- 飼い主の指示に従えるようにする
- 飼い主の許可なくお口にものを入れないようしつける
- しつけ教室に通う
犬の拾い食いを改善するには、単に叱るだけでなく、複数のアプローチを組み合わせることが有効です。
まずは、犬が拾い食いをしにくい環境を作ります。次に飼い主との信頼関係を築き、基本的な指示に従えるようにトレーニングを進める必要があります。
ドッグトレーナーなどのプロの助けを借りることも大変有効な手段です。
拾い食いをしないよう飼育環境を整える
犬が拾い食いをする機会そのものを減らすために、飼育環境の徹底的な管理が第一歩になります。
犬の目につきやすい場所に危険物があると、好奇心や本能で食べてしまうリスクが高まるからです。
家の中だけでなく、散歩コースでも拾い食いしやすい場所を把握し避けることが事故防止につながります。
具体的には、ゴミ箱に蓋をする、床に物を置かない、散歩中は危険な場所に近づかないなどの対策を心がけましょう。
環境を整えることは、問題行動の発生を未然に防ぐための基本的かつ重要な対策です。
飼い主の存在を認識させる
犬に飼い主さんを見ればよいことがあると意識を持たせることで、拾い食いよりも飼い主への注目を優先させます。
犬が飼い主を意識し指示を待つようになれば、地面のものに飛びつかず、飼い主に確認を求めるようになるでしょう。犬が飼い主の指示を待つようになることは犬と飼い主の信頼関係構築に重要なプロセスです。
散歩中に犬が飼い主を見たら褒める、アイコンタクトができたらご褒美を与える、名前を呼んだら来る練習などをしましょう。
飼い主への意識を高めるトレーニングは、拾い食いだけでなくほかの問題行動の予防にもつながります。
飼い主の指示に従えるようにする
拾い食い防止には、「おすわり」や「待て」、「来い（呼び戻し）」などの基本的な指示に犬が従えるようにしておくことが不可欠です。
「おすわり」や「待て」、「来い」などの指示ができれば、犬が何かを拾い食いしようとした際に「待て」で止めたり、「来い」で呼び戻したりできます。
「おすわり」や「待て」、「来い」の練習を繰り返し行いましょう。特に「待て」は拾い食いを我慢させるのに役立ちます。
基本的な服従訓練は、拾い食いを含むさまざまな状況で犬をコントロールし、安全性を確保するために役立ちます。
飼い主の許可なくお口にものを入れないようしつける
拾い食いそのものを直接的に抑制するため、「ちょうだい」や「オフ（離せ）」、「リーブイット（拾わない）」などの特定の指示を教えることが有効です。
リーブイット（Leave It）は地面のものに手を出さない（食べない）よう教える犬のトレーニング用語です。
目の前におやつを置いてリーブイットを教えたり、お口にしたものを「ちょうだい」で離させたりする練習を行います。
リーブイット練習を根気強く繰り返しましょう。「ちょうだい」や「オフ（離せ）」、「リーブイット（拾わない）」などの指示の習得で、拾い食い行動を直接的に中断させるなど予防が可能になります。
しつけ教室に通う
自宅での取り組みに限界を感じたり、より専門的な指導を受けたりしたい場合は、しつけ教室に通うことが大変効果的な選択肢となるでしょう。
ドッグトレーナーは動物行動学に基づいた知識と経験を持ち、犬の性格や原因に合わせたトレーニングを提案できるからです。加えて、飼い主自身も正しい指導法を学ぶことができます。
しつけ教室では、基本的なマナーやコマンド（命令）の習得、問題行動の改善、飼い主との信頼関係の築き方など、幅広い内容を学ぶことが可能です。
プロのサポートを得ることで、問題解決への近道となり、飼い主と犬の双方にとってより効果的なトレーニングが可能になります。
拾い食いに対してしつけ教室が指導する内容
しつけ教室では、犬の拾い食い行動に対して、単に阻止するだけでなく、根本的な原因や犬の心理に働きかける多角的なアプローチで指導が行われます。
衝動制御（インパルスコントロール）トレーニングや、地面のものより飼い主に意識を向ける方法を教えることです。
具体的な方法は、リーブイット練習や誘惑を我慢させるゲーム、ポジティブ強化トレーニング（ご褒美を使ったトレーニング）などがあり、あわせて飼い主への対処法の指導も行われます。
専門的な指導を通じて、犬は拾い食いを控えることを学び、飼い主は問題行動に適切に対処するスキルを身につけられるでしょう。
犬の拾い食いを直すためにしつけ教室に通うメリット
しつけ教室に通うことは、拾い食いなどの特定の問題行動を解決するだけでなく、愛犬との関係性を深め、より豊かな共同生活を送るための多くのメリットをもたらします。
単に拾い食いをやめさせるだけにとどまらない、プロの指導ならではの効果が期待できるでしょう。
拾い食い以外のしつけもできる
