子犬のしつけ教室に通いたいが、通うための条件や時期が分からない方もいるでしょう。
子犬の成長の過程には社会化期と呼ばれる大切な時期があり、この期間にどうしつけを行うかによって愛犬の将来の性格や行動に大きな影響を与えます。
犬と飼い主が毎日を快適に過ごすためにも、子犬を受け入れる際にはしつけ教室について事前に知っておくことが重要です。
この記事では、子犬のしつけ教室に通うタイミングやワクチン接種との関係、社会化期の重要性について詳しく解説します。
子犬のしつけ教室はいつから通える?

- 子犬のしつけ教室は生後何ヶ月から通うのが一般的ですか?
- 子犬のしつけ教室は、生後4ヶ月までの子犬を対象としていることが一般的です。特に生後3週間〜16週間までの時期は社会化期と呼ばれ、周りの音や物などいろいろな刺激に慣れやすく、この時期の経験が成犬になってからの問題行動の予防に大きく影響します。適切な時期にしつけ教室に通うことで、犬と飼い主の両方にとってメリットがあるといえるでしょう。
- しつけ教室に早く通わせすぎると問題がありますか?
- 社会化期以前の生後3週未満の子犬は脳が未発達で学習能力が十分ではありません。そのため、しつけ教室に無理やり通わせても効果が得られにくいだけでなく、ストレスの原因となることがあります。よって、対象時期より早めにしつけ教室に通うことは控えるほうがよいでしょう。また、ワクチンの接種が完了していない状況でしつけ教室に通うことで不特定多数の犬と接触すると、感染症のリスクが高まる点にも注意が必要です。しつけ教室によっても規定が異なるため、それぞれの教室の規定を確認したうえで通わせるようにしましょう。
- 通わせるのが遅い場合のデメリットについて教えてください。
- 生後3週間〜16週間以降でも、成犬向けのしつけ教室はあります。ただ、社会化期以降の犬はさまざまなものに対しての警戒心やストレス反応が社会化期の子犬よりも大きくなりやすいそうです。そのためほかの犬とけんかをしてしまったり、問題行動を起こしたりする危険性もあり、トレーニングにも時間と労力がかかります。一方で、社会化期にあわせてしつけ教室に通うことで、そのような問題行動の予防や環境適応能力を鍛えることができるでしょう。上記のことから、できるだけ社会化期にしつけ教室を検討することがおすすめです。
ワクチン接種としつけ教室

- ワクチン接種が完了していない子犬でもしつけ教室に通えますか?
- しつけ教室によってはワクチン接種が完了していなくても通えるところもありますが、ほとんどのしつけ教室はワクチン接種を完了してから通うことを推奨しています。ワクチン接種が完了していない状態だと、子犬は免疫力がまだ弱いため、感染症にかかってしまう可能性があるからです。ワクチン接種完了を推奨している教室なら健康状態の確認が取れている子犬のみが参加するため、安全性が確保されているといえるでしょう。ただワクチン接種が未完了でも通えるしつけ教室も、しつけ教室を屋外ではなく屋内で実施することでリスクを下げるように対策しています。ワクチン接種が完了していない子犬をしつけ教室に通わせたい場合には、屋内開催や安全面が確保されているかを事前にチェックしておきましょう。
- しつけ教室に通うためにはどのワクチンが必要か教えてください。
- 多くのしつけ教室で参加条件として挙げられているのは、混合ワクチンの接種です。混合ワクチンにも5〜9種の混合ワクチンがありますが、犬ジステンパーやパルボウイルスなどの命に関わる感染症を予防する効果が期待できます。混合ワクチンは子犬の時期に複数回接種を行うため、教室によって参加条件に接種回数の違いもあります。例えば、2回目のワクチン接種後1週間が経過していることや1回接種済みであれば参加可能など、基準の違いに注意が必要です。しつけ教室に通いたい場合には、事前に接種スケジュールと教室の条件を照らしあわせて確認しましょう。
- ワクチン接種前にほかの犬と触れ合わせるのは危険ですか?
- ワクチン接種前は免疫力がまだ低い状態なため、ほかの犬から病原菌が移る可能性があります。ほかの犬にとっては大丈夫な菌であっても、子犬には病気の原因となることがあるため、なるべくワクチン接種前はほかの犬と触れ合わせることは避けたほうがよいでしょう。不特定多数の犬が集まる場所や公園はもちろん、先住犬がいる家庭の場合も注意が必要です。ただ、相手の犬の健康が良好であることを確認できる場合や感染症リスクの低い環境であれば感染のリスクを下げることはできます。子犬の時期は、なるべくリスクの少ない環境で過ごすことが子犬にとっても快適な環境であることを知っておきましょう。
- ワクチン接種が終わる前にできる社会化の方法について教えてください。
- ワクチン接種が完了する前でも家の中や安全性の高い場所での抱っこ散歩など、普段と異なる場所や環境への慣れが社会化には効果的です。ワクチン接種前は無理にほかの犬と触れ合わなくても、日常的な刺激に慣らすだけでも犬に興味や関心を抱かせることはできます。家のなかにいてもインターホンの音や掃除機の音など、犬が恐怖に感じやすい大きな音はたくさんあります。そこで、まずは小さな音で鳴らして犬の耳を慣らすことで、将来的に音に過敏に反応しない犬に成長するでしょう。また病院やトリミングで体に触られることを嫌がらないために、体を触られることは嫌なことではないと覚えさせることも社会化に効果的です。
子犬の社会化期に知っておきたいポイント