しつけ教室では、拾い食い対策だけでなく、基本的な指示や、無駄吠え、飛びつきなどの問題行動全般に関する指導を受けられます。
多くの教室は、犬とのよい関係と共同生活を目指す総合的な内容です。拾い食いの原因が指示不徹底や刺激不足の場合もあり、全体的なトレーニングが効果的だからです。
「待て」で止める練習や、落ち着いて歩く練習など、日々の生活で役立つさまざまなスキルを習得できます。
しつけ教室は、拾い食いを含む問題行動だけではなく、愛犬の全体的なマナーや行動を改善する機会です。
犬の社会性も身につく
しつけ教室によっては、ほかの犬や人との交流機会が設けられており、愛犬の社会性を育むのに役立ちます。
成犬になっても適切な社会化は重要です。ほかの犬や人との適切な接し方を学ぶことで、散歩中の不安や興奮が減り、拾い食いの心理的要因を取り除くことにつながる可能性があるからです。
グループレッスンでは、ほかの犬との挨拶や、ほかの犬と一緒にいても落ち着く練習ができます。プロの管理下なので安心感があります。
社会性が身につくことで、拾い食い行動の改善にも間接的によい影響を与えることが期待できます。
プロからしつけ方法を学べる
しつけ教室に通うメリットの一つは、プロのドッグトレーナーから科学的根拠に基づいた正しいしつけ方法を学べる点にあります。
自己流では効果が出にくく状態が悪化するリスクがあるのに対し、プロは犬の心理を理解し、それぞれの犬に合わせた適切な方法を知っているからです。
例えば「ダメ！」と叱るだけでなく、なぜ拾い食いをしたか分析し、ポジティブな方法で教えるテクニックを学べます。
飼い主自身が愛犬と信頼関係を深めながら取り組めるようになるでしょう。
飼い主自身が犬の行動理解と正しい指導スキルを身につけることは、拾い食いだけでなく、今後発生しうるさまざまな問題にも自信を持って対応できるようになります。
しつけ教室を選ぶポイント
本章では、愛犬にあったしつけ教室を見つけるための重要なポイントをご紹介します。
- ドッグトレーナーの質
- トレーニングメニューの内容と質
- 飼い主への指導の有無
数多くあるしつけ教室の中から、愛犬と飼い主にとって適切なしつけ教室を選ぶことは、トレーニングの成功に直結します。
後悔しないためにも、いくつかの重要なポイントを事前に確認しておくことが賢明です。具体的にどのような点に注目すべきかを見ていきましょう。
ドッグトレーナーの質
しつけ教室を選ぶうえで重要なのが、指導にあたるドッグトレーナーの質です。トレーナーの知識や経験、接し方で効果や安全性が変わります。
科学的根拠に基づき、犬の気持ちを尊重し、多様な犬に対応できるかが基準です。資格の有無や実績、見学時の対応を確認しましょう。
質問に対し丁寧に答えてもらえるか、犬に対して威圧的でないかも見るべき点です。信頼できるトレーナーとの出会いが、しつけの成功に直結します。
トレーニングメニューの内容と質
教室が提供するトレーニングメニューが、愛犬の年齢や性格、拾い食いなどの具体的な悩みに合っているかを確認します。
画一的でなく、個々の犬と目標に合わせた柔軟な対応ができる方が効果的だからです。ポジティブ強化中心で、犬に負担が少ないトレーニングメニューであるかも確認しましょう。
子犬向け、成犬向け、問題行動特化などコースを確認します。リーブイット練習が含まれるか、人数は適切かもチェックポイントです。
愛犬と飼い主のニーズに合った、質の高いトレーニングメニューを提供しているかを見極めることが重要です。
飼い主への指導の有無
犬へのトレーニングだけでなく、飼い主自身が犬との接し方や具体的な指示の出し方を学べるかどうかも、長期的な視点で見るととても重要なポイントです。犬は日々の生活で飼い主から多くを学ぶからです。
飼い主が正しい知識とスキルを身につければ、卒業後も一貫したしつけができ、再発防止につながります。家庭での実践方法、宿題、フォローアップがあるか確認しましょう。
気軽に質問できる雰囲気も大切です。講習会開催の有無も確認できます。
犬と飼い主がともに成長できるような、飼い主へのサポートが手厚い教室を選ぶことが、しつけ成功につながるでしょう。
まとめ
愛犬の拾い食いは、単なる困った行動ではなく、健康と安全性に関わる重要な問題です。
本記事でご紹介したように、原因を理解し、環境を整え、適切なトレーニングを行うことで改善を目指せます。
もしご自宅での対策に難しさを感じたり、より効果的な方法をお知りになりたい知りたい場合は、ぜひプロのドッグトレーナーに相談したり、しつけ教室の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
一歩踏み出すことで、愛犬との散歩がもっと安心感のある楽しい時間になり、絆もさらに深まるは
ずです。
愛犬との明るい未来のために、今日からできることから始めてみましょう。
参考文献