- 子犬の社会化期はいつからいつまでですか?
- 子犬の社会化期は一般的に、生後3週〜16週といわれています。子犬はこの期間に見たものや体験したことに対して、自分にとって安全性が高く大丈夫なものと認識します。そのため、将来的に物や音に過剰に反応しない落ち着いた性格の犬に成長しやすいそうです。逆に、社会化期に人や犬との触れ合いや刺激が少なすぎると、初めて見るものに過剰に反応してしまう犬に育ってしまう可能性もあります。よって子犬の社会化期には、柔軟に学習して吸収する時期であることを意識して、さまざまな刺激に慣らしておくことが重要です。
- 社会化期に経験させるべきことについて教えてください。
- 社会化期には飼い主だけでなく、ほかの家族や子どもなど多くの人と触れ合うことが大切です。さまざまな人と接することで成犬になってからも人に対して恐怖心を抱きにくくなり、噛んだり吠えたりするなどの問題行動を起こしにくくなります。また、さまざまな環境に慣れさせることも社会化期には重要です。そこで犬にストレスがかからない範囲で車に乗せて移動をしたり、ケージに入れて怖い場所ではないと信用させたりする経験もさせましょう。さらにほかの犬と触れ合うことも社会化期には大切な経験です。ほかの犬と会わせる際は慎重に様子を見つつ、無理のない範囲でほかの犬と交流させると犬にとってもよい刺激になるでしょう。一方で社会化期は多くの刺激を柔軟に受け入れやすい分、一度強い恐怖を感じてしまうとその印象が強く残りトラウマとなる可能性もあるため、無理せず少しずつ慣らしてあげるようにしましょう。
- 社会化が不十分だとどのような問題行動につながりますか?
- 社会化が不十分だと、さまざまな物や音に対して過剰に警戒する犬に成長する可能性があります。結果、散歩中にほかの犬や人に対して吠えることや、攻撃的になることもあるでしょう。また社会化が不十分だったことで環境の変化によってパニックを起こし、噛みついてしまう犬もいます。ほかにも、飼い主が家を留守にするときに大人しく留守番ができないことや、分離不安症によってパニックを起こす場合もあります。上記の行動は、社会化期に十分に環境に慣れさせていなかったことが原因であるため、問題行動の予防のためにも社会化期にいかに慣れさせるかが重要です。
- 社会化期を過ぎた成犬でもしつけ教室に通えますか?
- 社会化期を過ぎた成犬でもしつけ教室に通うことは可能です。成犬は警戒心が強くストレスを感じやすいため、安全面に配慮したうえで無理なくトレーニングを行います。成犬は子犬と違って今までの習慣や経験があるため、あらためて習慣を変えることには時間がかかることは理解しておきましょう。すぐに効果が出ないこともあるかもしれませんが、諦めず根気強くトレーニングを行うことで、問題行動の改善を見込めます。よって焦らず、犬のペースにあわせて取り組むことが重要です。
編集部まとめ

子犬のしつけ教室は社会化期にあわせて通うことで、将来的に犬にとってもよい影響があります。
ただ子犬の時期は免疫力が低いため、子犬のためにも推奨されているワクチン接種プログラムが完了してからしつけ教室に通うことがおすすめです。
またしつけ教室によってワクチン接種の条件基準は異なるため、通わせたい教室の参加条件を確認しておくことが重要です。
社会化期に適切なしつけを行うことで、犬も飼い主も一生快適に仲良く暮らすことができるため、子犬を受け入れる際にはしつけ教室を検討してみましょう。
参考文献

